「修学旅行」 1
夏休みが明けて1ヶ月位すると、お待ちかねの修学旅行の季節!!!修学旅行はやっぱり高校生活の中で一杯イイ思い出になるものだよね〜。あたし、ウンと楽しむつもりなんだ〜♪
行き先は京都・奈良・大阪・兵庫方面。やっぱり日本人なら1度は行ってみたい所だよね〜!!何かよく分かんないけど、紅葉が奇麗でお寺が沢山あるんでしょ?たまにはあたしもスポーツしてばっかじゃなくて、日本人の風流みたいなの嗜まないとね!
星光学園の修学旅行日程はぁ〜、3泊4日で京都・奈良・大阪・兵庫をとにかく楽しみまくって、日本文化に触れること!!!1日目と4日目が団体行動なんだけど〜、2日目が班自由行動で、3日目がクラス自由行動になってる。
2日目の班自由行動はクラス問わず友達となら誰でもイイらしくて、あたしはバレー部の親友達と一緒にとにかくおいしい物を食べまくるつもり♪3日目のクラス自由行動は曽我部先生が「オリエンテーリングだ!!」って張り切ってた。あたしオリエンテーリング大好きなんだよね〜!!色々こう、見つけたりするのって楽しいジャン♪さすが曽我部先生だよね〜!!
因みに今日は修学旅行2日目!!班自由行動の日なんだけど・・・・そういえば、お兄ちゃん大丈夫かな?
それは、今から2日前のこと。明日から修学旅行ってことで、お兄ちゃんと荷物をまとめていた時のことだった。
「和・・・すごく楽しそうだね。」
「ウン!!考えてるだけでウキウキしてきちゃう!お兄ちゃんはそうでもないの?」
「いや、楽しみだよ。沢山の社寺を見ながら、本場の抹茶を飲んで、ゆっくり温泉に入りたいなぁ・・・・」
「・・・お兄ちゃんって、時々言動にオジイチャン入るよね。」
「・・そうかな?」
自覚ないんだ。だってお寺とか一杯見て抹茶飲んでゆっくり温泉に・・って、あたしにはオジイチャンっぽいとしか思えないんだけど・・・・でも京都や奈良だから、自然とそうなっちゃうのかな?
「あっ、ねぇねぇ。お兄ちゃん、2日目ってどうするの?」
「ん?」
お兄ちゃんは頭が良すぎて他の人に妬まれてるらしくて、実は友達って呼べる人がいないみたいなんだよね〜。あたしとはこうして双子の兄妹だから普通に話すけど・・・・それ以外にちゃんと人と話してるの見たのって、先生たち位しか思い当たらない・・・・
そんなお兄ちゃんが2日目の班自由行動をどうしてるのか、ちょっと心配になっちゃったんだ〜。余計なお世話だと思うけど、妹としてはやっぱり、放っておけないから・・・・
「ほら〜、2日目って班行動ジャン?まさか、1人とか言わないよね〜?」
「・・一応は、その予定だけど・・・」
「ダメだよ〜!!1人で色んな所見て何かあったらどーすんの!?」
「えっ?先生に電話するんじゃないの?」
お、お兄ちゃん・・・・も〜う!!
「そうじゃなくて!!!例えばいきなり車に轢かれたとかして大怪我負ったらどーすんのよ!?電話とか出来ないじゃない!!」
「・・・そうならないように、努力する。」
「ダメだよ〜!!ねぇねぇ、それならあたしの班に入らない?お兄ちゃん!バレー部メンバーで固まってるから・・・・」
「いや・・女子バレー部の中に俺が入るのは、ちょっと・・・・」
お兄ちゃん、照れくさそう・・・・確かにお兄ちゃんって、女の子と一緒にいるのって慣れてなさそうだもんな〜。あたしは妹だから関係ないだろうけど・・・・
「うぅ〜ん。でも、そしたらどうするの?1人だけは危険だよ〜。」
「うん・・・それは、その時になったら考える。」
あの日、お兄ちゃんにそれ以上突っ込むことは出来なかったな〜。それに、修学旅行の準備で遅くなってたからパッタリ寝ちゃったし・・・・お兄ちゃん、本当に1人で行動してそうで怖いんだよね〜。ウゥ〜ッ、神様、仏様!!もしも1人でお兄ちゃんがいたら、助けてあげて下さい!!
「和〜!!どうしたの〜?さっき買ったお地蔵さんのお守り持って祈っちゃって・・・何か良くないことでもあったの?」
ギックゥーーーン!!思いっきり突っ込まれちゃった!!それは、バレー部の中でも特に仲の良い絵里だった。
「い、いや〜、違うよ〜。ちょっとね!!ほら〜、今後バレー部がもっと活躍出来ないかなって、祈ってみたの!」
「ヤダ〜、和ったら〜。神頼みしなくたって、和がいれば安泰よ〜!」
「そうそう!和ちゃんはバレー部のエースだもんね〜。」
絵里と同じバレー部の親友・優がそう言ってくれた。そんな、エースって言われるほどでもないけど・・・・これからも頑張らなきゃね!!
「アハハハハ〜。ありがと・・・・」
「そういえば和!最近Mr.ソガベとはどうなの?何か進展とかないの〜?」
ギャアッ!!この期に及んでそれを聞かれるとは思わなかった!!
「絵里こそ〜。その後彼氏君とはどうなの?」
「あっ。さてはあたしのことを聞いてくるあたり、何か進展があったと見た!!吐きなさいよ〜、ホラ〜。誰にも言わないから〜。」
「そうそう!私も和ちゃんとMr.ソガベのお話聞きたいな〜。」
「コラーーーッ!!よりによってそんな変な誤解しないでよ〜!!先生とは何にも進展なんてないから!!ただ一応、誕生日にプレゼントとかはしてみたけど・・・」
『ええぇぇーーーーっ!?』
それを聞くなり、絵里と優は目を見開いて驚いていた。
「和!それ、Mr.ソガベ受け取ったの!?」
「えっ?う、うん。一応・・・・」
「それって、脈ありじゃな〜い?和ちゃ〜ん。Mr.ソガベが生徒からプレゼントもらったって話、初めて聞いたよ〜?」
「ウソッ!?」
今度はあたしが大いに驚く番だった。えっ?だってあたしが先生の誕生日をたまたま見かけた時、女の子達に囲まれて、曽我部先生嬉しそうにしてて・・・・って、待って。よく考えてみれば、あの後あたし何も考えられなくなって、取り敢えずプレゼント作るだけ作ろうと思ってダッシュしたから、本当にアレを受け取ってたかどうかは分からないんだ・・・・!!
いや、でもあの感じならもらってそうな気がするんだけどな〜、先生・・・・えぇっ?何か急に期待しちゃいそうだよ、あたし・・・・
「ホントだよ〜、和ちゃ〜ん。Mr.ソガベはもてすぎるから、生徒からのプレゼントは受け取らないって聞いたことあるもん。」
「あたしなんて、実際Mr.ソガベが生徒からバレンタインチョコ差し出されても拒否してるのハッキリ見たからな〜・・・そういえば和は、1年のバレンタインに大熱出して倒れたんだっけ?」
「うん、そうです・・・・」
忘れもしないよ、1年のバレンタインの時・・・・あたし、久々に大きい風邪ひいちゃって、高熱出して・・・・あの時は本当に寝込んだな〜。3日間起きたくても起きれなくて、寝てることしか出来なかったんだもん・・・・
もうその時から曽我部先生のことは好きだったから、あたし張り切ってたのに・・・・結局、バレンタインは風邪で終わり。先生にチョコ渡そうと思っても、もうバレンタイン過ぎた時だったから、結局あげれなかったんだよね〜・・・・
「あっ、私も思い出した〜。和ちゃん、あの時大変そうだったよね〜。」
「うん、ホントに大変だった・・・・」
「でも、これは面白くなってきたよ!和、自信持って今度告白してみたら?」
「えぇっ!?さすがにそれは、まだ出来ないよ!!」
「あれれ〜?噂をすれば何とやらじゃな〜い?」
「えっ?」
優に言われて、自然と優が見てるほうに目を向けてみれば・・・・そこにいたのは何と、曽我部先生に・・お兄ちゃん!?
「Mr.ソガベーーー!!和のお兄ちゃ〜ん!!こーんにっちはーーー!!」
ゲゲ〜ッ!!よりによって、絵里ったらそんな大きい声で挨拶しなくても・・・・!!
「ん?おやや〜!?我が星光学園の麗しい女子バレー部諸君ではないか!!!班行動、楽しんでるかい?」
「はい、Mr.ソガベ!とっても楽しんでま〜す!」
「そうか!!大変良いことだ!!」
「Mr.ソガベは、今循環中ですか〜?」
「ウム、その通りだよ!!Mr.ふーせー君と奈良に来ている生徒を確認中さ!!あぁ、それじゃあ君たちの班はCheckしておこうね。」
そうして曽我部先生は、あたしたち生徒が持っている修学旅行パンフレットとはまた違う書類を持っていて、それに印を付けていた。
そ、それより何より・・・・あたし、曽我部先生の私服ってこれで見るの何度目だろう!?まだ数える程度しかないよ!!白衣着てない曽我部先生って、ホントに珍しい〜・・・・先生、私服普通に似合ってるな〜。背が高いし細いしカッコイイから、何を着ても似合ってる。特にこのトレンチコート・・・先生、似合いすぎだから・・・・
「Mr.ソガベ!あたし達、和とデート中なんです!!羨ましいって思いませんか〜?」
あたしが先生に見惚れてたその時、絵里が突然行動に出た。気が付いたら、絵里があたしの腕に抱き着いてて・・・・ちょ、ちょっと待ってーーー!!何がどうなってるの〜!?デートって何〜!?班行動じゃなかったの〜!?
「えっ?えぇっ!?デ、デデ、デートなのかい!?」
「はい、そうなんです!和ってば超可愛くて最高ですよ〜!で、あたし達バレー部だけで和の可愛さ独占してるのもったいないですし、和のお兄ちゃんもいることですから、この際Mr.ソガベと和が一緒に行動してもイイんじゃないかなって思うんですけど、どうですか〜?」
『えええぇぇぇーーーーーっ!?』
この絵里の発言には本当に度肝を抜かされた。しかもよりによって曽我部先生とあたし、声はもってるよ〜!!そりゃ〜先生も驚くっつーの。
先生の隣にいたお兄ちゃんも目を丸くして驚いちゃってる。さすがにあたしや曽我部先生みたいに絶叫することはなかったようだけど。
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