「修学旅行」 2

「そ、そうだね〜。私は、Ms.ふーせー君の判断に任せるよ!君が麗しい女子バレー部諸君と一緒にいたいならそれで構わないし、先生とMr.ふーせー君の所に来てくれてもいいよ。君はどっちがいいのかな?」

先生が、優しい笑顔であたしにそう言ってくれた。さすが先生、もう冷静さを取り戻してる。
うぅ〜ん・・・・明らかにこれって、絵里たちがあたしに気を遣ってくれてるんだよね?ウゥ〜ッ、そりゃ〜もちろん絵里や優たちと一緒に修学旅行楽しむのもイイんだけど・・・・あたしが一番気にしていたお兄ちゃんが、よりによって先生と一緒にいることに嫉妬してるのも確かで・・・・
お兄ちゃんはズルい。多分1人でいる所に曽我部先生が声をかけたんだろうけど・・・・あたし、先生と一緒にいたい!!お兄ちゃんだけなんてズルいもん!!

「先生。あたし、先生と一緒に行ってもいいですか?お兄ちゃんも、いいよね?」

たったこれだけのことなのに、言うことは思ったより勇気が必要だった。先生に断られたらどうしようって思ったのと、バレー部の皆が見守ってたから・・・・

「ウム、Ms.ふーせー君!先生は構わないよ!!大歓迎さ!!!君が来れば、Mr.ふーせー君もそれほど緊張せずに済む!!そうだろう?ふーせー君!」
「あ・・え、えっと・・・・」
「ワハハハハッ!さすがに返事しづらいか。それじゃあ、麗しきバレー部諸君。Ms.ふーせー君は私が面倒を見ていいんだね?」

先生が確認するように絵里たちにそう聞いた。すると絵里や優は満面笑顔で「はいっ!」って返事してた。あたしはちょっと恨みがましい気持ちで絵里たちを見たんだけど・・・・こうして先生と一緒に行動出来るのって、むしろ絵里たちのおかげなんだよね・・・・今度、お礼に何か作って持ってこうっと。
それから絵里たちと別れた。それまで皆と一緒にいたのに、もうあんな遠くにいる。あたし達はそんな絵里たちの後ろ姿を見守ってたんだけど・・・・その時、曽我部先生があたしに優しく言ってくれた。

「・・本当に良かったのかい?Ms.ふーせー君。せっかくの楽しい修学旅行を、私と一緒にだなんて・・・・」
「いいんです!それに、お兄ちゃんがいつも先生にお世話になりっぱなしですから!」
「・・そうだね、和・・・・先生、本当にすみません。」

あぁっ、お兄ちゃん!そんな真剣に謝らなくても〜。半分冗談だったのに・・・・ってゆーか、素で「先生と一緒にいたいんです!」なんて言えないから、ついお兄ちゃんのことを話題に出しちゃったんだけど・・・・きっと、お兄ちゃんなら分かってるよね?あたしのそーゆー気持ち・・・

「なぁ〜に、謝ることはないさ〜、Mr.ふーせー君!それにね、先生は君たちと一緒にいることがとても嬉しいんだよ!君たちは我が学園期待の星だからね!さて、残り見てないのは2グループかな?全グループを確認次第、楽しく遊ぼうじゃないか!それじゃ、ふーせー君たち。もう少しだけ先生のお仕事に付き合ってね〜?よろしい?」
「はい!よろしくお願いします!」
「・・はい、先生。」

 

その後奈良にいた全グループを30分足らずで発見したあたし達は大阪に移動して、先生の奢りでたこ焼きとお好み焼きをご馳走になっていた。うぅ〜ん!さすが「食いだおれ」の街・大阪!!どれもこれもおいしいよ〜!!

「先生、すみません。奢っていただいてしまって・・・・」
「なぁ〜に、当然のことじゃないか!!先生のお仕事に付き合ってくれた、ほんのお礼だよ。」
「せんせぇ〜。たこ焼き超おいしいですよ〜!!先生も食べましょうよ〜!」

んも〜うマジでこのたこ焼き絶品なんだけど!!今までマヨネーズのたこ焼きって食べたことないんだけど、一気にハマっちゃった!!

「おぉっ!どれどれ。それじゃあいただこうか!」

そうして先生と一緒にたこ焼きを食べる。ウゥ〜ン!先生と同じものを食べて、こうして隣に一緒にいられるなんて超絶幸せ〜!!今は絵里たちに感謝すらしちゃうよ〜。まさか先生と一緒に行動出来るなんて思ってなかったから、2倍に嬉しい♪

「ウム!!確かに美味しいね!!!あれ?Mr.ふーせー君はたこ焼きいいの?」
「あ・・俺は、たこが駄目なんです・・・・」

そうなんだよね〜。実はあたし達双子はたこが大の苦手なのです。あたしもたこ焼き以外のたこは食べたいと思わないな〜。お刺身とか絶対ダメだし!!お兄ちゃんは昔からたこ焼きのたこもダメなんだよね〜・・・

「えぇっ!?でも、Ms.ふーせー君はOKなんだろう?」
「あ、ですけど。あたしもたこ焼き以外のたこはダメなんです。」
「そうなのか〜。それでMr.ふーせー君はお好み焼きをずっと食べていた訳だね!ウム、言ってくれればもっと他のものを買ってあげたのに・・・・」
「いえ、そんな。お好み焼きだけで、俺は嬉しいです。」
「あたしも!先生が奢って下さっただけで、とぉ〜っても嬉しいですよ〜!」

エヘヘヘッ。やっぱり奢ってもらえるのって嬉しいよね!それが先生なら尚更だよ〜。

「そ、そうかい?君たちは本当に優しいんだね・・・・ウム!!先生もっと奢りたくなっちゃったよ〜。他に食べたいものはあるかい?Ms.ふーせー君!」
「ン〜。食べるより、先生と一緒にいたい・・・・!!!」
「えっ?」
「!和・・・・」

しまった!!!あ、あたしってば本音出しすぎ!!!あたしは自然と手で口を覆ったんだけど、すぐに取り繕った。

「えっと!!食べれるなら、もう1回このたこ焼きが食べたいです!!先生。」
「あ、あぁ、そうか。ウム、いいだろう!それじゃあ、先生買いに行くけど・・・一緒に来るかい?Ms.ふーせー君!」

えっ?いいの!?
お兄ちゃんにチラッと目配せすると、お兄ちゃんもすぐにあたしをチラッと見てきた。「留守番してるから、先生と一緒に行っておいで。」って・・・お兄ちゃんの目はそう言ってくれてた。だからあたしは、「ありがとう。」って視線でお兄ちゃんに返したよ!

「はい!お供しま〜す!」
「ウム!!それじゃあ、Mr.ふーせー君。少しここで待たせてしまうけど、よろしい?」
「はい。荷物見てます。」
「ありがとう!!それじゃあ、行こうか。おいで、Ms.ふーせー君!」
「はい!」

そうしてお兄ちゃんに軽く手を振って、あたしは曽我部先生に着いて歩いた。ウワーン!曽我部先生とこうして一緒に歩くことが出来るなんて、超絶幸せだよ〜!!こうして先生と2人っきりで歩くなんて、滅多にないことだもんね!
あたしと先生はすぐにたこ焼き屋さんに着いたんだけど・・・思ったより並んでるな〜。これはすぐにお兄ちゃんの所に戻れそうにないかも・・・・あたしとしては、先生と一緒にいれて嬉しいけどね。
先生と列の一番最後に並んでから何だか気恥ずかしくなっちゃって、つい俯いちゃったんだけど・・・・先生が、そんなあたしに声をかけてくれた。

「・・・ねぇ、Ms.ふーせー君。」
「は、はい!?」
「・・先生の空耳でなければ、さっき君は、「先生と一緒にいたい」と・・・そう言ってくれたよね?」

ギックゥーーーーッッ!!!こ、これって、どうするべき!?素直になろうかな〜?それともやっぱり、ウソをついた方がイイのかな〜?うぅ〜ん・・・お兄ちゃんもいないし、どうしよう〜!!!
えぇい!!もうこうなったら最初に思った方を実行した方がいいよね!!ってことで、あたしは恥ずかしさを捨てて素直にコクンと頷いた。

「はい。言いました・・・・」
「ウム!!嬉しいよ、ふーせー君!私も、君と一緒にいたいと思っていたよ・・・・」

えっ・・・?そ、それって・・どういう意味!?あたしが驚いて先生を見ると、先生は満面優しい笑顔であたしを見てくれた。
キャーーーッ!!どうしよ〜!!先生の優しい笑顔が、カッコ良すぎて・・・・!あたし、もうダメ。一気に熱くなってきちゃった・・・・あたし、どうすればイイの〜!?ただでさえ先生しか見えてないのに、余計にそうなっちゃうじゃん・・・・!

「は、はい。先生・・・・」
「ワハハハッ!いやぁ〜、ふーせー君。そんなに照れないで・・・先生も、照れてきちゃったよ・・・ワハハハハッ!!」

せ、先生、笑ってごまかしてるけど・・・心なしか、少し顔が赤い・・・・?多分、あたしも顔が熱いからきっと赤いと思うんだけど・・・先生も、だなんて考えると、本当にドキドキしちゃう・・・・!
も、もうここまできたら・・・・あたし、先生に思いっきり聞いちゃうよ?あたしは勇気を振り絞って、ゴクリと唾を飲み込んで先生に声をかけた。

「あの、先生。前からお聞きしたかったんですけど、先生には・・・今、好きな人とかいるんですか?」
「えぇっ!?と、突然どうしたんだい!?ふーせー君!!」

先生、慌ててる・・・ってことは、やっぱり誰か好きな人がいるのかな?そしてそれは、間違いなくあたしの知らない人なんだろうな〜・・・・
もうこうなったら、とことん開き直るしかないよね!!あたしはニッコリ笑顔で先生に言った。

「いえ、何となく!先生は、美人な人がお好きなんだろうなぁ〜、とか色々想像しちゃいます!」
「えぇっ!?い、いやいやいや!!それはもちろん見た目もそうなんだけど・・・・私はね、ふーせー君。一生懸命に頑張っている、真っ直ぐな女性が好きだよ。」

!そうなんだぁ〜・・・・これって、先生の本音だよね?ウソついてるようには見えないから・・・・

「そうなんですか〜。素敵ですね!」
「ウム、ありがとう!!で、ふーせー君はどうなんだい?」
「えぇっ!?あたしですか!?」
「そうさ!!まさか私のことだけ聞いて、そのまま逃げようだなんて思ってないだろうね〜?フフフフ〜。そうだとしたら、先生許さないぞ〜?」

うわぁ〜っ。先生、半分冗談で言ってるっぽいけど、半分本気っぽそうで怖いよ〜・・・・ウゥッ、墓穴掘ったかも。どう答えるべきかな〜・・・・やっぱり、素直になった方がいいかな?
もちろん、好きな人が先生だってことは言えないけど・・・・好きな人がいるってこと位なら・・ね。

「えっと・・・取り敢えず、好きな人はいます。」
「そうか!!!あぁ〜、若き最高の青春だね!!もうお付き合いとかはしているのかい?」
「いえ!!片思いですから・・・・」
「何と・・・!告白はしないのかい?」

そりゃ〜、出来るならしたいけどさ〜!!!・・・出来る訳ないじゃん。目の前にいる先生なんだよ・・・・?

「はい。まだ、出来ないです・・・・」
「そうか・・・・でもね、ふーせー君!君の恋は成就するさ!!なぜなら・・・っとと!!たこ焼き1セットもらえるかな?」

ウッ・・丁度この時、それまで待っていたあたし達の番になっちゃった。先生がたこ焼き屋さんにそう言ってお金を払っている。
・・あたしからこれ以上何か聞くことは出来ないし、先生も続けて言ってくれる気配なさそうだし・・・・ウゥ〜ッ。何かちょっと悔しいな〜・・・・
でも。先生、あたしの恋は成就するって言ってくれたよね?・・・ホントかな〜?だって、先生なんだよ?・・・思わず「先生のウソつき」って言いたくなりそうだったけど、やめておいた。


  

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