「修学旅行」 3

もう、20時半か〜・・・・今日の反省会やら明日の展開についての打ち合わせも終えたし、見回りに行く時間だね!

そうそう!あれからふーせー君たちと色々楽しませてもらったよ〜。おいしい食べ物を沢山食べた後は、遊園地に行ったからね〜・・・・ワハハハハッ!!Ms.ふーせー君が絶叫系マシーン好きなことが分かって、私はとても嬉しかったよ!!
ところで。我が星光学園が泊まるホテルは貸し出しにしてもらっている上に、温泉と温水プール付きだって言うんだから、なかなかリッチじゃないか〜。プールの使用時間は学園の方で21時までと定めているから、今からその見回りに行くんだけど・・・・果たしてプールなんかに入っている生徒諸君は本当にいるんだろうか?
正直ほとんど生徒なんていないだろうと思って、私は足を運んだのだけど・・・・プール場に入った途端、私は驚いてしまったよ!!そこには沢山の生徒がいて、皆ワイワイと泳いで楽しんでいたのだからね!!!
思わず、目を疑ってしまったよ。いや〜、さすが高校生諸君!!若いね〜!!と感心してしまったその時、何人かの女生徒たちが私の所にやって来た。

「Mr.ソカベ〜!!こんばんは〜!」
「おぉっ!!こんばんは!」
「先生は、プール入らないんですか〜?」
「一緒に泳ぎませんか?Mr.ソガベ!!」
「ワハハハハッ!いや〜、先生は水着なんて持ってきていないし、もうヘトヘトだよ。君たちは元気で素晴らしいね!!」

ウゥム。女子生徒諸君の水着姿が、目に眩しいよ・・・・皆、スクール水着じゃないんだね?自前の水着を持ってくるほどプールで遊びたいとは、いやはや・・・・
もしここにMs.ふーせー君がいたとしたら、どうしたものか・・・・まぁ、ざっと見た感じではいなさそうだから、ちょっと安心かな・・・・

「えぇ〜っ!?先生、水着持ってきてないんですか〜!?残念です〜。」
「Mr.ソガベ!そしたら、どうしてここに来たんですか〜?」
「フフフフ〜、生徒達の確認さ!分かっていると思うけど、使用時間は21時までだから、そろそろ帰る用意するんだよ?よろしい?」
『はぁ〜い!!』
「じゃあ、帰ろっか?」
「ウン!」

そうして、それまで話していた女子生徒諸君が帰っていった訳だけど・・・・ウゥ〜ム。それでもまだプールではしゃいで楽しんでいる生徒が30人ほどいるんだよね〜・・・・本当に元気だな〜。私にもこんな若き日々があったのだと思うと、信じられないよ・・・・なんて、年老いた発言かな?
取り敢えずその考えを頭の隅に押しやることにして、私はスゥ〜ッと大きく息を吸ってから、一気にそこにいた約30人の生徒諸君に言葉を紡いだ。

「我が星光学園の生徒諸君!!!今20時半過ぎだから、そろそろプールから上がるように!!よろしい!?」
『はぁ〜い!!』

男子生徒も女子生徒もそこで一気に返事をしてくれた子が多くて、少しずつ帰ってくれる生徒が多かったんだけど・・・・おやや〜!?その中に、彼女達は・・まさか!!!

「Mr.ソガベ〜!!こんばんは〜!お声かけられるまでいらっしゃることに気付かなかったです〜。ね!和?」
「うっ、うん・・・・先生、こんばんは!」
「私たち、ビーチバレーしてたんです〜!Mr.ソガベがもう少し早くいらしていれば、和ちゃんの勇姿が見れたのに・・・」
「べっ、別に勇姿じゃないってばぁ〜、優!またそうして変なこと言って・・・・!」

ウ、ウソだろう・・・・?ま、まさか、麗しき女子バレー部諸君がこんな所にいたなんて!!!しかも皆、やはりスクール水着ではないんだね?いや、それどころか・・・・Ms.ふーせー君!!!き、ききき、君は何という水着を着ているんだい!?タンクトップビキニじゃないか・・・・!!!
いかん!!!これ以上見ていたら、私は・・・・!!!

「あれ?Mr.ソガベ。具合悪いんですか?鼻のあたり押さえちゃって・・・・」
「いっ、いや!!何でもないさ!!そ、それより、早く着替えを済ませるようにね!!!」
『はぁ〜い!』

もう私は限界だった。麗しき女子バレー部諸君の息の合った返事を聞くか聞かないかの内に一気にダッシュしていたよ。そして最寄の男子トイレに駆け込んで、ポケットからティッシュを取り出して鼻に当てたんだけど・・・・見事に赤く染まっている。

「ハァ〜・・・・これじゃあ、完全にただの変態じゃないか・・・・」

Ms.ふーせー君の水着姿を見て、こんなに一気に興奮してしまうなんて・・・・いや、でもそれ位、私には刺激が強すぎたよ・・・・さすがふーせー君。余分な肉が何1つない、均整の取れた美しい体つきで・・・・お、思ったより、胸も大きかったね・・・・
あぁっ、いかん!!!そんなことを考えていたら、また興奮してしまったよ!!下半身が熱くなってしまっているのはもちろん、鼻血が止まりそうにないかもしれない・・・・ウム。とにかく落ち着け、落ち着くんだ私!!!イイ大人がこんなことで鼻血を出すなんて、何ということだ!!!

「ゼハァ〜、ゼハァ〜・・・・ハァ〜・・・」

ゆっくり深呼吸をして、少しずつ気持ちを落ち着かせる。それでも、まだふーせー君の水着姿が、脳裏に焼きついて離れないよ・・・・ハァ〜。普段ふーせー君への想いを我慢しているだけに、一気にそれが流れてきたようだね・・・・
それから5分ほど私は鼻血と格闘していた訳だけど、何とか冷静さを取り戻したことで鼻血も止まってくれたし、下半身も落ち着いてきたよ・・・・良かった、本当に良かった!!
試しに腕時計の時間を見てみれば、20時55分だった。もうプール場にいた諸君は着替え終わっているだろう。あるいはそのまま温泉に入る諸君もいるのかな?
ここの温泉は男湯と女湯に別れているから、本当に安心しているよ!まぁ、仮に混浴だとしたら生徒諸君の就寝時間に入れば良い話だけどね。
念のためにもう1度プール場に見回りに行こうか。それから私も、そろそろ温泉に入りたいね・・・よぉ〜っし!!では再度プール場へ行こうじゃないか!!
その途中で生徒諸君と何人かすれ違ったんだけど、鼻血を出した痕跡はもう消えているよね。特に変な目で見られることもなかったし・・・・
ハァ〜。そんなことを気にして歩かなければならない自分が情けないよ・・・・これでも人生長く生きているから、女性の水着姿や裸を見ることは初めてじゃないんだけどね〜・・・・どうやらMs.ふーせー君への恋は、人生の中で最も深く、熱いもののようだよ・・・・
おっ、そうこうしている内にプール場に着いたね。ガラガラと戸を開けると人は誰もいなかった。ただプールの水の揺れ具合が、それまで人がいたであろうことを暗示していただけで・・・・良かった!さすがに着替え場まで覗く訳にはいかないし、これでOKだね!
すぐに私は自分の部屋に戻って、風呂に入る用意をした。たまには生徒諸君と入る温泉も良いものだね!!
男湯の方に行くと、皆私にしっかり挨拶してくれる。大変良いことだ!!脱いだ服をかごに入れて風呂場の方に行くと、皆温泉に入っていたり、体を洗っていたりと様々だった。私も早速頭から洗おうと思って座り込んだんだけど・・・・

「あ・・曽我部先生。」

聞き覚えのある声だね〜。声のした方を振り向くと、そこにいたのはMr.ふーせー君じゃないか!!

「やぁ!Mr.ふーせーく〜ん。君も風呂に入りにきたんだね!」
「はい・・・隣、お邪魔してもいいですか?」
「もちろんさ〜!!あっ、どうせなら背中流してあげようか?ふーせー君!」
「あっ・・ありがとうございます。俺も、先生の背中流しますね。」
「ウム!!ありがとう、ふーせー君!!」

いや〜、男同士の結束というのは良いことだと改めて思うね!!取り分けMr.ふーせー君は数少ない化学部部員だから、私にとって余計に嬉しい存在なのだよ〜。
それから髪を洗い終えた私に、ふーせー君が背中を流してくれた。どうやらふーせー君も先に髪を洗っていたようだね。

「いやぁ〜、ありがとう!ふーせー君。先生助かるよ〜。」
「いえ、そんな・・・こちらこそ、ありがとうございます。」

こうして背中を流してもらったのは、サークルの合宿以来かな。元々趣味で合気道をしていたのだけど、大学でもサークルに入ってしまう位好きでね〜。合宿の時に先輩の背中を流したり、後輩に流してもらっていたよ。ウム、あの時は若かったね〜!!
だがしか〜し!!今はそんな話はどうでもいいんだよ。ウム、Mr.ふーせー君との話題といえば・・・・

「そういえばふーせー君。前に言っていた例の実験、あれからうまくいったかい?」
「あ・・はい。先生のナトリウムが、効果絶大でした。ありがとうございます。」
「フフフフ〜、それは良かったよ!ごめんね。最近時間が取れなくて、部活に顔を出せなくて・・・・」
「いえ、そんな。先生がお忙しいことは、よく分かっているので・・・」

ふーせー君は本当に優しい子だね。言うことだけじゃなくて、背中の流し方もとても優しくて・・・・ふーせー君は話を聞く限り色々大変だったようだけれど、性根が曲がらず優しい子に育ってくれたのだから、亡くなったご両親も安心だろう。
それはMs.ふーせー君も然りだね。2人とも非常に優れた能力があって大変よろしいことだ!!この大変な状況にもめげずに一生懸命頑張る君たちだからこそ、私は応援したくなってしまうのだよ!

「ありがとう、ふーせー君!君は本当に優しい子だね!これからも先生一杯迷惑かけると思うけど、よろしくね?」
「はい。俺の方こそ・・・・前から先生には沢山お世話になっていますけれど、今日は妹と一緒に色々奢っていただいてしまって、本当にすみませんでした。」
「なぁ〜に!そんなことを気にすることはないよ、ふーせー君!!私と君たちの仲なんだからね!」
「はい・・ありがとうございます、先生。」

そうして私はふーせー君が背中を流してくれたこともあって体を洗い終えた。ウム!次は私がふーせー君の背中を流す番だね!!ということで私はふーせー君の後ろに回って背中を洗ってあげた。
フゥム。Mr.ふーせー君が運動苦手だというのは聞いていたけれど・・・・男子にしては少し華奢だね〜。背は標準的だと思うんだけど・・・・ウッ!!いかん、思い出してしまったよ。先ほどのMs.ふーせー君の水着姿を・・・・
まさかこの歳だから、双子とは言っても一緒に風呂に入るなんてことはしてないだろうけど・・・・ふーせー君は毎日Ms.ふーせー君と一緒に暮らしているんだよね。羨ましいなぁ〜・・・・いや、それはもちろん血の通った双子の兄妹なのだから当然だけど・・・・
私がMs.ふーせー君のことを考えたからか、自然とMr.ふーせー君との話もMs.ふーせー君の方に流れていった。

「そういえばだね〜、ふーせー君!先ほど見回りをしたプール場でMs.ふーせー君を見たんだけど・・・君はプールに入らなかったのかい?」
「あ・・俺は水泳が苦手なので、水着持ってきてなくて・・・・」
「あぁ〜、そうか!ウム!!君たち双子は本当に正反対なのだね〜。」
「はい・・・そういえば、妹はホテルにプールがあることをとても喜んでいました。バレー部の皆とビーチバレーするんだって・・・・」
「ウム!確かにMs.ふーせー君たち女子バレー部諸君はビーチバレーをしていたようだね!!それにしても・・・どうして女子生徒諸君はスクール水着じゃないのかね〜。」
「・・・すみません。俺にもその辺の事情はよく分からないです。」
「ワハハハハッ!!ま、まぁ、そうだよね!!ウム、今のは失言だったね、ふーせー君!ごめんよ。」
「いえ・・・・あ、あの、曽我部先生。」
「ん?」

改めてふーせー君が私を呼ぶとは珍しい。一体どうしたのかな?ふーせー君は少しの間何も言わなかったんだけど、意を決して喋ってくれたよ。

「・・・とても失礼な質問なんですが、先生は妹のこと・・・どう思っていらっしゃいますか?」
「えっ?えぇっ!?と、突然どうしたんだい!?ふーせー君!!」

いかん!!!私の一連の行動は、Mr.ふーせー君にはバレバレだったということかい!?ということは、Ms.ふーせー君にもそれが浸透して伝わっているんじゃなかろうか!?

「・・すみません、個人的に気になったんです。多分、だと思うんですけど・・・先生は妹のこと、他の生徒より気にかけてくれてるんじゃないかな、と思って・・・・」

あぁ、なるほど。Mr.ふーせー君が個人的に私がMs.ふーせー君をどう思っているか気にしているのだね!ウム、それならMs.ふーせー君に伝わってないようでよろしいのだけど・・・・そうだね。Mr.ふーせー君は他言したりしないだろうし、とても信頼の置ける生徒だから・・・・そろそろ、素直になってみようかな。

「ふーせー君、君の察する通りだよ。いや・・多分君が思っているより、私はMs.ふーせー君のことを気にかけているよ・・・・」
「・・・先生・・・・」

ふーせー君は利口な子だから、私が肯定するだろうと頭の中で考えていたんだろうけど・・・・それでもやっぱり、驚いているようだね。

「・・ごめんね。君にとっては誰よりも大事な双子の妹君を、教師の私が・・・・」
「いえ、そんな・・ありがとうございます。不肖の妹ですけど・・・それでもよろしければ、これからも面倒見て下さい。」
「・・ありがとう・・・ありがとう!!ふーせー君!!!」

君に認められたことが、こんなに嬉しいものだとは思わなかったよ!!これで後はMs.ふーせー君が私の気持ちに答えてくれたらどれほど嬉しいだろう!!

「・・俺の方こそ、ありがとうございます。先生・・・あんな妹でも先生に気にかけてもらってること、とても嬉しく思います。」

そうしてふーせー君の背中を流し終えて、私とふーせー君は共に温泉に入ったんだけど・・・・ウム!!実にサッパリするね!!やはり温泉は最高だ!!修学旅行中ずっとこの温泉に入れるのだと思うと、とても嬉しくなってしまうよ!
それからMr.ふーせー君が私にMs.ふーせー君のことを教えてくれたりして、とても盛り上がったよ!!いや〜、心強い味方がついて私は一気に強くなれた気がするね!!
もちろん男同士の約束で、この話はMr.ふーせー君との秘密にしたんだけど・・・・そろそろ私も、積極的になるべきなのかな?Ms.ふーせー君が他の男子生徒諸君に取られてしまわない内にね。


  

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