「先生が好き」 3

先生は安全運転だった。速くもなく、遅くもなくって感じ。先生の優しさを表すかのように、信号で止まる時も丁寧に止まってて、よく車が止まる時のカックンって体がなることはなかった。先生、実は運転もうまいんだな〜。

「・・突然ですけど、先生って、ご結婚はしてないんですよね?」
「ウム、そうだね!」
「イイ人いないんですか〜?」
「フフフフ〜。そういう君はどうなんだい?ふーせー君!!その後まだ片思い中なの?」

ギックゥーーーーーッッ!!そういえば、あたし修学旅行で先生に「好きな人います」って思いっきりバラしたんだった!!

「えっと、そうです。ってゆーか、高確率で失恋決定なので・・・・」
「そうなのかい!?・・・君の恋なら、確実に成就すると思うのに。」

ま、またそういうこと言う!?先生。だったら、試しに先生に告白しちゃうよ!?

「無理ですよ!!だって、あたしは・・・・先生が好きなんですよ?」

ためらいながらも、とうとう言ってしまった・・・・!!声が小さくなったけど、車の中で密室状態だから先生には聞こえてる筈。事実先生は驚いてた。

「え・・っ・・・ふーせー君。本当かい?」
「・・・本当です。あたしは、先生が好きです。」

もう1回、告白。絶対失恋に決まってるって分かってても、断られるのが怖いよ!!!あたしは目を閉じて、先生の返事を待った。
けれど、いくら待っても先生が何か言ってくれることはなくて・・・・車のラジオからかすかに流れていたJ−POPが、あたしの中では全然かすかな音色ではなくなっていた。
思わず目を開けて先生を見ると、先生は複雑な表情をしていた。ウッ・・無理もないよね。先生のことだから、女生徒から告白されることなんてザラだろうけど・・・・優しい先生のことだから、「いかに傷つけずに告白断ろうか」とか考えてるんじゃないかな〜。それはそれであたしにとってヤなコトなんですけど・・・・

「・・ふーせー君。少し、寄り道していいかい?」

あたしがドギマギしてそんなことを考えていたら、先生は一言そう告げただけだった。
・・・何で今になって寄り道なんだろう?あたしは疑問に思いながらも、頷くことしか出来なかった。

「はい。構いませんけど・・・・」
「ありがとう、ふーせー君!待っててね、確か公園の駐車場があった筈だから・・・・」

そうして先生は、今までよりアクセルを入れて車を走らせた。ここえら辺での公園っていうと、あたしんちから5分も歩かない、3丁目公園のことかな?そこには駐車場があってね、5、6台は車止められるんだ〜。
すぐに公園の駐車場に着くと、先生は車をバックさせて車を完全に止めた。先生がエンジンも全部切ると、静寂が車の中に広がる。暗い中、街灯の光があたしと曽我部先生を照らしていたんだけど・・・超緊張する〜!!だって先生とあたし、見つめ合ってるんだよ〜!?

「せ、先生?えぇ〜っと・・・・」
「・・ふーせー君。君を思いっきり抱き締めてもいいかい?」
「えぇっ!?」

何それ、どーゆーコト!?あたしが驚いて曽我部先生を見ると、先生は最高に優しい笑顔を浮かべてくれた。あたしの心臓がドクンと高く跳ね上がる・・・ウゥッ。先生にこのドキドキ聞こえてないかなって不安だよ〜!

「そんなに驚かないで。君に触れたいと思って・・・いいかな?」
「は、はい・・・!」

そんな風に先生に言われたら、否定出来るワケないじゃん!!先生は優しい笑顔のまま、あたしを抱き寄せてくれた。
わぁっ・・・!あたし、今間違いなく先生の腕の中にいるんだよね?先生、すっごく暖かくて、いい匂いがする・・・・暖かくて、優しいいい匂い・・・・

「ありがとう!!ずっとこうして、君を抱き締めたいと思っていた・・・・!ようやく叶ったよ・・・・」
「・・せん、せぇ?」

ウソ・・・どうして先生が、そんなこと言うの?あたしが驚いて先生を見つめると、先生もあたしを見つめてくれて・・・・あたしの短い髪を、手で梳いてくれた。

「君から告白してもらえることが、こんなに嬉しいものだと思わなかった・・・!ありがとう、ありがとう!ふーせー君!!私も君が好きだよ・・・」
「!せん、せ・・・!?ウソ・・本当、に・・・!?」
「本当さ!君が好きだよ、ふーせー君。」
「ウソ・・・信じられない・・・・!あたし、夢見てるんじゃあ・・・・」

あまりにも信じられないことで、自然とあたしは本音を言ったんだけど・・・・その次の瞬間、曽我部先生がそれまでより強くあたしのことを抱き締めてくれた。
えぇっ?どうして先生、そんなことするの!?あたし、ますますドキドキしちゃうじゃん・・・・!!

「・・ふーせー君。私とこうしていることを、夢だと思ってるの?確かに私は君を抱き締めているよ!すぐ傍にいる・・・君の、一番近くに。」
「せんせぇ・・・はい・・・!」

あたしがドキドキしながら返事をすると、先生は再び優しい笑顔を浮かべてくれた。先生のこの笑顔、一番大好き!本当にカッコ良いし、見ているだけで幸せになれるから・・・

「・・・ねぇ、ふーせー君。Kissしていいかい?」
「ええぇぇっ!?」

更なる驚きをあたしが支配した。まだ先生があたしと同じ気持ちだったってことで驚いてるのに、キスって・・・・!!しかも先生らしい英語発音なのが余計にスゴい。

「本当は、教師の私が生徒にこんなことを言うのは良くないことだと分かっているよ!それでも・・君のことが本当に好きで、もっと君に触れたくて、我慢出来ないんだよ・・・・いいかな?ふーせー君。」
「先生・・・・!はい!!」

あたしはコクンと頷きながら力一杯返事をした。先生は「ありがとう、ふーせー君・・・」って小さく囁いてから、ゆっくり顔を近付けてきた。
自然とあたしは目を閉じて、曽我部先生が来てくれるのを待った。先生の大きくて暖かい手があたしの髪を梳いてくれたと思ったら、同時にあたしの唇に曽我部先生の暖かい唇が触れて・・・・あたしのドキドキは最高潮に達していた。
先生は片手であたしのこと、今までの中で一番強く抱き締めてくれた。それまであたしの髪に触れてた先生の手が、あたしの頬にあてられて・・・・一瞬だけ先生と唇が離れたと思ったら、またすぐに先生はキスしてくれた。今度のキスは、1度目のよりちょっとだけ長いキス。先生の唇が、さっきより深く感じられた。
それから、かすかにチュッという音がして、あたしと先生は少しだけ顔を離してお互いに見つめ合った。あぁ・・・あたし、先生と本当にキスしたんだ・・・・!!先生が今まで以上にカッコ良く見えて、最高に愛しくて思わず胸がキュウンって鳴った。
すぐ傍に先生がいるのに、あたしは切ないって思ってる。どうしてだろう・・・・その理由は簡単だった。

「・・せんせぇ。もう1回キスして下さい!先生、大好きです・・・!」
「ふーせー君・・・・!あぁ、私も君が大好きだよ、ふーせー君!!愛しているよ・・・・」

先生はそう言って、もう1回あたしにキスしてくれた。嬉しい・・・・!!あたし、本当に先生と気持ちが同じなんだね!!もう、先生との恋が無理だって諦めなくてもいいんだね・・・・!
それまでずっと抱えていた悩みが、一気に解消されたような気がした。先生とこうしてキスしている時が、何より一番幸せ!!!このまま、時が止まったらいいのにって思う。
・・でも、時間は無限なようでいて有限だよね。先生と3回目のキスを終えてから、それを感じた。

「先生。あたし、最高に幸せです!!ずっと先生と、こうして一緒にいたいです・・・・!」
「私もだよ、ふーせー君!でも、時刻は7時半を過ぎてしまったね・・・・これ以上君と一緒にいたら、君を帰せなくなってしまう。それだけは避けなければね!」
「えぇっ?どうしてですか〜?別にあたし、帰らなくてイイですよ〜。お兄ちゃんに電話すれば・・・・」
「ふーせーく〜ん?確かに君は私のものになってくれたけど、君は若き女子高生で、私は先生なんだよ?教師としては、やはりこれ以上生徒を遅い時間に帰らせるのは良くないことであって・・・・」
「先生、あたしのこと嫌いなんだ。だからそういうこと言うんですね?」

あたしはわざと唇を尖らせて、少しにらむ感じで曽我部先生を見た。もちろんこれは、あたしの甘え作戦。曽我部先生には筒抜けだった。

「こらこら、そんなこと言わないの。そうして私の感情を逆撫でしようとしても駄目だよ?」
「ムゥ〜ッ・・・先生のケチ、イジワル。先生なんて嫌いだも〜ん!」
「ふーせー君・・・冗談でも、それは私には痛すぎる言葉だよ・・・・」

あれ?ホントに冗談で言ったつもりだったし、先生もそれはよく分かってる筈なのに・・・・そんな悲しそうな顔されると、あたし困っちゃうよ〜!!

「先生、すみません!!あたし、先生のこと大好きですから!!本当にすみません〜!!」

あたしはそう言って先生の胸に抱き着いた。曽我部先生は苦笑しながら、あたしの頭を軽くなでてくれた。

「ワハハハハッ・・・ウム、ありがとう!ふーせー君!!それじゃあ、本当に帰ろう!!こんな遅くまで付き合わせてごめんね、ふーせー君!でも私は、君と分かり合えた今日という日を忘れないよ!!改めて、これからよろしくね?ふーせー君!」
「はい、先生!あたしの方こそ、嬉しすぎて・・ありがとうございます!スポーツしか出来ない問題児ですけど、これからもよろしくお願いします!」
「いやいや、そんなに謙遜することはないよ!ふーせー君!!それでは、いざふーせー君の家へしゅっぱーーつ!!」
「しゅっぱーつ!」

先生の真似してあたしも言ってみた。そのことでお互いに笑い合いながら、先生はゆっくり車を走らせて行く。
あぁ・・これで明日学校が休みとかだったら、本気で先生と一緒にいるのにな〜。まだ週始まったばっかだよ〜?今から微妙に憂鬱だけど・・・・でも、これからは今まで以上に先生が一緒にいてくれるもんね!!そう考えれば、今週は何とか乗り越えられそう。うぅん・・今週だけじゃなくて、来週も、今月も、来年も・・・ずっと、先生と一緒だもんね!
あたしは、先生が好き!今までも、これからも、ずっと・・・・先生のこと、誰よりも大好きだからね!!!

 

END.


  

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