サンタクロースってほんとにいるの?  .
 


前日のお昼間 雪とクリスマスティー

次の日はきゅうっと冷え込みました。
空気が張り詰めて、静か。
青峯山を走るふたりはその気配を感じて、元気に汗を流す中にもすこしだけ口数が少なくなったりするのでした。沈黙が落ち着く昼下がり。
不意に沈黙を破ったのは、結構なスピードで飛んでくる黄巾力士の駆動音でした。

「寒〜い!」

駆け込んできた太乙を、道徳は苦笑で迎えました。
「そりゃあ寒がりのお前には今日は寒いだろうさ。・・・いつもこんな日は出歩かないのに、どうしたんだ?」

太乙の返事は苦情混じりのものでした。
「あー、やっぱり忘れてる。
まあ、私も昨日まですっかり忘れていたんだから何も言えないけどね。
君にクリスマスプレゼント持って来たんだよ」

そう言って綺麗に包まれた紙袋を差し出されても、道徳は心当たりを思い出せません。
「何だっけ?」
「君、前に飲みたいって言っていたでしょ、クリスマスティー」
昨日気がついちゃったから、今日持ってこないわけにはいかなかったんだよ。
明日は雪でも降りそうな気配だしね。

「クリスマスティー?・・・・・・ああ!」

それはもう何か月も前、秋のはじめのころの他愛無い会話。そろそろ温まる紅茶がいいよね、と桂皮、生姜、あれやこれやのスパイスを効かせた紅茶を出してきて、そのうちには檸檬、薔薇、桃、・・・フレーバーティーとやらの全体に話を広げてしまった太乙を、道徳は少しからかったのでした。

―――そんなの、全部一緒に混ぜたらいいじゃないか。
―――そういうのも色々あるよ、クリスマスティーとかね。

「悪い、すっかり忘れてた。わざわざありがとうっ!」
まあそんなことだろうと思ったけどと言う太乙に、先刻から何か一生懸命考えていたらしい天化が不思議そうに尋ねました。

「太乙さんはサンタさんじゃないのにどうしてプレゼントを持って来るさ?」

「え?」

太乙は質問の意味を飲み込むまでに三度ほど瞬きをして。
それから悩める道徳を眼の端で捕らえてくすりと笑うと天化に向き直りました。

「天化君にはサンタさんが来て道徳には何もなしじゃいくら道徳でも気の毒じゃない?」

でしょ?と水を向けてやると、天化は少し考えて頷きました。

だから私からは天化君へのプレゼントはないんだよね〜。
まあきっと、クリスマスティー、道徳が淹れてくれるよ。
シナモンにクローブはもちろん、サンザシ、シトロン、オレンジピール、ゼニアオイ、変わったところではヤグルマソウなんかも入ってるんだよね。ストレートじゃまだ君には飲みにくいかも知れないけど、ミルクティーにしても大丈夫だから。

楽しげに会話を交わす太乙と天化を、道徳は少し目を丸くして眺めていましたが。

「あ、雪さ!」

「うわ〜、早く帰らなきゃ。私はあんまり好きじゃないんだけど、
まあ、これもクリスマスプレゼントかも知れないね」
「クリスマスプレゼント?誰からのプレゼントさ?」

「サンタクロースからの」

慌しく帰る太乙を見送って、残されたのは首を傾げる天化とすこしばかり呆然としている道徳。
いよいよ明日はクリスマスなのでした。




今日がクリスマスです。昨日じゃなくて。
でもって明日で終わりですけど、明日は忘年会なのであさってかも知れません^_^;
ミンスパイといいクリスマスティーといい、イギリスのクリスマスですかね。
きのうの話もきょうの話も体験よりは憧れの産物です。
おかしなところがあったらこっそり教えてくださいませ。

2006.12.25

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