ほんのちょっぴり暴力注意報、嫌いな人はUターンをお勧めします(050924)
CP9の皆さんですけれど、やはりカクの無口っぷりが気になります。彼だけは青キジの密命を受けているのではないかと疑っています。
それからスパンダムがいい感じに腐れ外道っぷりを発揮してくれてますね! 強敵とかいて友と呼ぶような凄い敵も良いけれど、汚い敵もいて欲しいですよねー。
以下妄想。
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部屋は広いだけではなく、天井も高い。室内の調度も贅沢さを6割程度に抑えてあって、だからこそ品が良い。ノースブルーから取り寄せた精密な細工を施した陶器の壷が、天窓から入り込む光で美しく輝いている。世界政府にとって重要な拠点であるこの島に相応しい建築物であり室礼であった。
「気分はどうだ?」
部屋の主が問いかけた。
ここは寝室であり、嫌味にならない程度に華麗な装飾を柱に施した天蓋つきのベッドがメインに据えてある。ベッドを被う薄い幕も、ベッドを埋めるリネンも、心地よい肌触りが約束されている上質の品だ。 それでも体裁よく整えてあるはずのこの部屋を台無しにしているのは、間違いなくこのベッドだ。 正確にはベッドの上。
問いかけに返事はない。
「ん?口をきくのも不自由そうだな。海楼石の効果が強すぎたか?」
部屋の主――スパンダムは、ベッドの上に両手両足を大の字に広げて拘束されている相手を嬉しそうに見下ろす。 ベッドに横たえられた体に、まるで征服者のように跨ったスパンダムは、相手の首に巻きついた首輪や、腕を天蓋の柱に繋ぎ止めている手錠を満足そうに見た。
「海軍の連中は徹底という言葉を知らない。愚かな連中だ」
猫が鼠をいたぶる時のような声で、囚われ人に話しかける。
「海楼石という絶対有効な物質を知りながらも、徹底して活用出来ていない、そうだろう?」
ウェーブのかかった薄いすみれ色の髪が、シーツに半分埋められた相手の顔を撫でる。
「しかしだ、俺は違う。俺は弱い…だからこそ自分の力を見誤らない。活用するべきものは徹底して活用する。この首輪のようにな。これは海軍が使ってるものの十倍の密度で海楼石を使うように開発させた。億単位の懸賞金が懸かっている能力者だってひとたまりもない…酷い後遺症が出て後の取調べが出来なくなるシロモノだがな!」
顔を被う黒いマスクを震わせるほどの哄笑。それからぴたりと笑い声を収めると、不自然で不気味な沈黙を作り出した。 マスクに囲まれた目をスッと細め、繋がれている相手に視線を下ろす。
「今、なにか言ったか?」 「雑…魚野郎って言ったんだ…俺の上から…退け…!」
力を振り絞ったのだろう。囚人はそういうと苦しげに肩を揺らして呼吸を整えようとする。
「雑魚…ねぇ…」
スパンダムは退けという言葉がまるで耳に入らなかったかのように、相手の上から動く気配を見せず、軽く眉を上げ、困ったように首を傾げて相手を見下ろす。瞳には何の表情も覗えない。 そのまま優雅に髪をかきあげた後、左手で己の右手首のカフスボタンを外した。組み敷かれた虜囚は不愉快そうな表情に怪訝な色を混ぜてその仕草を見守る。 スパンダムの神経質そうな指先が絹のシャツの右袖を丁寧にたたみ上げ、細い手首と肘から下の腕を露わにした。 それからゆっくり首を回し筋を伸ばす。左手で右肩を軽く揉んだ後、両手の指を組み、関節をポキリと言わせてから、微笑を浮かべ、相手に視線を戻した。
ガッ!
室内に嫌な音が響く。
「…!っ」 「雑魚のパンチだ。どうってことはないだろう?」
甘さすら感じさせるスパンダムの声色だった。 唇の端から血を流し始めた囚われ人を意に介さず、己の手の甲をそっとさすり息を吹きかける。
「やはり素手だと痛いな…ナックルの力を借りることにしよう…勿論海楼石入りだ」
そのままサイドボードに手を伸ばし、事前に準備していたのだろう、黒く光る凶器を取り出した。 右の拳に装着した武器を恭しく一撫でし、囚人を見下ろす。 口元には満足そうな笑みが浮かび、その目には暗い光が宿っていた。
「覚えていられたら覚えておくがいい…"雑魚"に自分が何をされたかをな…」
しばらくすると、鈍い音と赤い飛沫がシーツに散り始めた。
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