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匿名

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0894号室へ

第1001話

 部長たちは部屋に入った。石本は、
「明日はいいとこ♪連れていってもらえる、嬉しいなっと♪」
 微妙に調子が外れた歌を歌っていた。その時、

ートントントンー

 ドアをノックする音がした。部長が、
「おい石本、お前の歌のせいで隣の部屋のやつが文句を言いに来たぞ。」
 石本は、
「そんなー、せっかくいい調子で歌ってたのに。」
 大ちゃんがドアを開けると別の部屋の住人らしき人が立っていた。
その人は、
「んもう、変な歌歌わないでくれる。寝られ……えええっ!」
 部長は、
「どうした?」
 先程の人は石本を見て、
「あ、明日巨人様に連れていってもらえる方ですよね?」
 部長は、
「え、なんでお前がそんなこと知ってんだ?」
「今テレビでやってますよ。」
 確かに部屋にテレビがあった。ベルは、
「リモコンがあるぞ。テレビをつけてみよう。」
 テレビをつけるとちょうど石本が
インタビューを受けているところだった。テレビの石本は、
『まあ、美味しい食べ物とかいっぱい食べれたらいいな。』
 レポーターは、
『巨人様はあらゆる望みの叶う素晴らしい場所に
 連れて行ってくださると言われています。
 その望みはきっと叶うでしょう。』
 そのテレビを見ながら石本は、
「あのあとテレビに取材を受けたんだよね。あそこでまってたみたい。」
 その時、
「気に入らねぇな。」
 別の住人の声がした。石本は、
「そんなこと言っても決まったのは僕だもんね〜。」
「とにかく表へ出ろ。」
「いいよ。わぁぁっ!」
 部長は、
「あいつ何驚いてんだ?」
 ニショブが、
「とにかく外へ出ましょう。」
 部長たちが外に出ると石本が
石本の身長の3倍くらいの男に睨まれていた。ダイちゃんが、
「あんな奴がどうやってさっきの建物に入っていたかはともかく、
 なんであんなでかいのがいるの?」
 近くにいた人が、
「私たちとは別の場所からここに連れてこられたみたいですよ。」
 石本の身長の3倍くらいの男は石本を睨みつけ、
「お前があの巨人様に選ばれたってんなら、
 俺がお前を倒してかわりに連れていってもらうことにする。」 
 
第1002話

石本は、
「そんなこと言ったって決めたのは巨人なんだから。
 僕を倒しても変わらないよ。」
石本の3倍の男は、
「いや。 巨人様はやさしくて理解のあるお方だ。
 事情を説明すればお前の変わりに俺が連れて行ってもらえるはずだ。」
石本は、
「やさしいならなおさらだよ。
 暴力で奪い取ろうとするようなやつが連れて行ってもらえるわけ無いよ。」
石本の3倍の男は、
「なら、お前のふりして連れていってもらうだけだ!」
部長が、
「まずいな。
 もし石本がこいつに負けてゲームオーバーになってしまったら、
 何の情報も得られないまま戻されてしまうぞ。」
ベルも、
「だが、こんなに大きいと我々が手助けしても勝てそうにない。」
ダイちゃんが、
「あとは朝まで寝るだけだったのに、あいつはすぐ問題起こす。」
部長が、
「こうなったら仕方ない・・・。 みんな、逃げるぞ! 石本、お前もだ!」
石本は、
「え? ちょっと待って。 逃げるってどこに。 みんな待ってよー。」
部長の声で全員走り出した。
石本の3倍の男は、
「こら、逃げるな! 待て。」
すぐに後を追いかけてきた。 

第1003話

「こうなったらみんなバラバラに逃げるのか?」
 ギニフが言うとベルが、
「いや、あのでかいのが石本をそのまま追っていくかもしれない。」
「あ、あんなところに見覚えのあるものが……。」
 大ちゃんが言った。逃げる先にはあのヒントサークルが、
「だが、読んでる時間はないぞ。」
 部長が言うとニショブが、
「私がヒントサークルのヒントを得てから合流する。」
「わかった。頼む。」
 部長が言うとニショブが逃げる集団から別れヒントサークルに向かう。
石本の3倍の男は、
「何だあいつ。ひとりだけ別行動に……。
 そんなことよりあの巨人様に選ばれたあいつを……。」
 さて逃げる部長たち。その中でダイちゃんが、
「あいつしつこいな。まだ追ってくるよ。」
 石本は、
「もう疲れてれきた。休みたい……。」
 ダイちゃんが、
「休めるわけないだろ!だいたいあいつが追ってるのがお前なんだから。」
 するとベルが、
「あそこへ逃げ込め!」
 逃げる部長たちの目の前に狭い路地が見えた。追う石本の3倍の男は、
「その前に追いついてやる!」
 スピードを上げて迫ってくる。部長が、
「なんであいつあの体であんなスピードが出せるんだ?」
 石本が、
「あゝ、もうだめだー。」
 ベルが、
「諦めるな!」
 石本の3倍の男は、
「いや、もう諦めろ。」

‐ズッポーン‐

 狭い路地に入った部長たちに続いて無理やりそこへ入ろうとして、
建物のあいだに挟まって動けなくなってしまったのだ。
そこへニショブが追いついてきた。
 ギニフが、
「ヒントサークルには何が?」
「なんでもピンチの時役に立つ隠しアイテムがあるそうだ。」
 ニショブが言うとベルが、
「一応ピンチは脱したかな。」
 しかし石本の3倍の男は、
「くそ〜。ここまで来て諦めてたまるか。」
 そう言って自分の両側の建物を押し広げようとしていた。

‐ミシッ、ミシッ‐

 両側の建物が音を立てて少しずつ揺れだした。 

第1004話

石本の3倍の男が挟まっている建物がゆっくりと動いて
じわじわと広がっていく。
そして広がった分、石本の3倍の男が奥に体を押し込んでくる。
石本は、
「やっぱりピンチはまだ続いてるみたいだよ。 何とかしてよー。」
ニショブが、
「やはり隠しアイテムを見つけないとダメか。」
部長が、
「だが、この路地はこの先行き止まりだ。
 この路地の中にその隠しアイテムが隠されてなかったら無理だぞ。」
すると大ちゃんが、
「あれ? 今あそこの建物の中が光ったような。」
部長が、
「中に入れるようだ。
 ここで待ってても、あいつがじわじわ入ってきていずれ捕まってしまう。
 この中に入ってみよう。」 

第1005話

 部長たちが建物の中へ入ったあと
石本の3倍の男がズリズリと進んで近づいてくる。
「捕まえてやる。」
 先ほど部長たちが入っていった入口に手を伸ばす。石本が、
「どうしよう。もうここから出られないよ。」
 その時だった。

-ピンポロピンピン♪-

 どこからともなくメロディが流れ、空中にメッセージが、
[隠しアイテムを手に入れました]
 部長が、
「おお、やったな。」
 ダイちゃんが、
「隠しアイテムってこれ?なんかおもちゃの水鉄砲みたいなんだけど。」
 するとギニフが、
「まだメッセージが出てくるぞ。」
[これは『ちっちゃくなるガン』です。
引き金を引くと中の縮小液が発射され、
命中すると相手の身長を2/3に、
もう一度命中させるとさらに2/3にできます]
 ダイちゃんが、
「なんかまどろっこしいな。」
 その時だった、
「早くここから出て来い!
 でないとここをぶち壊して無理やり入ってやる!」
 外から石本の3倍の男の声がする。石本は、
「大変だ!ちょっと貸して!」
 石本は自分のサイズでは使いづらいちっちゃくなるガンを
石本の3倍の男に向けて発射した。

-ぴゅーっ-

 縮小液は届かず、命中しなかった。部長は石本に、
「落ち着いてやれ。て、言うかお前には無理だ。」
「そんなぁ。」
 石本が言うとギニフが、
「まだメッセージが出てくるぞ。」
[なお、中に入っている縮小液は5回分だけです。]
 ダイちゃんが、
「んもう。1回分無駄にして……。」
 ニショブが
「最低でも2回は命中させないと石本よりは小さくならないぞ。」
 ベルが、
「もしかしたらここに補充用の縮小液か、
 別のアイテムがあるか探してみる。」 

第1006話

ベルと一緒にダイちゃんたちもアイテムを探す。
「うーん、見つからないなあ。
 やっぱり隠しアイテムはあれだけだったのかな。」
ベルが、
「いやまだあきらめるな。 あっちの箱はまだ調べてない。」
部屋の隅に、どう見てもあやしい箱がぽつんと置かれていた。
ダイちゃんが、
「早く開けてみよう。」
箱を開けてみると・・・
中に液体の入ったビンが入っていた。
ダイちゃんが、
「やっぱり補充用の液があったんだ。」
するとベルが、
「いや、これは最初にセットされていた液体とは色が違う。
 効果も違うかもしれない。」
後ろから部長が、
「だめだ、1発しか当てられずに使い切ってしまった。
 補充用の縮小液は見つかったか?」 

第1007話

 ベルが部長に、
「仕方ない。これを使え。」
 ダイちゃんが、
「でも効果がよくわからないしなあ。」
 部長は、
「石本で試そう。と、言いたいところだが サイズや姿が変わってしまって
 巨人が石本を連れて行かなかったら元も子も無い。」
 ニショブが、
「逆に巨大化させる効果ならあいつに命中させると困ったことになる。」
 そうしている間にも石本の3倍の男は外から、
「でてこい!全員ひねり潰してやる!」
 部長は、
「このままではやばいぞ。だが石本以外の誰かで効果を確認するしかないのか?」
 すると今度は外から石本の3倍の男は、
「おい、こいつがどうなってもいいのか?」
 ギニフが、
「あいつが人質を取ったみたいだぞ。」
 部長は、
「弱ったな。」
 するとダイちゃんが、
「そうだ、いいことを考えついた。」
 そう言って液をセットしたばかりのちっちゃくなるガンを持ち、
「もしかして人質をとって僕たちを脅そうとしてるつもり?
 本当に人質を取ったかどうか証拠を見せてよ。」
 石本の3倍の男は、
「いいだろう、でも変なことをするなよ。」
 そう言って人質にとった男を見せた。
すると大ちゃんはその男に向けて液を発射した。

-ぴゅーっ-

 石本の3倍の男の人質は巨大化をはじめ、
ついには石本の10倍くらいになってしまった。 

第1008話

「オイコラ!なって事しやがるんだ!」
 巨大化し、立場が逆転してしまった石本の3倍の男の人質は
石本の3倍の男を片手で持ち上げた。
「一体どうなってんだ?覚えてろー。」
 石本の3倍の男はそのまま巨大化した自分の人質に
どこかに連れて行かれてしまった。部長は、
「やれやれ、助かったな。」
 ベルは、
「居なくなってしまったので何とも言えないが1発は当たったはずの奴が、
 石本の3倍のままなんだ?」
 部長は、
「石本のやつ、間違って自分自身に当てちまってな。」
 ダイちゃんは、
「しょうがないなぁ。でもこの巨大化液はまだかなりあるよ。
 これを使えばわざわざ巨人に連れて行ってもらわなくても
 力を使わず巨人より巨大化できる。
 あとは脅して宝のありかを聞き出すんだ。」


 そして次の日の朝がやって来た。部長たちは街の広場にいた。
部長は石本に、
「ここで待っていたら巨人が来るんだな。」
 石本は、
「ま、そうだけど……。」
 ダイちゃんは、
「なんだか頼りないなぁ。
 あの液で巨大化してこっちから探しに行ったら?」
 そうしているうちに、

-ズン、ズン、ズシーン-

 足音を響かせ、巨人があらわれた。部長は、
「よし、巨大化するぞ!液をかけろ!」
 ベルは部長とダイちゃんに何度も巨大化液を当てた。
「な、なんだお前ら!」
 巨人は自分より2倍の身長はある部長とダイちゃんに見下ろされていた。 

第1009話

 ダイちゃんは、
「決まってるだろ、お宝を貰いに来たんだ。」
 巨人は急にしょんぼりして、
「そうか……。」
 部長は、
「たしかに困るだろうが、俺たちに必要なものなんだ。
 渡してくれ。」
「仕方ない。いつかはこの時が来ると思ってたんだ。」
 巨人が言うと部長は、
「そうか。宝物のところまで案内してくれ。」
「わかった。」
 するとギニフが、
「ところで宝って一体なんなんだ?」
 巨人は、
「ちょっと待て。宝をなんだか知らずに奪いに来たというのか?」
 ダイちゃんは、
「そんなこと関係ないよ。宝物のところへ行けばわかることじゃん。」


「これがお前達の言っていた『宝』だ、
 持っていくなり壊すなり好きにしてくれ。」
 巨人が言うと部長は、
「わかった。遠慮なくそうするよ。」
 すると大ちゃんは、
「そうだ、ところであの町のみんなはどうしたの?
 この宝物を見せたあと町に戻ってきてないみたいなんだけど。」
「本当なら説明すべきなんだが、『宝』を渡すと
 それどころじゃなくなる。」
「どういうことなの?」
「これは『巨人の免罪符』だ。こいつを持っていれさえすれば
 巨人に襲われることもない。こいつのおかげで
 巨人のことを気にせずに小人を集めて楽しむことができた。」
 するとベルが、
「待て、これはもしかして目的の宝とは違うんじゃないか?
 巨人に会うことがなければ次のステージに進んでも何も出来ないぞ。」 
ステージに進んでも何も出来ないぞ。」 

第1010話

 今度はダイちゃんが、
「でもどっちみち必要なんじゃない?
 これでこのゲームでの本来のサイズになったわけだし。」
 ニショブは、
「確かにそうかもしれないが、気になることがある。
 今まで何度か見たヒントサークルだが、
 我々のサイズに合わせてあったような気がする。
 プレーヤーのサイズに合わせて出現するようになっているというのなら
 何の問題もないのだが……。」
 部長たちが議論していると巨人は、
「やっぱりお前達には渡せない!」
 そう言うと『宝』を抱えて逃げ出した。それを見たダイちゃんが、
「なんだよ。
 もたもたしているから宝を持って逃げられちゃったじゃないか。」
 ダイちゃんが言うと部長は、
「とにかく追うぞ。
 手に入れないことにはクリアすべき条件の宝かどうかわからないからな。
 後のことは宝を手に入れてからだ。」
 部長たちは逃げた巨人を追った。


「完全に、見失ったな……。」
 部長が言うとベルが、
「しかも道に迷ったようだ。」
 部長たちはどっかの森にいた、
見通しが利かない上に霧が出てさらに視界が悪くなっていく。
さらに悪いことに進めば進むほど霧が濃くなっていくようだ。
その時石本が、
「何かあるみたい……。」
 ベルは、
「うーむ、何か壁のようなものが行く手を阻んでいるようだ。」
 ダイちゃんは、
「もしかしてここがゲームの世界の端っこだったりして。」
 さらに石本は、
「こんなところにボタンがある。押してみよう。」

- ポチッ -

 石本は全員が止めるのを無視してボタンを押してしまった。 

第1011話

- ゴロゴロゴロゴロ -

 石本がボタンを押した直後、
どこからともなく雷のような音が聞こえてきた。ダイちゃんは、
「ほら、言わんこっちゃない。」
 部長も、
「確かに、嫌な事の起こる前兆だな。」
 石本は、
「そんなぁ…。
 こんなところにボタンがあったら押したくなっちゃうでしょう。」
 ニショブは、
「押したいと思ってもいきなり押してしまわないだろ。普通。」

- ゴロゴロ、ゴロゴロ -

 そうしているうちに雷のような音はだんだん大きくなっていく。
ギニフが、
「どこか、安全なとまではいかないかもしれないが
 危険を回避できそうな場所を見つけて避難しよう。」
 部長は、
「そうだな。万一ゲームオーバーになったら元も子もない。」
 そのとき大ちゃんが、
「なんか雷の音が変わってきたような気がするんだけど。」

- ドロドロドロドロ…… -

 雷らしき音はいつの間にかドラムの連打するような音に変わっていた。
ベルは、
「何かが起こりそうだ、一体何が……。」
 と、その時

- ピカアッ -

 急に辺りが明るくなり……。

- ♪ドンガラピッチャンドペン -

 微妙なセンスの音楽がどこからともなく流れてくる。
そして、空中にメッセージが現れた。

[おめでとうございます!あなたたちは宝物を手に入れ、
ステージ2をクリアしました!]

 部長が、
「奇跡だ!石本が初めて俺たちの役に立った!!」
 石本が、
「奇跡って言わないでよー。」
 大ちゃんが、
「でも宝物ってなんなんだろう。
 ボタンを押しただけでまだ何も手に入れてないのに。」
 するとベルが、
「上を見ろ、何か落ちてくるぞ!」
 霧はいつの間にか晴れ、上空から何かがひらひら落ちてくるのが見えた。 

第1012話

「何だあれは?」
 部長が言うと大ちゃんが、
「宝物らしいけど、何か特別な効果があるのかな?」
「と、いうわけで石本、お前が取ってこい。」
 部長が石本に言った。石本は、
「ええーっ!なんでー?」
 ダイちゃんは、
「そりゃ出した者が責任持って取りに行くもんだよ。」
「そんなぁ…。」
「ほらほら、早くしないとどっかに飛んでっちゃうよ。」
「いや、その心配は今のところしなくていいようだ。」
 ベルが言って見上げた先には、
先ほど落ちてきたものが引っかかっていた。部長は、

「ちょうど森の木にに引っかかってよかったな。
 ほかのもみんな同じようなところに引っかかってるぞ。
 まとめてとってこい。」
 石本は先ほど落ちてきたもの取りに行くために渋々木を登り始めた。
それを見ていたギニフが、
「少し前まで霧が出ていてよくわからなかったが、
 この森なんか変じゃないか?」
 部長は、
「言われてみれば、たしかに。」
 大ちゃんは、
「この森の木、よく見たら巨大な草みたいだ。」
 ニショブは、
「既に巨人のエリアに来ていたのかもしれない。この巨大な壁も気になる。」


 さて、
なんとか上から落ちてきたものが引っかかってるところにたどり着いた石本、
その直後にメッセージ

[これは「見えなくなっちゃうマント」です。
これを身に付けると透明になって 同じものを身に付けている人以外には
見えなくなります。]

「うーむ。これを身につけてると
 逆に巨人に気づかれずに踏み潰されてしまう危険性もあるな。」
 部長の声だった。石本が見るとほほ全員石本のところへ登ってきていた。
「やっぱり心配だからみんなで登ってきたんだ。
 それに思ったより登りやすかったしね。」
 ダイちゃんが言った。するとベルが、
「おい、それよりあれを見ろ!」 

第1013話

 ベルが指さす方を皆が見ると、遥か遠くに巨大で立派な建物が見える。
部長は、
「すごいな。お屋敷というより宮殿みたいだな。」
 ギニフが、
「なるほど。巨大な壁はこの建物が建っている敷地の壁だったわけか。
 ダイちゃんは、
「こんな立派な建物に住んでる巨人なら、
 間違いなく最終ステージのお宝を持っているだろうね。」
 ニショブは、
「だとしてもどうやってあそこまで行く?
 それにたどり着いたとしても
 目的の宝の場所をどうやって見つけ出すかだ。」
 ベルは、
「今気づいたのだが、
 我々の今までの行動は全てこの敷地内での出来事だったということか?」
 部長は、
「そういえばあそこに池のような物が見える。
 スタート地点は海岸だと思っていたがあの池のほとりだったのだろう。」
 ベルはさらに、
「結局は目的の宝じゃなかった『巨人の免罪符』だが、
 もしかしたらアイテム自体には効果がなくて
 あの建物の主が持っている奴に手を出さないよう
 使用人に指示していたとか。」
 部長は、
「ここの巨人、つまりここの主は
 自分から見て俺たちこびとの存在をはじめから知っていて
 観察していたとでも言うのか?」
 ギニフが、
「あいつはこびとの街を作って飼っていたが
 自分自身が巨人に観察されていたのか。」
 部長は、
「と、いうことは俺達の事も巨人はもう知ってるんじゃ……。」 

第1014話

「それじゃ……。どうするの?」
 石本が不安げに言う。部長は、
「そんなの関係ないだろ!この、いや向こうの
 建物に住んでる巨人が俺たちのことを知ってたとしても
 それ以前にこの世界に送り込んだ天使の部下ってやつが
 全部お見通しなんだ!」
「そういえばあいつ、しばらく姿を見せないな。」
 ベルが言った。するとニショブが、
「それはともかく、あの建物まではどうやって行く?」
 その時大ちゃんが、
「あ、向こうから誰か来る!」
「確かに誰か来る。それになんだか見覚えあるような……。」
 部長が言うと石本が、
「ちょっと変なこと言わないでよー。」
 ギニフが、
「我々と同サイズのようだが……。」
 向こうから近づいてくる方も部長たちに気づき、
速度を早め近づいてくる。近づいてくると、その正体が明らかになる。
「まさか……。どうして……。」
 部長は驚いた。ダイちゃんは、
「て、言うかお前たち誰なんだよ!」
 近づいてきたのは部長とダイちゃんそっくりだったのだ。
部長とダイちゃんそっくりの二人は、
「なんなんだお前たちは、それにこいつら誰だ?」
「て、言うかなんでこいつらと一緒にいるんだ?」
 ベルが、
「一人だけならともかく、なぜ二人もそっくりな奴がいるんだ?」
 ギニフが、
「ちょっと待て、このままではどっちがどっちかわからなくなる。」 

第1015話

 ベルは、
「あいつら、偽物じゃないのか?」
 部長は、
「そうだとしても、なぜわざわざ俺たちの前に?」
「とにかく今直接会うとどちらがどちらかわからなくなる。
 こちらから行って確認してくる。」
 ギニフはそう言って向こうから来るそっくりの二人の方へ近づいて行く。
「俺たちにそっくりだが、気をつけろよ。」
 部長は向こうへ行くギニフに声をかけた。
彼はすぐに二人の前へ行き、しばらく話をしていた。

「おい、戻ってくるぞ。」
 かなり時間が経ったあと、ようやくこっちへ向かってくるギニフを見て、
ニショブが言った。ダイちゃんは、
「こっちからでも見えてるよ。」
 ギニフは、息を切らして部長とダイちゃんの前にやって来た。部長は、
「どうだった?あいつら何者だ?」
 ギニフはしばらく考えこんだ。ダイちゃんは、
「一体何のためにわざわざ向こうまで聞きに行ったんだよ。」
 ギニフは、
「ちょっと待ってくれ、今考えを整理してる。
 なんなら本人たちと直接話してもいい。」
 部長は、
「おい、どっちがどっちかわからなくなるといったのはお前だぞ。」
 ギニフは、
「あの二人は我々に害をなす存在ではないようだ。
 それに、見分けがつくよう簡単な印を付けておいた。」
 向こうから来る部長とダイちゃんそっくりの二人の左腕には
赤いリボンが巻き付けられていた。 

第1016話

 ダイちゃんは、
「ま、これで本物と偽物と区別がつけられるな。」
 すると向こうから来たダイちゃんそっくりの……。
面倒なのでギニフが印をつけているのでダイちゃん(印付)とする。
もちろん部長そっくりの……。も、部長(印付)と、なるのだ。
で、ダイちゃん(印付)は、
「て、言うかなんで僕たちが偽物なんだよ。」
 部長(印付)は、
「本物、偽物はともかくこいつらはなにものだ?」
 そう言ったあとしばらく部長たちを観察していたが、ベルが、
「そうだ。自分たちしか知らないことを質問してみたらどうだ?」
 部長は、
「なるほど。」
 ダイちゃんはダイちゃん(印付)に、
「それじゃあ聞くけど僕の好きな食べ物は?」
 ダイちゃん(印付)は、
「そんなのわかるわけないだろ。
 いくら見かけが同じでも好きなものが同じとは限らないよ。」
 すると大ちゃんがダイちゃん(印付)に、
「じゃあ、僕のこと知ってる?」
 今度は部長(印付)は、
「なぜこんなところにいるんだ?確か……。」
 その時、

-バンバラドッカンバーン-

 突然上空で大きな音がした。上を見上げていたニショブは、
「逃げろ!何か大きなものが落ちてくるぞ!」
 部長たちは部長(印付)、ダイちゃん(印付)を含め
その場から全速力で走り出した。 

第1017話

- ズッドーン -

 上空から落ちてきたものはそのまま地上に激突し、土煙を上げた。
「なんなんだあれは?」
 部長(印付)が言うとギニフが、
「何か出てくるぞ。」
 確かに、薄れつつある土煙の中から何かが出てくるのが見える。
「かなりでかいな。」
 ニショブが言うと大ちゃんが、
「こっちへ来るみたい。」
 するとダイちゃん(印付)が、
「そんなのすぐに僕が巨大化してやっつけてやるよ。」
 ベルが、
「待て、まだ敵と決まったわけじゃない。」
 ダイちゃんも、
「敵とか味方とか確認してるうちにやられたらどうするんだよ。」
 部長が、
「安全なところまで離れて様子を見るのはどうだ?
 いきなり攻撃しようとして返り討ちにあっても困る。」
「消極的な対応だなぁ」
 ダイちゃん(印付)が言うとダイちゃんも、
「そうだよ。あ、なんか気が合うなぁ。」
「やぁ、どうも。仲がいいみたいだね。」
 突然上から声がした。ダイちゃんとダイちゃん(印付)は声のした方を見上げた。
見たこともない巨人が部長やダイちゃんたちを見下ろしていた。部長は、
「おい、お前何者だ?」
 巨人は、
「はじめまして。ムァルーイ様の命令により派遣された、ボーモという者です。」
「ムァルーイ?聞いたことないな。どんな奴だ?」
 部長が言うと巨人は、
「あなたがたが、『天使の部下』と、呼んでいる方です。」 

第1018話

「あいつが俺たちのために、よこしたというのか?」
 部長が言うとボーモは、
「このサイズで話していると、あなたがたの首が痛くなりますね
 少し小さくなりますね。」
 部長たちの20倍以上あったボーモは、3倍くらいのサイズになった。
それを見たギニフは、
「サイズが変えられるのか…。」
 ボーモは、
「一応、このくらいなら…。他にも何か質問は?」
 部長は、
「俺たちの味方として行動してくれるならありがたいのだが。」
 ボーモは、
「味方というよりサポートするよう命令されてます。」
 ダイちゃんは、
「なんかまどろっこしいなぁ。
 何か問題があるのならここから出してくれればいいのに。」
「そう言えばお前たちどうやってここに来たんだ?
 まさかお前たちも天使の部下とか言う奴に…。」
 部長がダイちゃん(印付)と部長(印付)にたずねた。部長(印付)は、
「以前5色のドアのいづれかが
 ちゃんとした出口になってるはずの部屋があったろ。」
 ベルが、
「あ、ありましたね。もう2年半くらい前の出来事のような
 気がします。」
 部長が、
「確か、全員で同時に…。」
 するとダイちゃん(印付)が石本を指差して、
「こいつが勝手に緑の…。」
 部長は、
「そうだ、全員で同時にやるかわりに
 石本の分身たちに同時に開けさせたんだ。」
 ダイちゃん(印付)が
「いや、命令する前に、勝手に開けた。」
 するとボーモは、
「記憶がちがって当然です。実は…。」 

第1019話

「それより先に聞きたいことがあるんだが、石本はどうなったんだ?」
 部長が部長(印付)に言うと石本は、
「あのー、本人ここにいるんですけど。」
 部長が、
「今はちょっと黙ってろ。普段でも話をややこしくするんだから。」
 ダイちゃん(印付)は、
「あのときから行方不明なんだよなぁ……。」
 ニショブが、
「では、他のメンバーは?」
 部長(印付)は、
「つい先ほどまで一緒だった。気がついたら居なくなってた。」
 ダイちゃん(印付)は、
「で、どこへ行ったか探そうとしたら、ここに来たわけ。」
 部長は、
「なるほど。」
 ボーモは、
「もういいですか。先ほどの話の続きですが
 このお二人は、パラレルワールドからやって来たのです。」
 ギニフは、
「あまりにも唐突……ですね。」
 ベルは、
「すると、この二人は我々とは別物と、いうことか?」
 ボーモは、
「いえ、もともとはあなたがたと同じでした。
 おそらく先ほどの5色のドアのところで別れたのだと思います。
 お互いパラレルワールドとして。」
 大ちゃんは、
「もしかして、
 パラレルワールドとして別れたのが一緒になっちゃったってこと?」
 ボーモはうなずいた。部長は、
「それと関係あるんだな。お前がここに来た理由と。」 

第1020話

 ギニフは、
「何か大変なことでも…。
 本来別々のパラレルワールドが合流してしまう事自体大変なことだが。」
 ボーモは、
「本来ならゲームを中断して救出するべきなのですが、
 プログラムに不具合が生じたようで ゲームをクリアしてもらいます。」
 ダイちゃんは、
「ちょっと待ってよ。プログラムに不具合があるんなら、
 それこそ中断して救出するべきじゃないの?」
 ボーモは、
「ですから、その影響でゲームを中断して救出できなくなったんです。
 ゲーム上のデータに変換されているあなたがたを
 今無理にゲームから外に戻せばどうなるか…。」
 ダイちゃんは、
「それじゃ、クリアするとして何か情報は持ってきてるの?攻略法とか。」
 部長は、
「この状況で攻略法とか聞いても意味あるのか?」
 ボーモは、
「まぁ、焦らずに。確か皆さんは先程アイテムを取得したはずですよね。」
 ベルは持っていた「見えなくなっちゃうマント」を見せ、
「これのことか?」
 ボーモは、
「これを持って“ある場所”へ向かいましょう。」
 こうして部長たちはボーモの案内で移動を始めた。そして、


「ここか…。」
 部長(印付)はボーモに言うと、
「もうすぐそこですよ。ほら……。」
 ニショブが、
「ま……。まさか……。」 
0894号室へ
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