parasite-NET


「神、光あれと言給ひければ」 (5)




柔らかい唇を軽く噛むようにしながら吸ってやる。迎え入れるように唇が開くから、舌を差し込む。応えて、ルセアの両腕が首にまつわりついてきた。互いの舌を舐め、くちゅくちゅと音をたてながら、体液を吸う。舌のざらつきで口蓋の裏を擦ってやると、腕の中の身体がぴくりと震えた。

互いを貪るような口付けを続けながら、首から胸のあたりを指でするすると撫で下ろす。指に感じる肌の感触は、さらさらして気持が良かった。掌全体で撫でてみると、抱きしめる体の温かさが伝わってきた。胸のわずかな突起を、押しつぶすようにしながら撫でてやる。ルセアが身体を捻るから、口付けが解け、熱くなった吐息が頬のあたりにかかってくる。反応の強い場所を指先で捉え、捏ねるように動かす。唇を落とした喉のあたりを、息が抜けていって甘い音になる。

「レイヴァンさま―――」

耳ざわりの良い声が、今は少し擦れて聞こえる。この声が好きだ。

「なんだ」

首筋に埋めていた顔を上げて目を合わせると、ルセアは少し困ったように笑った。

「あ、いえ―――名前をお呼びしたかっただけです」

「もっと呼べ。おまえに名を呼ばれるのは好きだ」

ルセアの青い瞳が少し細められ、ランプの灯りを映して楽しげにきらめいた。
唇が耳元に寄せられてくる感触が、少しくすぐったい。

「レイヴァンさま。好きです」

いつもは澄みきった声が、少し歪んで溶けて、ひどく甘い。声を吹き込まれる耳元から、ぞくぞくとした気持の良さが身体中に広がり、熱を煽られる。

「好きだ」

「好きです」

返す言葉と、繰り返す言葉が一緒になり、一つになって響いた。
ルセアが小さく声を出して笑うから、レイヴァンも笑う。ルセアの指が、微笑むレイヴァンの口元を撫でた。その手を捕らえて、指を軽く噛んでやると、きれいな眉がわずかにひそめられ、唇が開いて舌が覗いた。身体の奥から突き上げてくる飢えに任せて、もう一度唇を貪る。深く唇を合わせて、食みあうような口付けをする。

服を完全にはだけさせ、掌を這わせて平らな腹の辺りから細い腰へと辿った。口付けに反応する身体の筋の動きが伝わってくる。下腹を撫でおろし、すでに熱を帯びているものを、包むように捕らえる。指を這わせると、声が上がった。
ゆるゆると擦る動きを繰り返しながら、もう一方の手で、さらに奥を探る。固く閉じている場所を、指先でそっと撫でてみる。

「あっ―――」

乱れた声。指を押し当てた場所が、ひくりと動いた。自分の唾液と濡れ始めた体の水分とを、指先と舌を使って塗りこむようにする。そのあたり全体がぬるぬると濡れた感触に変わっていくのを確かめる。言葉にならない声が何度も上がるのを聞くのは、楽しかった。指の腹で揉み込むように押してやると、少しづつ強張りが解けていく。尻の溝に沿って何度も指を行き来させ、ぬかるんだ場所を擦る。

「ん、やっ……っあ」

甘く溶けた声を聞く。探るように指を差し入れ、内側からも擦る。指を増やして行き来させると、くちゃくちゃと濡れた音が響いた。

「レイヴァンさま―――」

名前を呼ばれる。
顔を上げると、目が合った。ルセアの青い目が濡れている。眉を寄せ、ひどく切なげな顔をしていた。性交の快楽に溺れて、濡れて解けたさまを晒していた。それでも、その美貌には、どこか硬質な清らかさが残る。

「ルセア」

名を呼ぶと、焦点の合っていなかった瞳が、こちらを見つめてくる。脚の間に入り込み、交わりの形をとる。ルセアの指が、肩を強く掴んできた。

「はやく―――」

真っ直ぐにせがんでくるのが愛しいと思う。腰を捕らえて、強く突き込む。

「は、あっ、ああ」

きれいな顔が歪み、乱れる。
深く入り込み、かき回し、繋がって一つになる。快楽と、それに混じる微かな苦痛も分け合って。ただ、抱きしめあう身体と心のことだけを思う。

「や、あっ…もう―――アァァア…ッ」

腕の中の身体が、限界を訴えて強く反り返る。繋がった腰を思い切り引き寄せ、さらに深く入り込む。

「あ―――」

高く引く悲鳴のような声が上がり、びくびくと震える身体が内側に入りこんだ熱を締めつけてくる。誘われるままに熱を吐き出すと、抱きしめた身体が、もう一度強く反った。

熱が引けば、髪や肌を優しく撫であい、話をする。離れていた間の話を。子供たちのたわいのない悪戯や、大きくなった子供の行く末の話。エレブの大勢が平和となった今でも、決して絶えることのない国と国との小競り合い、血が流れ鋼の鳴る戦場の話。
このままずっと一緒にいられたら、と思いながら、一人でいた間の話をする。触れる肌の間に熱が溜まってくれば、引き寄せ合って身体を繋げた。

「また、旅をしましょう」

優しい声でルセアが言う。

「二人きりで。旅をしましょう」

いつか―――そういう時も来るだろう。この世界から剣を振るうべき戦場が無くなり、言葉も無く道端にうずくまる子供の姿が消えたなら。世界が光で満ちる日が、いつかは。
レイヴァンはルセアの金の髪に指を絡め、さらさらと指の間を流れ落ちる感触を楽しむ。
今、この時、二人きりでいる時間は永遠に近い。



END



Back

SS index

home


http://red.ribbon.to/~parasite/  Copyright 2004 ©Torino Ara,All Rights Reserved.

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル