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「騎士の祝宴」 (6)




城付きの騎士たちは、キアランの城の敷地内にある別棟に部屋を与えられている。城詰めになるときに泊まったり、控えの間として使うためだ。セインは部屋に全く居つかないのだが、ケントは部屋の中を整えてきれいに使っている。

別棟の住人たちは祝宴に出払っていて、建物の中は人気なく静まり返っていた。
ケントは自分の部屋へと石造りの廊下を歩いていく。すぐ後ろをセインがついて来るから、二人分の足音だけが廊下に響く。

壁も扉も厚いから、少しぐらいの音は通らないはず―――
そう考え、そんなことを考えている自分に気づいて、顔に血が上る。

私は何を―――だいたい、城勤めのためにとお貸しいただいている部屋で、私的な行為に及ぶというのは、どう考えてもけしからぬことだ。

だが、そんなことをセインに言ったらどうなることか。ただでさえ時も所も構わず自分の心のままの行いを通せる男である。それこそ今この場所、廊下の真ん中で“さっきの続き”を始められかねない。

「はい、こんなとこで固まらない」

すぐ耳元でセインの声が聞こえ、身体の両側から腕が伸ばされてきた。その手がケントの目の前にある扉の取っ手を掴んで開く。

「セイン、私は―――」

何を言おうとしているのか自分でも分からぬままに口を開くが、ぴったりと後ろから抱き込まれて言葉が途切れる。

「不謹慎だろうが何だろうが、止めないよ」

囁かれる声が、低い。そのまま耳たぶをしゃぶられ、濡れて温かい舌の感触に身体をすくめる。
戸惑う間もなく、そのまま押し込まれるように自分の部屋の扉をくぐる。

抱き込まれたまま、暗い部屋の中惑うことなく寝台へと導かれ、そのまま、どさり、と仰向けに押し倒された。
圧し掛かられ、脚の上に乗り上げられて寝台に縫い止められる。噛み付くように唇を塞がれた。むしり取るような勢いで服の胸元をはだけられ、掌が腹を撫でながらたどってきて、下衣の留め金を手早く外した。そのまま下着の中に手を差し込まれ、すでに反応しかかっているものを握り込まれる。
反射的に身体をねじってその手から逃げようとするが、その動き自体が刺激となって、背骨を伝わってくる。

「あ、あ―――」

いきなり強い感覚を与えられて、身体が跳ねる。合わせた唇が外れ、自分のうろたえたきった声が聞こえた。
上がった顎のあたりを噛まれ、続けて喉元に歯を立てられる。セインの片手が胸から脇腹のあたりを擦り上げ、撫で下ろす。もう片手は握り込んだものを手荒く擦りたててくる。身体中の熱がそこへと集まってきて、じりじりと意識を焦がしていく。

「セイン、セイン―――こんな―――あっ」

先端をぐりぐりと指の先で抉るようにされ、息が詰まる。そこにはもうぬるぬるした感触があって、液体を拡げるように指先を回されると、皮膚が溶けていくようなとろとろした快感を感じる。

「いやだ、セイン」

泣き声に近い、自分の喘ぎを遠くに聞く。

手荒く煽り立てられて、身体が高ぶっていくのに、意識がついていかない。足に絡まる下衣を剥がれ、下半身だけをあらわにされた。
濡れた指が後ろへとまわってきて入り口を探られ、身体がすくむ。くじるように指の腹で撫でられ、少しづつ指先を押し込まれていく。

「あっ、あ……」

無意識に腹の辺りに力が入って、入り込む異物を拒もうと身体が収縮する。その狭い隙間をこじ開けるように、ずるりと指が入り込んできた。

「は…あ…」

粘膜を犯される苦痛に近い違和感を耐えようと、眉をしかめ、息を逃がす。

「ごめん」

闇の中、擦れた声を聞く。

「ごめん、止まらない。このまま抱かして」

熱っぽく、真剣な声でせがまれ、背筋にぞくぞくと快感が走った。身体が緩んで、締め付けていた指にさらに深い侵入を許す。器用な指が中をかき混ぜるようにしながら、ゆっくりと抽送を始めた。

「ここ、入りたくて、たまんなかった」

荒い息とともに、あからさまな言葉を耳に吹き込まれる。限界まで指を突き込まれて声を上げた。まごまごと現実にしがみついていた意識が、言葉と声に煽られてふわふわと漂いはじめる。

そんな―――耳元でそんな声を、出すな。おかしくなりそうだ。

「入り込んで、犯して、俺のものにする。おまえが嫌だって言っても、する」

入り込んでくる指が増やされるから、息を吐き出して耐える。指の腹を揃え、壁を抉るようにされるのと同時に、胸のわずかな突起を唇で捕らえられた。

「あっ、や―――」

手足が無意識に伸びて、筋が攣りそうになり、あわてて力を抜こうと試みる。その間にも中に入り込んだ指が、押し広げてはかき混ぜ、慣らす動きを繰り返してくる。意識して何かをすることが全くできなくなって、力が抜ける。短い喘ぎだけを繰り返しながら、抱き合う男に自分の全てを明け渡していく。

きつい違和感のあった入り口のあたりに、ぬるぬるとした快感が広がってきていた。開かれ、入り込まれる苦痛が薄れて消えていき、ただ気持が良くて、腰が焦れたように動き始める。口を開けば啜り泣くような声が上がるから唇を噛む。それでも息が鼻に抜けて、自分の意図しない音へと変わる。

「セイン、もういい、から」

震える唇から、どうにか言葉を紡ぎだす。

「入っていいか」

指を抜かれ、刺激され続けて熱を持った入り口をこねるようにいじられる。

「ばっ―――聞く…な」

そんなことを聞くな。私の思いなど、全て見通しているくせに。だいたい、こういうときはどう答えれば―――

「入れて、って言うんだよ」

濡れた声は微笑みを含んでいる。

対面のまま、脚を開かれ、抱え上げられる。飛びかかる意識の中、心が幾つにも分かれていく。なんて格好を―――と羞恥で茹り上がりそうな自分が、こんなことはもう嫌だと音を上げるのを感じ、はやく―――と腰を揺らしてねだりたがっている自分に驚く。いつもの自分と、知らない自分とが拮抗して、結局は困惑のあまり、何も出来ずに固まる。

「セイン、いやだ、言えない」

震える声で、自分に出来る答えを返す。言えないのだ。好きな男を喜ばせてやりたいけど―――それでも。

「いいよ、言わなくて」

髪を撫でられ、優しい声で言われるから、不興を買ったわけではないらしい、と安心する。

「今のところは―――ね」

い、今のところ、というのはどういう意味なのだ―――!?
目を見開くが、闇の中、セインの表情までは判別がつかない。

「あ…っ」

聞き返す間を与えられず、脚を思い切り拡げられ、熱い固まりをあてがわれる。



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