ファースト・アタック 3

寝室の扉が開き、外側に立っていた護衛隊員、侵入者、追いかけてきた他隊の兵がなだれ込む。
 侵入者は5人。全員顔を隠すように布をかけており、卑怯な戦い方ではあるが並の兵では歯が立たない実力らしい。
 天蓋を開け、ジェイルがベッドの前に立つ。
「久しぶりだな」
 答えずに、ジェイルは斬りかかってきた侵入者のリーダーらしき男を迎え撃つ。
 他の護衛隊員も集まったが、侵入者の残りの4人に簡単に倒されていく。
 護衛官が減ってきたところで、相手をしていた4人のうちの2人が、横からリーダーに加勢してジェイルに刃を向ける。
 リーダーの剣を撥ね退けて新たに向かってきた2人に肘打ちと蹴りを喰らわせるジェイルだが、中途半端に煽られたままの身体で戦う彼は心なし息が上がっているようにも見える。
 寝室に居たジェイル以外の兵が全員倒れる。他の兵が到着する前にと残りの2人が両側からジェイルの足元を蹴る。避けきれず体勢を崩すジェイルはリーダーの男に受け止められ、布切れに染み込ませた薬を嗅がされる。朦朧とする意識の中、抵抗も虚しく剣を奪われ手足を拘束される。
 意識を飛ばしたジェイルを3人が抱えると、バルコニーから飛び降りる。
「ジェイル!」
 慌てて立ち上がり窓の方へ行くセーファス。
「どこに落ちる!」
「下は洗濯小屋です」
 自らそこへ向かおうとする国王を制しながら、なんとか起き上がった護衛隊員が言う。
「お待ちください! 兵の手配を致しますので……」
 セーファス自ら出向いたところで、権力ではどうにもならない。国王が狙われずほっとはしたものの、個人的には国王以上に慕っている隊長が連れ去られ、その隊員も気が気でない。それが分かるセーファスは、悔しそうに唇を噛む。

「こちらです!」
 城に閉じ込められた年頃の娘は、ほとんどの者は忘れているであろう街への抜け道を知っていた。
 地下室のある洗濯小屋。昔は洗濯係の女はこの薄暗い部屋に閉じ込められ、今以上の重労働を強いられていた。そこで、たいていは実家の暮らしを助けるために送り出された、街に憧れる年頃の娘達は、毎夜少しずつ抜け道を掘り続けたという。
 洗濯小屋のすぐ近く、城の塀の外に出るだけという短い抜け道ではあるが、見つかることはないだろう。
 サーシャは抜け道の入り口を隠して最後尾を着いていく。
「嬢ちゃん、こいつが好きなんだろう? 本当にいいんだな?」
「……いいんです」
 以前、初めて行った酒場でチンピラに絡まれたサーシャを助け、名も名乗らない男。お礼が出来ないと謝ったところ、彼は、報酬次第で何でもするのが自分の仕事なので贔屓にしてくれればいいと言った。そこで今回ジェイルの誘拐を依頼したものの、サーシャは高価な物など何も持っていない。そこで報酬として、自分が一度だけジェイルと繋がった後は自分のこともジェイルのことも好きにしていいと言った。
 整った顔をした男なので、サーシャ程度の相手には困らないだろう。自分ぐらいでは報酬にならないと思い、ジェイルのことも売った。辛かったが、愛するジェイルを国王に奪われるぐらいなら、自分を助けてくれた男に売る方が良いと思った。
 塀の外に出て、男たちの活動拠点になっている粗末な小屋へ向かう。
 リーダーの男はベッドに寝かせたジェイルの手足の拘束を解くと、彼の顔に水滴をかける。
「……ライナスだろう?」
 気分は悪そうだが目を開けたジェイルが、男の名前を呼ぶ。
「ご名答」
 ライナスが顔にかけていた布を外す。
 オレンジ色の髪に緑がかった青い目。全体的にチャラチャラとした印象である。
 護衛隊員だった彼は、2年ほど前に暴行事件を起こしたとして職を失っていた。酒場で街のゴロツキに絡まれ、酔った勢いか手加減なしで返り討ちにしたという噂だった。
「どういうつもりだ?」
「どうもこうも。カワイイ女の子に頼まれちゃったんでね」
 にやにやしながら、後ろに居た少女の肩を抱いて引き寄せる。
「サーシャ……!」
「ごめんなさい、ジェイル様。ずっとお慕いしていました」

 サーシャが服を脱ぎ、ジェイルの下衣も降ろして雄の象徴を握る。
「やめろサーシャ!」
 言ってもやめないサーシャの手をつかもうとするが、先ほど嗅がされた薬の効果なのか身体に力が入らず、僅かに指先が動いただけだった。
 丹念に愛撫されるが、そこはほとんど反応しない。
「サーシャ、お願いだ、やめてくれ……」
 薄明かりの中で、目を固く閉じ眉を寄せて言うジェイルは官能的で、サーシャは扱く手を早める。しかしまだ勃ち上がらない。
「私では、やはり……だめですか?」
 悲しそうに言いながら、サーシャは後ろの孔の入り口をつつく。
「私の両親を殺した国王のものを、ここはもう咥えたのですか?」
 国王に与えられた刺激を思い出し、ジェイルのそれは僅かに熱を持ってしまう。
「貴方の家族だって、国王の所為で死んだのです。憎くはないのですか?」
「……国王の所為ではない。誰の所為でもないんだ……」
 隣国との境にある村は戦渦に巻き込まれた。国王の傍に立ったまま、淡々とした報告から自分の村の状況を知ったジェイル。自ら戦地へ赴くこともできず、辛かったに違いない。
「私は、国王が許せません」
 勃ち上がるところまでは反応しないジェイルのそれに、サーシャは痺れを切らす。
 肛門に入れる指を増やし、中を描き回す。
「サーシャ、……やめて、くれ……頼むから……ぁ、あっ」
 感じやすい部分に指が当たり、思わず声を上げる。
「いやだ、ぁ、っ……」
 妹のように慕っていた少女に、こんなことをして欲しくない。だが、身体は反応してしまう。
「どうすればいいのですか……私は…………」
 サーシャは泣きそうな顔になる。彼女もこんなことは本意ではないのだ。できることなら、ジェイルに愛され、彼の意思で抱かれたかった。
 そんなサーシャを見て、ジェイルは自分を酷い男だと思う。しかし、こればかりはどうにもならない。
 彼女は隣の家の娘だった。サーシャの両親と仲の良かったジェイルの母は出産を手伝いに行った。ついて行った10歳のジェイルには邪魔をしないことぐらいしかできなかったが、命の誕生にただただ感動していたのを覚えている。
 小さな農村だったから、子供の面倒は村ぐるみでみていた。サーシャは特にジェイルに懐いていたので、母親が畑仕事をしている間の子守を頼まれることもあった。
 15歳になったジェイルが兵となるために城へ向かう時、大泣きに泣いて、でも最後には、りっぱになってね、と笑顔で見送ってくれたサーシャ。たまに故郷の村に帰っても、いつも一番に出迎えに来てくれた。その彼女とこんな行為をする気には、やはりなれない。
 やっと勃ち上がってきたジェイルのそれを口に咥えて手で扱きながら、もう片方の手で後ろへの刺激も続けるサーシャ。
「ぁ、だめだ、離せ……サ……シャ、ぁあ!」
 出産にも立ち会った10歳年下の少女。そのサーシャの口に精を吐いてしまった。仕方のない生理現象ではあるが、ジェイルは自己嫌悪に陥る。手で顔を覆いたかったが、身体はまだ言う事をきかない。
 ジェイルの出したものを飲み込むと、サーシャは彼に深く口付ける。
「もう……、いいです。皆さん、あとは好きにして下さい」
 口を離して言うサーシャの声はどこまでも悲しかった。

前へ/次へ
TOP / MAIN A / MAIN B / LINKS / CLAP

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!