ファースト・アタック 4

「嬢ちゃんは俺と来な。ジェイル、お前のことは手下共に任せるからな。俺は男に興味はないんでね」
 手下達がジェイルに舐めまわすような視線を向ける。ライナスは一糸まとわぬ姿のまま放心状態になっているサーシャの肩を抱く。
「ライナス」
「ジェイル。お前さ、男の方が好きならそう公言しろよ。女の子何人泣かせたと思ってんだ」
 反論の隙も与えずにサーシャを連れ去る。
「男の方が好きなんだ?」
 ライナスの仲間の1人が言う。
「そういうわけではない」
 言い返すジェイルはベッドから引き摺り下ろされ、床に背を打ちつける。上は慌てて身に付けたシャツだけ、下も中途半端に降ろされた格好。そのまま部屋の隅まで引きずられ、裾をブーツに入れていた下衣を脱がされ、シャツのボタンも全て外される。頭上の壁に固定された手枷で拘束されて正座から少し腰を上げたような姿勢になる。
「聞いてた以上だな……」
 前を開いたシャツと黒く光る膝までのブーツだけを身に付けた格好のジェイル。彼の肉体に、顔も見えぬ男達の1人が感嘆の声を漏らす。
 誰かが、先ほどの行為を見てか既に熱を持ったものを、ジェイルの口に押し込む。
「ほら、咥えろ。噛むなよ。噛んだら嬢ちゃんの命は無いぞ」
 下っ端らしいこの男に、リーダーのライナスに気に入られたらしいサーシャをどうこうする権限があるのか疑問ではあったが、ジェイルは念のためと大人しく咥える。
「ふ、んぅ……」
 ジェイルは男に快感を与える技巧など持ってはおらず、自分で腰を動かす男にされるがままになっている。頭を手で押さえられ、ジェイルの髪が乱れる。閉じることのできない口の端からは唾液が零れ落ちる。
「僕も早くやりたい……」
「んだよ下っ端は黙ってろ」
 まだ13、4歳であろう、少年特有の高い声に、男はジェイルの口から爆ぜそうなそれを抜き出しつつ返す。
 年端のいかない少年までもがこんなことをしている……剣の才を認められて都に行くまでずっと故郷の村で過ごしたジェイルにとっては、考えられないようなことであった。
「!?」
 男が口から抜いたものを自分で扱き、ジェイルの顔に白濁を放った。咄嗟に目を閉じ、再び開くと、睫毛や鼻先にかかった液体が見える。ジェイルは露骨に嫌な顔をしたが、それにすら興奮を覚えるらしく、男のペニスはまた熱を持ち出す。
 だが、彼を押しのけるようにして先ほどの少年以外の2人の男がジェイルの前に立つ。色々な器具の入った箱を持っている。
「次は俺達の番だぜ」
 言うと、1人がサーシャの指で解された所にガラス製の巨大な注射器のようなものを差し込む。流し込まれる冷たい液体に無意識に逃げようとする腰はもう1人に押さえられてしまう。
「ちなみに、媚薬入りだ」
 液を全て入れると、サーシャの指や浣腸器の先とは比べ物にならない太さの、ペニスをかたどったバイブを挿れる。
「う、ぁあっ……!」
 裂けて血が流れるが、それでも快感を感じてしまい戸惑う様子のジェイル。
 挿し込んだ物を抜き差しされると茶色がかった液体が漏れ出す。
「は、あ゙っ」
 思い切り奥まで挿し込まれると、それが振動を始める。
「あ、ぐぅっ……ひっ、あぁぁ」
 ちょっと待ってろ、とそのまま放置される。彼を責めていた2人は入ってきたのとは別のドアから出て行ってしまい、最初にジェイルの口を犯した男もそれに続く。
「大変だね、ジェイル兄ちゃんも」
 後ろで見ていた少年が声をかける。
「自分が女も男も沢山泣かせてることに、本当に気付いてないの?」
 少年が、顔を覆っていた布を外す。
「……! っ、……クーノ、か……、……何故、こんな……ところに……」
「僕、剣で身を立てるって村を出てきただろ」
 クーノもまた、ジェイルと同じ村の出身であった。
「兄ちゃんに憧れて、護衛官になりたくて、追っていったのに」
 年に一度帰れるか帰れないかという頻度ではあったが、たまに帰省する護衛隊長のジェイルは、村の少年達の憧れであったらしい。
 そして去年、サーシャについて都へ出てきた13歳のクーノは、兵になるための試験に落ちた。しかし人なつこい彼は街で日雇いの手伝いなどをして生き延び、城の門番にも可愛がられ、こっそり護衛隊の宿舎にやってくることもあった。お金も何も持たずに出てきて、日雇いの賃金では充分な食べ物も手に入らず、護衛官達に少しずつ食事を分けてもらうこともあった。
「村に帰ろうと思ったんだけど、くれた交通費使っちゃってさ。ライナスの兄貴に拾ってもらったんだ」
 城に出入りしていたという少年に、ライナスはサーシャのことを知っているかと訊ねた。すると少年がサーシャと同じ村からやって来たことが分かり、彼女について根掘り葉掘り訊いたらしい。
「交通費ぐらい、っ……戻って、くれば……やったのに……」
「悪いことをしたとは思ってたから……嫌われたくなかったんだ」
 また布で顔を覆った少年は、辛そうに息をつくジェイルを見つめる。部屋から出て行った男たちの声が聞こえる。何か揉めているらしい。
「僕が告げ口してくれば助けが来るよ」
「サーシャが……捕まってしまう。ライナスは、逃げ延びる……だろうが……」
 ここで見つかればサーシャも関与したものとして捕まえられるだろう。見つからずに洗濯小屋へ戻っても、男達を抜け道へ案内したのが彼女だということなどすぐにバレてしまう。
「大丈夫だよ。兄貴はサーシャ姉にベタ惚れなんだ。一緒に安全な所に居るよ」
「……最初から……」
「うん。最初からこういうつもりだったんだ。ごめんね、こんなことになって」
「……ライナスの奴」
「兄貴もちょっと兄ちゃんに腹いせしたかったんじゃない?」
「今度、会ったら……殴ってやる」
 同時に襲ってくる腹痛と快感に荒い息をつきながらも、安心したように言う。
「じゃ、行ってくるから、もうちょっと頑張ってね」
 少年が出て行くとすぐに男たちが戻ってきた。
「あ? あのチビどこいった?」
「まあいいじゃねーか」
「早くやっちまおうぜ」
 下卑た笑いを浮かべながら男の一人が取り出したのは、フリルのついた薄い桃色のエプロン。
「俺はメイド服が良かったんだがな」
「この方が着せるのに手間がかからないだろ」
 はだけたシャツの上に柔らかい薄桃色のエプロン、きっちりと紐が結ばれたままのブーツ。ジェイルの勃ち上がったものが薄い布地を押し上げている。
 他の男が銀色の両手鍋をジェイルの後孔の下に置き、指を突っ込んで振動を続けるものを引き摺り出す。
「ぁっ、ひ、う……ぁぁぁっ……」
 入っていたものが抜けた瞬間、悪臭を伴って腹の中にあったものが噴き出す。
 両手鍋に当たり跳ね返った液状の便がエプロンの裾やジェイルの太股を汚す。
「あ、くっ……う……」 
 薬で敏感になった身体はそれにすら快感を感じてしまう。
「チンポビンビンだぜ」
「そっちのケでもあんじゃねぇの?」
 男たちが嘲笑する。ジェイルは耐え切れず目を閉じる。
「ぁっ、……」
 柔らかめではあるが固形の便が肛門を擦る。
 男に性器を握られるとビクンと身体ごと反応する。
「う、ぁっ……は、……あっ……」
 与えられた刺激に白濁の液を放つ。排泄はまだ止まらない。
「ぁ…………」
 萎えたそこから黄金の液が流れ出す。
「おもらししやがったぜこいつ」
 男が嘲るように言う。
 もう痺れ薬は切れていたが、抵抗する体力も残っていない。ジェイルは目を固く閉じたまま、ただ助けが来るを待つ。

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