ようやく半分です。
魁!氷結クリフト
第5幕 「人間のサガ」
ピサロ様が仲間になりました。
「あなたがデスピサロね!」
サントハイムを荒野の廃城へと変えた張本人。騙されていたとはいえ彼の所業が許せないアリーナ姫が決闘を申し込むかと思いきや。
「武術大会の決着をつけましょう!」
「はぁっ! 姫様のきらめくその瞳はっ!」
おっとアリーナ姫、強い男に魅かれるモードに突入。
ライアンが仲間に加わった時もそうでしたが、アリーナ姫は強い男を嗅ぎ分ける嗅覚と、相手が強ければ強いほど燃える闘争心を全開に、ピサロ様に勝負を挑もうとしているようです。
相手は魔王。強くない筈がありません。
目の前の男に愛しの姫君の心を奪われてはと嫉妬心を露にしたクリフトは、二人の間を遮るように進み出て印を結びました。
「魔王など、私が 倒 せ ば 済むまでのこと!」
「あぁ何故効かない!」
「いやそいつラスボスだし」
ガッデム! と頭を抱えるクリフトの背で、当然だろと呟くソロ。
絶望に打ちひしがれるクリフトは地に四つん這いになって叫ぶように嘆きました。
「おお神よ! 何故私はザキしか使えないのでしょう!」
「いや他にもあるだろ」
あなたが使わないだけで。
「何故私のザキは成功確率が低いのでしょう!」
「それはレベルが」
「うおおぅ、何故!」
「うっるさいわ、この低レベ貧弱ゴミ虫神官がァアァッッッ!」
「やはり人間というものは愚かな生き物かもしれんな」
老魔術師がプンスカと去った後、ピサロ様は天を刺すほど高く聳え立つ氷柱(しに)を眺めながらポツリと呟き、人間の仲間に加わった自らの行動を反省するのでした。
哀れ、氷結クリフト。
これが人間です。
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