氷結しすぎてなかなか進めない。
氷結クリフトの冒険
LV.8 「テンペ」
テンペの村では北の森に棲む魔物を鎮めるために年若い乙女を差し出すという風習があり、とうとう村長の娘であるニーナが次の祭儀で生贄になることが決まりました。
「そんなのダメよ! 退治しましょう!」
村人の話を聞いたアリーナ姫が村長の家に駆け込んで言いました。
「次の生贄は私がなるわ! そこで魔物を迎え撃つ!」
「いけませんっ!」
クリフトがビシリと挙手してアリーナ姫に割って入ります。
「姫様が生贄になどっ! ムリなお話です!」
「なんでよぅ」
息巻くクリフトの後ろでブライが小さく頷きました。
村娘の命と比べるつもりはありませんが、ニーナの変わりにサントハイムの王女が生贄になるという作戦はリスクが大きすぎます。
ブライ老も臣下としてここはクリフトに賛同し、諫言の一つでも言わねばと口を開こうとしたその時、
「だって姫様は私に処女(おとめ)を捧げるんですから!」
「え」
一同が声を揃えて驚きました。
「これから姫様は私とえっちな事をするんですよね!」
「ク、クリフト」
アリーナ姫の手を握り、迫るように言ってみせるクリフト。
既に脳内ではクリフトの手によってオトナの女に開花していく彼女の姿を想像しているのか、大きく開いた鼻腔からはトロリと赤いものが流れ出ています。
「二人で少しずつオトナの階段を昇っていきましょうっ!」(ハァハァ)
「このポン引きが! 貴様がこの世の為に生贄になれい!」
「童貞も生贄になるじゃろうて」
「ブ、ブライ」
そう言ってブライは氷柱となった神官をズルズルと引き摺ると、生贄の祭壇場所を聞いて手早く向かうのでした。
哀れ、氷結クリフト。
生贄にすら。
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