第二章はバランスが良くて、
さくさく進めると思います。
氷結クリフトの冒険
LV.9 「フレノール」
フレノールには偽のお姫様御一行が宿に泊まっており、ニセモノのアリーナ姫が謎の男に攫われてしまうという珍事件が起きました。
「まったく、とんだ騒ぎになったもんじゃ」
驚き慌てる偽じい・プライをジロリと睨むと、本物の魔法使いであるブライはやれやれと溜息をつきました。
「まったくです!」
今更になって彼女を助けてくれとせがまれたクリフトは憤って言いました。
ちなみにニセ神官・ワリフトをボコボコに殴った後です。
「姫様を騙ろうなど笑止千万! サントハイムの名折れです!」
「うむ」
「二人とも、今はそんな事言ってる場合じゃないわ」
アリーナ姫はプリプリと怒る家臣達を宥めようとしましたが、クリフトには逆効果だったようです。
「姫様はあのような娘が姫様のニセモノで良いと申されるのですか」
「べ、別にいいじゃない」
クリフトは首をぶんぶんと振って言いました。
「いいえ、あーんなのが姫様だなんてとんでもない!
「本物の姫様はとーっても可愛くて美しくてお強くてお転婆でエロエロで、
「いつムラムラして鼻血やヨダレが出てもおかしくない方だというのに!」
「え」
「いやいや鼻血はおろか、つい 手 (欲望の触手)が出そうになるところを
「必死の妄想で抑えなければならぬ程の悩殺ぶりなのですからっ!」
「ちょ、クリフト」(なに言ってんの)
「あぁんもう、本物はキュン☆死しちゃいますよっ!」
そうしてクリフトが本人に向かって意味もなく怒りに震えた瞳を見開いた時、
「遂に本性を現しおったな、このド畜生めがァァァッッッ!」
「貴様とて本物ではあるまい! そのまま死んどけェ!」
「ブ、ブライ」
激しい冷気を迸らせながらブチ切れる老魔術師と、彼を落ち着かせようとするアリーナ姫。
彼等の背後には、偽者の臣下達(プライ&ワリフト)が色んな意味で「本物には敵わない」とぶるぶる震えて縮こまっていたのでした。
哀れ、氷結クリフト。
クリフトはワリフトより偽。
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