12RIVEN
-the Ψcliminal of integral-


ブランドサイバーフロント/KID 発売日2008.3.13
サントラ同梱版8800円 通常版6800円
ハードPS2 ディスク数1枚
ジャンルADG 
キャラデザ滝川悠
bomi
 シナリオ打越鋼太郎
音楽阿保剛 
音声あり ボーカル曲あり

ストーリー
2012年5月、高校生の錬丸のところにメールが届く。

今日『2012年5月20日:正午』
――ひとりの少女がこの世を去る
殺されるのだ あの『インテグラル』の最上階で……
少女の名前は『ミュウ』……
おまえがよく知っている名前だろう
あのときの約束を 誓いを
思い出せ――錬丸

一方、特殊公安捜査官の鳴海のところにもメールが届く。
鳴海先輩 たぶんこれが最期のお願いになるでしょう。今、ひとりの少女が命を奪われようとしています。
少女の名前は『ミュウ』
殺害の時刻はおそらく『正午』
場所は『インテグラルの最上階』
先輩、お願いです。彼女を――ミュウを守ってあげてください。絶対に、何があっても、彼女を失ってはなりません。
あの計画――『第弐エクリプス計画』を阻止するためには、どうしても彼女の存在が必要なのです。
鳴海先輩、今まで本当にありがとう。
いつか再び、逢えることを信じて……。
――真琴――

現場に急行するふたり、そこで目撃したものは、見たことの無い術Ψを使う連中だった。

キャラクター名私的お気に入り度声優属性
雅堂錬丸■■■■■■■■ 9/10主人公1・熱血漢
三嶋鳴海■■■■■■■■ 9/10主人公2・クール・姉御肌
霧寺メイ■■■ 3/10松風雅也強気・謎
高江ミュウ■■■■■■■■ 8/10野中藍幼なじみ・元気っ子・天然
マイナ■■■■■■ 7/10佐藤利奈メガネっ子
星野遊々■■■■■■ 6/10小林ゆう勝気・ツインテール
伊野瀬チサト■■■■■■■■ 8/10清水愛ショート
伊野瀬オメガ■■■■ 4/10高橋直純メガネ・謎
大手町■■■■■■ 7/10諏訪部順一同僚
雪積真琴■■■■■■ 7/10木川絵理子後輩
ボス■■■■■■ 7/10大塚明夫上司
堤タンゴ■■■■ 4/10中村俊洋正統派・謎

主要搭載システム
BGM及びボーカル曲
●オートメッセージ
●スキップ(既読判定あり)
●バックログ
●バックログ中の音声
●バックログ中からスタート
●クイックセーブ
●クイックロード
●ショートカット
●CG鑑賞
●音楽鑑賞
●ムービー鑑賞
●クリアリスト
●BGM21曲
●OP歌
 third bridge
 KAORI
●ED歌
 プロセス
 KAORI
雑感
個人的名曲
 快適なKIDシステム。選択肢ごとに自動でクイックセーブしてくれるオートセーブ機能付きで便利です。ただ、その他のクイックセーブ/ロードは、メニューを開いて行わなければならないので、クイックの意味があまりないような気がしました。また、今回はクリアリストが簡素化されていて、選択肢やメッセージの達成率は項目にありません。個人的にはあるとやる気が増すのでやや残念。  不気味で緊張感を煽る音楽が、ゲームの雰囲気に合っています。特に、Eclipseは秀逸。遊々のテーマ「It's funny」はどうかと思いますが(^^;

●Integral
●Eclipse
●Ocean blue
●Beyond the mebius
●third bridge
●プロセス
インフィニティーからインテグラルへ


 サントラ同梱版には特典として、全BGMとOP歌を収録したサントラ2枚組と、イラスト集が付いてきます。また、ショップ予約特典としてBGMアレンジCD及び声優インタビューCDが付いていました。特典が豪華なので、同梱版を購入する価値はあると思います。

 12RIVENは、Ever17をはじめとする名作揃いの「infinity」シリーズを継承する作品です。2006年に制作発表があってから、2度の延期を経て発売されました。この間、制作会社のKIDが自己破産して、一時は本作の開発自体が危ぶまれたのですが、サイバーフロントがKIDの権利を取得してKIDが存続したことにより、発売まで漕ぎ着けたという経緯があります。
 これまでinfinityシリーズで面白くなかったものはひとつもなかったので、クオリティーに関してはまったく心配していませんでしたし、結論から述べると、12RIVENは期待を裏切ることなく面白い一本でした。しかし、シナリオが面白い一方で(Rememver11の頃からでしたが)、ギャルゲーらしさが欠落していることは記しておく必要があるでしょう。ここをユーザーが受け入れられるかが、シリーズ存続の分水嶺となりそうです。果たして、12RIVENとはどのようなゲームだったのでしょうか?


シナリオのためのストーリー


■シナリオ
 2人の主人公を操りながら『第弐エクリプス計画』の全容を明らかにしていくサスペンス。このシリーズには、プレイヤーとキャラクターの住み分けを上手く利用したトリックに驚かされてきました。今回もそのトリックは健在です。本作の注目ポイントは、プレイヤーとキャラクターの情報量を極限まで共通化しているところです。プレイヤーが感じた違和感を、キャラクターも感じてところに注意してゲームを進めてみると面白いかもしれません。12RIVENの目的は、トリックを解くことそのものと言っても過言ではありません。後半になると、あらゆる設定はトリックのための伏線でしかないとすら感じられるほどです。キャラクターより「プレイヤー」に「気付い」てほしい……そんなシーンも随所に見られます。せっかくキャラクターと情報量を共通化しているにもかかわらず、プレイヤーにプレイヤーであることを意識させる矛盾した構造。それらはすべてトリックのために用意されているのです。ストーリーへの感動よりも、シナリオ構造への驚きに重点がおかれた逆説的なゲーム、それが12RIVENなのです。意味不明かもしれませんが、クリアーした時に意味が分かると思います。ただし、例によってゲームの全容が明らかになるのは最後までプレイした時ですのでご注意を。

■キャラクター
 面白いことに、ルート毎に担当者を分けています。錬丸ルートは滝川氏、鳴海ルートはbomi氏。ですから、同じキャラクターでも登場するルートによって絵が違います。それには意味があったりなかったり? 詳細はネタバレになりますので語りません。是非、本編で確認して下さい。
 どちらの担当者のキャラも、全体的にバランスがとれていますので質的には問題ありません。滝川氏は可愛い印象、bomi氏はクールな印象の絵です。あまりギャルゲーらしくないシナリオですが、2人とも上手く共存しています。
 各キャラクターの設定ですが、設定そのものがシナリオの味噌なので、詳しくはここでは控えることにしますが、どのキャラの設定にも深い意味があり、すべて上手く収束させていました。ただ、唯一の攻略対象といって良いミュウが、幼なじみというには微妙な設定であり、しかも8年間会っていなかったにもかかわらず、錬丸と相思相愛であった点は苦しいと思いました。この点はシナリオ以外にキャラクターにも気を使って欲しかったところです。

■テキスト
 何人かライターがいて、それを打越氏が監修しているようですが、文章は安定していて、違和感をはありませんでした。シナリオの都合上、色々と説明が多いのですが、小難しく考えさせるようなことはなく、雑学クイズ感覚でスラスラと頭に入ってきます。一部、フラグ管理が甘いせいか選択肢と矛盾する行動が見られますが、それを除けば、一見難解なシナリオを無駄なくコンパクトに、且つ分かりやすくまとめた良テキストであると思います。

■演出
 OPムービーは、イベントCGを使ったものですが、キャラクター紹介風というには中途半端でゲーム紹介としては支離滅裂という何を狙っているのか良く分からない仕上がり。使われているCGのほとんどがプロローグに出てきたもので、今後の予測がまったくつかない点は良いのですが、いまひとつインパクトの薄いムービーです。
 画像エフェクトは、目新しいものはありませんが、ところどころで挿入される意味不明な動画や画像処理が、後で意味を持ってくるなど油断できないものとなっています。シナリオと連動したゲームならではのエフェクトを堪能してもらいたいと思います。
 ところで、このゲームは通常の会話シーンで二人のヒロインが登場する場合、ひとりが話している時にはひとりをアップしてもうひとりは映さず、話し手が変わる度にカメラを切り替えるため、目が少し疲れます。二人とも一緒に映して画面を変えなければ良いのに……。
 音響は特に面白いものはありません。銃声にリアリティーが感じられないのがやや残念。

■ゲーム性
 本作は、主人公が2人がいます。共通ルートでは主人公を交互に進めていき、途中から単独ルートに入ります。それぞれにエンディングが用意されているのですが、ターゲットのヒロインを攻略していくのではなく、ひとつのグッドエンドを狙って攻略していくことになります。注意したいのは、片方のルートをクリアーしただけでは、まったくシナリオの意味が分からないこと。バッドエンドを回収する必要はありませんが、最後まで攻略しないと評価できないゲームであることは間違いありません。普通のギャルゲーとは異なった性格のゲームであり、ある程度の時間的余裕をもって臨みたいものです。

■シチュエーション
 本作をギャルゲーと捉えるならば、基本的に攻略対象としてのヒロインはミュウひとりだけです。主人公はミュウを守るために行動していくことになります。ただ、本作では、恋人同士の甘いひと時を楽しむようなシチュエーションは、あまり期待しない方が良いかもしれません。と言うのは、主人公の視点が頻繁に変わり、しかも一方は女性でもうひとりの主人公と接点が少ないため、ミュウひとりを追おうとした場合、どうしても集中力が途切れてしまうためです。謎の多いシナリオをプレイヤー的視点(いわゆる第三視点)で進めていく分には最適な作りをしていますので、ミュウひとりを見るのではなく、シナリオの全体像を見つめながらプレイした方が楽しめることでしょう。

■グラフィック
 背景は中々良い出来。必要な場面に必要な背景が出ますし、枚数が豊富です。
 立ち絵数は、メインキャラが5パターン前後。あまり多くはありませんが、表情がコロコロ変わるので退屈はしません。キャラクター項でも述べましたが、錬丸ルートは滝川氏、鳴海ルートはbomi氏が担当しています。ですから、同じキャラクターでも登場するルートによって絵が違います。
 イベントCGは106枚(差分含まず)。枚数は少ないのですが、概ね必要なシーンにはCGが出ていました。ただし、担当者の違いで違和感を覚えるCGがありました。また、これだ!というものはなく、地味な構図が多い気がします。


総合得点■■■■■■■■ 80/100
おすすめ度■■■■■■■■  8/10
ボイス■■■■■■■■  8/10
シナリオ■■■■■■■■  9/10
テキスト■■■■■■■■  9/10
キャラクター1■■■■■■■■  9/10
キャラクター2■■■■■■■■  9/10
音楽■■■■■■  7/10
演出■■■■■■■■  8/10
システム1■■■■■■■■■■ 10/10
システム2■■■■■■  6/10
シチュエーション■■■■■■  6/10
グラフィック1■■■■■■■■  4/5
グラフィック2■■■■■■  3/5
対話するのはプレイヤー


 打越氏は付属の冊子で、12RIVENとは制作者とプレイヤーの識閾下同士の対話の物語であると述べています。プレイヤーとプレイヤーの識閾下は違うものを追っているのだと。であれば、本作はやはりトリックを解くことそのものが目的であるゲームなのでしょう。プレイヤーは表面上、キャラクターに扮して謎の多いゲーム内のストーリを進んでいきます。しかしながら、実際にはプレイヤーはあくまでプレイヤーであり、キャラクターの行動を眺める存在なのです。そこで私達は、ひとつのルートを進むキャラクターではなく、冷静にゲームの全体像から隠されたトリックを導き出そうとするプレイヤーとして振舞っているのです。それも無意識の内に。
 12RIVENの世界では、プレイヤーは真の意味でキャラクター化するのかもしれません。それは錬丸や鳴海としてではなく……例えば、私の場合は「YAMA」というキャラクターとして。もし、前述したように本作が制作者とプレイヤーの識閾下同士の対話の物語であったなら、主人公はゲーム上で奮闘する錬丸や鳴海ではありません。真の主人公は、ゲームの裏に隠されたトリックを暴くべく、制作者と格闘する「12RIVEN」した我々プレイヤー自身なのです。

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