アステリズムの後、何をしていたかというとルートダブル - Before Crime * After Daysという360のアドベンチャーゲームを攻略していました。これは事故によって原子力研究機関に閉じ込められたキャラクター達が生き残りを賭けて脱出を図るというクローズドサークル作品。「原子力」というこのご時世ではちょっと「危険」なキーワードに挑戦しており、私の大好きなパニック物・脱出物でもあります。本作の監督が、Ever17を手掛けた中澤工氏であるところも購入動機のひとつでした。
このゲーム、面白いことに選択肢がなく、代わりに「センシズシステム」というプレイヤーが登場人物に対して抱く印象(好感度のようなもの)の数値を操作するシステムがあります。このセンシズシステムが発生するタイミング(ブランチ)で、例えばヒロインAよりヒロインBの方に好感度を強めに入力することによってヒロインB寄りのルートになる……といった感じでゲームを進めて行きます。このバランス調整がなかなか難しくて、匙加減を間違えるとあっという間に死亡フラグが立つのが面白いわけです。
このグラフで各キャラ(時には主人公も含む)へ抱く印象を操作して、グッドエンドを目指します。外側に行くほど好感度が持てると考えます。
この「センシズシステム」を見て今はなき(?)トンキンハウスの「Lの季節」のIPS(口出しシステム)を思い出してしまったのは、私だけではないはず。このIPSは、選択肢とは別の形で、プレイヤーのヒロインに対する印象を入力するタイミングをが設けられているもので、その多くは「このヒロインの考え方は共感できる」とか「共感できない」といった単純なものですが、それによって登場人物の感情値(好感度)が変化し、選択肢が変わったり増えたりするものでした。ちなみにこの感情値は、登場人物の相関図と共に「エモーショナルグラフ」という図で示されます。ヒロイン間の関係についてもこのエモーショナルグラフで確認可能で、片方のヒロインに肩入れすると、敵対するもう片方のヒロインの感情値が下がることもあり、グラフを見ながら、感情値の数値が都合が良くなるようにIPSで調整していく戦略性が面白かったことを思い出します。
今回の「センシズシステム」は、このような数値を見ることが出来ず内部処理されているので、Lの季節よりフラグの立ち方(分岐点)が分かりにくいきらいはあります。ただ、Lの季節がIPSと選択肢の両方を考えなければならず、数値を見ないと攻略難易度が格段に上がったであろうことを考えれば、ルートダブルには選択肢がないので、難易度としては妥当なところかもしれませんね。
下の相関図がエモーショナルグラフ。赤と青がキャラ同士の感情。IPSのタイミングで感情値が良くなる(または悪くなる)ように答え、目的のヒロインとのグッドエンドを見るために必要な選択肢が出るように戦略を練ります。
あと、プレイ中にひとつ気になるキーワードがありました。それは「BC」。これはテレパシーやエンパシーといった超能力の作中の総称なのですが、このBCの使用理論が、極限脱出 9時間9人9の扉に登場した「形態形成場理論」に通じるところがある気がするんですよねー。極限脱出のライター打越鋼太郎氏は中澤氏とEver17を作っていたわけで、当然中澤氏も極限脱出はプレイしているんでしょうから、多少影響はあったんでしょうか(テーマが近い……というだけのレベルで、面白さを損なうようなものではありません)。
現在、おそらく最終章に入っていると思われますが、まだまだ先が長そうです。「そういえば……」と頷かせるトリックやミスリードがぽこぽこ仕込まれているので、最後に何が待ち受けているのか楽しみです。