魔女っ娘ア・ラ・モード DVD EDITION
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本作は2003年に発売された「魔女っ娘ア・ラ・モード」を2004年にきゃらくたーやCGを追加してPS2に移植したものを18禁仕様としてPCに再移植したものです。Canvasでもしていたことですね。最近の流行と言うかメーカー戦略と言うか(^^; 追加キャラクターは人気原画家こつえー氏の描くホルン・スティーブル。額に角があると言う全キャラの中で目立つ特徴を持っていますが声がつくと中々良い感じになっておりますし、無論イベントCGに関しても問題無し。Canvasの時にも感じたことですが移植具合はかなり良好ですので、未プレイの方は勿論、前作をプレイされている方でも安心出来る仕上がりでは無いかと。 既存キャラクターに関してはイベントCGが増えております。キャラの可愛さに関しては折り紙つきですし、声優のチョイスもばっちりです。萌えゲーとしては合格。流石はF&Cと言ったところでしょうか。 また、特典としてドラマCDがついております。こちらはドタバタものと言った内容でした。意外と長いのでドタバタものが好きな方は嬉しいかも。 魔女っ娘にあって魔女っ娘にあらず 人々は精霊の力を感じ取って魔法を使うことが可能であり、魔法を使って生計を立てている。また、この世界にはオークや妖精やドラゴンなども生息している。 本作は上記の様なファンタジックな世界観を基調にしております。本作のセールスポイントは「魔女っ娘」です。この場合、私としては現実世界に魔法使いを登場させるよりは世界観そのものを再構築して魔法を使えることを当たり前にしてしまった方が話にも会話にも入っていきやすいので良かったと思います。 しかし私は「魔女っ娘ア・ラ・モードで楽しむべきポイントは魔女っ娘にあらず」と敢えて言っておかねばなりません。実は本作においては魔女や魔法などどうでも良いのです。「魔女っ娘」という単語から楽しめるべき点はコスチュームくらいなものです。 では魔女っ娘ア・ラ・モードで楽しむべき点とは何か? それはヒロインたちとの流れるような日常の会話に他なりません。ストーリー中の学校、寮、街で繰り広げられる会話はどれも何気無いありふれたものばかりです。プレイ中気付いたのですが、このゲームから魔法という概念と魔女のコスチュームを外すと普通の学園物ADGになるんですよね。だからこそ会話が楽しめなくてはならないし、実際に選択肢を一つ一つ選び直して全会話を聞きたくなるほどに楽しめました。何故ここまで楽しめるのかと言うと、それは会話が純粋だからでしょう。例えば現実世界を舞台とした中で魔法使いを登場させて会話させたならばそれは純粋に楽しむ以前に滑稽なものになると思いますが、本作は舞台が魔法を使える世界であり、周りが皆魔法使いの格好をしているから魔法使いが登場しても違和感が無い。だから素直に会話を楽しめます。つまり本作の世界観はヒロインとの会話を純粋に楽しむためのみに用意された世界であると言うことが出来るかと思います。 ここで思い起こすことと言えばCanvas(批評参照)です。Canvasもまたヒロインとの純粋な日常会話を楽しむゲームでした。Canvasのファンタジー版が魔女っ娘ア・ラ・モードであり、魔女っ娘ア・ラ・モードの現実世界版がCanvasなのです。そうした意味で、本作はCanvasの後継者として生まれてきたと言えるのです。
さて、いつもですとここで総括をするのですが、先程纏めてしまったと言うこととリメイク版であると言うことを踏まえまして、少々ネタバレ的なことを書いてみようと思います。未プレイの方には申し訳ないのですがどうか御容赦下さい。以下余白の後はネタバレになります。 私は、このゲームは我々の存在する現実世界のずっと以前を描いているのでは無いかと思います。本編中、何故ナナがソレイユによって生み出されたのかは(意図的に?)語られませんでした。ソレイユは何故ナナが魔法を使えぬ様につくったのか。ゲーム中で「ソレイユほどの魔力があればナナが魔法を使えるようにつくることも可能だったはずだ」とあります。また、ソレイユがホムンクルスの実験をしているのは「これからずっと先に必要となるだろうから」と述べております。ミント王国は女王の作り出す魔法の結界によって外界に住むモンスターから守られていますが、その範囲は無限では無いことが明らかにされています。また、ミント王国の人口はこれから緩やかに増え続け、いずれ人々は住む場所が無くなってしまう時代が来ると言われております。魔法に頼って生活する人々はモンスターの急襲には耐えられません。魔法には詠唱時間が必要ですから呪文を唱えている間に襲われるとひとたまりもないわけです。ですから、将来人口の増加によって結界の外に出なければならない人は生きていけないことになります。そうならないために、ソレイユは魔法に頼らずとも生きていける人を生み出そうとしたのではないでしょうか。魔法を使えなければ火を起こすのには道具を作らねばなりませんし、他にも様々なものや知恵を生み出さねばならないでしょうから。 ……そうして、魔法を持たずとも外の世界で生きていけるようになったのが現代に生きる私たちである。こうした背景が本作にはあるのではないかと私は思います。 もしかすると、魔法を使える世界がどこかに存在しているという可能性を残して……。 |