魔王と踊れ!2 −change of the world−
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「魔王と踊れ!」は2005年に発売されたメーカー曰く「本格RPG」です。力を失った魔王に乗り移られた主人公が、モンスターを倒しまくってパワーを吸収し、世界を我が物にする……というやりたい放題のRPGでした。詳しくは批評を参照して下さい。 購入動機は、前作が割と好きだったことと、2周目以降面倒だった戦闘がスキップできるようになり、手軽に楽しめそうだったからです。2であることから、システムや世界観自体には慣れていましたし、クオリティーは約束されているものと半ば疑わずに挑んだのですが……? なお、豪華特典版には以下の特典が付いてきます。 魔王と踊れ!2+前作+小説「魔王と踊れ!」特装版+原画集+ミニサントラ+ファンディスク(声優ボイス・アレンジBGM)+設定資料集 どこが魔王? タイトルと無関係なシナリオ ■シナリオ 勧善懲悪の王道ファンタジー。前作と異なり主人公が魔王ではなく一般人なので、そこをどうやって「魔王」に繋げるのかが肝になるのですが、実はほとんど魔王と関係していなかったのが大問題。何故ならゲームのタイトルが意味を持ってこないからです。「テイルズ」シリーズなどと違って、このタイトルは世界観を踏襲するだけでは意味を持たないんです。最後に3への伏線を匂わせるような演出がありましたが、本作にはまるで関係のないこと。タイトルそのものに疑問を抱かせる致命的なシナリオとなってしまったのは残念です。また、ダンジョン探索の5分の1程度しかアドベンチャーパートがないため、全体的にボリューム不足の感は否めません。選択肢が少なく、行動は短く、会話は少なく、心象描写も少ない……これがプレイしてみて受けた印象です。これでは幾らストーリーがしっかりしていても、この手のアドベンチャー+RPGタイプのゲームとしては物足りなさいばかりです。 ■キャラクター 原画は前作から引き続き「神曲奏界ポリフォニカ」の神奈月氏。氏はcatwalkのゲームでずっと原画を担当しているようです。前作より絵のクセが強くなっています。目の描き方がどのキャラも似たような感じです。とは言え、比較的汎用性は高い部類に入りますし、プレイしていて嫌な思いはしないとことでしょう。 性格はそれぞれの役割を分けるように設定されておりキャラはそこそこ立っているのですが、如何せんそれにまつわるエピソード、すなわちそのヒロインがなぜその性格になったのかという部分が語られないので、いまいちヒロインに対しての愛着が湧きません。それなりに各人が持つ重要な過去は語られるのですが、本当に必要なものだけなので、どうしてもヒロインが薄っぺらく感じられてしまいます。言ってみれば、本作のヒロインは必要最低限のソフトしかインストールされていないコンピュータのようなもので、ゲームにとっては確かに必要なのですが、それだけで面白みにかける存在となってしまっています。 ■テキスト 淡々と事実を述べ続けます。抑揚が少ないので盛り上がりはしないのですが、最低限のことは書いています。RPGだからこんなものでしょうか。 ■演出 オープニングムービーは、イベントCGやダンジョン画面を使ってゲームそのものを紹介する、店頭で見かけるデモムービーのようなものです。あまり製品版で見かけない種類のムービーです。アドベンチャーパートの画像効果は魔法などの発動時に炎がゆらめいたり瘴気がわき出したりと賑やかです。ダンジョン探索パートでは合体魔法を使うときにはサクラ大戦のようなカットインがあります。効果音もやはり、魔法や炎の発生時にそれらしいものが入ります。いずれも合格点を与えられる内容でした。 ■ゲーム性 アドベンチャーパートとダンジョンパートに分かれており、ダンジョンパートは、ダンジョンを歩いて探索し、戦闘時のみターン性のタクティカル戦となります。トルネコやチョコボのようなものを想像してもらえば良いでしょう。今回はシナリオを進めると転職イベントが発生したり、ダンジョン内で特定のアイテムを集めると特技が習得可能になるといった新要素が追加されています。また、肝心要の戦闘のスキップについてですが、スキップできるのは戦闘だけでダンジョン探索はスキップできませんので、2周目以降もサクサクとは進ませてもらえません。探索自体カットできるようにしてほしかったですね。 アドベンチャーパートは選択肢ひとつでルートが決定するため、難易度は皆無に等しいでしょう。 ■Hシーン 各ヒロイン3パターンずつ用意されています。1つは陵辱物で、これはゲームオーバー時にしか見ることが出来ないので、探すのに苦労しました。中盤以降にならずに発生せず、それまでは代わりに悪人がサブキャラや一般市民を犯すものが続きます。それらはヒロインのHシーンの倍以上あるため、かなりバランスが悪いと言えます。前作ではすぐにヒロインとのHシーンが発生し、数も多かったため、ヒロインに愛着がわいたものでしたが、今回はメインヒロインにスポットを当てる回数が少なすぎることに加え時間も短く、やや期待外れの感は否めません。 ■グラフィック 背景は、基本的にアドベンチャーパートの街や城のものが用意されています。どれも丁寧な仕事で粗は見当たりません。イベントCGは大半がHシーンのものです。アドベンチャーパートそのものが短いので、イベントCGが出なくてもあまり違和感を覚えませんでしたが、もう少し多くても良いと思います。絵は上手いです。立ち絵は表情は変わりますが、ポーズそのものは変わりません。こちらもアドベンチャーパートが短いため、プレイ中、気にはなりませんでしたが、振り返ってみると少し寂しいですね。
「“世界を変える”冒険の旅」がキャッチフレーズの本作。これには2つの意味が込められていました。ひとつ目は「世界を救う」という意味。単純に世界に現れた脅威を排除した結果、世界が変わることを指しています。もうひとつは、自分の中の「世界に対する価値観を変える」という意味です。人間は物の見方ひとつで、如何様にも解釈を変えることが出来る奇特な生き物です。世界の何もが自分に敵対しているように感じられれば、時には自分を中心に世界が動いているように思えることすらあるでしょう。「世界」なんて大層立派な言葉に聞こえますが、その意味では主観的に見ればあやふやで脆いものとも捉えられます。そんなあやふやな「世界」だからこそ、ポジティブに受け止めてやることで見方を変えよう、というのがもう一つの「世界を変える」なのです。 本作は、主観で世界を良く捉える輪を広げることで、実際に世界を良くしていこうと語りかけています。確かに被害妄想に捕らわれてどんよりと暮らすより、前向けに生きていく人間が増えれば、世界はより良い方向に進んでいくのかもしれませんね。まあ、現実は中々そうはいかないのですが、だからこそそれが実現すれば、と思わせるものがあるのは事実です。 だから、このゲームが「魔王と踊れ!」のタイトルとほとんど関係ない薄っぺらいRPGでも前向きに捉えてあげることにしましょうか! ……え、無理ですって? 私も無理です。 |