Rainy Blue 〜6月の雨〜
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今回批評するRainy Blueは少し古いゲームですが、2002年3月22日にRainy Blue -refrain-と言うタイトルで、本作と同内容のゲームにファンディスク「ましろの宝箱」を加えたWin98/2000/Me/XP対応版が6800円で発売されています。これから購入を考える方はこちらにされた方が断然お徳かと思います。また、2006年現在、本作を製作したR.A.N.Softwareは消滅した(?)様でデッドリンクとなっていますが、復活するかもしれませんのでリンクは残しています。 そもそも私がこのゲームを購入したのは単に安かったからであり、プレイしたのは発売してからかなり経ってからのことでした。ストーリーの項を見てもらえれば分かるのですが、話としてはCanvasと君が望む永遠をミックスした様な感じがします。両作品ともかなり私の心に残っているゲームなので、自然と本作に対する期待も高まってのインストールと相成ったのですがその実態は? ※Rainy Blueの方がCanvasや君望よりも先に販売されていますので比較参照すること自体がおかしいのですが(^^; 隠しシナリオに気付けるか? ゲームを開始するとプロローグ〜ムービー〜本編の流れになります。ムービーはイベントCGを使ったキャラ紹介もの。これは良いのですが、画面をスクロールさせて「Rainy Blue」と表現する時に少しずつCGを挟んでその度にスクロールを止める手法はあまり上手くなかった様に感じました。どうせなら一気に文字を流した方が美しい。まあ、この辺は完成の問題なのですが。 キャラクター。絵は概ね万人向けの絵と言って良いでしょう。真黄がややクセのある顔をしていますが私としては許容範囲。性格付けはそれ程目立ったものはなくスタンダートなキャラが多かった気がします。特別にこの性格でなくては駄目と言うキャラクターはおらず(敢えて挙げるならましろ)、萌え路線の絵を使っていながらもストーリー重視のゲームであることが伺えます。 グラフィック。背景は良い出来とは言えません。描きこみも塗りもあまく粗雑感が溢れています。一方、イベントCGの出来はかなり良い方です。ただ、立ち絵とイベントCGの差が大きくまるで別人の様に見えてしまうものも。と言うよりも、立ち絵が全体的に不安定。サブキャラとヒロインの等身が明らかに異なっていてヒロインの頭が妙に巨大に見えます(特に真黄)。横を向いた時と正面を向いている時もバランスが何かおかしい。等身の差だけは何とかならなかったかなあ。 ゲーム性。基本的に浮気厳禁で一人の娘を追いかけていればOK。難易度は皆無……かと思いきや、実は全員クリアーすると隠しシナリオが出るんです。しかも結構重要な内容。これ、気付かない人多いんじゃないかなあ。 Hシーン。純愛ものでそこそこ良いシチュエーションが用意されているにも関わらず、すべて鬼の様に短いので実用性は皆無。このライターさんはエロテキスト書くのが苦手なのかなあ。全体的に唐突にHシーンに入る感が否めません。ストーリーとも絡みますが、ヒロインに対する愛情が深まらない内にあっという間にHシーンに入るので見ていても今一つ気乗りがしません。 ストーリー。落ち込んでいる主人公がヒロインと触れ合う内に立ち直って成長していくと言うよくある内容。ただし本作の場合は、ヒロインよりも蒼依の方が主人公に影響を与えている様な気がします。ですから、ヒロインは主人公に立ち直るきっかけを与える触媒でしか無い様に見えてしまいます。それはあまりにもボリュームを絞りすぎたために主人公とヒロインの恋愛描写が少なすぎることに起因するでしょう。よって、Hシーンも唐突に見えるし今一ヒロインを好きになれないんです。ただ、隠しシナリオを攻略することによって少し印象が変わるかもしれません(同時にますますヒロインの存在意義が疑わしくなります)。私としてはこの隠しシナリオももう少しボリュームが欲しかったところなのですが。
本作は各ヒロインのシナリオの根底に流れる共通するものを感じ取ることが大変困難なゲームでした。そこで、4つのシナリオ(おまけ含まず)を2つに分けて吟味することによってテーマを導き出すことにしました。 第一に、人間は必死に頑張れば取り返しのつかないことは殆ど無いと言うこと。努力すればどんな困難にだって打ち勝ち挽回することが出来る。だから必死に生きなくてはならない……これが一つ目です。 第二に、人間は必死に頑張っても取り返しのつかないことがあると言うこと。どれだけ努力してもどうにもならない逃れられないことが存在する。そうなった時は後ろ向きに考えずに前向きに生きていかなくてはならない……これが二つ目です。 これら二つは二文字のキーワードによって統合することができます。すなわち生死です。テーマを掴み難かったのは、前者は主人公が、後者はヒロインが、このテーマに対してアプローチしていたからですが、表そうとしていることは同じであると捉えました。本作のテーマは、限りある人生を前向きに精一杯生きようとする姿勢にあると考えました。 人生は有限です。死んでしまえば取り返そうと思っても無理なのです。だからこそ人は精一杯生きなくてはなりません。そうすれば取り返しのつかないことなんて殆ど無いのだから。 |