School Days
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本作はフルアニメーションを売りにした18禁ゲームであります。アニメと言えばあのLOVERSを思い出すのですが、本作も一度発売延期をしました。それだけでは飽き足らずに発売後に恐ろしいほどのエラーが発生。1日に3回程の修正ファイルが公開され、公式サーバーはそれをDLしに来るユーザーでパンク。おかげでまったくゲームが先に進めなくなるなど、数々の問題を起こしました。 それはともかくとして、私が本作に期待したのはアニメーションによるHシーンであります(^^; 三角関係を匂わせてはいるものの、どうせストーリーなど小学生レベルの恋愛に毛が生えた程度のものだろうと思っており、飽くまでメインはアニメーションであると思っていたのです。それがまさかこんな展開を生み出す膨大且つ壮絶なゲームだったとは……。 *今回はテキストが無いため、項目をセリフに変えて評価しています。 人生は選択肢!? 攻略泣かせの多様なルート キャラクターですが、性格を置いておくならば一般受けする感じの至って標準的な顔ですね。クセの無い可愛い顔立ちです。ただ、影を誇張しすぎている気がします。そのせいか、色調も手伝ってやや全体的に暗く見えてしまいます。 肝心のアニメーションについて述べますと、あまりにも質が低いと言わざるを得ません。OPムービーは丁寧に作られていて、これは凄いと感じたのも束の間、本編のアニメは動きがかなり少ないです。キャラクターが喋ったりしている時には確かに口が動いて表情が変わったりするのですが、他の部分がまったく動きません。教室のシーンではキャラの口だけが動いてクラスメートは一切動いておりませんし、プールのシーンでも水が揺らめくなどの動きがまったくありません。ただの静止画なんです。キャラが歩いている時も、遠くから写すような形をとっているために小さな絵がカクカクと動いているようにしか見えずにいただけません。Hシーンはそこそこ動きが見られたものの、どうも稚拙と言うか手抜き感が否めない出来であったと言わざるを得ないのです。 しかし、ゲームを進める内にとあることに気付きます。このスクールデイズと言うゲーム、只者ではないのです。本作は選択肢を選ぶ、あるいはスルーすることによって各キャラの感情値が動いて話の展開が一転二転してゆくのですが(要はサクラ大戦のアドベンチャーパートと思って下さい)、分岐がとにかく凄まじく、エンディングの数がやたらと多い。一つ選択を外すと話の展開がコロっと変わります。まさしくアドベンチャーゲームとはかくあるべしというお手本のようなゲームなのです。最近ではCLANNADがゲーム性があるゲームでしたが、CLANNADを凌ぐ規模であります。二人のヒロインを巡る展開で何十にもストーリーの幅を広めたアドベンチャーゲームとしての素晴らしさ。これこそまさにスクールデイズの売りなのです。力を入れる方向がまったく予想外だったのですが、近年の軟弱な音声付紙芝居ゲームに比べると「遊び応え」のあるゲームであることには相違ないでしょう。 しかし問題点もありまして、どのような行動をとったかではなく感情ゲージの最終的な値のみでシナリオの方向が決まるシステムは、ゲーム性を重視しすぎたあまりにシナリオを捨ててしまった感があります。プレイヤーが悩みぬいて幾つもの選択をしても、何も選択肢を選ばずにスルーしてきた結果と感情値の合計が同じであれば同じ分岐に入ってしまうのです。感情面が重要な恋愛ストーリーを描く上でこれは少々まずい様な気もします。またストーリー上、若干の矛盾点が幾つか見受けられました。例……ネタバレなので伏せます。処女とであることを泰介に知られてはまずいのに、誠との初体験で泰介の目の前で破瓜の血を平気で流している光、言葉の差し出す映画チケットが世界の割引券と同じなど。この辺りをもう少し丁寧につくってくれれば良かったのですが。それでも、凄まじい分岐の中で滅茶苦茶な矛盾は見られなかったのは頑張った方ではあります。
驚くべきゲーム性もさることながら、スクールデイズの味噌は実はシナリオにありました。二人のヒロインに挟まれてどこまでも流される主人公伊藤誠。選択肢を選んだプレイヤーすら困惑させる行動をとり続ける彼は、久々に私の最低主人公ランキングを更新しました。伊波健を越えたましたね!(Memories Off 2nd批評参照) 自己中心的などという言葉では語りきれない身勝手な男が起こす、その場任せの行動の数々がヒロインたちを傷つける様をありありと描き、さらにそこから発生するイジメ、心神喪失などと言ったダークな現実世界をクローズアップする展開は、甘い恋愛物語を期待したプレイヤーの不快感を募らせることは間違い無し。さらに悪いことに、多数のエンディングを用意しておきながら、本作にはハッピーと言えるようなエンディングが無いのです。二股をかけて片方を諦めたから幸せだと思えるわけないじゃないか、とかそういうことではありません。片方を諦めても納得のいく決着をつけられたのならば、私はそれでまともなエンディングだと思えますので。つまり、私には本作の主人公伊藤誠は各ヒロインに対して最終的な決着をつけているようには思えないのです。最後の最後までどっち付かずの態度であり、おそらくエンディングの後も永遠に揺れ動き続けていると思います。こんな主人公に私は同感出来ないししたくもありません。折角これだけ膨大なシナリオを用意しているのだから、もう少し後味の良いエンディングを残しておいてくれても良いのではないのかと私は感じました。こういったダークな話しかないのでは、一体本作がプレイヤーに何を言いたかったのかがつかめないのです。テーマが見当たらない。もし、恋愛の厳しさ、難しさを語っているのだとすれば妥当ではありますが、それはそれで悲しいものがありますし直情的過ぎる表現としか。もう少し前向きな回答は導き出せなかったのでしょうか。 学園恋愛ものとしては色々な意味で異色中の異色。展開の激しさ、意外性では中々他作では見られないものが見られることでしょう。ですが、それだけに痛い話が苦手な方にはお勧め出来ません。 |