中古屋で見つけたゲームなのですが、パッケージを見た瞬間、感じました。
年に10タイトルこなせなくなってしまった今でも、まだ「当たり」は何となく分かるつもりです。
こういう感覚は「そして明日の世界より――」以来ですから、3年ぶりということになります。。
あの時4,000円ぐらいだった「明日せか」には、今プレミア価格が付いています。
「今回も俺の勘は正しいに違いない!」……そう過信してレジに直行しました。
昨年のゲームのようですが、果たして良作なのでしょうか。それとも……?
パッケージに必要空き容量が書いていないのですが、容量は2.58GB。ディスクレス可。
初回限定版として、設定資料集が付いてきます。なんかネタバレ的な匂いがするので読んでません。
1280×720のワイドモニタを推奨するだけあり、画面を一杯に使ったお洒落なタイトルになっています。
OPムービーに入るまでプロローグがありましたが、設定画面も凝っていて、全体的にデザインにセンスを感じます。
ただ……このOPムービー、多分未完成品ですね。
担当は神月社氏で、始まった直後まではイベントCG以外のパーツも使っていて凝った感じなんです。
しかし、しばらくするといつもの、イベントCGを適当にばらまくだけのものになってしまいます。
そして、歌が終わった後に全員のキャラ紹介とタイトルアップが続くという……。
歌と動画の尺が合わないなんてどう考えてもおかしいです。
……と思ったら、デモムービーを見る限りまったく問題ないですね。
え、なんで? どういうこと?
試しに並べて再生してみたんですが、明らかにゲームの方が動画再生速度が遅いですね。
必要スペックは満たしているんですが……。意味が分からん。回答求む。
まあ、本編には影響ないので気を取り直して進めていきます。
しっかし絵が綺麗だなぁ……。
このゲームを10分プレイしたら、誰もがそう思ってため息ついちゃったりするんじゃないでしょうか。
立ち絵にしてもイベントCGにしてもこのクラスはなかなかお目にかかれません。
それではヒロインファーストインプレッション!
◆佐々木佳織……器量よしの正統派ヒロイン
主人公と同居している「お嫁にしたい選手権」で3本の指に入るというヒロイン。
器量がクローズアップされていますが、綺麗と可愛いの中間ぐらいの端整が取れた顔立ちでもあります。
パッケージでも一番大きく描かれてますし、いわゆる正ヒロインのポジションにいます。
これといった特徴がないのが特徴。間違っても目からビームとかはやりません。
強烈な特徴付けがあまり行われなかった昔のゲームではよくいましたが、最近ではこの手の正ヒロインは絶滅危惧種かも。
個人的にはこういうノーマルなヒロインの方が好感を持てます。
どうでもいいですが、名前もゲームの登場人物とは思えないほど普通ですね。
◆支倉愛理……所属クラブのケンカ系会長
暴力キャラです。強引に物事を進め、けり倒しまくる理不尽の塊。
顔立ちは素朴で、声は意外と大人っぽい(CVはかわしまりの)。
あっさりサバサバした感じなので、憎めないキャラではあります。
◆古川ゆい……謎の転校生
夜の校舎で全裸で倒れていた謎過ぎる転校生。
介抱した主人公の名前を初対面にもかかわらず呼んでいるなど、シナリオでは一番重要なキャラと思われます。
公式サイトのキャラ紹介で、性別に「♀仕様」と書かれているんですが、仕様って何(^^;
しゃべり方がぎこちないし、ひょっとしてロボットなんですかね?
発見時のセリフから、未来から送り込まれてきた(もしくは主人公が送り込んだ)んじゃないかと推測しています。
Ever17とかシュタインズゲートに似たパターンじゃないかなぁ。
◆華宮凪沙……巨乳の令嬢
Sっ気たっぷりのお嬢様キャラです。
いまいち存在感がないんですが、一応攻略対象のはず。
声を当てている民安ともえって人を知らなかったので検索したんですが、結構出てるんですね……。
私も随分ゲームをプレイしてきたつもりですが、この人が出てるのは仏蘭西少女ぐらいしか持ってません。
こういうことってあるんですね〜。
以上。
4人ですか。意外と少ない? まあ、少ない方が気が楽なので良いです。
今回「外れ」キャラがいないので、誰から行こうか迷いますね……。
ゆいは物語の核心をつきそうなのでラストに回すとして、うーむ。
ここは一番無難そうな愛理からいってみましょうか。
愛理ルートに入れません……。
佳織ルートを外すような選択肢を選んでいるんですが、どうしても佳織ルートに入ってしまいます。
というか佳織かゆいかって主人公が言ってるし、他の2人は攻略出来ないんでしょうか。
あるとすればロックが掛かってるってこと。 あまりにも佳織一直線という展開なので、その線が濃厚ですね。
んー、折角愛理を狙おうって気になっていたのに、こういうことされると萎えるなぁ……。
佳織は可愛いし本命なんですが、それだけに後に残しておきたかったっていうのもありますし。
あまり考えたくないけれど、佳織を彼女にするのは共通ルートで、振るところから個別ルートに入るって展開も有りえなくはない、か。
そういう君望的な展開は想定して買っていないので、出来れば穏やかに進んでほしいものですが。
……まあ、ここはロックがあると信じて、最初からやり直して佳織寄りの選択をしてきます。
しかし、ゆいが●●なんだとすれば公式の「仕様」って何? 聞いたことないけれど●●も仕様っていうの?
こ、これは……私が恐れていた君望的展開じゃないかっ!?
佳織ルートに入って「きゃっきゃうふふ」のラブラブモードに突入したはずだったのに、まさかの急展開。
参った……。これは鬱ゲーかもしれない。
いや、全然良くないよっ!
すみません、予想外の展開に錯乱しています。
本当に予想外でした。パッケージにこの展開を臭わすワードなんて一つもなかったですよ!
いやー裏切られた! 良い意味でね!
佳織があんなことになったことは憂うべき事態ですが、話としては俄然面白くなって参りました。
2022年ですか〜! これですよこれ! こういうのをやりたかったんです!
さて、急いで続きをプレイせねば。
愛理ルートクリアー。
これぞツンデレの魅力……!
愛理というキャラクターはスーパーヒロインで、勉強も喧嘩もなんでも出来ます。
対する主人公は一般ピーポーなわけで、一見釣り合いがとれていないはずなんです。
それなのに、何故こんなに名コンビに見えてしまうのか……。しかもすごく自然体。
おそらく、愛理がツンデレながら意地っ張り過ぎないからでしょうね。
強いんだけど、ある程度は主人公を頼ってくるという殊勝な態度に好感が持てます。
何て言うのかな……バランスのとれたツンデレ?
それはツンデレというのか?という気もしますが。
とにかくインプレで「理不尽の塊」と書きましたが、これはかなり印象が変わりました。
それとanotherルートもクリアーしてみたのですが、これはどういう解釈をしたものでしょうかね……。
何が影響してメールの返信パターンが増えたのか? これがよく分かりません。
佳織のanotherはまだとっておいて、次の先輩ルートに突入します。
い、いかん……先輩、可愛すぎる……。
このところ趣向が変わってきたのか、年上キャラにも魅力を感じるようになってきたことは事実ですが……。
それにしても「なでなで」「きゅー」は反則ではないでしょうか?
このシナリオライター、愛理といい先輩といい、ギャップ萌えの使い方が実に上手い。
先輩の場合、小柄でナイスバディーという体格からしてギャップ萌えですし。
そして、極めつけはセバスチャンですよ。
一体なんなんだあいつ……!? 最高過ぎるんですが!
やはりこのゲームを買って正解でした。面白いです。
先輩……その寸止めは反則でしょう……。
というか主人公、どれだけ賢者なんだよ!と、小一時間問い詰めたい。
しかし、攻略対象なのにルート中、1度もHシーンがないというのも珍しいですね。anotherルートであるんでしょうけど。
佳織と愛理は通常ルートから本題に入っていましたが、先輩の場合は触りだけ。anotherルートこそが本題ってわけです。
で、辛抱たまらん!ということで、anotherもクリアーしてしまいましたよ。
何というか……先輩……そのプレイは反則でしょう……。
anotherに入った瞬間、女王様モードが炸裂してとんでもないことになってしまったんですが。
途中の「もうすぐ文化祭だから、そんな余裕があれば」っていう意味深なセリフは何だったんでしょうか?
どっちみちソフトSMじゃないかっ!?<道具は使わないんですけどね
そんなわけで、通常ルートの鬱憤が一気に晴らされるようなエロエロな展開でした。
シナリオはかなり薄いんですが所謂「王道」です。金持ちのお嬢様邸に突撃――といったら展開が分かっちゃいますかね。
敵役の男も嫌な奴じゃなかった(というか良い奴)ですし、全体的にハッピームードに包まれた内容でした。
しかし、通常ルートなんですが、佳織がバス停で包帯巻いてましたね。
そういうシーンはなかったはずなんですが、あれはミス? それとも何か秘密があるのか……。
さて、次はいよいよ最後のゆい編です。
ゆいルートクリアー。
こ、怖いよぉおおおお〜!
愛理さん、途中まで感動的な告白だったのに、最後は完全なヤンデレキャラになって……。
気持ちは痛いほど分かるんですが、最後の最後でこんな悪役になっているのは可哀相です。
もっと綺麗にまとめることだって出来たはずなのに何故? それは別ルートで明らかになるんでしょうか。
さて、物語の謎はこれでかなり解けたわけですが、この手のループものでいつも疑問になることがあります。
それは、卵が先か鶏が先かという問題です。
一体、どの時点の二人がゆいを送ったのか。そしてあの機械は誰が置いていったのか。
まあ、これを聞くのは野暮ってもんですかね。
ただ、これを送った二人は純粋に佳織とゆいのことを心配していたわけです。
愛理には酷だけれど、このゆい通常ルートはなかったことにしたい世界ではあります。
ゆいと佳織のanotherをクリアーすれば、本作も終了です。
佳織は最後の最後まで取っておいて、ゆいから攻略していきます。
違うよ、今すぐ佳織を止めろよっ!
って何度叫んだことでしょうか。物凄くヤキモキさせられましたが、本当に良かった……。
やっと、やっと佳織を救うことが出来ました。
皆、オラに元気を分けてくれてありがとう!<錯乱
まあ、冷静に考えると、何かもうあそこまでやったら因果とか関係ない気もしますが。
どの程度の行為が「気付かれる」か分かりませんが、佳織に干渉してはいけないってことなんですかね。
でも、面白かったし格好よかったからそれで良いことにします。
最後の最後でゆいが裸だった原因も分かったし。
卵か鶏かって問題は残りますが、このルートが原点だったわけですね。
さて、これで佳織anotherルートを堪能すれば終了かな。
……ってまだ真ルートがあるの!?
雪さん「私もいますよ。はい、温かい紅茶が入りましたよ」 YAMA「ありがとう。……いつも雪さんの入れてくれる紅茶は美味しいなあ」 雪さん「うふふ。ありがとうございます。それにしてもこのコーナー、とても久し振りな気がするのですが」 YAMA「Steins;Gate以来だから2年振りか……。忘れてたわけじゃない、忘れてたわけじゃないんだよ!?」 雪さん「えぇ、そうでしょうとも……」 YAMA「その静かな微笑がとても怖いです(涙)」 雪さん「仕方ありませんね。今日はクリスマスですし、楽しくいきましょうか」 YAMA「ふぅ、雪さんが優しくて助かった」 雪さん「ところで、このY.U.I.S.とは何でしょうか?」 YAMA「それがよく分からないんだ。突然現れたシステムなんだけど……」 雪さん「えぇと……『感情接続』と書かれていますね」 YAMA「緑の真っ直ぐな棒と赤い分裂した棒があって、赤い棒をくっ付けて緑にしなければならないとは思うんだけれど」 雪さん「下に日付とルートが出ていますよ」 YAMA「あ、本当だ。ゆいルートをクリアして出たってことは……」 雪さん「その日付でゆい寄りの選択をすれば良いということかもしれませんよ」 YAMA「流石は雪さん、頭の回転が速い」 雪さん「恐縮です」 YAMA「結局真ルートも一回クルアーしただけじゃ駄目みたいだし、意外と最後の最後で梃子摺らせてくれるな。まあ、スキップがスムーズだから一気にルートを回収するか」 雪さん「頑張って下さいね。私が応援しています」 YAMA「ありがとう。さて、最後にもうひと頑張りといきますか!」 |
真ルート&佳織anotherクリアー。これでコンプリートです。
色々なルートがありましたが、私にとっては佳織anotherが正史かなーと。
どのヒロインも好きですが、一人選べと言われれば佳織ですね。
昔からこういう一番近くにいる正統派ってのに弱いんで、当然の帰結というヤツかもしれません。
それと最後に「女の戦い」が用意されていたのは良かったです。
佳織の主人公に対する本気度が良く伝わり、さらにお気に入り度が上がりました。
◆総括
このゲームを一言で表すならループ物の王道となります。
ヒロインを助けるべく、試行錯誤して同じ日付を繰り返す――正に王道中の王道です。
救うヒロインが一人ではなく二人いるというところが少し新しいところでしょうか。
褒めるべき点は、その王道を手を抜かずに丁寧にバランス良く作ってきているところ。
テキスト、グラフィック、ゲーム性……文句のない仕上がりになっています。
グラフィックは先に書きましたが、テキストも無駄がなく大人の内容になっています。
1〜10まで説明するのではなく、5ぐらいまで書いて後は行間を読ませる内容なんですよ。
やはり論文を読んでいるわけではないので、これぐらいがくどくなくて丁度良いですね。
一方、キャラクターはあまり踏み込んだことが明かされないので、人によっては物足りなく感じるかもしれません。
例えば、家族構成や趣味、好きな食べ物など。趣味ぐらいは明かされて良いと思うのですが……。
それでも仲間意識を覚えるのは、ゲーム開始以前からの長い付き合いを感じさせるチームワークと会話のおかげでしょうね。
お勧め出来るか?といえば、ループ物が苦手でなければ、出来が良いのでお勧めします。
1周は3〜4時間程と短いのですが、1周ではエンディングに辿り着けません。
何周も似たような光景が繰り返されますので、そこだけ注意が必要です。
ループ大好きな私としては、良作と結論付け、本プレイ記を終了させていただきます。