好きっていう気持ちだけは、止まることを知らなかった。





























    華〜言えない〜














ガラガラと、教室のドアが開く音がした。
あたしもオオトリ君もビクリと反応し、そちらを見た。
流していた涙も、あたしはドアを開けた人物を見て涙が止まった。
涙が止まると同時に、体の動きも止まる。
体が、ガタガタ震えそうだ。
今逢いたくない。今のあたしには逃げる力も、拒絶する言葉もでてこない。
あたしはその人を凝視したまま。
オオトリ君が変に思いあたしの様子を伺う。





先輩?」
「オ、トリ・・・・くん」





『あたしをどこかにつれていって。』そう言いたかった。
でもそれを言う前に、あたしの言葉はその人に遮られた。
「よぅ・・・こんなとこでなにしてんだ?鳳に・・・。」
その言葉には何故か棘があって、場の雰囲気が一気に冷たくなる。
跡部という男はいつもそうだ。
なんだか人を引き寄せない雰囲気をもってるくせに、それなのに何故か周りには人が集まってくる。
女にはもてるし。俺様なのに、なのに皆から嫌われない。
2年前から、跡部はそういうやつだった。
あたしは敵視しながらも、惹かれて・・・・・・・。








あたしの頬に、さっきまでとはまた違う涙が流れる。
この前まで跡部を見るだけで襲ってきたあの吐き気も、嘘のようだ。
今跡部をみても何も襲ってこない。
好き。
その言葉だけが頭の中にある。
我慢してきた想いが、今爆発しそうになる。







「なんで・・・泣いてんだよ。」







今までに聞いた事がないほど優しい声で。
一歩一歩跡部は着実にあたしに近づいてくる。
普通のスピードなのに、あたしにはそれがスローモーションのようにゆっくりで。
でも、ここで跡部を受け入れちゃいけない。って、頭のどこかで叫んでる。
離れなきゃ・・・・逃げなきゃ・・・






「・・・っこない、で!」






その言葉に、オオトリ君も跡部もびっくりしているようだった。
あたし自身もびっくりしてる。
今のあたしの状態で、よく拒絶の言葉なんて言えたなって。






よく、人は良い思い出を美化して、さらに良い思い出にして、
記憶に残しちゃうんだ。ってきいたことがある。
最初はあたしもそうだった。
でも、あの事件からあたしの中の跡部の記憶は美化されるどころか、どんどんどんどん闇の中に沈んでいって。






まるでそれは、あたしがそうすることによってに謝っているよう。






「跡部・・・お願いだから、こっち、こないでよっ」






跡部の足が止まった。
眉間にしわをよせて・・・でもその顔はどこか寂しそうで。
そんな顔しないでよ。
もっと泣いちゃうじゃん。そんな顔みたら。
お願いだから、あんたは凛とした顔で、いてよ。
いつもどおりに・・・・いてよっ!







「あたし、教室もどる。」
ごめんね、オオトリ君。といってあたしは逃げるようにいた教室からでた。
跡部の横を通り過ぎる時、跡部がちっちゃい声でなにか言ったような気がするけど、わからない。
きこえたけど、その言葉の意味がわからないよ、跡部っ・・・
「     」
よけい、涙でちゃうじゃん。












パタパタと廊下を走る音が遠ざかるのをききながら、俺は必死に思考を働かせていた。
はっきり言って、今の状況が俺には全く理解できていない。
跡部先輩がいきなり現れて、それから場の雰囲気がなんだか冷たくなちゃって、
そしたらいきなり先輩が「くるな。」(もうちょっと違う言い方だったけど。)って言って、・・・・
で?
なんできちゃいけないんだ??
っていうか先輩と跡部先輩て知り合いだったんだ。
そりゃそうだよな。先輩のお姉さんだし、2人共同じ学年なんだから顔合わせるぐらいしたよな。
・・・・って何変なとこで納得してんだよ、俺は!
ま、まずわこの状況もどうにかしないと・・・・。



「あの・・・跡部、先輩?」
「・・・・なんだよ。」
「(ヒィッ!)えと、どうしたんですか?こんなところに・・・・。」
「・・・・別に。授業前にお前とあいつがこっちにくんの見えたから来てみただけだ。・・・・わりぃかよ?」
「ぃ、いえっ!別に悪い事なんてありません!・・・けど・・」
「なんだよ。」
先輩の様子が、少しおかしかったので・・・・。」
「・・・お前には関係ないことだ。」
「そうかもしれないですけど・・・・気になるんです!俺!」
「あぁ?」
先輩とは、さっき知り合ったぐらいの関係ですけど、
 でも、先輩のお姉さんだし、なんだか・・・ほっとけなくて・・・せ、先輩達の間に何かあったんですか?」
勇気をふりしぼってきいてみた。
気になることは本当だし、ほっとけないっていうのも本音だ。
俺なんかになにができるっていうわけじゃないけど、このままだと気になってテニスに集中なんてできない!!
「お前に関係ない。」
「教えて下さい!お願いします!」
「きいたって何ができるわけじゃねぇ。」
「そうですけど・・・何もしないよりはましです!」
「・・・・・そうかも、しれねぇな。」







それから跡部先輩は、ポツポツとだけど、今までのことを話し
はじめてくれた。







「本当は、誰かにきいてもらいたかったのかもしれねぇ。」







跡部先輩の口からそんな弱気な発言がでたのを少しびっくりし
ながらも、俺は跡部先輩の話を静かにきいていた。



  


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今までさぼっててすいません(汗)
ってか結局は涼ちゃんに頼ってる自分がいて情けないです。
久しぶりすぎて・・・なんか大変なことになっちゃってるし。
変な文章ですが、これからもお付き合い下さい。
2005.1.9 片桐茜



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