いつから、なんてわからない。 只必要で、側にいてほしいと思うようになってしまった。 その相手があいつだった。っていうだけ。 華〜初めて〜 俺にも意地があった。確かに俺はあいつと会話をして、世間で言う『友達』っていうやつになったはずだ。 『友達』までいかなくても『知り合い』ぐらいにはなったはず。 これは俺の思考であって、あいつにとってあれぐらいでは知り合いにもならないのかもしれない。 というのは考えないでおいた。 俺はともかく、たくさんあいつに話し掛けた。 しつこいって思うほど、くだらない内容でもあいつに話し掛けたんだ。 でもあいつの反応はかわらなくて、「うざい」とか言ってきやがる。 そんな言葉でも、返してくれて嬉しいと思っている俺はもうすでにあいつに溺れていた。 周りには喧嘩友達のように思われていた。(らしい。後で忍足に聞いた話しによると。) 俺にはそういった存在は初めてだし、むしろ今まで周りには同い年にみられてこなかったから、こういった関係のあいつには、俺は『初めて』だらけだった。 生意気な言葉をはかれてむかつかないのもあいつだけだったし、というかあいつの言葉には棘はあるもののどこか柔らかいものがあったからあまりむかつきはしなかった。 でもどんなに喧嘩をして、笑いあったとしてもあいつは俺に、妹にみせるような笑顔では笑わなかった。 桜の木の下でみせたあの笑顔も、遠い過去のように感じる。 だが、妹の前での笑顔といっても、妹の前だからといっていつも笑っているわけではない。 他の奴らが見ていないところで、2人っきりのときだけにみせている。 それを俺はたまたま見た。だから・・・どうしても見たくなった。 俺にもあの笑顔をみせてほしい。日に日に、その気持ちは大きくなる。 そんな事を思いながらも、時間は過ぎて行く。 小学校と違い、中学の時間の流れは凄い速く感じた。 あいつと一緒だったからなのか。 今が、どんどん過去にかわり、記憶にかわる。 中2になって、あいつとクラスが離れた。 正直ショックだった。 これじゃ俺とあいつの接点が全然ない。 落ち込みながらも、俺は新しいクラスにむかった。 だがまたそこで新しい出会いがあった。事の全てはそこから始まったといっても過言ではない。 クラスに入ると、あいつがいたんだ。 あいつとうりふたつの顔をした、あいつの妹が・・・・・。 だが俺はそこで少し驚いたものの、なんとも思わなかった。 こいつはの代わりになんてならないだろうし、ましてや中身が全然違う。 いつも友達に囲まれ、独りという時がない。 あいつにはそれがあった。独りで何処かをみつめている時が。 俺はその姿が綺麗だとも思ったし、あいつらしいとも思った。 だがこの妹にはこの光景は似合わないだろうし、『らしい』とは思わないが。 椅子に座り、ボンヤリとそんなことを考えていた。 するとあいつが話し掛けてきた。 「隣、跡部くん?あたしここの席なんだ!去年お姉ちゃんと同じクラスだったよね?? お姉ちゃんから色々と跡部君の話しきいてたんだ。 あたし、妹のです。よろしくね。」 あいつが俺の話しを、こいつにしてた・・・・? まさか。とは思うが、何故だか嬉しかった。 あいつの中にも、俺の存在はちゃんと認識されていた。確かにあいつの中に、俺との1年間が残されていた。 そう思うと、口が緩んだ。 「跡部君?何か嬉しい事でもあったの??・・・・あ、お姉ちゃん!」 俺の方を見て不思議そうな顔をしてたのが、ふと、名前を呼ばれたのかドアの方を見て嬉しそうな声をだした。 お姉ちゃん。ということはアイツがいるのか。 チラリ、とあいつが走っていったドアの方をみると、と目があった。お互い苦笑い。 は妹に何か渡して、すぐに自分の教室へと帰っていった。 こんなことも、これからはできなくなる。 そう思うと少し寂しく感じた。 同じ顔をして、同じ声をした奴が今日からは俺の隣で授業を受け、同じ教室で過ごすクラスメイトとなる。 自然と溜息がでた。 俺が望んだのは、こいつじゃない。 そう思いながら、俺は新学期、新学年を迎えた。 ← 華 → ---------------------------------------------------------- 名前変換少ないです。すいません。あいつとかこいつとか、偉そうな口調ですがそれが跡部様なのです。 この中2の一年間で彼らの運命はコロコロと少しずつ転がり始めていきます(たぶん。)。 なんで跡部と妹ちゃんが付き合うようになったのかとか、どんどん謎ときができてくる、はず・・・。 夏休みまでに終わらせるとか大口叩きましたがもうしばらくお付き合いください。 2005.7.21 片桐茜 |