戻れるならば、あの桜の華が舞い散る時に・・・・。












    華〜大切な笑顔〜















「跡部くん、おはよう!」
「・・・・あぁ。」


俺が毎朝の朝練から教室に戻ると、いつも挨拶をしてくる。
やたらと元気で、同じ顔でこんなにも違うのかと最初は戸惑っていた。
でも2ヶ月もたてば慣れて表情を変えずに返事ができるぐらいになった。


「毎朝朝練できつくないの?」


あと少しで朝のHRが始まる時間になったとき、は友達の輪から離れ、自分の席にもどってきた。
コロコロと変る表情。
女独特の高い声。
長い髪を二つにまとめて胸元にたなびかせる。
どれをみても、と似ている所(顔以外)がない。


「・・・もうすぐ試合だからな。仕方ねぇよ。」
「試合?跡部くんでるんだ!あたしみにいこうかな!」
「くんじゃねぇよ」
「えー、なんでぇ?応援はいっぱいいるほうがいいんだよ!そのほうが負けちゃいけない。っていうプレッシャーにもなるし、ここぞというときのやる気になってくれるからいいんだよ!
・・・・って、これお姉ちゃんが言ってたんだけどね。」
、が?」
「うん。お姉ちゃん小学生の時地元のミニバスはいっててね、強かったんだよ!」
「バスケ・・・・・。」
「お姉ちゃんそんなに背が高いわけでもなかったのにね、ドリブルしながら背の高い人たちの間スルスル抜けていって点いれて!
チームの要だったんだよ!」


自分の事のように嬉しそうに話すをみて、こいつがもてる理由が少しわかった気がした。


「お前、好きなんだな。」
「うん!大好きだよ!」


素直に好きと言えるこいつが少しうらやましい。


「だって普通の兄弟とも違ってさ、一緒に生れてきたんだもん。それって特別だし・・・・」
「特別だし?」
「なんたって自慢のお姉ちゃんだもん!」


嫌味じゃない。
こいつにとって姉の存在は絶対。
でも姉にとってこの妹は・・・・・・。


「あ、試合さ、お姉ちゃんと一緒にみにいくね。」
「あぁ!?」
「だって跡部くんとお姉ちゃんって仲良かったんでしょ?だったらさ、お姉ちゃんの声援もあったほうが嬉しいでしょ?」
「別に・・・仲良かったわけでもねぇよ。」
「そうなの?でも・・・・・。」
「ってか、試合くんじゃねぇよ。」
「えー!みたいよー!」
「くんな。」


そんな言い争いをしてたらすでに担任がきていて、いつのまにか静かになっていた教室の中で俺達の会話は目立っていた。


「跡部、。もういいかな?」
「・・・・はい。すいません。」
「ごめんなさーい」


クスクスと笑い声が聞こえる中。俺は少し恥ずかしい思いをした。










暑い夏。
俺は初めて、自分よりも強い奴に出会った。
残念なことにそいつは俺の相手ではなかった。
俺の先輩とあたり、そいつは俺と同い年のくせに先輩に勝った。
そして、俺達氷帝学園は負けた。
青春学園 手塚国光・・・・・・・。
今度は、俺が相手になってやる・・・。ぜってぇ負けねぇ。






試合後、先輩たちと別れて家の迎えの車にも乗らずにブラブラと歩いていた。
学校近くの公園のベンチに座っていた。
何を考えていたのか。負けたことについてか。それとも・・・・。
座ってから2時間ぐらいたったころ。もうあたりは暗くなってきていた。
そろそろ帰るかと腰をもちあげかけたところに、キャンキャンと犬の鳴き声がきこえた。
そっちの方をみると、暗くて顔がよくみえない・・・同じ年ぐらいの女が子犬を抱えて「シー!」と言い子犬をなだめようとしていた。


「・・・・・?」
「・・・・姉のほう、だよ。」
か・・・。」
「・・・のほうがよかった?」
「いや・・・・。」
「・・・・ごめん。あたしもう帰るから・・。」
「・・・。少し、はなさねぇか。」
「いいけど・・・・。」


子犬を抱えつったままのを隣に座るようにたもす。


「犬なんて飼ってたか・・・?」
「この前ね。が飼いたいって、親に頼んで・・・。うちの親、には弱いから。次の日にはこの子つれて帰って来たの。」


その時の光景を思い出しているのか。
少し笑いながら話してくれた。


「・・・・名前、は?」
「え!?名前は・・・・えっと・・・。」
「おいおい、犬の名前忘れてやんなよ。」
「忘れてないよ!・・・・・ケイ、だよ」
「ケイ?オスか?」
「うん・・・。」


決まりの悪そうに俯き、顔をそらす。
なんだ。と思ったがあえてそこにはつっこまなかった。
それから少し喋って、こいつを家まで送り届けると、家の前でウロウロしているがいた。


?」
「あ、お姉ちゃん!遅いから心配したんだよ!ケイゴが一緒だったから大丈夫だとは思ったけど、いつもより遅いから・・・・。あれ?跡部くん?」
、ホラ、あの!は、はやく家の中はいろっ!ね?!あの、跡部、送ってくれてありがとね!じゃ、あたしらこれで!」
「え?お姉ちゃん??どしたの??」


ハテナマークを頭につけたまま無理矢理妹を家の中に押し込む。


「おい!さっきお前・・・犬の名前はケイだって・・・」
「ああああああ跡部!!おやすみなさいね!あんたもはやく家かえんなよっ!」
「おい!話はまだ・・・!」


そそくさと家にはいろうとしているを止めようと思ったとき、こいつはまた、あの笑顔をみせた。


「試合、お疲れさま。またみにいく。跡部のプレイ、またみてみたいから・・・。」
「きて、たのか?」
「うん。」
「(気づかなかった・・・)」
「一生懸命な跡部、悔しいけどかっこよかったよ。」


認めるのが悔しい。というような顔をして少し顔を赤らめて家の中へとはいっていった。
俺は数分家の前でぼーぜんとたちつくし、我に帰った後、トボトボと家に帰った。
負けたことなどもう忘れ、さっきまでの光景が頭の中をぐるぐるとまわる。







次の日。
「犬の名前?ケイゴだよ。あ!そういえば跡部くんと同じ名前だね!誰がつけたかって?・・・・たしか、お姉ちゃんだったきがする。
犬みた瞬間、『ケイゴにしよう。』って・・・。でもなんでそんなこときくの??」





次の休み時間、あいつに会いに行こうか。
驚き慌てるあいつの顔が目に浮かぶ。




  

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バスケしてたのは自分です。ミニバスとかではないけどね。
小学校の部活で。ちなみにこんなにヒロインみたいに上手くないですけど!スラムダ○クに憧れてたんです。
犬はゴールデンレトリバーです!
もっと警察犬とかにしようか迷ったんですけど、ゴールデンの子犬はかわいいのでvvv

2005.9.2 片桐茜



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