Bravado from Anxiety |
一週間経った。 中丸はオレとの約束をちゃんと守ってくれてるようだ。 おかげで勉強がはかどるはかどる(笑) 自慢じゃないけど、中丸と二人きりで勉強会とかすると、毎回いつの間にかそういう状況になっちゃうんだよね。 勉強場所がオレか中丸の部屋っていうのも大きな原因だったかもしれないけれど。 そんなわけで、一週間は無事に過ぎた。
二週間経った。 そろそろ耐えきれなくなったらしい中丸に楽屋で襲われた。 かなり危うい状態のその時、田口がダジャレをとばして楽屋に入ってきてくれたから、呆れて一瞬力の抜けた中丸を蹴り飛ばして何とか逃れることが出来た。 「うっ、上田くん!大丈夫!?」 「あ、ありがと田口。お前のダジャレで助かった…」 「ん〜なんか納得いかないけど、まぁ良かったよ」 「…っ…う…っ、おい、モロ鳩尾入っ…」
三週間経った。 暫く見て見ぬ振りをしていた他のメンバーにも、中丸の発する怒ってるというか暗いというか…とにかく不快なオーラによって、多少の変化が見られるようになった。 例えばカメはビクビクしてるし、赤西はオレへ救いを求める視線を向ける回数が増えたし、聖は顔色伺ってから中丸に話しかけるようになったし。 ま、田口は目に見える変化はないんだけど。 「な〜あ上田ぁ〜。いい加減許してやればぁ?」 最近よく楽屋の隅っこで丸くなってる中丸を気にしつつ、赤西がオレに言う。 「ダメだよ、あと少しなんだから。せっかくいい具合に勉強できてんのに、ここで許したら全部水の泡じゃん。中丸に調子に乗られても困るしね」 問題集から目を離さずに答えると、今度はカメ。 「だってオレ、あんな中丸嫌だよ。怖いよ。どうにかしてよっ」 ひしっと赤西にしがみついてる。 あ、これってヤバいかも。 「大丈夫だよ、カメ。怖くないからね」 「仁…」 「仮に怖かったとしても、俺が守ってあげるから安心して?」 「うん♪」 おいおい。 「上田…お前が大変なのは分かるけど、俺らまで巻き込むなよ。っつーかカメちゃん怖がってるじゃん。可哀想とは思わねーの?」 「仁カッコイイっ!」 「そぉお〜?ありがとカメ♪」 「え〜お礼なんて。真実を言ったまでだもん」 「あ〜もう、カメちゃん可愛過ぎっ!」 あーあ、しっかり抱き合っちゃって。 すっかり二人の世界だし、もうオレのことなんか忘れてるよ絶対。 …こうやって呆れてはいるけど、実はちょっと羨ましかったりもする。 ベタベタするのもいいんだけど、カメたちはその中で常にお互いの愛情を表現しあって、そして確認しあってる。 きっと無意識だろうけど、オレと中丸の間にはないモノだから。 オレは亀梨みたいにベタベタ甘えるコトなんて出来ないし、中丸は中丸で二人きりになるとすぐコトに及ぼうとするから、あいつらみたいに恋人らしい語らいの時間って乏しいんじゃないだろうか。 もっと恋人らしいことがしたいのに…アイツは躰ばかり求めてくる。 嬉しくない訳じゃないけど、やっぱり寂しい。 中丸が欲しいのはオレの躰だけなの? 今回の罰ゲームの目的は、それを確かめることも含まれているんだよ、中丸。
あと何日、あと何日…。 あと何日我慢すりゃいいんだよっ。 俺だって健全なティーンエイジャーなんだから、辛いんだよ…。 身近にいるのに、無防備な躰晒してるのに、触れられない悲しさに加え、例のバカップルのおかげでますますブルー。 だいたい上田は何を考えてるのか。 確かに今までも模試前は遠慮してたけど、せいぜい一週間かそこらだったよ? 一ヶ月なんて俺が耐えられるわけないじゃん。 もしかして…俺とそーゆーコトすんの嫌になったのかも。 ありえる。 誘うのはいっつも俺だし、最初は絶対乗り気じゃない。 そのうち行為に溺れてくることは分かってるから、俺も敢えて止めなかったけど(止められなかったとも言う…) けど、本当はずっと拒んでいたとしたら? 知らないところで泣いていたとしたら? 俺は嫌がるアイツに行為を強要していたのかもしれない。 距離を置きたいと思うようになるのも、当然かもしれない。 だったら一ヶ月ぐらい…難しいけど、我慢してみるか。 その代わり、模試が終わったらこっちの欲求も満たして貰うけどね。
仁亀突っ走り中(笑)またやっちゃったって感じ。前半は姫の真意を、後半は前半でヘタレ扱いだった王子をもうちょっと持ち上げた感じですかね。前半はもう完全にコメディーですけど。カツンはコメディーっぽさ抜くのが難しいです。 |