君と僕の昨日と明日 -3- |
《加藤成亮Side》
やっぱり気になる、あの人…小山慶一郎くん。 いきなりBAD解散とか言われて驚いたのも束の間、新しいユニットで再び一緒になった。 彼は最年長だから自然とリーダーにされていたけど、彼を含め割と事務所入りして間もないメンバーが多いから、どちらかと言えばヤングチーム(チャイルドチームかも)に入るはずの僕が経験者って事でサブリーダーを務めることになってしまった。 つまり、自然と距離は近づくわけ。 呼び出される時も一緒の時が多いし、雑誌のカットだってペアのショットが多くなった。 その時々に彼をこっそり観察してみると本当に可愛らしい人だということが分かる。 まず仕事の時、隣でカメラのフラッシュを浴びてる姿は綺麗で、さすがアイドルって思う。 思いも寄らないインタビューをされて、おたおたしてる様子なんて、もう最高。 楽屋でも次々と彼のいろんな一面が見られる。 愛猫の話をしている時は、それはそれは幸せそうだし、草野や横尾とじゃれてる時なんて彼自身が猫みたい。 そして、そんな彼を見つめていると、小さな幸せを感じている僕がいる。 これ、この気持ち、心の底から暖かい何かが沸き出てくるような気持ち、確か経験がある。 その時の相手、東新くんに、彼のことや僕の気持ちを相談してみた。 場所は緑山スタジオ…僕達が出演しているドラマの収録現場。 撮影の休憩時間を見計らって、他の出演者の子達と楽しそうに遊んでる彼をそっと連れだした。 「…と、いうわけなんだ」 「ふ〜ん。いいんじゃない?」 「何が?」 「好き、なんでしょ、小山くんのこと」 「…うん、多分、そうだろうね」 しゃがんで壁にもたれてる僕と、腕組みして逆の壁にもたれて立ってる東新くんの冷めた会話。 会話だけじゃなく表情も冷たいし、もしかして怒ってる? 「あの…ゴメン」 「何に対する謝罪なの、それ」 「もしかして、怒ってるかなーって。その、こんな相談して」 「新しく好きになった人についての相談を元、恋人のオレにしてるから?」 …普通しないかな、やっぱり。 あわせる顔が無くて俯くと、東新くんがしゃがみ込んで僕の顔を覗き込んできた。 そしてにっこり。 かつて僕が好きになった笑顔で。 「違うよ。そうだね、怒ってるとしたら、『何を今更』。これかなやっぱり」 「今更?」 「シゲさ、前から小山くんのこと気になってたじゃん。オレ知ってたんだよね」 はい? 「だから別れようって言ったの。あの時は確かにお互い擦れ違ってばっかりだったし」 「そんな」 「オレのことしか見てなかったシゲが、オレのことを見てくれなくなって…気付くと小山くんばっかり見てんだもん。そんなのヤだった」 寂しそうに笑う東新くんを見て、今まで自分がどれだけ彼を傷付けていたかを知った。 「…ごめんね」 確かに僕だって彼を愛していた。 だから別れようって言われた時も相当ショックだったけど、そこまで彼を追いつめたのは他でもない僕自身だったんだ。 その上、また彼に恋愛相談なんかして…僕って最低だ。 「…気にすんな。もう終わったことだろ」 一つでも、歳の差って大きいな。 普段は可愛らしくてこっちの方が守ってあげないといけないような気がしてたのに、彼は自分より数段大人じゃないか。 「それより、ちゃんと小山くんに言うんだろうな?」 しっかり核心をついてくる東新くん。 「でも…男同士なんて」 彼からしたら有り得ない話だろう。 そもそも僕と東新くんが付き合っていたことだってどう思われていたか。 「僕は別にいいんだけど、小山くんはどう思うか分かんないから」 「あのなぁ、オレを振ったも同然なんだぞお前。これで小山くんとうまくいってくれなかったらオレの立場ってどうなるんだよ?」 呆れて溜息ついてる。 ゴメン東新くん。 やっぱり決心つかないや。 告白して、振られるどころか拒絶されたりしたら立ち直れないよ。 友達、仲間、ライバル…今の関係まで崩したくないから。
攻めサイドって何げに難しいです。受けサイドは不必要に乙女化しないようにするのが大変ですけど、攻めもどうやったら格好良く書けるのかが課題ですね。ウチは情けない攻めキャラが多過ぎなので、今回のシゲは慶ちゃんより大人っぽく(笑)かつ中2らしく子供っぽくを目指しています。格好良くなるかは別問題として(苦笑)それにしてもとーちんの扱いが…。いくら腹筋兄弟でも、田口さん並みに腹黒そう(すみません…)でも、彼は私の中で受けなのです。 |