「肉が薄いな」
「そうですか?」
「自分でも言っていただろう。ソルジャーの最初の適性検査に引っかかったと」
「ああ……それ、言わないで下さい」
まだソルジャーになる夢は諦められない。秘書の仕事も面白いし、何よりルーファウスの側に居られるのは魅力だったが……。
「十五にしては……と言われただろう?」
「そうなんです。筋肉のつき方が遅いみたいで……どんなにみんなと同じ訓練をしても、駄目なんですよ……」
落ち込みかけたクラウドを、ルーファウスは抱きしめる。
「骨が細いんだろうな。支えられる体の重さに限界があるから、身体が筋肉の量を抑えるんだ」
「そうなんでしょうか?」
「それ以外には考えられない。それに……」
ルーファウスはつるりとクラウドの背中から腰に指を滑らせる。
「随分と腰も細い」
「そ、そうですか?」
「この腰じゃ、筋肉の重みに耐えられないかもしれない……」
言いながら、腰から尻へ。そしてその狭間に触手を進めるルーファウス。
クラウドの身体が、目に見えて震え始める。
「あ、あの……ルーファウス様……」
「なんだ?」
「えっと……その……」
狭間の門を叩きつつ、指が、意思を持ってその周囲を揉み解している。
「どうした?」
胸元に顔を寄せたルーファウスは、判っているのだろうに意地悪く問いかけた。
「あ……の…………」
クラウドの身体が、熱をはらんで揺れる。
ぬるぬる滑る湯が、狭間の門に触れる指を怪しい動きに変えている。
それに。
胸の小さな突起に触れるか触れないかの位置で言葉を紡ぐルーファウス。
吐息がかかり、触れられてはいないのに、確実に送り込まれる感覚。
鋭くて、息が上がってしまう。
「しよう……クラウド……」
囁くような言葉で、唇が、とうとうクラウドの突起に触れてしまう。
「あ……」
走った衝撃に、思わず声を上げたクラウドは、切なく眉を寄せてルーファウスを見下ろし、その熱をはらんだ瞳に逆らえなくなってしまう。
唇が突起を挟み、その中心を舐める。
生暖かくて滑った。それでいてざらりとした感触が、クラウドの奥から信じられない快感を運んできた。
「やっ……」
初めてだ。他に、誰にも、こんなことをされたことはない。
「感じたか? ここも収縮した」
笑みを含んだ声でルーファウスが良い、同時に「ここ」を示すように狭間の門を叩く。
「ルー……ファウス様……」
まだ、一度も触れられていないのに、クラウドの中心も頭をもたげ、赤いゼリー湯が膜となって包んだ先端から、赤でない雫を溢している。
「感じやすいんだな……」
「そんな……」
「だが、私もそうだ。初めての子供みたいに興奮している」
証明するかのように、ルーファウスは体勢を変える。
それまで指が叩いていた狭間の門を、それよりも太いものがつつくのを、クラウドは感じた。
「ルーファウス……様……」
「恐いか?」
「いいえ……そうじゃなくて……」
恥ずかしい。
クラウドは、これ以上ない程頬を赤く染めて、小さく呟く。
「そんな、可愛いことを……」
「可愛いって……」
「私の忍耐力を試しているのか? それとも……」
ルーファウスは湯船の中に、クラウドが座りやすいように立てていた膝を伸ばした。
当然、その膝の上に座っていたクラウドの身体も湯に沈んで。
「ルーファウス様?」
予期できない動きに驚いたクラウドが、慌てて立ち上がろうとするのを押さえる。
「こうして……」
今度は膝ではなく、腹の上に腰掛けさせ、伸びた膝の方へ頭を倒すように告げる。
言われるままにルーファウスの足の上で仰向きに寝る形になったクラウド。頭は、湯船の縁が枕代わりとなった。
体勢がちょっと苦しかったが、逃げるつもりもなかった。
足を広げさせられた上、左右の縁の上に載せられる。
ルーファウスに向かって足を開いている形に、激しい羞恥が襲うが、膝を閉じることも許されなかった。
「しよう……クラウド……」
もう一度言われて、今度はクラウドもはっきりと答える。
「はい……して……下さい……」
とても恥ずかしかったが、これまでしないのがおかしいくらいに互いは互いを求めていた。
クラウドの腰の乗った膝の辺りを、今度は再び立てる。
上がった腰。足の間のその中心のものに指を巻きつけ、上下に扱く。
これくらいなら経験のあるだろうクラウドは、だが、激しく悶えた。
「あ……はっ……」
ぶるぶると足が震えている。
感じているのだろう。
ルーファウスは素直に快感を受け取るクラウドを可愛く思いながら、狭間の門に舌を這わせる。
都合良く、ゼリー湯が潤滑剤の代わりになりそうだった。
液体は柔らかくクラウドの入り口に溜まっている。
「ルーファウス……様……」
荒い呼吸の下、クラウドは何度もルーファウスの名を呼ぶ。
答えるように狭間の門を指で潜り――。
「やっ……!」
元来から、そこは性器ではない場所で、異物感が凄いだろう。
想像は出来るが、止めてやる気はさらさらない。
もう、欲しくて仕方ないのだ。
前後の刺激を交互に送り込んで、中を抉る指を増やしていく。
上げる声に涙が混じり始めたのに気付いて、一度体勢を入れ替えてキスを送ると、クラウドはくるくると首を振った。
「もう……大丈夫ですから……」
全身が求めている。
互いに、互いを。
ルーファウスは頷くと、指を引き抜き代わりに――。
「やぁ……も……」
激しい衝撃がクラウドを包んでいた。
前を執拗に愛撫され、後ろを激しく突かれる。
呼吸すらも満足に出来ないまま、ただ声を上げて過ぎた快楽に晒されていた。
「クラウド……」
「も……だめ……あっ……あぁ……」
断続的に襲ってくる快感の波。
すすり泣きに似た懇願が何度もルーファウスの耳に届く。
だけど、まだ足りない。
体位を何度も変え、イク寸前にせき止めている。自分も、クラウドも。
体内に渦巻く熱は臨界点を越え、ともすれば精神すら危ぶまれる程に互いを貪っている。
だけど、やっぱり足りない。
もっともっとと貪欲に求める欲望が、深すぎてルーファウスは驚く。
これまで一人の肉体にこんなにのめったことはない。
だが、クラウドだけは別だ。もっと、激しく。熱を超えて貪りたい。
放たないままの先走りだけで、クラウドの中はグチュグチュに濡れている。
突けば泡を含んで吐き出される液体。
淫猥で淫蕩で。
「も……や…だ…………っ」
なのに、クラウドの肉は、出て行こうとするルーファウスをきつく食む。
「や……やぁ……」
ゆっくりゆっくりとした突き上げを、ルーファウスは早めた。
後は勢いを増した快感に身をゆだねて、全ての欲望を互いに叩きつけるだけ。
「クラウド……」
涙に汚れたクラウドの頬を撫で、その半身をきつくこすり上げながら、ルーファウスは一際深く突き上げる。
「はっ……あぁ――っ!」
背をしならせてクラウドが、そして一瞬遅れてルーファウスが。
熱い印を互いに刻んだ。