「全部脱いで裸で待ってろ。その中に入っていてもいい」 スリップだけでも恥ずかしかったので、そう言って虎王くんがバスルームへ行ってくれて安心した。 だって服を脱ぐ所って凄く恥ずかしくない? 私はダメ。出来れば彼氏に脱がして欲しいタイプ。大胆に自分から誘ったり出来ないし、したこともない。けど‥もしかしたら裏を返せばねだりたくなるほどのセックスをしたことがないからだろうか。 それほどイイと思わせてくれるなら自分から誘ってもいいかもしれない。 とにかく達してしまった身体はまだまだ疼いていた。だって冬哉くんとじゃ実験してるみたいで。虎王くんと‥、少なくともやっぱり好きな男に抱かれたい。 また怒られてはいけないと、虎王くんがいないうちに全部を脱ぎ捨てた。そしてベッドの毛布の中に入る。 裸が隠されて安堵する。余裕が出来たのでバスルームに入った虎王くんを追う。 「冬哉、どうだった? 感想は?」 「えっ、あの、よっ‥よかった‥」 「初めてで感動したか」 「うっうん‥、でも‥先輩にもされてたし」 「それはしょうがないだろう。冬哉は中も一緒じゃないと快感に思う度合いが違うんだから。俺や狼帝とやるのと、女とやるのとどっちがいいか分かったろう。どうだ」 「でっでも‥俺だって男だし」 「それは心配するな。そこに愛情が加わったら2人でも大丈夫だと思うぞ。とにかく今はどうしたら一番気持ちよくイけるか、ってことだ」 「そ‥っか。俺って女の子としてもあんまり感じなかったらどうしようって思って心配しちゃったけど、さんに惚れてないからちょっと感じる度合いが少なかったんだね。よかった。うん、今は先輩とする方が気持ちいい」 「狼帝も、だろ?」 「え、うっうん‥。狼帝とも気持ち‥いい」 えーっ、私って男に負けてるの〜! なんかそれはそれでかなりショックだなぁ。けど、あの虎王くんに迫られたら、男女なんて区別は小さくてどうでもよくなるかも。 誰でもどんな人でも彼の手に掛かったら、あっさり落ちそうだと思った。 もしかしたら冬哉くんも落ちちゃったんだろうか。虎王くんから誰かを落とすって考えにくいけど、女の子に拘ってるように思える冬哉くんも自分から行ったって思えないなぁ。 ああん、そう言うこと聞きたいけど聞けない。噂話が好きな女を虎王くんが好きだとは思えないから。 1人で悶々としていたら2人は出てきた。 いっイヤ! 虎王くん、どうして濡れてるの。 私が凝視してるのに気が付くと、濡れた髪をかき上げて見せつけるように、ニヤリとした。 や‥だ‥。なんでこの男はこんなに格好いいんだろう。普通なら嫌みったらしくて、なんだこいつ? なんて思うのに。 そしてどうしてそこまで自分の格好良さを分かっているのだろうか。どうすれば相手が参るのか、それを全て理解しているんだろう。 凄い、こんなに凄い男と寝れるなんて。それだけでも相当儲けものだよね。 まるで芸能人と一度切りの付き合いをするように、ミーハーな気分も出てきてしまう。誰かに自慢したくて仕方なくなってしまう。 私って中高生の頃から堅いって言われていたのに。浮ついてないからキャーキャー騒いでる女の子の集団には馴染めなかったのに。 そっか、でも騒ぎたくなる男がいなかっただけなのだ。私もようやく自分のアイドルを見つけたのだ。 「あの、さん。ありがとうございました。俺、彼女が出来てもちゃんと出来そうな気がします」 冬哉くんは来たときとは打って変わって、かなりスッキリした顔でニッコリとした。最初はよほど緊張していたのだろう。 私にお礼を言うとそのまま出て行った。 バタン、とドアが閉まると今度は私がもの凄く緊張した。ビシッと音が聞こえそうなくらい心と身体が固まった。 虎王くんは大学へ通っているのと大差ない格好だった。 ブルージーンズに白のTシャツ、その上には薄灰色の麻のシャツ。 その辺にどこにでもいる普通の男の子と全然変わらない姿なのに、どうして彼だけが浮いて見えるんだろう。 けど、着ている物は変わらなくても中身が違うよね。 ジーパンはパッチリと張り詰めて、長い足は筋肉に包まれている。特に太もものあたりは、デニムの硬い生地をものともせずに動いた筋肉がハッキリ分かる。後ろから見てもキュッと上がったヒップは男の色気がにじみ出す。思わず触りたくなるし、実際は触られてるんじゃないかと思う。 羽織ったシャツの下に下着代わりに着ているTシャツは胸筋を映し出す。 パッと見は全然マッチョになんか見えないのに、ジッと見ると鍛えられていることに気が付いて身悶える。 それが抱き締められなんかしたら、その逞しさがモロに分かってたまんない。 単純に背が高くていい男、なんだけど味わうと深くて濃いもっともっと語り尽くしたくなるものを持っている。 その彼が今、私の前で濡れたままで立っている。どうしろって言うのか! 掻き上げられた髪は後ろへ流れ、綺麗な額が丸出しだ。どこを出しても恥ずかしくない顔って凄い。こんなに完璧なんて、どれだけでも眺めていたくなる。 Tシャツが張り付いて身体のラインがバッチリ分かる。虎王くんの色香が揺らめいている。 緊張で固まっていた私にまた容赦ない言葉が投げつけられた。 「どうして欲しいか自分で言えよ」 ええっ、そんなことまで説明しないといけないの? でっでも、ここでひるんだりしたら全て水の泡だ。一生に一度のこのチャンス。物にせずにはいられない。 「あっあの、抱いて下さい」 「俺が欲しいのか」 「はっ、はいっ」 「なら、俺をその気にさせてみろよ」 ベッドに入り込んだ私の前で立つ彼をその気にさせる‥。 今までのことでは彼は興奮していないのだろうか。だって19歳なんて言ったらヌード写真だけでも抜ける歳じゃない? 凄く不思議だったけど、その気になってないのかも気に掛かる。 思い切って抜け出すと裸を彼の前でさらけ出す。 そして虎王くんの服を脱がせ始めた。 私は素っ裸で彼の前に立ってシャツを脱がせた。それからTシャツを捲ってみる。胸の辺りまで上げるとさすがに後は自分で脱いでくれた。 うわっ、本当に見ただけじゃ分からない筋肉が腕の上げ下げだけで動いている。凄い。 思わず喉がゴクリと鳴った。 それからジーンズを脱がそうと思った。ボタンが固くて苦戦する。 裸なのも忘れ、虎王くんの腰に顔がくっつくくらいになって力を込める。 そこへ彼の手が‥伸びてきて私の胸をいきなり掴んだ。 「きゃっ」 ビックリして飛び上がり、一歩後退ってしまった。 それでもその手は離れずに、乳房を揉む。凄く大きな手で包まれてそれだけで興奮する。 「‥あ、‥や‥」 時折、手のひらのシワに先端を挟まれて刺激が走る。もう片方の手が肩を抱いて引き寄せられる。 「女としては上出来だな‥」 ほっ、誉められたと思っていいのだろうか。それほど比べられるほど女性経験も多いのだろうか。 「あ‥ん‥、虎王‥くんって、どれくらい‥経験してるの」 「女の数か。女はつまらないことを聞きたがるな」 だっ、だって。聞きたいじゃない。こんなに百戦錬磨だと。でもやっぱりみんなが聞くんだね。 「数えたこともないから分からないが、小学6年生から困ったことはないな」 「初体験が6年生!」 「俺の話をちゃんと聞いていたか。困ったことがないと言っただけだ。初めてやったのは4年生だったかな」 「よっ、4年生?」 4年生って‥えっと、10歳? 10歳だよね。10歳って射精出来るの? いっいえ、それよりも生まれてからたったの10年で経験しちゃったの? それっていいことだったのかな。どういったいきさつでそんなことになったんだろう。この虎王くんが興味本位でするって信じられないし。 「大変‥だったんだね」 なんだかそれはいいことではなかったようでそんな言葉が自然と出ていた。 ずっと胸を揉んでいた手が止まり、虎王くんは私の顎を掴んで顔をジッと見る。 「普通の女はそこでさすがね、って言うんだがな」 そうか、普通はそういう反応をするんだ。そうだよね、これで初体験が大学に入ってから、とかだったらちょっとがっかりかも。 予期せぬくらいのことじゃないと期待に応えられないんだ。このくらいの男になると。 えっ、とするとそれは喜ばせる為の嘘‥なのかな。 問い掛けるようなつもりで虎王くんを見つめた。 すると彼はそのまま顔を寄せてきた。 また‥キスされる‥。 うっ‥うん。裸で抱き締められてさっきとは感じ方が違ってくる。だってこれからやりますって言ってるようなものだもの。 彼の鼓動を、そして熱を、直接感じて興奮する。 もっと強く抱き締めて。 もっと激しく唇を吸って。 いつしか私は自分から虎王くんの首に腕を回してしがみついていた。 とろけるような熱さで舌は口中を蠢いている。ダメ、私はそれだけで倒れそうになる。 しっかりと抱き締められて愛し合ってる恋人よりも情熱的なキスを交わす。 グッタリするほどのキスを終えると虎王くんはニヤリとした。 「可愛がってやるよ」 もう、ひれ伏して「お願いします」と言いたいほどぞくぞくした‥。 |