休日の過ごし方6

 鷹神は俺の中に入れたモノを、腰を密着させたまま回す。中だけ掻き回されて息苦しくなる。少しでも苦しさを逃そうと自分も同じように腰を振ってしまう。

「冬哉先輩、気持ちいいんだ。張り切ってるね」
 あの声で、この大音響に負けないよう耳に口付けるように言われたら、脳まで痺れる。

「や‥張り切‥って、なん‥か‥、ない」
 それでも鷹神に合わせて裸で腰を振る俺は、どっからどう見ても悦んでいるようにしか見えないだろう。

「もう‥冬哉先輩の中って気持ち良すぎで、もたない。スパート掛けていい?」
 それまで掻き回してばかりいた鷹神が豪快に動き出した。

「あっ‥ああっ‥ああああっっ」
 中で鷹神が暴れ狂う。不自由な格好を強いられてる俺はその嵐をやり過ごすことも出来ない。いい所も苦しい所も全てに太いモノがぶち当たって来る。
 胸を摘んだままなので、そこも加減をしないで力を込められ上下に動く。下半身に張り付いている手も摩擦の速度が上がる。

 あん、どうしてみんな打ち合わせしてるように、俺の前には触ってくれないの?
 倒れていかないよう前で支えている虎王先輩に、触ってもらえないモノを擦り付けてしまう。

「お‥願い‥、ぁんんっ‥んん‥イ‥かせて」
 俺の願いが聞き届けられないうちに鷹神が最後の突きを繰り出して、俺の奥で果てた。


「いや‥もうイヤ‥。もう止めて」
 早く服を着せて欲しくて、止めて欲しいと願ってしまう。
「こんな状態で止めてもいいのか」
「や‥イかせて」
 早くイかせて欲しくて、さっきと違うことをお願いしてしまう。
「素直でいい子だ。どうしたらいいかよく考えるんだな」

 先輩はそう言うと俺の後ろに回った。鷹神が右側にずれ、狼帝が俺の前に来た。龍将が左足を持ち上げると虎王先輩が俺の中に一気に突き入った。

「ぁうっ‥」
 目の前の狼帝に顎を仰け反らしてもたれ掛かる。
 先輩は短いストロークでこそぐるように俺の中で動いている。鷹神の手は相変わらずのように胸にへばりついているし、龍将の手は先輩との結合部よりほんの少し上を指圧する。

 ん‥そこもここも気持ちいいんだけど、でも前も触って欲しいのに。
 先輩は考えろと言ったけど、俺に思考能力が残っているはずもなく‥。だけど狼帝の手は?
 狼帝の手は顎に掛かっていて、恥ずかしい俺の顔をジッと見ていた。

「ろーて‥イか‥せて?」
 狼帝はそれでも何も言わずに俺を見続ける。
「狼‥帝、お願い」
 後ろに先輩の巨大なモノを銜えたまま、喘ぎながらのお願いは無視されている。

「冬哉‥、ほんとにお前はこういう時、いい顔をする。衆人の中でするのがこれほど好きとは思わなかった」
 そっそんな‥。勝手にこんな姿にしておいてそんなことを言うなんて。だいたい狼帝が最初にしたんじゃないか。

「冬哉のその顔に俺はすぐに負けてしまいそうになる‥。だが俺がどうしていたか覚えてるか?」
 そこで俺は狼帝が怒っていたことを思い出した。そうじゃなきゃ狼帝からこういうことをしでかすのは珍しい。
 だから‥普段は狼帝が触ってる所だから誰も触ってくれなかったんだろうか。

「まっ‥まだ‥怒って‥るの」
 少し考えることが出来たのに、先輩の合図で龍将が俺の足を降ろした。先輩は後ろの手すりからはみ出したコンクリに腰掛けたようで、下から引っ張り上げられる感覚が無くなる。

 会場はラストに近づいていて、一番ノリのいい曲が始まった。ライブの時に必ずやるこの曲は観客との掛け合いが楽しくて、凄く盛り上がるのだ。
 ホールは床が壊れるんじゃないかと心配になるほど、みんなが足を踏みならし、その音も演奏の一部になる。観客と演奏者が一体になり、陶酔する。

 省吾‥ごめん。俺、一曲しかまともに聴いてないや。新曲も楽しみにしていたのに。歌ってる省吾ですらほとんど見てない。
 でも激しく縦ノリの出来る省吾の曲は、最高のBGMになってしまって。

「ほら、冬哉。お前自分で跳ねろ」
 先輩は後ろから俺の二の腕を掴んで倒れないようにすると、とんでもないことを命令した。
「むっ無理‥」
「この掛け合いの所が好きだって言ってただろう。みんなと同じに跳ねたらどうだ」

 先輩のモノは俺の下の口ギリギリで、自分でなんか動けない。だけど中からの刺激がなくなると物足りないのだ。羞恥心がまた戻ってくる前に、俺は曲に合わせて腰を振る。
 かかとを浮かせるくらいだけど、自分で中の先輩のモノに擦り付けると、これが結構気持ちいい。身体をくねらせて丁度いい角度に調節する。
 それに合わせて鷹神と龍将も刺激をくれる。

 俺はその体勢のまま何度も跳ねた。

 自分からこんなことをするなんて、その時の俺は狂っていたのかもしれない‥。このホール中の興奮が俺をおかしくしていたのだ。


 そして俺は行き着く所へ行ってしまう。頭の中はそれだけでいっぱいになってしまった。
「ろっ‥狼帝、お願‥い。イかせ‥て‥よ」
 でもまだ狼帝は怒っているのか、俺の顔を怖いくらいに睨んでいる。

 ううん、狼帝のことを怖いなんて思ったことは一度だってない。今だって怖いとは思ってないけど、それくらいに睨んでるのだ。だからやっぱり怒ってるってことで。
 狼帝は何を怒っているんだったか考える。そして思い出す。ほんとにまだこんなことで怒っているとは思えなかったけれど、他には何も思いつかなくて。

「狼帝‥、キッ‥キスして。だから‥イか‥せて」
 狼帝の顔は一瞬石のように固まった。

 え、はっ外した? と焦る間もなく俺は口付けられていた。狼帝は両手で俺の顔を挟み、思いっ切り密着させる。口は簡単に割られ、舌が侵入してくる。水音をさせながら舌を絡められて息苦しくなる。

 や‥。キスしたらイかせてくれるんじゃなかったの?
 そのとき、動きが止まってしまった俺の両足を、先輩は後ろから抱き上げた。
 それまで閉ざされていた股間をおっぴろげる羽目になる。

 や‥ヤダーッ。

 と叫んだ声は狼帝の喉に吸い取られた。

「狼帝、冬哉‥ムチャクチャ感じてるぞ」
 先輩にそう言われて狼帝の舌の動きが激しくなる。

「ぅぅ‥う‥んんっ」
 俺は‥俺は上の口も下の口も同時に犯されている。こんなとんでもない経験は初めてのことだった。

 200人もの人の中で裸に剥かれ、手錠に繋がれ、両足を広げ、股間を晒し、下の口には先輩の太いモノを銜え込み、上の口には狼帝の舌が入り込み、乳首を捏ねられ、充血したモノの根元を指圧され、それでもイけないことが不満な淫乱な俺。

 先輩の突きが激しくなってくる。苦しくて叫びたいのに口は塞がれている。
 俺のモノも出したくて張り詰める。イかせてと訴えたくても、開きっぱなしの口はピッタリ狼帝の口と合っている。

 ああ、こんな姿。誰にも見せられない。

「狼ちゃん夢中になってるよ」
「夢にまで見た冬哉先輩とのキスだからさ。飽きるまでやったらいいんじゃない」

 虎王先輩の間隔が短くなってきて、ようやく狼帝の左手が俺のモノを扱いてくれた。

「んんっ‥んっ‥んっ‥」
 やっと、やっとイけて快感が身体中に走り抜ける。
 先輩が達したのと俺が達したのとは、ほとんど同時だった。

 ビクビクと痙攣する俺の舌をしつこく吸う狼帝。それは俺が先輩に降ろされて、足が自由になって、狼帝の足を踏んづけるまで続いた。


 省吾たちの演奏は、アンコールでやった曲がちゃんと聴けた2曲目だった。
 ごめんね、次のライブはもう狼帝は誘わないから。中学の連れだけで来よう、と誓う俺だった。


 ホールは照明がついて明るくなる。みんなが見ていたんじゃないかと思うと、メチャクチャ恥ずかしい。俺は虎王先輩にくっついて、グレーのシャツに顔を半分埋める。

 ふと下を見れば、なっなんと‥!
 コンドームが5つ、足元に転がっていた。もちろん使用後で、入口は括られ、中にやらしいモノが入ってる。

 げー、こんなモノ転がしておいたら、何したか一目瞭然じゃん。
 俺はティッシュを2〜3枚重ねてそれらをまとめて拾うと、ゴミ箱を探す。ウロウロしてたら中学の同級生が話しかけてきた。

「冬哉、なにしてんだ」
 うひゃー、まっまずい。
「なに隠してんだよ」
 背中側にやった手が不審がられる。
「なっなっ何でもないっ」
 慌てて逃げ出すと、また違う同級生が。

 必死で走り回って、ようやくトイレというものがあることに気が付き、そこにゴミ箱を発見した。

 俺が一人で焦っている間に、神将兄弟と狼帝は先輩とは別に帰ることに話しがついていた。
「今日は狼ちゃんが来るから、姉貴が張り切ってご馳走作ってるんだよね」
「そうそう、美姫ちゃん料理上手いんだぜ」

 狼帝と鷹神は今度の選挙の演説の打ち合わせをするんだって。そんなこと初めて聞いたよ。それで狼帝だけは単車で来ていたのか。あれ、鷹神は後ろに乗るとして、龍将はどうするんだろう。
「駐車場までは一緒に行けばいいじゃない」
 普段と変わらず狼帝の顔を見た。

「俺も龍将たちに乗せてもらう‥から」
 それなのに狼帝は俺と視線を合わせて少しすると、耐えられないって感じでそれを外す。
「狼帝、まだ怒ってるの?」
 狼帝は鷹神の肩を掴んでそこへ軽く額を乗せ、それからちゃんと俺を見た。

「ヤキモチ妬いて悪かった」
 俺の頭をクシャクシャにしながら謝る狼帝の顔は、少しだけ赤くなっていた。

 なあんだ、怒ってたんじゃなくて照れてただけか。狼帝も可愛いんだよなぁ。ちらっと横を見れば先輩も同じ事を思っていたようで、ニヤニヤ笑いを浮かべていた。

 そうしてるうちに、ヘビメタ好きな黒い集団が一斉に俺たちの周りに集まってきた。
 そしてその集団の視線の先は龍将だった。
 なっ何? 何が起こったの?


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