時刻は既に夜の8時になっていた。 「冬哉、上見てみろ」 モーター音がして天井のサンルーフが開く。頭の上に満天の星空が広がった。 俺は嬉しくなってシートベルトを外すと立ち上がって顔を出した。 「わー、気持ちいい」 調子に乗ってシートへ上がって身体を乗り出した。上半身が風に当たりちょっと寒いけど凄く気分がいい。高い位置で風を切って走る。初めての体験でワクワクする。 だけど下から虎王先輩に注意される。 「おい、あまり乗り出すと危ないぞ」 そう言って俺のベルトを掴んで引っ張った。先輩に心配されるって言うのも気分いい。 程々に楽しんでからシートへ座った。先輩の言うことは聞かないと怒られちゃうから。この怒られる寸前って言うのを見誤ると大変なことになるのだ。 それから海水浴場の駐車場に車を停めた。 去年の夏に来たときはあんなに遠く感じたのに。ほんとはこんなに近かったなんて。 シーズン前の海水浴場はガランとして寂しい。シーズン中は夜だって花火してたりして賑やかなのに。 俺はさっそく海岸まで行くと靴と靴下を脱いだ。ズボンの裾を折り曲げると、波打ち際を歩いた。 「おい、こんな所で転けるなよ」 「大丈夫だって。先輩もつからない? 気持ちいいよ」 まだ海の水は冷たかったけど、でも素足に砂と波は気持ちがいい。子供の頃に還ったような気分で波と追い駆けっこをする。 こんな時は神将兄弟なら一緒に遊んでくれそうなのに。狼帝もやりそうもないから、王帝兄弟はノリが悪い。でも狼帝は一緒にやろうと無理に誘えば、絶対やってくれるとは思うけど。 先輩は波が来ない所で座って俺を眺めている。 あんまり待たせたら悪いかな。これで最後にしよう、そう決めて波が引いていくのを追いかけた。 わあ、今度の波はかなり大きく引いていく。少し段になっている所まで砂が見え、俺はそこまで追い掛けてしまった。 「冬哉。深追いすると‥」 と、虎王先輩が言った所で、俺は帰ってくる波と鉢合わせになる。 ヤバッ。 慌てて逃げたら、足がその少しの段差に引っ掛かる。お約束というか何というか。思いっ切り転けて四つん這いになった俺に、大きめの波が無情に被さった。 うわっ、ひどっ。 ベタベタの俺を見て先輩は笑いを堪えてる。そして立ち上がり、車の方へ行ってしまった。 ええっ、先輩の言うことを聞かなかったから無視されちゃったの? 情けない姿で立ち上がり、靴を持って歩き出した。確か駐車場に水道があったはず。取り敢えず足だけでも洗おう。こんな海水でベタ付いたままじゃ車にも乗せてもらえないだろうか。濡れねずみの俺は不安で泣きそうになりながら駐車場へ。 水道の方を向いたら、そこには虎王先輩がいた。 「先輩っ」 俺は嬉しくて駆け寄って抱き付こうとしたのに、先輩に頭を押さえて止められた。 「こら、俺まで濡れる」 ちぇっ、狼帝ならここで一緒に濡れてくれるのに。だけど先輩はスポーツバッグを持っていた。 「ほら、全部脱げ」 「ええっ、こっここで?」 「脱がなきゃどうしようもないだろう」 それはそうなんだけど。言ってる尻から先輩は俺のシャツを上に引っ張って脱がし、ズボンにも手を掛ける。 先輩に脱がされていると思うと、どうしても身体が疼く。それは今日のライブでかなり興奮していたことも響いていて、自分の意志で止められるものじゃなかった。 ズボンも脱がされてパンツに手が掛かる。 「や、パンツはダメ」 思わずそう叫んでいた。 「脱がずに洗うか?」 睨まれて大人しくするしかなくなった。先輩はなんの遠慮もなく俺の下着を剥ぎ取った。 「なんだ、お前は。やる気満々だな」 「ちっ違うもん。そんなこと思ってないけど、身体が勝手に反応するんだもん」 勃ち上がってしまった前を隠す俺のことなんてちっとも気にしてない風で、先輩はボディソープを手に付け身体に塗りつける。首から下へ向かって手がヌルヌルと這い、乳首を摘まれたら声が上がる。先輩はちょっとだけの意地悪でそのまま先へ進んだ。でもお尻へ来て割れ目を何度も往復されるともっと奥へも来て欲しくなる。もっと硬くなってしまったモノも擦られてゾクゾクする。 こんな所でマッパなのはライブの時と同じで凄く恥ずかしいのに、でも誰もいないからあの時よりはずっとマシで。だからずっと触って欲しかったのに、先輩の手はソープを継ぎ足して頭も一緒に洗った。 「さすがにシャンプーまでは持ってないからな」 先輩のスポーツバッグにはバレー部に参加するときの用意がそのまま入っていたようだ。先輩は部活のあともいつもシャンプーなんて使わないのだ。 頭のてっぺんから足の先まで石けんにまみれると、ホースを俺に向け栓をひねった。 「ヒャッ、つっ冷たい」 5月の夜はまだ寒い。おまけに裸に水を掛けられて凄く冷える。大きくなっていた所もあっさりと縮んだ。震えながら水を浴びてなんとか綺麗になった。 バスタオルよりも一回り小さいタオルで頭から身体までごしごしと拭かれ、先輩のバッグに入っていた替えTシャツを着せられた。それは凄く大きくて、尻も前もすっかり隠され、女の子のワンピースみたい。 やっとちょっと暖かくなったのに、俺の口からは盛大なくしゃみが飛び出していた。 「寒いか」 先輩は自分の着ていたシャツも脱いで俺に着せてくれた。先輩のぬくもりが残っていて、ほんとに暖かい。 その俺をブロックの上に座らせ、足も洗ってくれる。 「足を着けるなよ」 言われた通り足を上げたままでいると、俺を横抱きにして車まで運んでくれた。黒のTシャツ一枚の先輩はそんなに筋骨隆々には見えない。だけどこうやってしがみつくと厚い胸板が男らしくて羨ましい。 先輩にくっついていると寒さで縮んだモノが復活する。さっきの中途半端な刺激が物足りないのだ。シートへ乗せられても先輩の首に巻き付いた腕を解くことが出来なかった。 「冬哉、どうした」 「だって‥収まらない」 「なんだ。寒くて萎えてただろ。忙しいな。冬哉のモノは」 先輩は珍しく柔らかい笑い方をして、俺の濡れた頭を撫でた。 「ほら、足を開け」 そう命令して俺の足を開くとシャツもまくり、既に勃ち上がっているモノをさらけ出す。 サファリのシートは結構高い。ドアを開けたままで外に立っている先輩は、シートに腰掛けて足を外へ向けている俺の股間に顔を埋めた。 「先‥輩っ」 焦って閉じかけた俺の足を押さえたまま、先輩はそこで震えるモノを銜える。 「あっ‥ん」 今まで外気に触れて冷たい温度に慣れていたそこは、一気に口内へ放り込まれて熱さに火傷しそうになる。 先輩の手は俺の太ももから袋の付け根へ移動する。 あんっ‥。そこにも先輩の手が欲しい。俺が揺らす腰に先輩はすぐに気が付いてくれた。そしていったん口を離す。 「中も弄って欲しいか」 「‥ぅ‥ん」 恥ずかしくて小さな声で返事をする。先輩はポケットから潤滑剤の入った小さなボトルを取り出した。ついでにポケットティッシュも俺に投げる。 「ほら、足を上げろ」 後ろへ両手を着いて、足を高く上げ車のヘリに掛けた。 潤滑剤に濡れた先輩の指を俺の飢えたそこはあっさりと銜え込んだ。そして先輩は俺のモノをもう一度銜える。 欲しい所へ欲しいモノが届いて俺は凄く満足する。俺はセックスよりも、フェラされながら中を同時に弄られる方が感じる。誰かのモノが中に入るのは一つになった一体感や、銜え込んでると言う背徳感があって、またそれはそれで違った良さがあるんだけど、単純に快感だけで測るなら圧迫も苦しさもないこっちの方が断然気持ちいい。 狼帝はそれを分かってくれてるのか、一番好きな方法でイかせてくれることが多い。 でも先輩はあまりフェラはしてくれない。こうやって2人きりになって、こういう雰囲気になった時に初めてしてくれる。それでしてくれることに感動してすぐにイきたくなる。 「‥んんっ‥、せっ先‥輩‥。出‥ちゃう」 先輩はそう言っても、我慢しろと言わんばかりに口や中の指を動かすことを止めない。 「ぅくっ‥ほっ‥ほん‥と、に」 力が入って腰が上がる。もうダメ、と思うギリギリまで煽ってから先輩の口は離れ、俺の根元を掴んで止めた。 「やっ‥ぁ」 「イきたいか」 中の指は動かされ続けて俺の頂点は持続したままだ。上半身を支えるのを放棄して寝っ転がった。腰を揺らしながらイかせてくれるのを待つ。そして先端へティッシュを当てる。 「いっ、イき‥たい」 先輩が根元から手を放し、2度3度と扱いてくれて欲望を吐き出した。 「んん‥んっ‥んんっ‥ふぅん」 気持ち良くてどうかなりそう。何度も吐き出してようやく終わった。 「満足したか」 「う‥ん」 こんな場所で1人で股間をおっぴろげてイってしまったことが恥ずかしい。到達するまでは勢いがあるけど、終わった後の恥ずかしさはまた格別で。俺はそそくさと体勢を整えた。 先輩はドアを閉めると水道のそばに置きっぱなしの荷物や俺の服を取りに行く。後ろにそれは積んで靴と靴下だけ渡してくれた。 「さて、帰るとするか」 ガンガン暖房を焚いて頭も乾かす。先輩はちょっと暑そうだったけど、濡れた俺には丁度よくて、そのまま車の中で寝てしまった。 |