参戦4

「でも鷹神は虎王先輩に何を頼むの」
「ああ、それも聞いて欲しかった。さすが冬哉先輩。あのね、一つは王ちゃんとナンパに繰り出したいんだよ。王ちゃんならバンバン逆ナン狙えるし、一日でどのくらいの女の子がゲット出来るか、東京辺りへ出ていって試してみたいんだよね」
 えっ、それはちょっと面白そうかも。俺も混ぜて欲しいな。虎王先輩1人なら怖そうで、声なんて畏れ多くて掛けられないかもしれないけど、鷹神が一緒なら鷹神に声掛ければいいんだから掛けやすいはず。
「えっと、その時は俺も誘ってね」
「それなら冬哉先輩が落ちてくれたらすぐに叶うよ」
「そっそんでもう一つは?」
 まずいので無理矢理話題を変える。

「もう一つはね、白坂さんが欲しいんだよね、俺」
「白坂さんって、白坂会長?」
「そう、あの白坂さん。会長も務めた白坂麗子さん。王ちゃんの親衛隊長でもあり、公式に恋人とまで言われてるあの人」
「なんで? 白坂会長のこと好きなの」
「俺の周りにはいないタイプなんだよね。あそこまでキッチリカッチリしてる美女をメロメロにしてみたい」
 白坂会長と言えば、女の人で唯一虎王先輩を呼び捨てにする人で有名だ。狼帝の前の会長で、サボり気味な会計虎王先輩の仕事までキッチリこなしていたという。しっかり者の才女、俺よりも高い身長で凄い美人なんだけど、その冷たそうな雰囲気からクールビューティーなんてあだ名が付いていて、余り笑わない。だからせっかくモデルさんみたいな容姿なのにどっかちょっと地味な感じだった。
 でもそれが虎王先輩と並ぶと凄いお似合いなんだよね。クール&クールって感じで、二人でいるとその半径5メートル四方は凍てついて空気の透明度が増す感じ。

「でも白坂会長って先輩ファンにやっかまれて、ムチャクチャ虐められて、先輩のそばから離れるってひとこと言えば助かったのに、絶対言わなかった、と言う伝説の強者って噂だよ? それだけ虎王先輩に惚れてるのに?」
「だからさ、そう言う絶対に落ちなさそうな人を落とすのって燃えるでしょ」
「そんなの‥、もしも鷹神に本気になったらどうするの? 落ちたからもう要らないって捨てちゃうの? 人を物みたいに扱うのって良くないよ」
「やだなぁ、冬哉先輩。ゲームならゲームで、お高く止まって男を奴隷のようにしか思ってない女を狙うよ。でも俺が落としたいって思ってるのは本気。冬哉先輩を落としたいのも本気。白坂さんを落としたいのも本気」
「もしも両方落ちたらどうするの?」
「その時はごめん。冬哉先輩は狼ちゃんに引き取ってもらうから」
 ん、俺のことは冗談って分かってるけど、なんだかちょっとムッとしちゃう。でもそれだけ白坂会長には本気なんだ。

「でも見ただけじゃ性格まで分からないじゃん」
「ああそうか。冬哉先輩は知らなかったんだっけ。俺ね、高校受験の時は王ちゃんだけじゃなくて、白坂さんにも教わってたの。王ちゃんは理数系で彼女は文系って感じでね。でも結局は理数の方も白坂さんのノートだったけどね。王ちゃん、ノートなんて取らないから」
 虎王先輩、中学の問題なんて教科書丸ごと覚えてそう‥。
「美貌の家庭教師、教え子に襲われる、って酷く魅力的でしょ。どっかのエロビデオのタイトルみたいで」
「なっなに言ってるの、白坂会長のこと‥よく知ってるんだ。俺だってまともに話したことないのに。そっそんで‥襲っちゃった‥の?」
 鷹神なら有り得そうで怖いなぁ。
「それがさ、俺のテクで落としてやろうって頑張ってたんだけどさ。逆に高校に受かったら抱かせてあげるって言われて。そんな挑発に乗るものかって無視して迫ったら、受かる自信がないんだ? って小バカにされてカチンと来ちゃって。でね、受かったらやらせろ、とか言っちゃって。まんまと罠に嵌っちゃったんだよね」
「そっそんで受かったからどうなったの?」
「そんなの当然でしょ」
「ええ〜っ、やっちゃったんだ‥?」

 うそ‥白坂会長、あれだけ虎王先輩が好きそうなのに。気持ちが入ってない男に抱かれるのってどんなにイヤだったろうか。でも‥きっと虎王先輩に鷹神を受からせろ、って命令されてたんだろうな。だから身体張ってまで鷹神にやる気を起こさせたんだ‥。
 約束は守る人だろう。鷹神がやると言えばなんの躊躇もせずに受けそうだ。言った時点で確実にそこまでの覚悟をしていそうだった。

「あのさ、冬哉先輩。先輩は自分のこと好きでもない女の子を抱ける?」
「うっううん、そんなのダメ」
「俺だって一緒なの。好き嫌いの感情はなくて、セックスの相性が良い子は別だけど、俺は俺に恋してくれてる子しか抱かないの。まあセックスを楽しみたい相手の方が多いのは確かだけどね」
「えっ、そうなの? 鷹神のこと見直しちゃった」
「ふふん、惚れてくれた?」
「それとこれとは別。白坂会長も見直したんじゃない? ちゃんと高校には合格するわ、なのに無理強いはしないわで」
「う〜ん、それはどうかなぁ。ホテルまでは連れてっちゃったから」
 なんだ、感心して損した。

「でもね約束だからさっさと済ませてって態度だったのに、いざベッドの上に乗って抱き締めたら人形みたいなのよ。やっぱさあ、例え嫌いでも感情入ってないと気持ち悪いでしょ。それで聞いてみたんだよね」
「なんて?」
「『王ちゃんだったらもっと感動したり震えたりするの?』って。そしたら王ちゃんの名前が出た途端、もの凄いうっとりした顔してさ。『ううん、虎王に抱かれたらそんな感情なんて表現してる間もなく気絶してるわ』だって。心が他人にあるままで抱いたなんて言ったら男の沽券に関わるじゃんね。だからそっとキスしてそこからは何もしないって言ったのよ。そしたら『あら、いいの? 二度はないわよ』って。白坂さん、ほんとクールなんだから」
 う〜ん、さすが鷹神だなぁ。普通はそこまで行ったら止まれないよね。

「それでも諦めなかったの?」
「そう、もう絶対自分から抱いてって言わせようって心に決めたよ」
「そっ、それじゃ白坂会長のこと頑張ればいいじゃん。俺はほっておいてよ」
「でもさ、白坂さんよりも冬哉先輩の方が落としやすそうだもん」
「そっ、そんなの‥。虎王先輩に言われたから鷹神のとこに来たってまた前と一緒じゃん」
「うん、まあそれはそうなんだけどさ。あの頃はまだ子供だったからね。自分のプライドなんて障害にしかならないって分かってなかったんだ。どうせさ、マジで落ちたって王ちゃん教の信者は変わらないからさ、俺はそこも踏まえて一緒に居れたらって思うんだよね」
 あの頃は子供だった‥って。そんなに経ってないよ。それにどうしてその年で恋愛のこと悟っちゃった人みたいなの。

「狼ちゃん見てるとさ、勇気が沸いてくるって言うか、その気がなくったって毎日抱き締めて、大事にして、俺のこの自慢の一物を味わっていれば離れられなくなりそうじゃん。だからね、一緒に居れる切っ掛けが出来たらなんでもいいんだよね、俺としては」
 鷹神がそこまでマジだなんてもの凄いビックリ。楽しいことばかりを追求するタイプだと思ったのに。まあ、そこにセックス込みでってのが鷹神らしいけど。

「だから冬哉先輩、素直に落ちてね」
「嘘は無理だけど‥、でもそこまで白坂会長のことを思ってるなら、俺‥鷹神もいいかなぁって虎王先輩に言ってあげようか? 後でばれても俺がお仕置きされるだけだし‥。こっ怖いけどさ。とにかく鷹神の言う切っ掛けは作れそうだよ」
「おお〜、さすが冬哉先輩。優しいね。じゃあ俺の力になってね。これから毎日俺とセックスしてね」
「どっ、どうしてそんな話しになるの」
「だって俺と付き合う振りをしてくれるんでしょ? だったら、恋人同士なら毎日抱き合わなきゃ」
「そっそんなの‥‥。でっでも、今もほとんど毎日やってるじゃん」
「あんな衆人環視の中でやるのは、楽しいけど愛情がある訳じゃない。それに本当に好きならその相手の裸なんて他の誰にも見せたくないから」
「ヒャッ‥」

 この台詞を熱の籠もった息遣いで突然耳のそばで聞かされ、腰にズドンと響いてきた。目隠しされたままなので鷹神の表情は分からない。でも酷く情熱的に思えた。
 こんな風に囁き続けられたら俺‥、マジで落ちちゃいそう。どうしてこんなにいい声なんだろう。セックスと言うよりは、ただ抱き締められてこの声を聞かされ続けたら白坂会長だってもしかしたら落ちるかもしれない。恋愛感情が残念ながらあるようには見えない虎王先輩よりも、一緒にいて楽しい鷹神とくっついた方が幸せになれるかもしれない。

 俺に対してはこんな態度だし、自分だけがよければって感じだけど、惚れた相手ならもの凄く大事にそうだと思った。うっ、浮気はしちゃいそうだけど‥。
 でっでも‥、こんなに俺のこと好き勝手するくせに他の人には優しいなんて。ちょっと悔しいなぁ。
「ねえ、じゃあもうこんなことしないでよ。俺が虎王先輩にバラしたら終わっちゃうんだから普通にしようよ。気のある振りするんでもそう言う相手なら羞恥心なんて煽らないでしょ?」
「それはダメ。冬哉先輩を悦ばせることは最優先事項だから。ここだけは譲れない。王ちゃん、冬哉先輩が悦ぶことが一番だから」
 そっそんなのってないよ‥。この火照った身体を鎮めるにはやるしかないんだけど、でもこんな場所で、鷹神と2人っきりで、手錠に繋がれて、目隠しされて‥、絶対まともなセックスになるわけない。

 俺が危惧した通り、鷹神は無茶な要求を突き付けてきた。
「ほら、ちゃんとそこで四つん這いになって」
 仕方ないから鷹神に言われた通り、会議机の上で四つん這いになる。既にはだけている上半身は胸が丸出しだ。形になった途端、すぐにそこを引っ張られた。

「ああっん‥」
 見えない分、いきなり来る刺激がたまんない。両方が下へ引っ張られて砕けそうになる。
「相変わらず感度いいね。一度乳首だけでイけるか試してみようか?」
「むっ無理、絶対イけない。んんっ‥ダメ‥」
「そうだね、先輩って中も弄らないと前だけじゃ時間掛かるもんね」
 乳首は下を向いてることによって、重力でなけなしの肉や皮が集まってきたその上に乗っている。普段よりも柔らかい根元を簡単に摘まれて、ずらすように先端まで弄られるとほんともう耐えられない。胸を弄るのが大好きな鷹神はたった3本ずつの指しか使ってないのに俺をムチャクチャ喘がせる。

 やっやだ‥、気持ちいい‥、いいけどヤ‥。


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