参戦8

 ええっ、自分で持つの? それもこんなはしたない姿を保持するために?
 でもここでも目隠しの効果は大きかった。周りも見えなきゃ、自分の格好だって見えやしない。すなわちどれほど恥ずかしいかが分からなかったのだ。
 もちろん頭の中でははしたないって言う認識はあるよ。だけど実際に映像で見せ付けられるのと想像とでは雲泥の差があるのだ。
 いつまで待っても鷹神は動いてくれない。俺は諦めて自分の足を自分で持つ。

「冬哉先輩、俺が強要したんじゃなくて自分からそこを開いて見せてるんだよね?」
 さっきの言葉遊びの続きが始まったと思い、身構える。
「うっうん‥、鷹神に下の口の中まで触って欲しい。それで鷹神にイかせて欲しい」
 喘がされてないのでスルスルと言葉が出てくる。言わなくてもいいのに2回も鷹神の名前を呼んでしまった。

「ほんと冬哉先輩、今日は素直だね。最上に特上以上はないけど、たっぷりじっくり時間を掛けて思い切り気持ち良くしてあげる。楽しみにしててね」
「やっやだ。時間なんて掛けなくていいから、すぐにイかせて」
「もう、素直なままでいなよ。ほんとは嬉しいくせに」
 もう一回ヤダと言いたかったのに、それは鈴口を擦られて敵わなかった。まるで「うん」と返事をするかのように俺は喘いで返してしまう。
 俺の身体が痙攣したように震えたのを確認したのか、鷹神はすぐにそこから手を離し、下の口へ指を侵入させた。

「ああっ‥」
 俺の下の口は待ってましたとばかりにその指を咥え込む。そして一番いい所へ導いた。鷹神の指は導かれるままに進むとその場所へ辿り着く。
 到着した途端、初めから中に入ってきたのは3本の指だったのだけど、その3本と蟻の門渡りへ這わせた親指とで前立腺を挟んだのだ。
 なんの構えも無しにいきなり超敏感な所を揉まれて身体が飛び上がる。そんな俺の反応はお構いなしに、心臓の動きと似たような速度で揉み込まれる。

「やぁっ‥やっ止めて‥、ああっ‥、んんっ、あああ‥」
 発射寸前だった身体にこれはきつい。
「ひゃん‥ああん‥、イっイかせ‥て」
 もの凄く丁寧で細やかな前立腺マッサージ。龍将がやってくれる時間を掛けての力業とは違って身体がとろけそうになる。こちらの息遣いから脈動までを考慮しての揉み込み。たっ‥たまんない。
 おまけにまだ残った手の方の指が差し込まれ、それは両手で行われる。

「あーっ、あっあっあ‥」
 もうイきたくて堪らないくせに、その気持ち良さを永久に味わいたいとまで思ってしまう。一番重要な部分が最上の刺激を受けて、そこから俺の身体中の性感帯に指令が走る。
 今、お前はそこに刺激を受けているのだと。実際はなんにもされていない部分まで刺激を受けているのだと神経から命令がきて勘違いする。身体中が勝手に鳴いていた。


 鷹神にイかせてと喘ぎ続けてどのくらいの時間が経ったのだろうか。
 もう苦しくて死んじゃいそうなくらい我慢したような気がする。
 ついに俺は乾いた絶頂に達する。身体は間隔を開けて小刻みに震え出し、絶頂を長引かせるべく鷹神の指から出る刺激を待つ。
 ムニッ‥、ムニッと送られてくる信号は身体を痙攣させるのに重大な役目を果たしている。
 我慢するのに必死で自分の足首を力一杯握り締めていたんだけど、体力が無くなってきて力が抜けてきた。だってずっと頂点に登り詰めなんだよ? マジで耐えらんないってば。

 本当にこれ以上絶頂を見てたら死んじゃう‥と思い始めた頃、身体の痙攣は収束を迎えた。少しずつ衰えが見えてきたのだ。
 そのタイミングを待っていたのか鷹神は指を抜き、再度侵入してきた。

「いやあっ、ああっ‥」
 もう限界だったのに、まだもう一つ太くて硬いモノが入ってきて死にそうになる。俺は痙攣を続け、鷹神もその波に引き摺り込む。
「ハッ‥アア‥、ハッ‥ハッ‥‥、ああ‥、ハッ‥フッ‥あああ‥」
 絶頂をみながら突かれる。これほど大きな刺激はない。ずっと震度最大の地震が続いているのだ。普通の人間なら耐えられないってば。でも俺は耐えている。足を放り出して、鷹神を蹴り飛ばせばいいのに。そんでもって自分で扱いたらいいのに‥。

 んんっ? 自分で?

 そこでようやく俺は気が付いた。俺の手はよくやられるように手錠は掛かっているけど、いつものように後ろ手ではなく、前にあるのだ。アイマスクも取れればマスもかける。
 その事実に気付くと、片足だけを解放し、アイマスクを取ってみた。
「ヤッ、ヤダ!」
 鷹神が引き摺って持ってきたのは軽いイスなんかではなかった。よく考えたら分かりそうなのに。そんな軽い音じゃ無かったんだから。

 それは会長の机だったのだ。俺はその上に寝かされ、自ら足を持ってそこを晒してる。そして机は窓と平行に置かれ、運動場が校舎から遠い方が半分見えていた。
 すなわち、俺から見える向こうに人がいれば俺の姿は丸見えってことだ。
「イヤーッ」
 その姿を晒してるって認識した途端、俺の身体の感度は最高潮に達した。
 終わりかけていた絶頂は復活し、ペニスからは白いモノが押し出される。
 恥ずかしさの余り全身に力が入り、それが溜まっていたモノを噴き出させる。ううん、それだけ感じてしまったと言うことだろうか。

 俺は窓の外を見張りつつ、自分のモノに手を絡める。自分でしてる方が絶対に恥ずかしいのに、それでもその手を止める理性は残されてなかった。
「おっ、冬哉先輩、さすがだね。ハッ、フッ‥、見せながらイったら最高に‥、気持ち‥いいよ。手が‥足りなくて、ごめん」
 鷹神は片手で腰を支えつつ、乳首にもう一つの手を伸ばす。

「ああっ」
 鷹神の言葉を借りるなら「最高で最上に特上」が付いた刺激を受けて俺は撃沈した。
「アアーーっっ」
 咆吼をあげながら吐き出す。気持ち良すぎて死にそうになる。それでも満足行くまで吐き出し続けたのだ。
 鷹神も一緒に到達し、第一ラウンドは終了したのだった。


「冬哉先輩、気持ち良かった?」
 そんなこと答えられる訳がないんだけど、ここでもさっきの言葉遊びが効いている。
「う‥うん‥、鷹神は?」
「俺は超良かった。冬哉先輩の下の口には敵いません」
「だっ、だから俺がテク持ってるような言い方するのは止めてよ。俺‥別にこんなとこを鍛えたり、研究したりなんてしてないんだから」
「そんなことないでしょ。身体がね、自然と快感が得られる方向へ動いてるんだよ。一体今までに何回くらい俺たちのモノを銜えてると思ってるの。培ってきた経験ってのがあるんだよ」
 うっ、数でこられると反論できない。だって数え切れないもん、セックスした回数なんて。

「それよりほら、急いで」
 鷹神はそれだけ言い放つと、ウェットティッシュを投げてよこす。
 ちえっ、王帝兄弟だとイスまで引いてくれちゃう最高級レストランなのに、神将兄弟だとアッと言う間にセルフサービスになっちゃう。
 ゴムを外し、自分のモノを綺麗にしてる鷹神に習い、俺も尻を拭いて飛び散った残滓を拭き取った。

 凄いことしてたのに、チャイムが聞こえ時計を見れば5時限目の終わりだと告げる。
 ええっ、まだ1時間なの?
 あっ、でも昼休みの終わりからだったし、なんせ鷹神はイこうと思えば突っ込んでさえいればいつでもイける絶倫。しっかりかかったのは前立腺マッサージの時だけか。
 お腹を拭いて未だにジンジンと刺激を送ってくる胸も次に拭こうとした。そこで初めて突起にくっついていたものを見た。

「何これ」
 それはハートの形をしたクリップだった。
 すぐに取ろうとして鷹神に止められる。

「あっ、ダメダメ。俺の恋人ならその証しがないとね」
「いっ、いつ恋人になったの?!」
「あっれ〜、冬哉先輩うそ付くんだ? さっき振りしてくれるって言ったじゃん」
「そう、振りでしょ、振り。虎王先輩の前で証言してあげるからいいじゃん」
「そんなことであの王ちゃんの目を眩ませるとでも思ってるの?」
「えっ‥、やっやっぱ無理‥かな?」
「ムリムリ、100パーセント不可能」

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