参戦10

 疼いてはいたけど、何とか微笑むことも出来て、無事に授業は終了した。先生が出て行った途端、仲の良い奴らがわらわらと寄ってくる。
「冬哉、5時限目はどうしたんだよ」
「おお、都築が凄い顔してたぞ」
「怖かったよなぁ。超怖い顔しながら黙々と冬哉の机とイスを担いでる狼帝」
 みんなして狼帝が怖いと騒ぐ。

「ねえ、俺の机ってどうしてたの?」
「ああ、冬哉のサボりがばれないよう、机を特活室へ隠してたんだ」
「えっ、机がないとばれないの?」
「バカだな。先公は空いてる机があるから確認するんだろ。無かったらどうだよ?」
「そっか」
 そうか、そういうことか。空いてる机が無ければ先生だってまずは気付かないよね。

「おまけにお前に髪型と色が似てる佐藤を自分の後ろへ座らせて」
「そうだよ、1時間ずっと寝てろって言われてさぁ」
「ひゃあー、佐藤、ごめん」
「ああ、まあ、いいよ。冬哉のためだしな」
 そう佐藤が俺に恩を着せた所で狼帝に首根っこを掴まれた。

「お前も納得しただろう」
「うあっ、都築」
「こいつには今日の宿題分のノートを貸し出すことで話しが付いている」
「なんだと! 佐藤、てめえ〜」
「そのノート。俺たちにも見せろ」
 佐藤が袋叩きに遭ってる隙に狼帝に連れ出された。

「で、冬哉は何をやってたんだ?」
 ひぇっ、ど‥どうしよう‥。
「まあ、大体の察しは付くがな。虎王まで使って俺が来るのを阻止したってことは、生徒会室でヤってたんだろ」
 うわっ、全部すっかりばれてるよ‥。
「大体お前はあんな色っぽい顔でその辺をフラフラしてるんじゃない。モデルにしたのだって失敗だったと後悔したぞ」
「だっだって、鷹神が」
「鷹神のせいじゃないだろ。お前、昼休みに触られて我慢できなかったんだろ?」
「うっ‥うん‥」
 あ〜ん、全てお見通しだよ。狼帝って凄いなぁ。

「そう言うときはまず俺に言え。なんのためにそばにいると思ってるんだ」
「だって‥、狼帝とは学校でヤったことないし‥、授業が始まっちゃったらサボらないといけない所だったし」
「そんなの、トイレで一発抜いてやるから気にしなくていい。時間だってそうはかからん」
「うん、分かった‥。これから、って言うか、今からそうするよ」
「今から?」
「あんなことの後にみんなに見られて堪んなかったから。だから‥して?」
 狼帝にしてもらえると思った途端、我慢していたものが吹き出してくる。おまけに胸に付いた飾りがとんでもない悪さをしてくる。

 けれどさすがに今すぐと言われ、狼帝は考え込んでしまった。うっ、失敗したかな。いくらなんでも鷹神としてきた後にこれって、凄い淫乱って思われちゃったんだろうか。
「ごっ、ごめん‥。今の無し。聞かなかったことにして」
 狼帝は本当に呆れてしまったのか、俺をその場に待たせて教室へ行ってしまった。

 ああっ、ダメ‥。狼帝に呆れ返られても身体の疼きは収まらない。こうなったらもう一度鷹神を呼び出そうかと思った所へ、狼帝が戻ってきた。俺の荷物も一緒に。
 そして荷物だけでも重たいのに俺までおぶさってくれる。歩きにくかったから有り難かったけど、狼帝大丈夫かなぁ。俺、53キロあるのに。
 心配をよそに狼帝はすっくと立ち上がり、ふらつきもせず早足で校舎を後にする。校門にはタクシーが待機していたのだった。

 後から連れに聞いた所によれば、狼帝はホームルームが始まると言うのに、サッサと自分と俺の荷物をまとめ、先生には自分の気分が悪いから帰ると告げ、狼帝の気分が悪かったはずなのに、俺をおぶってる姿が教室内から発見され、大変な騒ぎになっていたらしい。
 ろーて‥、俺のことになるとほんと見境ないんだから。友達としてはそりゃすっごい嬉しいんだけど、こう言う時は注意してくれるのが本当じゃないのかなぁ。
 でっ、でも‥、タクシーに超高速で帰ってもらって、狼帝の部屋でエッチした時は、もう最高に気持ち良かったよ。
 さすがに俺は一回しか無理だったけどね。狼帝は溜まっていたのかな。昼休みのあのイタズラから、狼帝も色々と我慢してたなんて想像も付かなかった俺は、胸に付いたクリップを見て、彼がどんな思いでいたかなんて知る由もなかったのだった。


 そして次の日。いつものように朝っぱらから電車の中で狼帝に抱き付くようにして喘いでいたら、鷹神と龍将が追加された。
 やんっ‥、もう朝から耐えられない。後ろから抱き付いてきた鷹神はいつものようにシャツのボタンを外し、いつものように胸の突起を摘んできた。狼帝に抱き締められ、あそこを握られていた俺は小さく声をあげる。
 普段なら「気持ちいい?」とか「感じてるね」とか言うのに今日はちょっと変だった。

「あれ、冬哉先輩。俺の証しはどうしたの?」
 いつもの気持ちいい触り方ではなく、責めるようなやり方で力が入る。
「やっ、あん‥」
 きつい刺激で狼帝によりいっそうしがみついてしまう。返事をしようと思っても、龍将の指が後ろの穴から侵入してきて言葉にならない。
「やっやめ‥」
 いっぺんに送られる刺激はきつすぎて耐えられない。なんとか緩めてもらおうと懇願してしまう。そんな俺の顎に手をかけ、狼帝はジッと俺の顔を見つめてる。
 こんな顔、恥ずかしくて見られたくないのに。快感を逃すことで精一杯な俺は、なんの抵抗も出来ない。毎日見られてるのに、全然慣れることがないのはどうしてなんだろう。

「ほら、先輩。返事は?」
 質問の最後でキュッと捻られて返事なんて出来なかった。
「あ、やっ‥、ダメ‥、あん‥」
 何度聞かれても喘ぎでしか返せない。おまけに耳のそばで直撃を食らって感度が急上昇する。
「あん、ダメ‥出ちゃう」
 快感に身を任せ、最高に気持ちのいい瞬間を迎えようとしたその時、なんと狼帝が根元を掴んで止めたのだ。

「ヤダ、狼帝。イけない!」
 苦しくて身悶えする俺のことなんてどうでもいいのか、狼帝まで鷹神の味方になる。
「冬哉、俺も聞きたいな。どうしてそんなものを付ける必要があるのか」
 俺の返事に痺れを切らしていた鷹神は、二つのクリップを昨日と同じように付け終わった所だった。
「ああっ、やっ、外して」
 あれだけ昨日は俺のこと分かってくれていたのに、今日の狼帝は意地悪だ。そう言えば朝からちょっとおかしかったかな。

「冬哉は外してくれと言ってるぞ」
「またまたぁ、冬哉先輩の上の口は嘘つきだって狼ちゃんも知ってるじゃん。見てよ、この気持ち良さそうな顔」
 クリップの付いた胸を弄っていた片方の手を外すと、俺の顎に手を掛け狼帝の方を向かせる。丁度狼帝は片手を根元を押さえるのに使ってしまったので、顔からは離れていたのだ。でも根元を押さえつつ、先端もゴムの上からであっても圧力を掛けて回されて死にそうになっていた。

 そこへクリップ付きの刺激が加わり、中からの刺激に上乗せされ、もうなにも考えられない。狼帝にしがみついて、仰け反らせられる限界まで身体を突っ張っていた。
 俺の顔を見てなにも言えなくなった狼帝に鷹神はさらに追い打ちを掛ける。
「ね、冬哉先輩。気持ち良くてたまんないよね。おまけに俺の物だって証拠にずっと付けてくれるんだよね」
「あっ‥ダメ、ヤ‥‥イか‥せて。お‥願い」
 また鷹神に強めに摘まれて声が出なくなる。そこへマイペースな龍将が割って入った。

「今日、俺の番だよね」
 確認のためだけに呟いたのか、誰の返事も待たずに俺の両足を抱き抱え、尻を露出させると突っ込んできた。
「うっ‥くっ‥」
 いきなりの侵入に身体は身構え、呻き声が漏れる。
「冬哉さん、締めすぎ、きついって」
 そう言いながらもきっちり奥まで収めた龍将は動き出した。
 後ろからは突かれ、前は止められ、先端は弄られ、胸には変なモノを付けられ、強めに磨り潰されて、マジで死にそう‥。たまんない、早く解放して。
「あっ‥‥はっ‥、ん‥、ん‥」
「あ〜あ、こうなったらもう返事も出来ないね。とにかく昨日見せたように、冬哉先輩は自ら俺とやりたいって言ったし、俺が一番いいんだって。だから付き合うのもオッケーしてくれたわけ。もっかい見てみたら?」

 鷹神は俺の顎から手を離すと、自分の携帯を取り出し、何かを表示させ狼帝に見せた。
 それを見た狼帝の表情は曇り、固まる。
「なになに、俺にも見せてよ」
 俺の後ろから今までマイペースだった龍将が話しに参加する。鷹神は気軽に携帯をこちらに向けた。
 するとそこに表示されていたのは、動画で撮られていた昨日の俺だったのだ。
 返事も出来ないような状態だったくせに、俺はそのエロいシーンには反応する。
 ヤダッ‥、と思った瞬間には身体中に電気が走った。
「ひゅー、冬哉さん、欲しくてたまんないんだ?」
 余りにも締め付けたためか、俺の中にいた龍将はドクンと脈を打って、も一つ硬くなる。

 だって自分で足を持って下の口を見せびらかしてるんだもん。開脚は手錠の所為で出来ないにしても、強制されてるとか、無理矢理やらされているようには絶対に見えなかった。
 おまけに発射を止められても嬉しいと返事をしてる始末。ううん、これは丁度その時に鷹神が俺の弱い鈴口を弄ったから、声が漏れて返事をしたみたいになっただけなんだけど。そんなの本人じゃないと分からない。
 いや、鷹神本人にしか分からないのかも‥。
 俺も本当はどうだったかなんて記憶が曖昧になってきてるから。
 も‥、こんな刺激の中じゃ何もかもが快感を感じる方向へ動いてる気がする。

 龍将の激しい突きに耐えられなくなって、狼帝にお願いする。
「イ‥かせて。ろーて‥、イか‥せて」
 動画はほんの一瞬だったにもかかわらず、狼帝はまだ固まっていた。固まると言っても惰性でなのか先端の回転は止まらないし、根元は堰き止められたままだったけど。
 その時の俺はとにかくイかせてもらうことに必死で、頭が働いてなかった。
 イかせてくれれば誰でもいい境地まで辿り着いた俺は、狼帝を諦め、鷹神に縋る。

「やっ‥鷹神、イかせ‥て。鷹神‥お‥願い」
 昨日、言わされ慣れたことがまだ残っていたのかもしれない。とにかく鷹神に縋ってみてそれは成功した。
「ようやく俺を呼んでくれたね、冬哉先輩」
 鷹神は俺が呼ぶのを待っていたようで、狼帝の手を外し、前をきちんとイけるように扱いてくれた。

「あぅ‥ああっ‥、あん、たか‥じ‥ん、イイ‥」
 思うように吐き出せてほんと気持ちいい。射精する時の一瞬の締め付けにくたばった龍将と二人して、重なり合って狼帝にしがみつく。
 そして胸にクリップが付いたまま、制服を元通りにされてしまった。
 まるで計算し尽くされたかのようなそのプレイが全てを終了した途端、電車は終点へ到着した。

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