快楽のいばら街道 10


 時折ビクッと震えるなんてレベルじゃなくビビビビビク、ビビビビク、と連続して小刻みに震え続けた。口からも声にならない短息しか漏れてこない。ああっ、どこもかしも気持ち良すぎる。
「もっ‥も‥う‥、ダ‥メッ」
 俺はこれから先一生味わうことはないだろう快感に身を震わせて頂点に上った 。
スタッフ 「北岡さんの合図です。手を放しますよ」
「はぅぅっ‥んん‥」
 外からの刺激が全て無くなったことにより俺の全神経はペニスへと向かう。熱く迸る物を追う。陰嚢が縮み尿道を駆け上がる。尻の筋肉がギューッと締まる。3回目だというのになお勢いは衰えず、発射した物は邪魔される物がなくなったことにより自分の顎に掛かった。イイッ、イイよ。
スタッフ 「スッゲェ、3回目とは思えないすごい勢い」
 誰かが呟いた言葉さえ理解できないまま、壊れた玩具のように俺は溜まっていたものを身体を震わせながら何度も何度も吐き出していた」
写真家 北岡 「聡、いいぞ、ものすごくいい。今までで最高の顔だ。そう、その表情だ。裸など見なくてもその表情だけでおかずに出来る。いいぞ聡。お前は最高だ」
 俺は顎から自分でかけた液体を滴らせつつ、激しく脱力していた。しかし掛けられたロープによって崩れ落ちることも出来なかった。それほどぐったりとしていたのに俺の中で回転し振動しているモノのおかげで中心は未だに硬度を保っていた。まだ‥まだイきたかった。
スタッフ 「聡さん、まだ頑張りますか? 凄いですね。そんなに気持ちいいんですか? それじゃあまた動きを再開してあげますよ。まだまだ楽しんで下さいね。こちらは聡さんがくたばるまでお付き合いしますから」
 また全ての動きが再開されてどうやって耐えたらいいのか分からなくなる。
「あああっ‥、早く‥、早く‥、なっ‥なん‥と‥かして」
 どうしようもない快楽の渦に翻弄される。身体が震える。助けて‥。
スタッフ 「今度はこれも出し入れしてあげますからね。このボールの部分がいやらしい聡さんの口にピッタリですよ。好きなだけ開け閉めして下さいね。さ、いきますよ」
 身体中に指が這ってる状態で、後ろの極太バイブが抜き差しされる。
「あああっっ!」
 中では回転を続け、振動を続けてるのに、それを動かされるだけでも凄い刺激なのに、口の部分のボールで括約筋が目一杯開かれてはすぐに閉じる、を繰り返す。ダッダメ‥、ここがヒク付くとどの刺激も増幅される。
スタッフ 「やっぱり聡さん、気持ちよさそうですね。そんなに仰け反っちゃって。あんまり吼えると後で声が出なくなりますよ」
「ああんっあ!あ!ああーっ。んんっんーーーっ! ひぃっいいっいいよぉっ。もっと動かして! 前もすってっ」
 もう快感以外感じない。入り口と中の感じる部分をゴリゴリえぐられて、それがたまらなく気持ちいい。
写真家 北岡 「おお聡。まさしく今のお前は野獣だ。もっと吼えろ。もっと叫べ。人間であることを忘れるんだ」
スタッフ 「クスッ。ほんと野獣そのものですね。いや、野獣よりもいやらしい…。そんなに気持ちいいですか?」
 内壁が極太バイブによって擦り上げられていく感覚に、ただただ声を上げるしかなかった。
「ぁあ…ッやっ気持ち良いよぉーーーーーっ!! はあんっ!!」
 ペニスが膨張して、はちきれそうだ。
スタッフ 「・・さてそろそろ仕上げにはいりましょうかね」
 しっ仕上げだ‥なん‥て。今でも充分に苦しくて死にそうなのに。どうしようもない快感の嵐の中で耐え切れそうもないのに。神経が通っているところは全て、手が這い回り、男性器はこれ以上は無いってくらいの刺激で攻め続けられる。ああっ、もう‥逃げ‥出し‥た‥いっ。
スタッフ 「逃げられませんよ」
 中も振動は続き、また抜き差しも続く。ヌルヌルと身体中は感じまくってすぐに次を吐き出してしまった。
 あああっ‥ああっ‥、も‥狂‥う‥。
 余りの刺激で生理的な涙まで零れてしまった。その顔をまた撮られて一瞬羞恥心がもとがえる。でも‥もう既に俺は狂っていたのかもしれなかった。
写真家 北岡 「聡は本当にいい顔をする。最高だ」
スタッフ 「泣くほど喜んでいただけましたか。聡さんの野獣っぷりには驚かされましたよ。でもあそこはまだこんなにヒクヒクしてますね〜。まだ足りないんですか?」
「おっ‥お願‥い‥。もう‥も‥許し‥て‥。はぅ‥‥ぅぅう‥、ぁああっっ‥‥。も‥どうか‥なる‥‥」
スタッフ 「それがいいんでしょ?安心して下さい。まだまだこれから…ですからね」
 その瞬間、俺は全身の毛が総立つ程の嫌悪と、そしてこれから起こる事への期待とで余計気持ちが良くなってしまった。
写真家 北岡 「次は…そうだな、アレを持ってこい。微電流が流れるヤツだ。…そう、それを聡の乳首に」
「やっ、もう‥これ以上‥止め‥て‥」
 もうこれだけの刺激を受けているのに、どうやったら耐えられるのか。俺には分からなかった。
 なのにスタッフは俺の懇願を無視し、ロープの間から飛び出した乳首にクリップを取り付ける。そして次に瞬間。
「あああああっっっっ!!」
 もう仰け反ることなど出来ないと思っていた身体が、まだ力強さをもって背中を反らした。乳首に電流が流れて痺れまくる。
「あああっ、あうっ。やっ‥ああっ!」
スタッフ 「聡さん、まだ味わい足らなかったようですね。ほんとに淫乱なんですねぇ。どんなことも気持ちいいなんて」
「やぁぁっっっ‥‥!」
 スタッフの言うように乳首だけでこれだけ感じているのなら、淫乱なのかもしれないが、俺の中には極太バイブが最強で振動を続け、アナルはボールの部分で開け閉めを繰り返し、ペニスも袋も全てに手が這い回っているのだ。こんな‥こんな刺激を受けて耐えられる人間がいたら俺は知りたい。そして教えて欲しい。耐える方法を。
 痙攣してヒク付き、吼える俺を北岡さんは最高だと呟き続ける。
 この地獄は一体いつまで続くのだろうか。
 そして俺はもう数など数えられないほど頂点に達し、そのまま意識がなくなってしまったのだった。


 それから2ヶ月後に出た写真集は、賛否両論の渦に巻き込まれ、話題が話題を呼び写真集では破格の数を売り上げた。
 俺はその写真集を正視して見ることが出来ない。北岡さんはさすがに巨匠と言われるだけあって上手かった。どの写真も確実にイったと分かる瞬間を捉えていた。右ページにはポルノまがいのギリギリの写真。左ページには我慢してるところからイった瞬間までがズラリと並んだ。
 圧巻は最後のテーマ「野獣」だった。4ページにも渡り、俺がイき続けた様が延々と載っていた。
 どこへ行ってもこれは演技なのか、本当に射精しているのではないかと質問攻めにあった。尻に付けられたしっぽが実はどこへ入っているのかも憶測が飛んだ。その度に俺は羞恥を堪えて、演技に決まってるじゃないですか、と答えるしかなかった。
 それでも確実に世間にまだ聡は健在なのだとアピールが出来た。女性週刊誌から裸のグラビア依頼が大挙して舞い込んできた。そして俺は超大物監督の映画に出演できることになったのだった。

 復活の兆しが見えてきた‥。

 俺はあの一ヶ月の間に教え込まれた快楽を、マネージャーの磯谷によってずっと忘れられないようにされていた。
 トップに返り咲くにはまだこのイバラの道を歩んでいかないといけないようだ‥。




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