快楽のいばら街道 13


 ああっ、頼むからイきたいだけイかせてくれ。この快感に思いっ切り浸らせてくれ。イった瞬間を誰かに見せるのは止めてくれ。
 俺の頭はそんなことが渦巻いている。
「ほら、イイ顔しろ。鏡をしっかり見るんだ」
「はっ‥あっ‥‥、く‥。イッ‥イき‥たい」
「聡さん、イきたいじゃなくていい顔をしろって言われたんですよ。分かってるんですか」
 周りで見学していたスタッフが俺の鈴口に指の腹をねじ込んだ。

「あああっ」
 涎を流しっぱなしのそこは、イかせてもらえなくてジンジンと痺れ敏感になっている。指の指紋ですらズルズル擦れる感触がして死にそうになる。
 後ろからは北岡さんが一定のリズムでなるく突き続ける。でも俺のペニスの根元にはリングが付いたままなのだ。スタッフの指は円を描くように鈴口を割ったままで回る。
「ヤメっ‥ああっ‥んんっ‥」

「こら聡。喘いでばかりいてどうする」
「あああっ‥イ‥かせてっ」
 尻の穴からは北岡さんがぬるりと入ってぬるりと出て行く。ダメッ‥、そんなに出し入れしたら、気持ちよくて‥どうかなる。
 ペニスの先端もヌルヌルと涎を塗り広げるように指がなぞる。痺れるような感覚が俺の身体を支配する。そこへ乳首も一緒に摘まれた。

 ああっ、もう‥この苦しいほどの快感をどうすればいいのか。誰か助けて欲しい。俺はイきたい。
「聡、いい顔になってきたが、苦しそうにも見えるぞ。もう少し気持ち良さを表現しろ。今お前は苦しいんじゃなくて、気持ちいいだろう?」
「‥ん‥ぅく‥ん‥」
「おい、鏡を見てみろ」

 北岡さんに怒られているのに、周りのスタッフからはぼろくそに言われる。

「まったく朝っぱらから演技指導してもらってるってぇのに、な〜んにも考えずに1人だけ気持ち良くなっちゃって」
「こんなスタッフが大勢いる所で、イかせて、としか言わないなんて。だいたいよくそんなことが言えるよな。恥ずかしくないんかな」
「楽で気持ちのいい商売でいいよなぁ」
「なんの苦労もいらないってか?」
「3食昼寝付き、奉公人付き、セックス付きってか」
「幸せでいいなぁ」

 げらげらと笑うスタッフ。そんなに気持ちいいと思うのなら、いつでも変わってやるぞ。
 こんなに辛いことはすぐにでも終わらせたいのに。永遠かと思うくらいに続くのだ。

 北岡さんの言う通り鏡を見る。そこには朝からずっと喘ぎ続けている俺がいた。恥ずかしさに強張っていたはずの顔はすっかりとろけ、ただイかせて欲しいという本能に従っている野生動物がいた。
 ペニスは痛いくらい張り詰め、発射準備を整えたままで止まっている。
 そのリングさえとってくれたらいつでもイけるのに。イかないで快感を追うのは、追い続けるのは拷問と同じだ。
 でもこの時はこんなことくらいで拷問だとか思っていたのだ。最後に比べたら、こんな優しいことはないのに。だってあと2時間もしたらイかせてもらえるのだから。

 北岡さんが達するとようやく解放してもらえる。朝からずっと嬲り続けられてきた前立腺が少しの間だけ休むことが出来るのだ。
 しかし撮影の準備が整うまでのことで、そんなに長くはない。だがその間も身体は多少休んでも俺の神経は休むことがない。
 俺の休憩する場所は、特別にイスが作られていて、そこでしか腰掛けてはいけないのだ。

 そのイスは美術担当スタッフの特別製で、一見したらただコの字型の大きな溝が、平均台のように足が付いてる物に思える。
 しかし板は中央が高くなるように付き合わせてあり、仕組みは三角馬と同じような物だ。三角馬の角度を座らないと分からないくらいに限りなく180度に近づけてある。
 そして足は水平に開いて腰掛けるよう、閉じられないよう前後に5センチほどの板が立っている。股間の前は何もないのに。

 後ろには背もたれがギリギリの位置で立っていて、そこへ尻を合わせないと前にある細い棒が袋に刺さるのだ。規定の位置で腰掛けると棒の手前にゴルフボールが半分に切って貼り付けてあり、ちょうど会陰を指圧する。座るだけで股間に程良い刺激が送られる。
 おまけに肛門が当たる所は丸く穴が開けてあった。

 そこへ前面をさらけ出して腰掛けるのはかなり恥ずかしい。しかし相当に身体が興奮したまま座らされるので、知らず知らずのうちに身体を揺らし、ゴルフボールに擦り付け、細い棒で裏筋を引っ掻き、腰を見せびらかすように押し出しているのだった。
 それをスタッフは意地悪く、ダンスをしている、と言ってからかった。


 そんな絶頂を見たまま、撮影に入る。撮影は前にも言ったように、それは過酷を極めた。どれほど嬲られて、どれほど我慢を強いられたか分からない。俺はいつでもどんなときでもチャンスがあればイける身体になってしまった。
 北岡さんの「イっていいぞ」のひと声が掛かれば、前を擦られてなくてもそれだけで発射できそうだった。

 午前中の撮影が終わると大抵正午になっている。俺は一度だけイかせてもらえて、少しの満足感を与えられて昼を食べる。
 午後の撮影は午前と同じシーンで違うポーズを撮ることが多いので、準備はそうたいして掛からない。
 それなのにスタッフが時間が掛かるというのは、俺の準備のことである。

 俺自身は朝からイきたいばかりで、ちょっとの刺激で充分だと思うのだが、ここのスタッフは心底意地が悪い。
 またあのイスに座らせて、頭の上まである背もたれに掴まらせて、俺の下半身を好きなように弄ぶ。
 通りすがったスタッフは皆同じように俺のペニスを弄り、玉を引っ張り、開いた穴からアナルへ指を突っ込んだ。

 仕事だと皆は言うが、ただ単に遊んでいるだけとしか思えない。俺はみんなの玩具にされているのだ。俺をからかって反応を楽しみ、どれだけ恥ずかしい思いをさせるか、スタッフの中で競っているようにも思う。
 俺に「仕事が楽しくてしょうがいないようですね」なんてしょっちゅう言ってくるが、お前らスタッフだって充分に楽しんでいるじゃないか。

 俺は体のいいストレス解消の道具と化しているのだ。北岡さんは俺だけじゃなく、スタッフにも厳しい。二度の失敗は許されず、機材を触らせてもらえるほどの位置にいても、また下っ端に戻されたりもする。
 そんなときのスタッフの対応は本当に酷いもので、俺が死に物狂いで我慢しなくてはならないほど追いつめたりするのだ。

 散々高められた後、また撮影に入る。二回目の午後は一回目より大抵恥ずかしいポーズを要求される。
 それはほとんどが大股開きで、俺は普段は見えない所まで晒すことになる。
 撮影の順番はまず背景を含む全身を撮り、その後は顔のアップを撮る。顔のアップだけなのだから、もうそのポーズをしてなくてもいいと思うのだが、北岡さんは背景が変わらないことに拘っている。ほんの少しでもずれたら全身の撮影からやり直す。
 なのでイくまで同じポーズのままでいないといけないのだ。

 そしてその股間を晒した姿のまま、大勢のスタッフの手が伸びてくる。また俺は必死になって出るのを堪え、北岡さんのオッケーが出るまでひたすら耐え抜くのだ。
 しかしオッケーを取るのもかなり難しい。耐えているだけで苦しいのに、北岡さんは気持ちいい顔をしろと言う。
 耐えていなければそれはそんなに難しいことではないが、これだけ我慢を強いられて、なおかつ表情を作るのは至難の業だ。
 相変わらず、俺がロボットか何かのように思っているようで。何度も無理だと喚いてみるが、それも聞き届けられはしない。

 快感を堪えながらの演技は、それを打ち消すくらいの派手なアクションなら出来ると思う。例えば今の状態で怒るとか、泣くとか、笑うとか、そんな感情の極限なら何とかごまかせる。
 しかし微妙な変化で表現するものは、心からその気持ちになっていないと無理だ。激痛に耐えながら、聖母の微笑みを浮かべることなど出来ないのと同じなのである。
 それなのに北岡さんは激痛にも似たこの刺激を、癒しのような気持ち良さで表現しろと言う。そんな無茶苦茶な。

 俺の性感帯の神経はちゃんと顔の神経にも繋がっていて、苦しいほどの快感は表現できても、優しい愛撫はされていないとそう言う表情にはならないのだ。
 羞恥心もプライドもかなぐり捨てて、イかせてと叫ぶように頼む頃、ようやくオッケーが出て、俺は達することが出来るのだ。
 しかしその達した瞬間を、永遠に残るフィルムに収められることが、たまらなく恥ずかしい。かなぐり捨てた羞恥心がたちまち戻ってくる。

 吐き出してる最中は頭が真っ白になって忘れているが、終わった後の恥ずかしさは格別だ。またそれをスタッフがからかう。
「聡さん、気持ち良かったですか? いいですね、聡さんは。仕事忘れて射精してればいいんですから」
「ほんと、毎日気持ちよさそうですね」
 そんなことを必ず言われる。俺だって好きでイってる訳じゃない。これだけ耐えられないくらいに煽られたら、出さずにはいられないだろう。健康な男なら当たり前のことじゃないか。

 でも俺が達するとそこでようやく本日の撮影が終了する。やっと本当の意味でホッと出来るのだ。
 しかしそんなホッと出来る期間は、初めの5日間だけだった。その時最後のテーマが決まったのだ。

 それは「野獣」だった。少しでも野性味が出るようにと、筋トレが夕方の日課になった。




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