中からの振動は切ないほど俺を追い詰める。もう少し‥あとほんのちょっとでイける‥。 軽くしか添えられてない指を求めて、腰が彷徨い続ける。その軽い刺激を掻き集めて頭の中でイけるよう変換する。 股間に今まで以上の熱が集中するのが分かった。 もう‥イく‥。 そう思ったときだった。 「ああダメだよ。この人をイかせたら」 その言葉で振動も刺激も一切が無くなった。 ああっ‥。嘘だろ。ここまで来て‥。もう少し、もう少しなのに‥。 いくら腰を振ってみても虚しく鈴口が擦れるだけで、それ以上どうしようもない。 「ぅうーっ‥。ううっ‥」 余りの苦しさに唸り声が大きくなる。 「途中で止めたから怒ってるよ」 「だけどダメなんだ。撮影に支障が出るからね」 何処かから湧いてでたようなスタッフに、あと一歩でイける所を止められてしまった。 おまけに俺のモノの根元は紐のような物で結ばれてしまった。そしてそれだけじゃ済まなく、袋も玉を絞り出すように根元が括られる。 こっこれ以上恥ずかしいことはないと思っていたが、性器を晒しているだけでも充分に恥ずかしいのに、変形させられてそれを見せているという、とてつもない思いをしなければいけなかった。 根元が止められて達することが出来なくなっても、この2人が弄る手は変わらない。 いや、それどころか面白がって激しくなった。 竿をイけるように扱く。これが止められる前にきたら‥。俺はどれほど満足できたか。 中に入ってるバイブを振動させながら抜き差しをする。前立腺が擦り上げられて中から押し出されそうになる。やはり止められる前ならイけただろうに‥。 だが‥イけない今はただひたすらに苦しいだけだ。 俺は抜かれるたびに尻を引き締め、扱かれるたびに頭を仰け反らせた。 「なんかすっげぇ感じてるのが分かるよな」 「ほんと、気持ち良さそう。もっと何かしてあげたくなる‥」 「うぅ〜っ‥」 もう‥これ以上は‥耐えられない。本当に死んでしまうかと思うくらい、羞恥と快楽とに翻弄されていた。 「まだ‥悦んでる。もっと欲しいって言ってる」 「この人、心底好き者なんだ」 そんなわけないだろう! 心で毒づいてみるが、口には乗せられない。いや、もしも口を開くことが出来ても、今のこの状態では言葉に出来なかったかもしれないが。 それからすぐにカリと裏筋の合わせ目、ペニスの中では鈴口の次に敏感な所に指が触れた。 指のあとにはつるんとした物を感じ、それはどうやらテープで一巻きして留められたようだった。 一体何をされたのか‥、危惧してる暇もなくそれは振動を始めた。 「ぅうっ‥う‥うう〜」 中からも当然のように振動は続いていて。それが鈴口にも伝わっていて。それなのに裏側からも違う振動が加わって。 もう‥どうしたらいいのか‥分からない。 ただ‥狂ったように呻いていた。 しばらくはそのままで放って置かれたが、見ているだけじゃつまらなくなったのだろう。 竿の空いてる部分を擦りだした。 もう‥これ以上刺激が増えたら、本当に耐えられそうになかった。 それなのにその刺激は途切れることなく送り続けられる。 身体は勝手にビクビクと反応し続ける。もうそこまでで勘弁して欲しいのに、それでも無理矢理受けるしかない快感で身体は上昇の一途を辿る。 これ以上は昇れない所まで煽られた。 想像を絶する世界を見せられた。 縛られたままで俺は頂点へ昇ってしまったのだ。 とは言っても止められているので、ガツンと頂上を見たわけではない。 小刻みにオルガズムが襲う。さざ波のように頂点に限りなく近いモノが俺の身体を震わせる。 「うう〜っ‥」 クッ苦しい‥。ああっ、それでも解放できないのに、登り詰めて気持ちの良さも混じる。 女と同じように果てしなく絶頂を迎えていた。 壊れたゼンマイ仕掛けのオモチャのように、俺はビクビクと震え続けていた。 それでも相手を気遣うことのないこの2人は刺激を送る行為を止めはしない。 「すげ、メチャクチャ感じてない?」 「こんなに自分では震えられないよね」 自らが震っているのではなく、自然な反応でそうなっていることが見ていても分かるのだろう。 ゆっくりと前立腺を撫で、ペニスを扱く。振動を続ける小道具たちは俺の性感帯が絶頂から戻ることを許してくれない。 頂点に登り詰めなんて‥いくら身体が健康でも丈夫でも、保たない。 頼む‥頼むから、もう解放して欲しい。 どれだけ喚こうが、口枷を嵌められた俺の口からは言葉として出ることはない。逆に呻きが、俺は悦んでいるのだと伝えてしまう。 この2人はまたしつこかった。どれほど俺が足や尻の筋肉を強張らせ、背中を仰け反らせていようがお構いなしに、刺激を送り続ける。 同じ男なんだから、これがどんなに辛いか‥想像したら分かりそうなのに。 気が遠くなるくらい、俺は嬲られ虐められ遊ばれていた。 地獄のような1時間半が過ぎ去り、俺は興奮したままの身体で降ろされる。 顔の仮面が取られ、口枷も外され、ようやく自由に息が出来るようになった。 周りを見回してもあの2人は既にいなかった。俺が誰だかばれないようにしているので、当然と言えば当然なのだが。 向こうも俺のことを知らずに過ごすのだが、こちらも向こうの顔も見れずにいるのもなにやら面白くない気がした。 だがそんなことを考える気も起こらないくらい、俺の身体は熱く火照っていた。 誰か‥誰でもいいからこの身体を冷まして欲しい。頼む、俺は気が狂う‥。 そのまま夕飯の時間になった。身体の奥底では火が燻り続けている。俺についてるスタッフは一人になった。このチャンスを逃したら、また筋トレで虐められるのだ。 ここの奴らは全員ゲイだ。 この‥俺でもたらし込むことは可能だろう。俺はこれでも名が通った芸能人。この身体一つで売ってきたのだから。自分の見てくれに自信がなければこんな職業に身を置いてはいない。 運良く、扱いやすそうなタイプだ。ガタイはいいクセに、気が弱い。写真も繊細で綺麗なものを撮るらしい。 北岡さんにもあっちの方では余りお呼びでないらしいし、上手くいけば味方が一人増えるかもしれない。 ただし、俺は自分から男をたらし込んだことはない。 どういった態度だと気に入られるのか、まったく想像が付かなかった。 気が弱いと言うことは、こちらの押しが強ければ、案外あっさりと言いなりになるのではないかと、勝手に予測を付ける。 でも最初から強気で出れば警戒されるかも知れない。 俺は机に頭を付けて苦しそうに息を吐き出した。 「聡さん? どうかしましたか」 覗き込んできた奴に向かって泣きそうな顔を見せる。 「く‥苦しい」 「どこがですか。お腹が痛いんですか?」 「ちっ違う‥。身体の奥が疼く。石川さん、あんたのが欲しい」 女にくれてやるような流し目を添えて、悩殺しようと頑張った。 どうだ。どうでるか。効果はあったのか。 失敗したかと思ったほど、しばらく固まっていた石川は、その後突然、食事のテーブルに俺を押し倒した。 「聡さん、そんな顔されたら‥、そんなこと言われたら‥」 元々バスローブしか羽織ってない俺を裸に剥き、早急に下をほぐす。 そう、そこだけじゃなく前を触ってくれたらそれだけで俺はイける。別にやらせる必要はなかったが、向こうも後戻りが出来ない所まで煽ってやらないと、ふと現実に帰られても困る。 それにもう俺は、セックスを握手くらい軽いものにしか考えられないようにされていたのだ。 ほんの1時間前までバイブを銜え込まされていたそこは、既に受け入れ態勢を整えていた。 「もう‥そこはいい、から‥。早く入れて」 中だけの疼きはもういい。俺はもう我慢が出来ない。 もちろん今まで石川にだってヤられたことはある。ここのスタッフ全員にヤられている。みんなが好きなように俺を抱いた。しかし一見好きなように見えても、実はかなり規則正しく決められている。 スタッフの中でもリーダー格の許可がないと勝手にやれないのだ。 それはセックスという、自己の統制が効かない欲望に従った行為の中で、俺を勝手にイかさない為だった。 入れてと言われて、我慢が利かなくなった石川は、早急に己のモノを突っ込んだ。自分の快感を追うことに必死になる。 バカヤロウ。お前だけを気持ち良くするためにやらせてやってる訳じゃない。 それでもさっきまで弄り倒されてきた中は熱い。そして疼く。 「ああっ‥頼む‥頼‥むから、俺もイ‥かせて」 パンパンと肉が当たる音が食堂中に響き渡る。 無心で動いていた石川は一人で勝手に果てる。果ててからようやく俺が何をして欲しいか気付いたようだ。 「聡さん、俺は前からあなたが好きでした。アイドル時代は本気でファンでした。だからこのスタジオでまた会えて嬉しかった。しかもこんな風に抱けるなんて。本当は絶対あなたをイかさないよう言われてるんですが、俺はあなたがイったときの顔が好きです」 そう一人で告白すると、俺のモノもようやく扱いてくれた。 あああっ、もう‥堪らない。誰にも気兼ねせず、ゆっくりと射精を堪能できるなんて。何度でも何度でも吐き出して、この絶頂に浸り続けていたい。 それから時々俺は、どうしても耐えられなくなると、石川に色目を使ってヤらせる代わりに抜いてもらっていた。 |