快楽のいばら街道 27


「さあ、アキラ。これからゆっくりと楽しもうじゃないか」
 俺の顔の横で囁く藤原さんの顔は見えないが、けれどきっと先ほど一気に萎えてしまった時のように冷たく、恐ろしく、微笑んでいるに違いない。
 しかし今はまだ練習なのだ。藤原さんのお気に召す演技というか、返事をしないと本番に入れない。藤原さんや他の役者さんたちはスケジュールが詰まっている。俺が下手だったばっかりにみんなの予定が押したら今後の芸能活動に響く。そこら辺は昔無理を通してきたツケが回ってきたと言ってもいいだろう。
 どうしてもこのシーンは今日、明日中に取り終える必要があったのだ。
「楽しむ‥のは、あん‥た‥、だけ‥だろう」
「ここをこんなにしておいて、私のモノが欲しくて仕方なかったくせにまだそんなことを言うのかい。まったく君は強情だね。私だけが楽しんでもいいのなら君には悦びを与えないようにしてみようか。どうだい?」
 藤原さんは本当に楽しい素振りで俺の目の前にオッケーサインを一瞬だけ出した。
 俺はそれだけでぴーんと来た。
「ヤッ‥ダメ‥です。それ‥が欲しいっ」

「素直になればこんなに可愛らしいのに。何故いつも無理に突っ張ってるんだい」
 藤原さんは俺に正直に告白させるのが楽しいようだ。それは俺にアキラじゃない人間を演じろと言っているのと同じ事だ。だってこんなにすぐに応えてくれると分かったら、こっちだってすぐにお願いして降参したくなる‥。最後まで降参しないアキラとは全然違うのだ。
 俺のモノの先端にはコンドームが付いた。これでイくのも少し安心できる。気が緩んだら、一気にイきたくなってしまう。
 けれど自分がイくよりも、藤原さんを先にイかせて萎えさせないといけない。本番が始まる前に藤原さんをイかそう、俺はそう決意した。
 自ら腰を振り、なおかつ必死になって締まりきらない下の口を締めてみる。この‥俺に刺さってる硬い棒に何とか刺激を与えようとした。
 するとそんな俺の行動は全てお見通しなのか、珍しく藤原さんに返って台詞が出た。

 俺の耳のそばに口を寄せる。周囲には聞こえないくらいの小さな声で話しを始めた。
「聡‥ほんとに君は可愛いね。私をイかせたらいいと思ってるんだね。君のこの身体なら普通の男は5分と持たないだろう。だけど今まで君の相手をしてきたのは幾つくらいだったのか考えてごらん」
 そう言われたらおじさんの方が長持ちしてたような気がする。
「おまけに私は君と違って下積み時代が長いんだよ。売れない、金がない、でも演技で食っていきたい。そんな若い頃のジレンマ。君は経験したことがないだろう」
 確かに俺は中学生でデビューし、出た途端に売れてしまったので下積みなんて時はない。だが今はほとんど下積みと言ってもいいだろうが‥。
「私はね、台詞もないような通行人から、刀で切られるだけの役から、裸で転がってる死体の役から、何でもこなしてきた。けれどそんなことばかりでは金が入らない。だから手っ取り早く稼げるAV男優をやっていたんだよ」
 ええっ‥。藤原さん‥そんな時代があったんだ。AVなんて。硬派そうなので見たこともないかと思っていた。


「当然だが、男優なんて女優のアクセサリーだ。アレが少々大きいか、持ちがいいか、どちらかじゃないと採用されない。運良く私は身体的には問題がなかった。持ちの方はかなり鍛えたよ。だから君が少しくらい頑張っても、私は自分でコントロールできるんだよ」
 そっそんなのって自力でどうにかなるものじゃないと思うんだけど‥。実際俺なんかはいくら我慢させられても、長持ちするようにはならないし。それどころかイきたい気持ちの方が大きくなってくるのに‥。
 藤原さんは耳から口を離すと、俺を抱き締めたままで下から突き上げた。
「うぁぁっ‥」
 構えてなかったせいでそれは露骨に奥まで入り込み、俺の身体を割くように突き抜けた。
 みんなが見てるのに思わず仰け反ってしまって、なおかつ大きな声まで出てしまった俺のことなんか気にしてないのか、定期的な間隔をおいて藤原さんは突き上げる。
「‥ぁ‥ああっ‥ん‥」
 そんな‥、こんな調子で突かれたら耐えられない。

 ストロークも、勢いも、太さも、長さも、どれも最適でそして強い。ズーン、と擬音が背景に描かれる感じがするほど一突き一突きが凄い。感じる。
 まさしくプロと言っていいだろう。今までの相手とは全然違う。昨日の藤原さんとも違う。
 ああっ、こんな‥。だめ‥、耐えられない。
 自分の体重を掛けて落とされるのがこんなに凄いなんて‥。知らなかった。
 俺は寝かされて足を開かされるか、写真の撮影の時のような体験しかない。そもそも男の恋人がいないのだから、こんな風に抱き締められて抱かれることなんてあるはずもなく。
 ああっ‥く‥ん‥。ぁんんっ‥。
 地震でもやり過ごすかのように、ただただ突かれるのを待つ。それは恐ろしいくらいの刺激となって俺を貫く。藤原さんは抱き締めるついでに胸も摘む。ビリビリと刺激が走り、貫かれる感覚に電気が流れる感覚が加わる。
 ああ、こんなっ‥凄い‥のっ、初めてっ‥。

 この凄い攻撃のさなか、藤原さんは何事もないような、息を乱さぬ台詞を吐く。
「アキラ‥。この一突きにどれほどの想いが籠もっているのか、君は考えたことがあるかい。愛していなければ出来ないんだよ」
「っ‥、ぁは‥ん‥、く‥ん」
 そんな、台詞でなんて返せないよ。身体中でこんなに振動してるのに。
「アキラ、君は私の想いが真剣だって本当は分かっているんだろう。分かっていて意地悪をしているんだよね。それとも私の気持ちが重くなってしまったかい。あまりにも真剣すぎて怖いかい?」
 そこで藤原さんは動くのを止めた。ギュッと俺を抱き締め、裁きを待っている咎人のように急激に変化する。
 うわ、さっきまでガンガンと突かれていた俺ですらキュンと来てしまった‥。なんて上手いんだろうか。
 それでも俺は教授に応えてはいけないのだ。このシーンはあくまで突っぱね通したアキラが、教授の初めての狂気に触れるのだから。
「お‥俺は‥、あんた‥の、ことなんて‥、はぁ‥。なんとも‥思って、ないっ」

 もうイきたくて堪らない身体を押さえるだけで必死だ。台詞なんて言えたもんじゃない。けれど俺だって一応はプロだ。仕事となれば我慢も無理も頑張るのが筋だろう。
「そうか‥。こんなにしてるのに、達したときの快感を覚えていないのかい?」
 藤原さんは台詞を言いながら、俺のモノに軽く触れる。それだけで身体はブルブルッと震える。
「それっ‥、お願‥い」
 その刺激が欲しくて仕方ない。続きが欲しくてしょうがない。腰が揺れ、その指だけを追ってしまう。
「ほら、そんなにここに刺激が欲しいくせに。私の指だから欲しいんだろう」
 まだ俺の後ろには藤原さんのモノが突き刺さったままだ。その硬く大きなモノは硬度が下がることはなく、ましてや大きさが変わることもなかった。
 藤原さんが言った通り、萎えることがないのだろうか。腰を揺らすと中からは少しだけ刺激がくる。
 俺はその少ないの快感をかき集めるようにして腰を振った。

「アキラ、君はこんなにしてまでイきたいばかりなのかい。私のことなど眼中にないみたいだね」
 藤原さんはさっきの切ない表情のままでいるのだろうか。俺はそんな藤原さんのことを考えずに刺激を追うことだけで頭がいっぱいだった。また‥俺だけ浮いている。
 だけどさっきの本気の突きをまだ身体が覚えている‥。この疼きをどうすればいいのだろうか。中には入りっぱなしで、冷めろという方が無理だろう。
「それじゃあこうしようか。今から私の愛撫に応えてくれたら君は言葉にはしないけど、私のことを思ってくれていると。しかし愛情がないのなら私の手も鬱陶しいだけだろう。イけないはずだね」
 そっそんなっ! この状況で俺にまだ我慢しろというのか。あとほんの少しでイけるのに。イきたくて堪らないのに。筋を守るなら教授のことを突っ張り切らなくてはならない。それには刺激に反応してはいけないなんて。
「むっ無理‥で‥す」
「それはアキラとしての台詞かい」
 一気に声のトーンが下がる。

 ああ、また怒らせてしまった‥。けれどこんな無茶な条件では、芝居も演技も無理だろう。
 しかしそれから藤原さんは黙り込んでしまった。俺の台詞を待っている‥。仕方がないので答えた‥。もう俺はノるしかないのだ。
「刺激は欲しい‥、もらったら‥俺はそれが誰であろうと快感だと思う。だから‥あんたじゃなくても今の状態ならイきたい」
「へぇー、上手いこと言うじゃないか。君は誰にされても感じるし、気持ちがいいと思うんだね。それはよく覚えておこう。一本取られたからこうしようか。私と繋がっているだけで君がオルガズムに達したら愛情を感じてもいいね。繋がっているだけでは変化がなければ何とも思っていないと。これでどうだい」
 また‥この苦しい状態で我慢しなきゃならないのか。でも中からだけなら、しかもバイブと違って振動しないなら、中だけで絶頂をみることもないだろう。
「分かった。俺はあんたのことを思っているわけじゃないから、それくらいじゃ達することはない」

「ふふふ、アキラの本音がこれで分かるね」
 だっ大丈夫だろうか‥。これでイってしまったらまたしても筋が変わってしまう。すなわちここまでしたのに、NGになるのだ。と言ってもこれもまだ練習中だったか‥。

 身体を強張らせて衝撃に備える。けれど藤原さんはそのまま突くのではなかった。
 俺の足を、太股の辺りを持って上に引き上げたのだ。
「なっなにする」
 手錠で繋がれていて何も抵抗できない。それをいいことに両足は限界まで開かれ、身体の横で折り畳まれる。膝下には藤原さんの手が入り、藤原さん側に引く。
「ぅう‥」
 俺は股間を前面に突き出し、下の口を身体の一番下に持ってくる形になった。刺さっている硬いものはよりいっそう奥まで入り込む。
 勃ち上がった俺の中心はかろうじてシーツが引っ掛かり、藤原さんと繋がっている部分と共に危ない所を隠していた。
「君が達したらシーツは落ちるね」
 藤原さんはまたみんなに聞こえないよう、小さな声で囁いた。
 俺は意地でも我慢しなきゃならないようだ。


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