快楽のいばら街道 32


 浴室から出された俺は、両手の拘束具を付けられたままで寝室まで連れてこられた。
 けれど何故か浴室を出るときに目隠しをされ、そのままでベッドへ寝かされたのだ。
「アキラ‥。ここを覚えてるかな」
 そんなことを言ったって周りが何も見えないんだから分かるわけがない。
 拘束された腕はまたどこかへ繋がれる。腕は真上に上げたままになり、顔すら触れない。すぐに足にも何かが巻かれ、引っ張られた。
 俺はベッドへ大の字に貼り付けられたのだった。
 もの凄く嫌な予感がして冷や汗が出る。
「こっこんなことして、また何をするつもりなんだ!」
「私がアキラに必要な人間だと分かってもらおうと思ってね。けれどおかしいね。君はこの前で充分そのことを理解したと思っていたよ」
 記憶を探ってみれば何やら似たようなことがあった。何日もイかせてもらえなくて死にそうな目にあったことが蘇る。
 え、でもあれはここだったのか。

 口だけは達者だったが、俺はこの長時間の攻めで身体は抱えられないと歩けないほど疲れ切っていたし、意識はもうろうとしていた。
 それでもあのやるせない気分だけは身体中に蘇った。
「ヤッ、ヤダッ!! 止めて、それだけはイヤだ。お願いだから」
 とにかくなんとかして逃れなければ、と言う危機感で一杯になる。
 どれだけお願いと言ってみても周りからは何の反応も返ってこない。
 教授はどこへ行ってしまったのか。このまま、さっきから吐き出すことが出来なくて、苦しいままで放り出すのか。
 それならせめて手を解いて欲しいのに、こんな風に縛り付けたままでどうしてそんなに俺を虐めたいのだろうか。
「教授、‥片桐教授。お願い‥します。もう‥解放して。こんなことをしたら嫌われるだけなのに‥。俺のこと、好きならもっと優しくしてくれた方が忘れられないのに‥」
 腰をひっきりなしに動かし続けて、うわごとみたいに教授に話しかけていた。

 部屋は日が当たっているかと思うくらいに暖かかった。どれだけ喚いてみても教授からの反応がない。吐き出せない物は苦しかったけど、さすがに落ち着いてくる。
 疲弊しきっていた身体は暖かさに負けて落ちた。
 俺は熟睡してしまったのだ。

 下半身から暖かい物が迫り上がってくる感じがして目が覚めた。
 寝ていたことに気が付くのに時間が掛かり、それからその場所がどこだったか思い出すのに時間が掛かる。
 しばらくボーっとしていたが、突然身体が震えだして驚いた。
「ん‥んんっ」
 あの‥、乾いた絶頂‥。
 忘れた所へガツンと来て、倍に感じてしまう。
「あっ、ああ‥やっ、やだ‥」
 両手足は縛られたままで何とも出来ない。目隠しも付けられたままで周りの状況すら分からない。
 身体はドクドクと脈を打って震える。痙攣したように筋肉が収縮する。
 こっこれは‥エネマグラ‥。

 寝ている間に入れられたのだろうか。間違いなく尻の中で前立腺を擦り上げているのはエネマグラの感覚だった。
「うあっ‥ぁぁっ、ぬっ抜‥いて‥」

 どれだけ喘いでみても教授の声が聞こえない。それどころか気配すらない。一度目の波が過ぎ去って、二度目が襲い、三度目をどうにかやり過ごした所でようやく何かの気配を感じた。
「も、おね‥がい。こんなの‥耐え‥られない」
 すると足の拘束が解かれた。
 ようやく解放されるのかと思いきや、両手は解かれてすぐにまた一纏めにされて、ベッドに括られる。腰を持たれて座り込む態勢にさせられ、すぐに前に倒された。ベッドの柵を持って四つん這いの形になる。尻とそこに刺さってるエネマグラを見せつける。
 尻を撫でられてゾワッとした。
 なっなにか‥違う‥。
 なにと言えないけど、何かが違うのだ。
 エネマグラが引き抜かれると、男のモノが侵入してきた。
「くっ‥う‥」

 嫌だ。根拠はないけどゾワッとしたあの感覚が広がった。
「ヤッ、止めろ」
 俺の言うことなど聞きもせず、バックから突き上げられる。
「あっ‥あああっ‥。んんっ‥ぁうっ」
 本気の突きを思い出せば浅いものだったけど、嵐のようにがむしゃらに突かれまくって、感じると言うよりも振動に耐えた。
 今までとは違ってすぐに中で果ててくれて、終わってホッとする。
 けれど中のモノは大きさも硬度も失わない。一息つくと再始動する。
 なんだろう。嫌な感じは抜けないし、この若い男のようなやり方は。
 しかし一回出したので、ただ突いていたさっきとは違って俺の身体にも手を出してきた。
 手が胸をまさぐり、ピアスの付いている乳首を摘んだ。
「んっ‥」

 一瞬身体は震えたが、その手が汗ばんでいて嫌な感じは更に増す。それからもう一方の手が俺のペニスを掴む。
「はぁっ‥う‥」
 そこだけは擦り上げられると気持ちがいい。もっと触って欲しくて、嫌な感じが抜け落ちる。
「もっと、もっと‥扱いて」
 俺がそう頼むと痛いほど扱いてくれる。気持ちいい。たまんない。このまま吐き出していいんだろうか。
 考える暇もなく俺は達していた。何度も吐き出して、最高に満足した。
 震えて下の口も一緒に締まる。
 中に入っていたモノからも熱いものが飛び出した。
「へっへっへ。最高、こんなに淫乱だとは思わなかった。俺‥すっげぇ好きだったんだよ」
 ええっ!? だっ誰?

「すげぇ嬉しい。まさかあんたを抱ける日が来るなんて」
 いやらしくねっとりとまとわりつくような口調で凄いを連発する。
 そして確かめるように俺の身体を撫で回す。
 嫌だ‥。こんな見ず知らずの男に好きにされるなんて。
「お前‥は、誰だ。教授は‥どこ‥行った」
 そいつは自分のモノを抜かないままで俺の身体を弄くっている。気持ち悪さと慣らされてしまった感覚とが俺の中で闘っていた。
「教授はここにはいない。今日は授業があるからな。大学へ行ってるよ。俺はずっとあんたを狙っていたんだよ。教授とただならぬ関係だってのも薄々気付いてたしな。そうしたらなんと教授の方から声が掛かった」
「きょっ教授が!?」
「おお、そうさ。あんたを抱かせてやるって」
「うっ嘘だ。教授が‥そん‥なこと、言うはず‥ない。っんん‥」
 けれど中心を掴まれたら快感の方が勝ってしまいそうになる。
「言うはずないって言っても、言われなきゃ俺はここにはいないだろう」

 ああっ、大事なことを考えなきゃいけないのに、そこを擦られると思考能力が飛んでいく。
 たまんない。もっと、もっと、もっと扱いて。吐き出させて。俺は射精したい。
「声を聞いても思い出してもくれないなんて、ちょっと寂しいなぁ。同じ片桐教授のゼミに参加してるんだけどな」
 そんなことを言われても思い出せないものはしょうがない。それに‥今の俺は教授と違う人間、それだけで誰が来ても一括りなのだから。
「やっ、はっ離れ‥ろ‥。お前‥なんか‥に、好きに‥させ‥ない」
 ほんの少しだけ残った理性で抵抗してみる。
「よく言うぜ。こんなにしてるくせに。俺が扱くのを止めてもいいんだな」
 そう言って前から手を離してしまう‥。
 ああっ、だめ。そこだけは触って。そこを触られているといつでもイけると言う安心感で一杯になる。快感だけを素直に受け入れられて凄く気持ちがいい。
 手が離れたことが切なくて男のモノを銜え込んでいる尻を振ってしまう。

「ほら、素直になれよ。尻は惜しいって言ってるぜ」
 望んでいることが相手にバレバレで恥ずかしくなる。けれどそこを擦られると何もかもがどうでもよくなってしまう。こんなにそこへの刺激に飢えていたなんて。自分でも驚きだ。
 例え見知らぬ男でも、気持ちの悪さが勝っていても、俺は吐き出せるようにしてもらえたら感謝してしまうのかもしれない。
「擦って、扱いて、お願い」
「ほぉ〜、ヤケに素直だな。そんなにここは気持ちがいいのかい」
 そいつは俺のモノを乱暴に扱き始める。
 ああっ、それが欲しかった。もっともっと欲しくて手に擦り付けるように腰を動かした。
 すると当然だが中に入ってる男のモノも締め付けながら扱くことになる。男はその気持ち良さに味を占めたのか、手を動かさなくなった。
「ああっ‥とっ、止めないで」
「欲しかったら自分で動けよ」
 ペニスを包み込んだ手を固定して動かさない。けれど自分で腰を振るとその手が扱いてくれるのと同じ役目を果たす。

 俺は必死でそこへペニスを擦り付けた。中に入ってる男のモノはまた硬度を増す。それは男が調整した角度で保たれていて、自分で中も外も擦り付けることになる。
 狂ったようにそれを求める。
 はぁっ、ああっ、もう少し、あともう少しでイける‥。
 疲労した身体に鞭打ってその快感を貪り続ける。
 けどその寸前で男は手を離した。
「ああっ」
「そんなに切なそうに鳴くなよ。もう一度やってもいいのならイかせてやるよ」


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