これだけ怒ってる意思表示してるのに、先輩は指を抜かない。しかも、 「でもこれは気持ちいいんだろう?」 そんなことを言いながらまた俺のモノを握った。そしてイきたかったときにはしてくれなかったのに、今度はすぐにイけるくらいに激しく扱き出す。中に入ってる指も抜き差しを始める。 もっ‥、そんなにされちゃったらまた感じちゃうじゃないか。 「ぁぁ‥‥ぁああ‥‥ああっ‥」 とうとう我慢が出来ず自分で腰を振ってしまった。まるで発情期の犬みたいに。こんなに淫乱な自分は好きじゃない。なのにもっとその刺激が欲しくなる。風呂にもたれていると思うように動けず、先輩の首に手を回す。ぶら下がるような格好で腰を振る。 「はっ‥はっ‥あんっ、‥ああっ」 凄くみっともないと思うのに、はしたないくらいに声が出る。 「剣‥、ん‥剣‥。可愛い剣」 だけど先輩はその俺のはしたない姿を可愛いと言う。こっこんなよがってるところが見たいのだろうか。いつもいつも先輩はここまでしないと気が済まない。 そして先輩は俺の熱い息が漏れる口に唇を合わせてきた。 「うっ‥うん」 絡んだ舌と先輩が扱く手と抜き差しを繰り返す指とが、風呂場の中でクチャクチャとエコーをかけて響き渡る。それだけでも凄くやらしいのに、その上俺は女みたいに喘ぎ声まで出してしまうのだ。 「あふっ‥ふぅん」 またその声も響く。俺の頭は恥ずかしさと気持ちよさでおかしくなる。理性も何もかなぐり捨てないとこんな状況は耐えられない。 「んんっ、あぁ‥。先‥輩、もうっイく」 あと少しでイけるのに。 先輩は追い上げ続けた手の動きを止めた。俺の手も届かないように脇の下から腕を入れて抱きしめられた。 「やっ‥。先輩。そんな‥途中で」 この暴れ狂う血をどうすればいいのか。狂いそうになる。先輩に引っ張られて膝の上に乗った俺はあと少しの起爆剤をなんとか得ようともがいてしまう。腰を振って自分のモノを先輩の腹と性器になすり付けた。 でもそんなくらいじゃ短くなった導火線に火は着かなかったのだ。 「もうっ。先輩‥ってば」 「どうして欲しい。たまには言ってくれよ」 「イ‥きたい」 「それは剣の希望だろう。俺にどうして欲しいんだ」 「そんなこと‥言う、先輩は‥嫌い‥だ。自分で‥や‥るからいい」 一体先輩はこんな酷いことをしてまで俺に何を言わせたいんだろう。どれだけ苦しいか分かってるんだろうか。 いくら擦り付けても満足が得られず、なんとか先輩の腕から出ようとする。 「くっ‥んん。もう‥ちょっと、な‥のに」 苦しくて切なくて、それだけしか考えられない。どうやったらイけるのか。 早く、一刻も早く、イかせて欲しい。 だけど待っていたのはもっと酷い出来事だった。 「剣が言ってくれるまでお預け」 なんと先輩は俺の手を後ろでタオルで縛ったのだ。 「せっ先輩!」 そしてそのまま風呂に浸けられる。 「風邪引くといけないからな。そこでちょっと待ってろ」 酷い、余りにも酷すぎる。先輩がこんなことをするなんて夢にも思わなかった。 「先輩、酷い!」 「絶対に許さないからね」 「二度と風呂に入らない」 「セックスだってするもんかっ!」 どんなに喚いても先輩は少し悲しそうな顔で見るだけだ。淡々と自分の体を洗い、頭を洗う。 荒々しく体を駆け回っていた血が、少し落ち着いてきた。苦しさに変わりはなかったが、理性が戻ってきたというのか。 見れば先輩だってはち切れそうになっていた。あのまま突っ込んでしまえば良かったのに。なぜそうしないんだろう。そうすれば2人ともが満足できたのに。 先輩の方がエッチが好きだと思っていたが、よく考えたら先輩は理性を無くしたことなど一度もないのだった。そうじゃなきゃ途中でなんて止まれない。いつでも、俺がイヤでも力尽くで抱かれているはずだった。 さっきだって先輩の方もギリギリで止まっているのだ。先輩は『我慢が利かない』、なんて言ってるけど本当は誰よりも我慢強かったんだ。 それなのに俺はいつも先輩がムリヤリしてくるから仕方なくしてるような態度ばかりとっていた。 『俺にどうして欲しいんだ?』 そう、俺だってして欲しかったんだ。今まで考えもしなかったことに気が付いた。 先輩は風呂に入ると俺を膝の上に乗せてタオルを解いた。 「こんな酷いことするんなら先輩とは一生風呂に入らないからね」 気が付いたけど言うべき事は言っておかないといけない。 「そっそんな一生なんて。ちょっと言って欲しかっただけじゃないか。なっ、言ってくれ」 ふふん、先輩ってやっぱ可愛い。そう思ったのに先輩のいやらしい指はすぐに俺の中に入ってきた。 「ほら、もうちょっとなんだろう? 自分でやるなんて寂しいこと言うなよ」 「んっ、もう、先輩‥わがまま」 「たまには俺のわがままも聞いてくれ」 殊勝な態度なのに指は勝手に俺の中で動き回っている。 「もうっ、仕方な‥い‥なぁ‥」 また高まってきて先輩の首に手を回した。 そして今まで一度も言ったことのない言葉を口にした。 「先輩‥。して」 「ああっ、剣。もういくらでもっ」 やっぱり先輩も犬だった。俺は発情期の犬。先輩は俺に飼われてる犬。飼い主が帰ってきて喜んで飛びついてきた。 「いくら‥でも、は‥余分」 2人ともあんまりかわんないや。そう思うとニヤリとしてしまう。 先輩は俺の体を持ち上げると、硬くて大きなモノの上に下ろす。全部が収まると口付けられる。 「剣に言われてするなんて、初めてじゃないか」 中で先輩を直に感じる。 「んっ、無理に‥、言わ‥せた‥くせに」 「いいの、俺はそれが聞きたかったんだから。動いていいか」 「ん、俺、もう、我慢‥できな‥い」 先輩も我慢していた分をぶつけるように激しく動く。でも今はそれが気持ちがいい。 「あっ、ああっ‥くぅんんっ‥んんっ‥」 「つっ剣‥。つ‥るぎ、俺は‥お前に、べた惚れ‥だから」 そんな当たり前のこと今更言わないでよ。 「ぅんっ‥。知って‥る」 「お前って‥、なんでそう‥生意気‥な‥んだ」 「でもっ‥、そこが‥好き‥なんで‥しょ」 「ああ、全く‥だ」 セックスの真っ最中にする会話でもないと思うが、でもそんな当たり前のことでも言われると嬉しい。だから俺も言っておかないといけないのだ。 「せっ先‥輩」 「なんだ」 「俺も‥好き」 俺のその言葉を合図に先輩のモノは弾けた。 俺の中へ、何度も熱いモノを吐き出す。 「剣〜。お前ってなんでそんなに可愛いんだ」 先輩は感動してぎゅうっと抱きしめる。 「先輩! 俺‥イって‥ない」 だっだけど、どっか抜けてるんだよね。俺のこと1番に考えてるんなら俺より先にイっちゃだめだよ。まったくもう。 先輩は慌てて俺のモノも撫でてくれた。やっと、やっと焦らされまくったけれど導火線から爆薬に火が着いた。風呂の中にぶちまける。 体から力が抜けると俺を抱きしめて笑う先輩がいた。 ふぅっ、仕方ないなぁ。なんやかんや言って俺は先輩には勝ってない気がする。 風呂から出てベットの上で聞く。 「先輩、なんで今日はあんなことしたの」 「うっ、ごっごめん。もう二度とあんなことしないから、一生風呂入らないってのは取り消してくれよ」 「理由による」 「だって、俺、卒業しちゃったじゃないか。もう今までと同じって訳にはいかないし、剣と毎日会えないし。だから一回くらいは剣の方から言って欲しかったんだよ。卒業祝いって事で許して。な?」 そっか、そういう理由だった訳ね。珍しく強気な態度と思ったら。 「ふ〜ん、今までと違うってほんと? だってどうせ今までだって学年が違ってたんだから会えるのは部活くらいだったじゃない。しかも大学ったって隣なんだし、先輩部活も来るつもりでいるんでしょう。おまけに校門で待ち伏せしたりしない? それに週末はうちに来ないの?」 俺はだから先輩の卒業ってあんまり問題にしてなかったんだよね。 「そっその通りで‥ございます」 「やっぱりね。卒業がなんか関係あるの」 「ううっ、無い?」 「残念ながら無いみたい」 「じゃあ、風呂は一生無し?」 クスッ、こんなに情けない顔しちゃって。本当の先輩は渋くて厳つくて恐いのに。 「縛ったりすんのは好きじゃない」 「はい」 「我慢するのも好きじゃない」 「分かってます」 「でも先輩は好きだから」 「えっ?」 「だから仕方ないから許してあげる」 「剣!」 まっ、一回くらいはいいよね。でも今度からはそんなことしたらもっと厳しくしなきゃ。 最終的には先輩に勝てなくても、普段の主導権は俺が握ってないとね。 なんて思っていたのに、先輩は抱きついてキスをすると、その唇はだんだん下を目指してく。いつの間にかパジャマのボタンを外し、乳首を舐められていた。 「あんっ、せっ先輩!」 「もっかいしよ」 ダメじゃん、ここで許したらすっかり先輩の言いなりだよ。全然、俺、主導権なんて握ってないじゃん。 胸からは甘い刺激がひっきりなしに俺を襲う。う〜ん、と考える。 そして、いい理由を思いついた。そう、今回だけだよって釘差しとかないとね。 返事を待つ、大好きな先輩に。 「卒業祝い、してあげる」 そうして俺たちは次のラウンドへとなだれ込んだのだった。 結局、先輩の思い通りって事なのかな。ちぇっ。 終わり |