「兄さん…大総統が来てるんだって?」 東方司令部の軍食堂で夕食をとっていたエドに、アルが何気に訊ねてきた。 「うん!さっき会ってきた!お忍びだから、あんまり大っぴらにできないから一人で行ったんだ。」 ごめん、アルと謝りながら、中断していた夕食にまた手をつける。 「…大佐とは上手くいってるの??」 「…なんだよ急に。上手くいってるよ!」 「………」 アルはじっと兄の顔を見つめていた。 鎧の体のアルは表情が分からない。 どんな思いでエドを見ているのか… 「大総統の力なんか借りなくても、大佐は兄さんの事ちゃんと想ってくれていると思うよ…」 いきなりの言葉に、エドは一瞬強張り、アルを見返した。 「何でそんな事分かるんだよ!」 「兄さんは兄さんのやり方で大佐を愛してあげればいいじゃないか!」 的を得た事を言う弟に怒涛のごとく怒ると思ったら、エドは悲しそうな顔をして俯いてしまった。 「…そんなんじゃ駄目なんだ…このままじゃ俺は大佐に飽きられちゃう…」 だから俺は大総統に教えて貰うんだ… どうしたら、大佐が満足して貰えるようになるのか… 「とにかく!俺達の事は大丈夫だから!今日は先に寝てろよ!」 何かもっと言いたそうだったアルの言葉を遮り、エドは夕食をとる事に集中した。 −−−ホテル、ロイヤルスイートに23時… 今度は何を教えてくれるのかな… 高まる期待を抑えきれない様に、エドの顔は緩んでいく… アルはそんな兄をただ見守るしかなかった… 東地区でもかなり有数なホテルの最上階… 軍の上層部や政府関係者以外は泊まる事の出来ない特別な空間… ロイは重い足取りで、その廊下の一番奥の扉を目指して歩いていた。 21時57分・・・ このまま時が止まってくれればいいものを… トントン… 「ロイ・マスタング大佐です…」 唇を噛み締めながらノックをする。 「入りたまえ」という声が聞こえると、大きく息を吸い、その重いドアをあけた。 「やぁ…マスタング大佐。久しぶりだね。」 「はっ!閣下にはご息災で恐悦至極…」 左手で敬礼をし、心にもない挨拶をする。 くすくす笑いながらゆっくりと椅子から立ち上がり、ロイの傍に近づいていく。 「そんな堅苦しい挨拶は、私達の間では必要ないだろう?」 「はっ…」 「…まぁ、いい。さて、私がここに来た理由を知りたいかね?」 聞かなくても分かっている… エドに色々教えに来たのだろう! 「君は先日、エドワード君との行為であまり満足しなかったそうじゃないか…」 「は?」 満足してない…?そんな事はない…私は充分に… 「エドワード君が不安がっていたぞ?だから私がここに来た。」 「閣下…私は別に…」 「健気じゃないかね…君を満足させたくて一生懸命なエドワード君…」 エドが…私の為に…? 私はエドの為なら何でもすると… 「君に飽きられると泣いておったぞ?罪な男だな…君も…」 エドが…私の事を… 「ククク…若いというのは素晴らしい事だ。真直ぐで、純粋で…」 「…その純粋なエドを弄ぶのはあなたではありませんか!」 ロイは拳を握り締め、思いの丈をブラッドレイにぶつけてしまった。 自分がとんでもない事をしているのはぼんやりと理解していた… 最高権力者に向って怒りをぶつけている… だがエドの事を思うと次から次へと目の前の悪魔に言葉が発せられる… 「私は!以前のように真直ぐに自分を愛してくれるエドが好きです!」 「あなたのせいで、エドは変わってしまった…」 「もう充分です!私とエドの事は放って置いてください!」 バシッ!! ロイはよろけてベッドに倒れこんだ。 頬に水が流れる感覚…血だ… ブラッドレイが悪魔の形相でロイを見据えている。 左手をさすり、指輪の位置を直す。 指輪のある手の甲で、ロイの頬を殴ったのだ… 「いつから君はこの私に逆らえるようになったのかね?」 「軍にとって君の立場は何だ?」 強烈な威圧感で押しつぶされそうになりながら、ロイはブラッドレイを見上げる… 「………狗です……」 唇を噛み締め、屈辱的な答えを告げる… この人に逆らってはいけない… 自分の為、野望の為…何より、エドの為に… 「よろしい。」 ブラッドレイは再び椅子に腰掛け、勝利者の余裕でロイを見下す。 「では服を脱ぎ、これから始まる宴の準備をしなさい。」 「エドワード君がもうすぐここに来る。その前に、君の本性を引き出してあげるとしよう。」 ロイは震える手で軍服のボタンを外し、すべてを脱ぎ捨てた。 一糸纏わぬ姿でブラッドレイの前に立ち、睨みつけるような眼で見返す。 均等の取れた引き締まった体は、見ているだけでも美しい… ブラッドレイは舐めるように見つめて、ロイの体を眼で犯していった。 「…閣下…っ」 「どうした?今更見られて恥ずかしがる体でもなかろう…?くすくす」 ゆっくりと椅子から立ち上がり、ロイの首筋から体を指でなぞっていく… 「まだ痕が残っている…ふっ、エドワード君はちゃんと君の性感帯を攻めているようだね。」 くすぐったさとは別の感覚が、ロイの中を次第に占めていく… 「なのに満足してないとは、どういう訳かな…」 「ふっんん、はぁっ」 眼を閉じ、その愛撫に耐える… ブラッドレイの指がロイ自身に触れた時、ロイのそれはしっかりと起ち上がり、先走りでトロトロになっていた。 「見てただけなのにもうこんなにしている…やはり君は最高の玩具だよ…」 「はぁっんん…」 ブラッドレイの肩を掴み、濡れた唇を震わせながら、キスをねだる。 その顔は、先ほどブラッドレイに逆らった時とは比べ物にならない程、淫猥に濡れていた。 「キスは…まだだ…エドワード君に取っておいてあげよう…」 濡れている唇を指でなぞりながら、黒髪をたくし上げ、その鼻筋にキスをする… それだけでロイの全身は震えだし、淫猥さに磨きがかかる… ブラッドレイのキスは、最高の媚薬でもあるのだ。 「さぁ、エドワード君が来るまで私を楽しませてくれないか?」 ロイは、ふらふらとベッドへと向い、そのまま横たわる。 「あぁ、それでは駄目だ。ベッドの頭にあるものが見えなかったかね??」 そう言われて、ロイはベッドの頭の方に目をやると、一瞬顔が強張ってしまった… これ…は… 手錠… それはベッドの枕元から伸びていて、その根元はしっかりと壁に固定されていた。 まるで錬金術で作られたかのように… 「自分で両手にはめなさい。大丈夫。鎖は長めに用意してあるから、どんな体位でも君を攻められるよ。」 これをはめてしまったら、もう逃げられない… 否、はめなくても逃げられない… だったら、落ちる所まで落ちてしまえばいい… この男が何をしようと、エドに何を教えようと、自分がエドを愛しているのに変わりはない。 そして恐らく、エドも私を愛してくれている… それだけで…今は充分だ… 好きにすればいい…あなたの思うままにすればいい… 体はあなたの物だが、心は愛しいエドワードに… To be continues.
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