腐った林檎たち  17









        けだるい身体を起こしていつもの黒い上着に袖を通す…





        右腕は未だ返して貰えず、右袖はだらりと垂れ下がっていた。



        監禁はされておらず、だが見張りはついていた。軟禁状態…とでも言うのだろうか…







        「どちらへ…?」

        無表情でグローム中尉がエドの前に立ちはだかる。

        行く場所をきちんと告げ、その場所まで中尉はぴったり着いて来て、また部屋に戻るまで一時たりとも離れない。





        ユノー将軍の命令通り…に動く人形…





        全く…少しは柔軟な対応しろって…





        「大佐の所。さ、早く通してよ!」

        憮然とした表情でグローム中尉を睨みつける。それでも中尉は眉一つ動かさず、すっとドアを開けた。



        ドアの外に出ても中尉が後ろにぴったり付いてくる。

        やりにくいなぁ…ホント…







        廊下を歩いているとリーゼル少将がエドを見つけ近づいてきた。





        「やぁ、鋼の…どうだね、気分は。」

        「最悪…早くここから逃げ出したい。」



        リーゼル少将の顔も見ずにその場を通り過ぎようとするエドの腕をパッと掴んだ。





        「!?何すんだ!離せ!」

        「…全く、礼儀も何もなってないな。貴様も大佐同様躾を受けるべきだ。」

        

        ギリッと掴んだ腕に力を込める。エドが痛みで顔をしかめると、その表情に欲情したのか厭らしくにやっと笑う。





        「離せよ!俺には手を出すなってユノー将軍も言ってたろ!?」

 

        バッと腕を振り払うと、一歩後ろに下がりリーゼル少将を睨みつけた。



        「確かに…そういう命令は受けている。だが判らんな…貴様も薬漬けにしてマスタング同様に

         人形にさせるべきだと私は思うのだがね。」

        「軍事演習って明日なんだろ?時間もないんじゃないの?」





        フム、それも一理あるな。

        納得したような顔で小さく笑う。それも嫌味っぽくだ。





        「もういい?俺大佐ンとこ行くから…」

        「マスタングの所か?あぁ、そうか。君はそれが足枷にもなっているんだったな。」



        答えようともせず無言で立ち去ろうとするエドに向って、リーゼルは勝ち誇ったように話しかけた。







        「マスタングの具合はどうだ?中々の名器だろう?あれは多くの男の欲望を咥え込んでいるからね!」

        「一度嵌ってしまったらもう抜け出せないよ。私も充分愉しませて貰ったからね。」





        ピタッと足を止めるエド…その背中からでも怒りがこみ上げているのが伝わってくる。









        「俺以外…誰も大佐を触らせない…だから俺はここに残っているんだ…」







        ポツリと呟いて足早に前を進もうとするエドを再度リーゼルが引き止めた。



        「何なんだよ!もういいだろう?俺はあんた達の元にいるんだから!」

        「まぁ、待ちなさい。大佐の所に行くならこれを持っていきなさい。」





        すっと渡されたちいさなケース…



        「何?これ…」

        そっと蓋を開けてみると中には注射器が入っていた。





        勿論…中には透明な液体が入っている…







        「これ…」

        「薬だ。大佐との情事の前に打ってあげなさい。きっといい様に乱れてくれるよ。」

        くすくす笑いながらエドの髪に指を絡めて頭をそっとなでる。

        右腕が無いので髪を結ぶ事が出来ず、はらりと解けたままだった。





        「こんなの無くたって大佐を鳴かせる自信はあるよ。」

  

        渡されたケースを押し返そうとすると、リーゼルはエドの左手をケースと共に握り締めた。









        「一日に数回打たないと大佐は禁断症状で半狂乱になる。そうすると手がつけられなくなるからね。」

        「量は減らしてある。明日の演習に差しさわりが無いようにな。君も少し加減して大佐を抱きなさい。」





        そのままぐっとエドの胸に押し返すとリーゼルは自分の部屋に帰っていった。









        …こんな薬…





        ケースを握り締めて深く息を吸う。





        足取りは重く、それでもロイの居る部屋へと向っていった。









        「…大佐…いる?」

        ガチャッと鍵を開け、重厚なドアを押し開く。

        自分以外に手を出さないと言う条件を、ユノーは何故か承知した。

        ロイが監禁されている部屋の鍵はエド以外誰も持つことは許されなかった。





        部屋の中に入ると、後から続いてぐろーむ中尉も入ってきた。



        「って何で中尉も入って来るんだよ!外で待ってろよ!」

        「そうはいきません。あなたを絶えず監視しろと言う命令を受けておりますから。」



        人形のような顔でドアの前から微動だにしない。

        命令を実行する為なら人を殺す事も厭わない…完璧な人形…





        この人に何を言っても駄目だ…





        はぁと溜め息をつき、諦めてロイの眠っているベッドへと向う。







        ロイはキングサイズの豪華なベッドの上で静かに寝息を立てて横たわっていた。









        「大佐…?」



        声をかけながら近づくと、眠っていなかったのかゆっくりと瞼を開ける…



        いつも力強い光を放っていた漆黒の瞳は、未だ虚ろで、目の前にいるエドもやはり誰だか判らない様だった。





        「大佐…まだ俺が判らない…?」

        しなやかな黒髪に指を絡ませ、そのままグイッと掴み取る。



        「あっ、いっ…」

        小さく悲鳴をあげると少し怯えた眼で目の前に迫る少年を見続けた。



        あんたの声…聞きたいな…





        「俺の名前を呼べよ…大佐…」

        顎をグッと掴み頬を押さえて声を出させようとする。

        だがロイはその痛みも快楽に変えてしまっているのか、潤んだ瞳でただ見つめるだけだった。





        声を出そうにも、ロイには何を話していいのか未だよく分かっていなかったのだ。





        今…ロイの状態は快楽を覚えた赤ん坊の様なもの…





        真っ白な紙が色水を吸い込むように与えられる快楽をすべて吸収して、それを最大限に発揮していく。









        元々の素質もあったのだろうか…ロイは今や最高のSEX DOOLとして開花していた。







        一向に声を発しないロイに、エドが少しイラつき、パンと掴んでいた頬を叩いた。

        黒髪が揺れ、白い肌がほんのり赤くなる。



        だが睨みつける訳でもなく、悦ぶわけでもなく…





        ただエドの行為に黙って従うだけ…



        エドが注射器の入ったケースを見せると、途端に瞳に力が入った。

        エドの左腕を掴み、抱き寄せて唇に吸い付いてくる。奉仕をしているつもりなのだろうか…



        「何だよ…そんなにこの薬が欲しいのかよ…」





        ずっと拒否してきた俺に自ら口付けるほど…





        グッと眼をつぶり、ケースを枕元に放り投げる。

        ロイはその方向に眼を向け、そのケースを取ろうと抱きしめていたエドから腕を放し手を伸ばす。





        ガシッと後頭部を掴み、また自分へと引き寄せた。

        ロイは苦痛で顔をゆがめるが悲鳴だけを上げ、決して「やめろ」とは言わない。







        『やめろ、エド…』





        そう言えばすぐに止めるのに…





        「欲しかったら奉仕だろ?ほら、ちゃんと咥えろよ…」

        前髪を掴み自分の前に四つん這いにさせズボンのジッパーを下ろす。





        ジジッと言う音に何も感じないのか…無表情のままロイはエドが己を取り出すのを見つめていた。







        すっと差し出されたエドの陰茎にそっと口付けをし、先端の割れ目に舌を差し込んでくる。

        片手で身体を支え、もう片方でエドの袋を揉み解し、その張りと硬さを引き出していく。



        根元から先端まで丁寧に舌でなぞると、そのまますっぽりと咥え込んだ。







        「ふっ…ンン…やっぱり上手いよ…大佐。」

        舌を使って器用にエドのモノの裏筋を刺激し、エドの快楽を助長させる。



        優しく髪をなでながら、貪欲に自分のモノを咥え込んでいるロイの唇に指をあてた。







        「んぐっ!んん!!」

        片手でロイの後頭部を掴みグッと奥まで押し込んで腰を動かし出し入れを繰り返す。

        圧迫感と喉まで来る苦しさとでロイの目尻に涙がにじみ出てきた。



        



        何をやっているんだ…俺は…

        これじゃ他の奴らと同じじゃないか…







        「大佐…俺を思い出して…俺を早く認識してよ…」



        手酷く扱えば俺の事覚えてくれる?

        他の将軍よりも痛みと快楽を与えれば俺の事忘れないでいてくれる?



        ブルッと身体が震え、その直後に熱い塊をロイの口内に吐精した。





        虚ろな眼でそれをすべて飲み干すと、ズルリとエドのモノから離れていく。







        そしてすがるような眼で右手を差し出し、エドの服を掴んで訴えた。









        『打ってくれ…』と…





        その姿にエドは益々苛立っていく。

        エドはその手を払いのけ、放り投げたケースを取ると薬をロイの腕に抽入した。







        「そんなに欲しかったら打ってやるよ!それで乱れて俺を満足させな!」

        グッと注射器を押し込むと、ロイの息が段々と荒くなっていく。





        眼はトロンと焦点が合わなくなり、口はだらしなく半開きになっていた。













        これがかつての東方司令部を掌握し、大総統の地位を狙っていた野心家の成れの果て…







        「それでも俺はあんたが好きだよ…」

        だから俺を見て…俺を感じて…





        ロイの体をベッドに倒し、着ていたパジャマを乱暴に引き裂いた。





        慣らす事もせずいきなりロイの身体を引き裂くように挿入する。



        薬のせいで少し湿っていたとはいえ、エドの強張った欲望の象徴を受け入れる準備は出来ていない。

        激しい痛みとともに押し寄せる快楽にロイは首を振って悲鳴にも似た喘ぎ声を上げていた。







        声を聞かせて…あんたの声を…



        そういいながら思いっきり突き上げてその最奥の一番感じる所を刺激する。





        「あぁあああ!んぁあああ!」

        夢中でエドの背中に腕を回し、自ら腰を密着させエドを迎え入れた。



        エドと結ばれている箇所からは止め処なく流れ出るロイ自身の先走りと、

        挿入時に裂けた血が混ざり合いシーツに染みを作る。





        抽出を繰り返すとロイの身体は小刻みに震え、その表情は恍惚としていてエドの与える快楽に浸っていた。





        ドアの傍にグローム中尉が立っている事も忘れ、エドはロイの身体に夢中になっていく…









        痛みを与えてもどんなに手酷く抱いても、ロイは決して抵抗せずそれをすべて快楽に変えてしまう。



        口から出るのは色っぽい喘ぎ声だけで、名前はおろか会話さえ成り立たない。









        「愛しているのに…こんなにも好きなのに…どうして俺の事見てくれないの…」



        ロイの身体を起こし、自分の上に座らせるような格好で更に奥へと突き上げる。



        身体を反らし髪を振り乱して悦ぶロイ…







        「大佐…俺の名前を呼んで…エドって呼んでよ…」

        「あっはぁアア…んっ…」



        エドはロイの胸に顔を埋め、ぷっくりと立ち上がっているその小さな突起を舌で絡め弄んだ。



        その刺激にロイは身体を屈め、金色のエドの髪に思わず指を絡ませた。











        「…エ…ド…?」











        「!?大佐!?今俺の事…」













        バタンといきなりドアが開き、リーゼル将軍が飛び込んできた。





        「な、んだよ!邪魔するな!」





        今、大佐が俺の名前を呼んだんだぞ!?







        思いっきり不満の態度を示すエドにリーゼルはかなり慌ててロイの軍服を投げ渡した。







        「何?これ。」

        「マスタングにすぐに着せろ!ここを出る。」

        「ここを?何でまた。いい隠れ家なんだろ?」







        拳銃の弾丸を確かめ、それを腰に装着する。













        「…何かあったの?」

        「ここが勘付かれた。今軍と警察が向っている。早くしろ!ここ以外にも隠れ家はある!」













        ヒューズ中佐!?きっとそうだ!アルが中佐と共に見つけてくれたんだ!





        「いいか!下手な動きをすればマスタングに命じてお前を焼き殺すぞ!」

        



        未だ繋がったままで、ロイは腰を動かし続けエドのモノをキュッと締め付けた。



        「んあっ!ちょ、っと大佐!離して…」

        離れようとするエドを抱き寄せ、エドの唇に喰らいつく。



        ロイにとってこの快楽を継続する事しか頭にない。他がどうなろうと構わないのだ。





        「命令」を受けない限りロイは永遠にSEXを続けているかもしれない…





        「何をしている!さっさとせんか!」

        「だって、大佐が離してくれないんだもん!この状況、わかるでしょ?」



        くすくす笑いながら再びロイの乳首を舌で転がしていく。





        「はぁっ、あぁあああ!」



        グッと身体をそらし、体中を痙攣させながらロイは頂点へと達していった。

        直後にエドも絶頂に達し、ロイの中に白濁液を解き放つ。





        はぁはぁ、とお互い息をつきながら、エドはズルリとロイの中から抜け出した。

        ロイは未だ虚ろな表情で見つめている。今のでは全然満足していないとエドは感じていた。





        「マスタング!この服を着ろ!あぁ、こいつ中出ししやがって!さっさと拭取らんか!」

        無言で命令通りにするロイに、エドは困惑を隠せない…







        どうしたらいい…?大佐を連れてアルの許に戻る…?

        こんな状態の大佐を連れて?

        それより俺の言うこと聞いてくれるのか?





        軍服に身を包むロイを見てエドは何故か胸が高鳴った。



        あぁ…やっぱり大佐はその服が一番似合う……







        俺が初めてあんたを見たのもその服だった…









        黒い髪も、漆黒の瞳も、白いしなやかなその指も…

        あの時と何も変わらないのに…今のあんたはまるで別人の様…



        それでも…俺は何度でも言う…





        あんたが好きだよ…













        部屋を出ると、蜂の巣をつついたように屋敷の中は騒然としていた。





        「証拠を残すな!焼き払っても構わん!裏に車を回してある。例の場所で落ち合うのだ!」

        躾を受けた兵士達が、機敏な動きで手際よく証拠を片付けていく。



   



        リーゼルが何かを手に持ち、ロイの傍に近づいてきた。





        「お前に渡す…が、判っているな。逆らうことは許さんぞ。」





        それは白い発火布に焔の錬成陣が書かれたロイの愛用の手袋…

        ロイは無言でそれを右手にはめると、リーゼルを見つめてこう一言呟いた…













        「命令は…?」













        エドが眼を見開き驚いている。大佐…?本気でそう言ってる…?















        「邪魔をする者を皆焼き払え。」



        リーゼルの命令にロイはこくんと頷き、正面玄関へと向った。













        ヒューズ率いる諜報部の連隊が、屋敷のすぐ近くまで迫っていた…













        To be continues.





  
   






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