腐った林檎たち  5









        ギィィと言う鈍い音で、ロイは眼を覚ました。







        ここは…?どこだ…



        目隠しはされていないが、真っ暗で何も見えない。







        ジャラリと言う鉄の感触と音が、両手から伝わってくる。

        鎖で…拘束されているわけか…

        背中がやけに冷たい。壁に貼り付けられているのか…?





        「眼が覚めたようだね…マスタング大佐。」





        前方から気配がする…

        一人…?いや、もうちょっといるな…







        「ここは…?どこです?私は国家機密に関わる会議に参加せよといわれて中央に来たのですが?」



        あくまでも冷静に答えるロイに、「将軍」達の顔が益々ほころんでいく。

      



        躾け甲斐のある猫を手に入れたと…





        「会議はあるよ、だが今の君では参加は出来ん。」

        「ちゃんと躾をしないとね。会議への出席はそれからだ。」



        ゆっくりと近づく足音…

        顔のすぐ傍まで感じる欲望にまみれた荒い息…



        すっと頬に触れるその手をロイは顔を振って払いのける。



        

        「うっぐっ!」



        ガシッと顎を掴まれ、男の吐息が鼻にかかる。

        きつい口臭にロイは顔を歪めたが、その顔に欲情したのか頬や瞼を舌で舐めまわし始めた。



        そのまま唇へと移動し、歯を喰いしばり抵抗するロイの顎をぐっと掴み、

        僅かに開いたその口の中に欲望に満ちた舌を突き入れた。



        逃げたくても顎と頬をつかまれて、ロイは男の舌に執拗に攻め立てられる。





        「んっふうんんん…」



        その声に僅かに含まれる喘ぎに、男はにやりと笑いながら軍服の前を乱暴に剥ぎ取った。





        パラパラとボタンが飛び、軍服の前がだらしなく肌蹴る。

        同じ様に下に来ていた白いシャツも乱暴に剥ぎ取り、ロイの肌があらわになった。





        透き通るような白い肌に均等の取れた引き締まった身体…







        その場にいたすべての「将軍」達がごくりと唾を飲み込む。







        



        胸板に手をはわしその感触を楽しんでいると、ロイがふっと笑った。



        「何を笑っておる?くくっ、誰にでも足を開くと言う噂は本当だったようだな。」



        胸の突起をくいっと捻り、思わず苦痛の表情をするロイに心から酔いしれる。

        これは、躾などせずとも、我らの僕となるのではないのか…?



        そう思った瞬間、うな垂れてたロイが下から見上げながら「将軍」を睨みつけた。





        その眼の輝きに「将軍」が一瞬たじろぐ…  

        何と言う美しく、そして強い眼をしているんだ… 







        この眼を服従の眼に変えてやりたい…





        強烈な反骨精神を持つ者を跪かせ、自分の足元になつかせる。

        支配欲にまみれた「将軍」達の中にそういう思いがふつふつと湧いてくる。 





        顎を上げ、その瞳をじっくりと覗き込む。

        睨み付けるかと思ったら、またふっと笑っている。



        「何がおかしい?マスタング大佐。」

        「いえ、中尉に怒られるなと思ってね。」



        訳の分からない顔をしていると、ロイが続いて答える。





        「軍服破いてしまったから。新たに支給して貰わないと…最近経費節減をしろって言われているんですよね。」



        こんな状況なのに自分のペースを崩さず、淡々と話す。









        バシッ!!バシッ!!



        その言動が「将軍」の怒りに触れたか、ロイの頬を二度三度叩いた。

        口端から赤い血が流れ出す。口の中を切ったようだ。





        しなやかな黒髪が乱れ、だがそれさえも官能的に見えてくる。





        はらりと垂れた前髪から、きつい瞳が見え隠れしていた。

        再び「将軍」達に鬼畜な意識が芽生えてくる。









        「その生意気な口をちゃんとしないといけないな。」

        「上官に対する礼儀も教えないとね。」

        「我らへの忠誠心も高めないと。」





        口々に侮蔑の言葉を発し、ロイのプライドを刺激していく。



        「ふっ、私と契約するのなら、それなりの見返りを提示してくれませんか?」

        「私はただではないんです。等価交換と言う言葉はご存知でしょう?」





        両手を拘束され、本当なら怯えて助けを求めるはずなのに…

        ロイは一層の輝きを放ち、上位にいるはずの自分らが追い込まれているような錯覚さえ覚えている。

        今まで捕らえてきた奴は皆、最初の躾で恐怖を植えつけさせた。





        こいつは…確かに一筋縄でいかないかもしれないな…









        「これは等価交換などではない。マスタング大佐。服従だ。」

        「『将軍』たる我らに対する服従心を高めるのだよ。」

        「自らひれ伏し、絶対的な服従をね…」



        ではまず『おねだり』を覚えようか…





        チクンと右腕に小さな痛みを感じ、何かを投与されているのか全身に熱が伝わっていくのが分かる。





        ハァハァと息遣いが荒くなり、額からじわりと汗が流れ出す。





        何だ…身体が…









        身体が疼く…熱い…









        「催淫剤だよ、大佐。それもかなり強い薬だ。」

        「それこそ、今すぐにでも突っ込んで欲しいくらいによく効くよ。」



        くすくす笑いながら、何本かの手がロイの身体を弄り始めた。





        「んっあああっ、ハァアア…」



        僅かに触れられるだけで、とてつもない快感が体中を走りぬける。

        軍服のベルトを外され下着ごと剥ぎ取られると、ロイ自身は既に起ち上がり、透明な液がトロトロと流れ出していた。





        その先端にそっと触れると、ビクンと大きく身体を反らし、悲鳴に近い喘ぎ声を上げる。







        だが、僅かに触れるだけで、そのままイかせようとはしなかった。









        ロイの周りから気配が消えていく…









        「その身体でどこまで我慢できるかな…?ククッ…」

        「きちんと我らにおねだりが出来たらイかせてやろう。」



        体中が性感帯と化し、ちょっと壁に肌が触れただけで体中が痺れるように感じてしまう。

        中途半端に焦らされた身体は更に淫猥な感覚を引き出していた。





        イキたい!!イかせて欲しい!!







        だらしなく開いた口の端からは、血と共に唾液が流れ出していく。



        両の手が繋がれ、立ったままの状態で壁に貼り付けられていてはどうする事も出来ない…





        ハァ、ハァ、と息をはきながら、人の気配のするほうへ視線を向けた。









        「…イかせて下さい…閣下…」





        プライドをかなぐり捨てる行為…いや…

       

        生き残る為の手段…





        下手なプライドは持っていても何もならない。

        だったらそんなもの捨ててしまえばいい。



        服従したように見せかけ、機会を待つ。そしていつかチャンスが訪れたら必ず逆転させる。







        それが、ロイがその若さで今の地位を獲得した所以でもあった。















        「いや、駄目だ。心から我らに服従させないとな。」

        「お前はただの猫ではない。黒豹だ。躾もそれなりにしないとこちらが喰われてしまいそうだ。」



        「将軍」と呼ばれる者達も、数々の駆け引きを得てここまできたのだ。

        そう易々と若造の思惑に乗せられる我らではない…







        「明日の朝までそうしているといい。この薬は持続性があるから、充分持つよ。」

        「君がどれだけの精神力の持ち主か、試させて貰おうか…」



        そう言い放つと、くすくす笑いながら『将軍』達は部屋を後にし、ギギッと再びドアが閉められた。













        人の気配が消えた薄暗い部屋の中で、ロイは必死に迫り来る快楽に耐えていた。



        ここで欲情に流されてしまっては負ける!耐えろ!





        私はこんな事ぐらいで終わるわけにはいかないのだ…











        唇を噛み締め、その痛みで快楽に溺れそうな自分を奮い立たせる。















        だが、その頑なな精神力が崩壊した時、落ちていくスピードは誰よりも速い…













        ロイはいずれそれを身に沁みて知る事になるだろう…









        To be continues.





  
   






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