腐った林檎たち 8
キキッ!!
大きな玄関の前に黒い車が次々と到着していく。
一台、また一台と止まる度に迎える下士官達は焦っていた。
大勢の「将軍」達がこの屋敷に集まってきている…
半年前から始まっている、ある儀式の為に…
自分も覚えのあるその儀式、今日の犠牲者はきっとあの大佐だ…
誰もが戦慄を覚えるが、誰一人として救いの手を差し伸べようとは思わなかった…
そんな事をしたらどんな目に合わされるか…
逆らう事は許されない。
服従し、足元に跪く事で今は生き永らえている。
最後の到着した車がすっと玄関に入ってくると、下士官だけではなく数人の「将軍」達までもが出迎えた。
「ご苦労様です!ユノー将軍閣下!」
直立不動で敬礼をかざし、車から降りてきた初老の将軍に敬意を払う。
ゆっくり車から離れ、屋敷の中へ入る姿は他の「将軍」と比べてやはり貫禄があった。
「今日の宴はさぞかし楽しいでしょうな、閣下。」
「…………」
機嫌を取るように話しかけるが、ユノー将軍は黙ったまま…
「何かお気に触ることでも…?」
「うむ…少し厄介なことになってな。」
後ろに手を組み、ゆっくりと廊下を歩いていく。その後ろを「将軍」たちが続く。
大きな扉の前で止まると、中からドアが開き皆ぞろぞろとその中へと入っていった。
広い食堂にテーブルがコの字型に並べられその中心にユノーが座ると、次々と「将軍達が席に着く。
食前酒が運ばれ、ユノーがグラスを取り席を立つ。
「今日、集まって頂いたのは恐らく最後になるだろう我らの「猫」について吟味してもらう為だ。」
「飼いならせるか否か…皆様にご判断頂きたい。」
ワインを持った「将軍」たちの顔が自然に緩み、厭らしく笑っている。
「フェルゼ、どうだ?一日たっているわけだが少しは大人しくなったかね?」
「はっ!それはもう!『ハウス』も覚え、かなり従順になっております!」
そうかそうか!と満足げに微笑み、すぐにつれてくるよう命令を下す。
ガラガラと音を立てながら大きな檻が運ばれてきた。
その檻を見るなり、『将軍』たちはオォ〜と歓声を上げた。
軍服の上着だけを羽織り、檻の中で横たわるロイを見て誰もが上唇を舐めその欲情を露にする。
ロイは軍の中でも目立つ存在で、その見目といい、能力といい、知らない者はいなかった。
ましてや国家錬金術師の称号を持ち、大総統にも一目置かれている。
そのせいか、ロイの行動や言動は時々鼻に来る所があった。
その生意気な下士官が今、檻の中で横たわっている…
自分達の手の中でその運命を握られている…
支配する側に立つ者が持つ『嗜虐心』が沸々と沸き起こっていく…
「かなり弱っておりますので、いつもの威勢は見られませんが…」
それはそれで趣があると思います。
そう告げると、フェルゼは檻の扉を開けロイの髪の毛を掴んで眼を覚まさせた。
「起きろ!将軍閣下が皆揃っておいでだ。貴様の忠誠心をお見せするんだ。」
「あっ…ハァハァ…」
苦悩の表情を浮かべ、うっすらと眼を開けると部屋に灯されたシャンデリアの明かりが眼に刺さる。
檻から引きずり出されると、ロイは力なく倒れこみ荒く息をつきながら自分を見ている『将軍』たちを見回した。
何だ…この連中は…
貴族将軍と呼ばれている者ばかりじゃないか…
実力もなく家柄だけでその地位を手に入れた役立たず共…
何の為にこんな事を…何をしようと言うんだ…
「こやつは昨日から水を一滴も飲んでおりません。相当参っていると思われます。」
「水の為なら恐らく何でもすると。さ、どなたか試してみてはいかがです?」
髪の毛をぐっと掴み上半身を起こすような姿勢をとらせロイの顎をさらりと撫でる。
薬は既に切れてはいるが、今までずっと焦らされていた分、身体が疼いて熱く火照っていた。
『将軍』たちの目はそのロイの中心へと向けられた。
顎を撫でられ、胸に手を這わされ、小さな突起をつままれただけでロイ自身は見事に起立し、
先走りすら流れ出しドクンと脈打って『将軍』たちを誘っていた。
「フェルゼ少将閣下、まずは自分が毒見させて頂いてもよろしいでしょうか!」
鼻息を荒くしたグルゼ准将がぱっと立ち上がり、コップに入った水を持ってロイの傍にやってきた。
「ユノー将軍閣下…」
「かまわんよ。その猫は少々気が荒いからね。まずは躾をさせてから私は頂くとするよ。」
はっ!ありがとうございます!とユノー将軍に敬礼をし、ロイの方へと眼を向ける。
「水が飲みたいそうだな…マスタング大佐。上手に出来たらこれを飲ませてやらんでもないぞ…」
ロイの目の前によく冷えた水の入ったコップをちらつかせる。
ロイの眼がかっと見開き、その水を取ろうと手を伸ばす。
「まだだ!お預けもできんのかっ!」
フェルゼがグイッと髪の毛を引っ張り、ロイはその痛みに悲鳴をあげた。
その声に『将軍』のすべてが酔いしれる…
グルゼが徐にズボンのジッパーを下げ、自慢の物を取り出しロイの目の前にあてがった。
「水を飲む前に、まず私のを飲ませてやろう…」
ロイの前髪を掴み顔を上げさせ半開きになった口の中に無理やり押し込んでいく。
「んっぐっ…んん…」
「ほら、ちゃんと舌を使え!いつも貴様の上官にやっているように私を満足させてみろ!」
ロイは口いっぱいに押し込められたグルゼのモノを僅かに開いた隙間を使って舌で奉仕していった。
頬をすぼめきつく吸いつき、舌を巧みに動かしてそれの筋を舐め回す。
ロイのあまりにも巧みなテクニックに、グルゼは驚き、そして焦った。
思わずこの男の虜になりそうで…快楽を与えるはずが、与えられる立場に陥りそうで…
ロイの口から抜き出そうとして、そのままロイに強く吸い付かれる。
「うっ、んん!!」
ロイはグルゼのモノを美味しそうにしゃぶり、一心不乱でそれを舐め回していた。
グルゼ自身から流れ出ている透明な液でロイは喉の渇きを癒そうと本能的に喰らいついていたのだ。
「はぁっ、ああぁっ!!」
情けない声を上げ、グルゼはあっけなく達してしまい、ロイの口の中にすべてを吐き出した。
ロイはそれを残さず飲み干し、だがまだ足りないようでグルゼの萎えたモノに手を伸ばそうとしている。
グルゼは後ずさりをしながら、ロイの手をパシッと叩き落した。
「躾がまだまだなってないようだな。罰として水は与えられないぞ。」
その言葉を聞くとロイの顔が一変し、扇情的だったその表情が怒りと憎しみで歪んでいく。
「水をやれ、グルゼ。鞭を使ったら飴もやらねば噛み付かれるぞ…」
はっとその声で我に変えると、今にも襲い掛かりそうなロイにすっとコップを差し出した。
震える手でコップを掴むと、ゴクゴクと喉を鳴らしながらその水を飲み干した。
ハァハァと息をつき、上目使いでグルゼを見つめている。
その眼の輝きにグルゼはドキッとし、金縛りにあったように立ち尽くしてしまった。
こいつ…我らに屈しているどころか下手をすれば取り込まれる!
黒豹とはよく言ったものだ…野生の本能は決して失われない…
「どうしたグルゼ…マスタングの魅力に取り付かれたか?」
「ユノー閣下…こやつは危険すぎます…すぐにでも処分をした方がよいかと…」
ユノーはゆっくりと立ち上がり、ロイの傍へと近づいていく。
「わかっておる…こやつは諸刃の剣だ。下手をすればこちらの身の破滅だ。」
ロイの髪に指を絡ませ、そのまま顔のラインをすっと撫でていく。
ガシッと顎を掴み、自分の方へと顔を向かせロイを睨みつけた。
「今日、お前の部下とその親友が私の所に尋ねてきたぞ…?」
「しつこくお前の所に送った手紙の事を聞きおったわ。ま、私が関与しているとは流石に思わなかったようだが…」
ハボックが…ヒューズと…私の事を調べてる…?
「会議の日も近い。お前はそれの要なのだ。こう反発的では困るのだよマスタング大佐。」
顎を掴んでいる手ではない方で、身体のラインをなぞっていく。
ロイの中心に手を伸ばし、勢いを増しているそれを優しく揉み解す。
「はっ、ああっ、んん…」
眼を閉じ、その愛撫に悶え官能的な声を上げる
「マスタング…何故部下を連れてきた…何故一人で来なかった…」
言い終えると同時にロイ自身の根元をギュッと締め上げた。
「ひっ、んんっ!!」
ユノーの腕を掴みその痛みと快楽に耐える。
そっと掴んでいた手を離し、再び優しく筋をなぞるように愛撫を加える。
ロイの身体が小刻みに震えだす。限界が近づいてきたのだ。
「答えなさい…マスタング…」
甘く囁くような声でロイの耳を刺激する。
ハァハァと息を荒くしながらロイはユノーを見上げ、にやっと笑った。
「私があのような手紙如きで喜び勇んで来るとでも思ったのですか?」
「受け取ったその時から何かしらの陰謀を感じ取りましたよ。」
私を中央に呼びつけられるのは大総統閣下のみ。
所詮あなた如きの器では私は尻尾は振りませんよ…
「部下を連れてきたのはその為です。あれは私の忠実な狗ですからね。
私の臭いをかぎつけて必ずここに辿り着きますよ。」
それまでせいぜいいい夢を見ているといい…
その眼は…今までに見た事がないくらい美しく…
そして今までにない恐怖を感じていた…
ユノーはロイから手を離すと、そのわき腹を靴で蹴り上げ、苦しさで倒れこむロイにさらに蹴りを数発打ち込んだ。
ゴホッと咳き込むロイの髪を掴み、更に数発その額に拳を食らわせる。
口から血が流れ、ゴホゴホと咳をする度に床を赤く汚していく。
「ユノー将軍閣下…いかが致しましょう…」
フェルゼが恐る恐るユノーに問いかけた。
「マスタングを計画から外す訳にはいかん。何としてでも我らに服従させろ。」
「薬を使え!快楽を与えよ!薬漬けになってもかまわん!計画が無事終われば用無しだ。」
不愉快だ!私は部屋に引き下がらせてもらうぞ!
そういい残し、ユノーは食堂を後にした。
すべての「将軍」が敬礼をかざしユノー将軍を見送ると、一斉にロイへと眼を向ける。
白い肌が赤く汚れたその様は見るものすべてを欲情させる。
前菜が運ばれてきたが、誰もそれに眼むくれず、引き寄せられるようにロイの傍へと近づいていった。
上着は剥ぎ取られ、四肢は押さえ込まれ、右腕に例の注射を打たれ…
何本もの腕がロイの身体を這いずり回り、その快楽を引き出させる。
悲鳴に近い喘ぎ声も無理やり押し込まれた「将軍」の陰茎に押し殺された。
四つん這いにされ後ろからも怒り狂った将軍のそれに貫かれる。
両脇から胸の突起を弄ばれ、ロイ自身にも刺激を与えられ…
激しい突き上げとともに中に熱い物が放たれ、ずるりと抜かれる感触にまたロイの中が身悶える。
すぐさま別のものが進入し、再び激しく突き上げてくる。
下の方で感じながら上からも果てしなく奥へと押し込まれていた。
むせ返りながらそれを喉奥まで受け入れ、舌で奉仕を始める。
そしてまた口の中に放たれると、息をつく暇もなく新たなものが犯しにやってきた。
終わればまた次の者が…そして更にまた…
狂気に似た宴は果てしなく続き…
ロイの思考は徐々に失われていく…
ハボック…お前を信じている…
その為にお前を連れてきたんだからな…
私が自分を見失う前に…早くここに辿り着け…
ロイが眼を閉じ、深い眠りにつき、そして再び眼を覚ました時……
ロイの中は快楽を求める本能だけで覆われていた…
To be continues.