ゲームを征する者 11
3:20 ロイは階段下の小さな物置の中で、荒く肩で息をしていた… こんな!馬鹿な事があってたまるものか! 「大佐…大丈夫ですか…?」 フュリーが心配そうにロイの頬を触ろうとする。 ロイはその手を思わず振り払ってしまった。 「大佐…?」 「フュリー…お前…」 「…もしかして…感じちゃいました…?僕のキスで…」 あどけない笑顔でにっこり笑って、とてつもなく恐ろしい事をさらりと言う。 こいつは予想外だったかもしれない… フュリー曹長… かなりの経験者…? 「僕、これでも女性経験豊富ですから…恐らくハボック少尉より…」 参った… これじゃ、ハボックの時より危険な状況じゃないか… フュリーがキスをして来た時、ロイは軽く触れるだけですむと高をくくっていた。 ところが唇を合わせたと思ったら、すぐに舌がロイの口を割り、中にするりと滑り込んできた。 驚く暇もなく、舌を絡め取られ、後は成すがままに転がされ… ようやく離れた時、ロイはすっかり参ってしまっていたのだった… とにかく、ここから出なければ! これ以上こいつといると、何をされるか… 「大佐…そのまま出るのは辛いんじゃないんですか…?」 「ば、何を言ってる!私はさっさとここから…」 狭い部屋の中、ドアに手を伸ばすと、フュリーがとっさにその手を掴み、そのままロイの体を壁に押し付けた。 「フュリー曹長!離さないか!!」 「…だって…大佐…こんなにして…」 ロイより小柄なフュリーはこの部屋の中では楽に動く事が出来る。 どさくさに紛れて、ロイの上に馬乗り状態になっていたフュリーは、その股間にそっと手を添えていた。 「!!フュリー!」 「我慢するのは良くないですよ?僕が手伝ってあげますから…」 そういうと、慣れた手つきでロイのズボンに手をかけ、ロイ自身を取り出した。 「フュリー…!!」 止めさせようと頭を抑え逃げようとするが、狭い部屋の中、身動きが出来ない。 「ふっん…んん…」 フュリーはかなり大きくなっていたロイ自身を口に含むと、舌を使って上手に快感を引き出していった。 「はぁっんん!!ああっ」 フュリーが上下に舌を這わせていく度に、ロイの全身に電気が流れるように快感が伝わってくる。 まさか、こんな奴が… そういう思いが、快感を一層高めていた。 ロイは我を忘れて、フュリーの頭を押さえ込み、更に奥へと飲み込ませる。 「フュ…リー…」 「大佐…気持ちいいですか…?」 ロイ自身に片手を添え、下から上へと舌を這わしていく。 先端の割れ目に舌を差し込み、根元をギュッと手で掴み締め上げる。 「あぁっあああ!」 ビクッと体を震わせ、その愛撫に反応する。 「僕、男性経験はないんですが…僕がされて気持ちい事、大佐にしてあげてもやっぱり気持ちいいんですね。」 ロイは苦しそうに、涙眼でフュリーを見つめていた。 そう…限界が近かったのだ… フュリーはそれを察すると、小さく笑い、少し優越感じみた声で囁いた。 「あぁ、もうイきたかったんですね…すぐに楽にしてあげますから…」 先走りがひっきりなしに流れ出ているロイ自身を、再び口に含むと、奥へと激しく咥え込んだ。 「んぁあああっ!!!」 フュリーの頭を押さえ、体を反らしながらビクビクと震え、ロイはフュリーの口内に射精した。 フュリーはそれを残らず飲み干すと、口元を拭い、ロイにキスを求めた。 ロイはフュリーを抱き寄せるように再び唇を交じわせる。 頭の中が痺れるようなキスを交わし、ようやく離れた時、ロイもフュリーも虚ろな目でお互いを見つめていた。 「大佐…」 フュリーがそっとロイの襟元に手をかけた時… ザクッ… 布の切れる音と同時に、フュリーの首輪がぽとりと落ちてきた。 何が起きたのか理解できいないであっけに取られているフュリーの眼に、ロイの手に握られたガラスの破片が映っていた。 「ゲームオーバーだ…曹長…」 ガラクタの中から、ガラスの破片を探し出し、それを手にとって首輪を切り取る機会を待っていたのか…? 呆然としているフュリーにロイはポンポンと頭を叩いた。 今夜の事は忘れろ…これはゲームなんだから… ロイの目はそう語っているようにも思えた… ロイはそのまま部屋を抜け出し、一度も振り返らないでそこから立ち去っていった。 後に残されたフュリーはただ呆然とするばかりで、暫くその部屋で先程の余韻にふけっていた… 「僕…大佐をイかせちゃったんだ…」 そう思い返すと、恥ずかしいのと嬉しいのとで混乱してくる。 憧れだった大佐… ゲームに参加したのも、その気がなかったわけじゃない… 僕にそんな大それた事が出来るはずないと諦めてたけど… 「でも満足だ!僕にしては凄い事しちゃったんだ!」 にっこり笑って、フュリーもその小さな部屋から抜け出した。 明日から…またいつもの日常が戻ってくる… 大丈夫。以前のように大佐は接してくれるだろう。 僕も、他の皆も… フュリーが清々しい気分で東方司令部を後にしたのは、東の空がほんのり白んできた頃だった… To be continues.