ゲームを征する者   3








       23:30



       

       どれだけ時間がたったのか…







       夜明けまでにはまだまだ時間があるだろうな…







       かなりの兵士たちに見つけられ襲われたが、皆、焔でなぎ払ってやった。



       首輪が取れればゲームオーバー。

       すごすごと大人しく司令部を後にするものが殆どだが、中にはそれでも諦め切れず襲ってくる者もいた。





       本気で焼き殺してやろうかと殺意が生まれた時、絶妙のタイミングで将軍達が現れる。







       そして失格者たちを否応無しにつまみ出していく。







       絶えず巡回しているとはいえ、何故私の場所がわかるのだろうか…







       とにかく夜明けまで逃げ切るしか道はない。

       だが、体力がどれだけ持つか…



       錬金術で生み出す焔は同時に体力も消耗していく。





       銃や他の武器をもつ事を禁じられているので、自分を守るにはこの手袋しかない。





       「とにかくどこかで休まないとな…」





       ひっきりなしに襲ってくるので、息をつく暇がない。

       それほどまでに自分とやりたい輩がいたのかとロイは半ば呆れていた。





       自分が放つ媚薬にも似た色香に、当の本人は全く気づいていなかったのだ。





       どこかの部屋で少し隠れて、体力を回復しようと考えていた時、背後からまた人の気配を感じ、振り向いた。







       「ちっ、またか!」





       舌打ちをつき、右手をかざす。

       3人の兵士はそれを見ただけでひるんだが、その内の一人が臆せずに飛び掛ってきた。





       「愚か者が!」

       右手に力を込めたその時、今までの反動が突然ロイを襲い、指を鳴らす力が一瞬失われた。





       それを見逃さなかった兵士はとっさにロイの右手を押さえ込み、火花が出せないように指を絡ませた。







       「や、やったぞ!捕まえた!大佐を捕らえたぞ!」

       「くっ!離せ無礼者!上官に対しての仕打ちかこれは!」



       残った二人もロイの手足を押さえ込み、厭らしい顔を浮かべて笑っていた。

       「大佐〜これはゲームですよ。今は階級は関係ないって大総統閣下もおっしゃったじゃないですか。」

       「朝まで好きにしていいんですからね。再起不能にしなければ何をしてもいいと…」



       ふざけるな!と言おうとした時、ロイの口は指を絡ませていた男に塞がれていた。





       「ん、ふっんん…」

       「ホラ、舌をちゃんと絡ませろよ!いつも上官にやって見せているように。」



       歯を食いしばって抵抗をしていたが、手足を押さえていたもう一人が軍服のボタンを外し、

       するりと中に手を入れてきた。

       そして胸をまさぐられ、思わず感じてしまったロイは喘ぎ声を漏らし、

       その隙に口を犯していた男に舌を割り込まされていた。





       「流石、淫乱な体をしてますね、大佐。触っただけでホラ、もうほんのり紅くなっている…」





       前はすべてはだけられ、あらわになった胸に男達の舌が這っていく。

       



       「やぁっああ…」

       「あぁ、その声!堪らんですよ、大佐!一度あなたの喘ぐ声を聞きたかった…」





       冗談じゃない!貴様らごとき下士官に聞かせるほど安くはないんだ!







       心の叫びとは裏腹に、体は正直なのか、男達の愛撫に敏感に反応してしまう。

       足を押さえていた男が、ロイのズボンのベルトに手をかけた。



       

       嫌だ!こんな所でこんな下衆どもに犯されてたまるものか!





       ロイは最後の力を振絞って激しく抵抗した。









       バシッ!







       ロイの顔が激しく揺れ、そのショックでロイの意識が一瞬遠のく。



       「大人しくしやがれ!これはゲームなんだ。ゲームを制した者が勝者なんだよ!」

       

       リーダー格の男がズボンのチャックを下げ、己を取り出し、ロイの口にあてがう。

       意識を失いかけたロイは、虚ろな眼でそれを見つめているだけだった。

       



       男はロイの頭を掴み、無理やり口の中へと押し込んだ。





       「歯、立てるんじゃねーぞ!」

       普段の立場だったらとても言えない口調で、ロイを支配していく。





       「ん、ふっんん…」

       ロイは諦めに似た境地で自分より低い地位の男のモノを舌を使い奉仕していた。





       「くっ、流石に上手いな…大佐。さぞかし多くの上官達のモノをこうやって奉仕してたんだな…」

       他の二人もその舌捌きに、ロイを攻め立てるのも忘れて見入っていた。





       白い肌が紅く紅潮し、眉間には苦悩の表情を浮かべ、大きく口を開けて男のモノを咥えている…







       夢にまで見た、大佐をこの手で犯す…





       あと一息ですべてが叶う…





       「んっ、イク…しっかり飲み干せよ…」

       男はロイの頭を押さえつけ、前後に激しく腰を振った。

       ロイはむせ返りながらもそれを受け入れ、最後の時を待った。





       ゴボッ…





       白濁の液がロイの口の中へと押し込まれ、ロイは否応無しにそれを飲み干すしかなかった。

       

       「ハァ、ハァ…」

       「飲んだな…全部…ふふっ、偉いぞ…」



       肩で息をしながら、男は満足げにロイを見下ろし、自分の精液で汚れた上官の顔を見ようと両手でロイの顔を掴んだ。





       その瞬間、ロイは馬乗りに乗っていた男の前に右手をかざした。

       「しまった!まだそんな体力が…」

       「油断は禁物だ。だからお前はいつまでたっても下士官のままなんだ。」





       ま、待てと言う声を聞かずに、ロイは指を鳴らした…





       ボゥッ!!





       リーダー格の男は爆発の反動で吹っ飛び、壁に激突して気を失っていた。

       首輪は…勿論外れている。これでこの男は失格だ。





       手足を押さえていた男達に目をやると、「ひぃ!」と言いながら逃げていった。





       「何だ…あっけないな…」





       袖口で口を拭うと、ロイは服を調え、ふらつく体を壁で支えながら立ち上がった。



       早くどこかで休まなければ…



       そう考え歩き出した時…







       「まだまだです!大佐!」





       背後から抱きしめられ、ロイはそのまま押し倒された。

       先程吹き飛ばしたはずの男がロイの上に覆いかぶさっていたのだ。



 

       「貴様!あの爆風で何ともないのか!?」

       「体だけは丈夫に出来てましてね…流石にさっきのは堪えましたけど…」



       見れば体のあちこちに痣や火傷の痕がある。普通の人なら間違いなく気絶して、暫く眼が覚めなかっただろう。





       「大佐も優しすぎですよ。大総統閣下から殺人の許可頂いてるんでしょ?」

       「だったら俺を殺すぐらいの焔を出さなきゃ…命取りですよ、今みたいに…」





       男はロイのズボンのベルトを器用に外し、その中に手を入れてきた。



       「やっ、止めろ!貴様の首輪はもう外れているんだ!お前は失格だ!こんな事をする資格はもう…」





       「やった後で外れた事にすればいいんだよ。誰にもわからねぇさ。」





       焔を出したくても、さっきので力を使い果たしてしまった。

       もう暫く体力を回復させないと、当分は焔を出すことは出来ない。





       それを悟っているのか、男は右手を押さえる事はなく、ロイ自身への愛撫に集中していた。







       「はぁっ、あああ」

       「さっきの刺激で、体が火照ってるんだろ?俺が沈めてやるから…」





 



        

       「バカ言うな…お前は失格者だろ?」







       ロイの頭の方から静かに語る声が聞こえた。





       「誰…だ…?」

       「何だ!てめぇは!」

       「ゲームの参加者の一人。ほら、失格者はとっとと出てけ。」

       「は、な、なら一緒に大佐をやろうぜ!俺は一回出来たらいいから、後はお前の好きに…」

       「バーカ!俺は一人でロイを愛したいんだ。」







       「ヒューズ…」







       ロイの頭ギリギリまで迫り、そこで立ち止まる。

       情けない格好で横たわる親友を上から覗き込んでいた。





       「もうすぐ准将以上の方々が巡回に来るぞ…見つかったらそれこそ銃殺モノだ。」

       「ひっ…」

       「黙っててやるから、さっさと失せな。それから、傷の手当てはちゃんとするんだぞ。」

       「それと、ロイにきちんと感謝しろ。殺されてもおかしくない状況だったんだからな。」





       男はロイに向って震えながら敬礼をし、その場を小走りで逃げ去っていった。







       「…お前も…ゲームの参加者だったのか…」

       体をゆっくりと起こし、ヒューズを見上げるように見つめた。

       まぁな、と頭をかきながらロイの目線にあわせるようにしゃがみこむ。





       「だが、勘違いするなよ。俺はくだらないゲームからお前さんを守る為に参加したんだ。」

       「首輪をはめなきゃ、東方司令部に足を踏み入れる事は出来ないって大総統がぬかしやがるから…」





       本当にそれだけの理由か?と疑いながらも、唯一の味方が現れ、ロイは安堵の表情を浮かべていた。





       「とにかくどこかで休まなきゃな。歩けるか?」

       「あぁ…大丈夫だ。」



       

       気になることが一つ…

 



       ハボックを始めとする直属の部下達の面々がまだ現れない。







       それに…こんな面白いだろうゲームにあいつが参加していないのも…





       鋼の錬金術師…エドワード・エルリックが…



       片腕を失っているとはいえ、ゲームに参加していたら、私にとって脅威であるには違いないのに…







       まだ0時を回っていない…夜明けまでには随分時間がある…









       油断は禁物だ…









       ゲームはまだまだこれからなのだから…









       

       To be continues.





  
   




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