ゲームを征する者   4












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              東方司令部の一番高い塔にある時計が時を鳴らす。





       「真夜中の12時だ。」





       物語の中ならこれで魔法が解け、現実世界に帰っていくのだが…



       ここが現実世界…







       夢であって欲しい…目を閉じて、再び開けばそこは見慣れたベットの上だったら…







       「ロイ…大丈夫か…」

       ヒューズがロイの顔を覗き込み心配する。



       「大丈夫…だ。とにかく今はゆっくり休みたい…」

       なら任せろ、と言ってヒューズはある部屋のドアを開けた。





       「資料室…?」

       「奥にあんまり知られてない部屋があったはずだ。そこで少し休もう。」

       「何で中央勤務のお前がそんなこと知ってるんだ…?」



       ガタンと乱雑に置かれた資料の束をどかし、そこから現れたドアを開ける。



       「たまにここに仕事で来ると、この部屋でよく休憩してたのさ。」

       「下手にどっかのベンチや仮眠室で休んでるとお前に絡まれるからな。」



       いつ絡んだんだ!と抗議してやりたかったが、今はあえて追及しなかった。





       ロイとヒューズはその部屋の奥へと吸い込まれるように入っていった。







       奥は割りと整理されており、二人が入ってもかなりの余裕がある。

       「ほら、ここに座れ。それと、飲み物持ってきてやったぞ。」

       

       差し出された水筒にロイは食らいつくように水を欲した。



       ずっと走り回り、焔を出し続けていたので、喉がカラカラだった。







       ゴクッ、ゴクッ…





       喉を鳴らしながら水を飲み干していく…







       それだけの行為なのに、ロイが行えば、それもまた艶のあるものへと見えてしまう。



       ヒューズもまた、その姿に思わず眼を奪われていた…







       四角い眼鏡の奥の瞳がロイを見つめ続けている…





       その視線を感じ、ロイはヒューズの方へ振り向いた。 

       「ヒューズ…?」



       ヒューズは黙ったままロイに近づき、空の水筒を奪い去った。

       

       驚くロイが何かを言おうとした時、その口を自分の唇で塞ぐ…







       「ヒュ…!!」

       

       漆黒の瞳を閉じる暇もなく、口の中を割られ、舌が割り込んできた。



       「んっ…ふっんんん」



       長いキスのあと、ヒューズは驚きを隠せないロイの頬をそっと撫でる…







       「さっきの男が言ってただろ…体が火照って仕方がないはずだって…」

       「俺がすっきりさせてやる。他の誰にそんな事させて堪るものか…」





       「ヒューズ…私は…」

       「何も言うな。俺だってゲームの参加者だ。こういう事をする権利はあるんだぜ?」



       押し倒そうとするヒューズの胸を、弱々しい力で抵抗する。





       「お前も!やっぱりこれが目的で…」

       「まぁ…8割がた。でも、お前を守りたいって言う想いは嘘じゃないぞ?」



       抵抗する腕を押さえつけ、そのまま押し倒すように口付けを交わす。





       諦めろ。どっかの見知らぬ下士官よりはましだろ?





       そう囁きながら、ロイの首筋に舌を這わしていく。









       確かに…先程の下士官達の行為で体が疼いてしまっているのは事実だ。

       少し休めば、それも収まると思っていたのに…





       一度点いてしまったロイの中の焔はそう簡単には消えはしない。





       それがロイを「妖婦」と言う影のあだ名が出回っている所以でもあった。







       「私を休ませるんじゃなかったのか…」

       抵抗する力も意思も失ったのか、身動き一つしなくなったロイを、ヒューズは上から見下ろしていた。





       「休ませてやるよ。ちゃんと…ブラックアウトさせてやるから…」





       にっこり笑うと、ヒューズはロイのズボンのベルトを外し、自身を取り出しそれをそっと口に含む。





       「ん、あっ、あああ」

       体を反らせ、ヒューズの頭を掴み反応を示す。

       ロイのそれは、しっかりと起立していて先走りが流れ出していた。



       「やっぱり…相当我慢してたんだな。さっさと押し倒してやればよかった。」

       「ん、あぁぁ、ヒューズ…」



       「ゴメンな。ロイ。時間がないから、あまりじっくり愛してやれないぞ。」

       器用にズボンと下着を全部剥ぎ取ると、ロイ自身から流れでてる液を円滑剤に、その蕾を解していく。





       「ひっあああああ」

       「悪い…これ、咥えてろ。あまり大きな声で啼くなよ…」

       ロイの口に押し込んだのは、その象徴の発火布の手袋…





       この行為が後のロイの行動にかなりの支障になる事を、二人はまだ気がつかなかった…





       ロイの両足を抱え、すでに用意が整っているヒューズ自身をその中へとはめていく。



       「んっぐ、んんんん!!」

       「お前は動かなくていいよ。俺がすべて動くから…」

       「お前はただ素直に感じていればいい。俺をイかせようなんて思わなくていいんだ…」





       ロイの頭を抱え、優しく、しかし絶対的な存在の大きさでロイを攻めていく。





       首を振ってその愛撫に応えるロイ…

       その唇にそっと触れ、そして深く口付けを交わす。





       ロイ自身も擦りあげ、更なる快感を引き起こす。





       突き上げて、擦りあげて…



       そしてロイは絶頂を迎える。





       「んっんんんん!!」



       「いいよ、イきな、ロイ。俺の事は気にせず快楽に浸りながら眠るんだ…」





       大きく体を反らし、ロイは白濁の液を飛ばしながら果てた。





       「ヒューズ…」

       口の中に押し込まれた手袋を自ら外し、親友の名を呼ぶ…







       「眠れ。俺が傍にいて見張っててやるから。」





       ロイは優しく笑い、そのまま眼を閉じ、眠りについた。













       「…何一人でかっこつけてるんっすか、中佐。」







       突然の聞き覚えのある声に、ロイは飛び起き、ドアの方に目をやった。













       「ハボック…」





       「少尉…ここは俺専用の昼寝部屋なんだが…」





       「残念でしたね、この部屋は俺のサボり部屋でもあるんですよ、あなたがいない時はね。」





       タバコをふかし、ドアに寄りかかりながら、ヒューズとロイを見下ろしていた。

       後ろにはブレダもいる。ファルマンも途中で合流したようで、一緒に立っていた。









       「ゲーム…続行中ですよね、大佐。俺たち、まだ首輪外れてませんから。」

       「この奥に行くには俺を超えなければいけないぞ…」

       「やりますよ…その為の死のゲームなんだから…」







       ヒューズがゆっくりと立ち上がる。



       「ヒューズ!」

       ロイが思わず体を起こし、立ち上がろうとしたが、力なく倒れこんでしまった。





       「お前はそこで大人しく寝てろ。眼を開けた時、俺か、少尉達か、どちらかがお前の傍に立つさ。」





       俺がいたらそのまま寝てろ…そうでなかったら…





       「そうでなかったら…」





       「思いっきり愉しめ!」

       「ヒューズ!?」

       

       



       ヒューズはドアをバタンと閉め、ロイはそのあとの状況を知ることが出来なくなってしまった。



       「ヒューズ!?ヒューズ!!」





       キンッと金属がぶつかる音が聞こえてくる。



       そして…銃声…





       「ヒューズ…」

       ロイは今までの疲れと、緊張から、そのまま意識を失ってしまった…







       

       To be continues.





  
   




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