ゲームを征する者   5










       1:00





       ガタンという音に驚き、眼を覚ます…







       眼を開けても周りは薄暗く、はっきりとしてこない。









       私は…かなり眠っていたのか…?







       そうだ!ヒューズは!?

       ハボックたちは!?一体どうなったのか…







       「ヒューズ??いるのか?」

       



       「…いるよ…心配するな…」



       聞きなれた声が聞こえてきて、ロイは安堵の声を上げた。



       良かった…ではハボック達が失格となったんだな…









 

       「…ったく…そんなに俺たちとやるの嫌なんですかね…大佐…」









       背後から聞こえてきたのは、やはり聞きなれた声…



       振り向くと、そこにはハボック達がロイを囲むようにイスに座っていた。

       首には…まだ首輪がしっかりとはめられている。





       では、ヒューズの方が!?





       青ざめた表情でヒューズの方を振り向くと、少し遠くで、やはりイスに座ってロイを見ているヒューズがいた。

       背もたれを前にして、そこに腕を組むような格好で…





       その手に切れた首輪を掴んで…





       「ヒューズ…お前…」

       「悪い…ロイ。お前の為でもあるんだ。」



       ヒューズは頭をかきながら、右腕の傷を見せる。





       「少尉の銃がかすってな。ほら、少尉の腕も見てみろ。」

       振り返ってハボックの腕を見ると、白いハンカチできつく縛ってある。



       「俺のナイフが見事に刺さった。これではどちらかが死ぬなと直感したんだ。」







       「俺かハボック…どちらも死んで欲しくないだろ?」

      



       当然だ…今のこの状況を除けば、ヒューズは親友だし、ハボックは大事な部下だ。

       どちらも失いたくはない。



       「だから交換条件を出した。いわゆる等価交換だ。俺たちは錬金術師じゃないけどね。



」



       眼鏡の向こうのヒューズの眼が良く見えない。

       一体何を語ろうとしているのか…





       「ヒューズ…?」

       「俺の首輪を取ることを条件に、ロイを1時間ゆっくり寝かせる事。」

       「後はお前の好きにしろ。焔で焼くもよし、少尉たちと愉しむも良し…」





       「俺が最後まで見届けてやるから…」





       何を言っているんだ、ヒューズ!?

       私にハボック達をどうする事も出来ないの分かっている筈なのに…







       「で、もう準備はいいんですかね、大佐。」

       

       ハボックがゆっくりと立ち上がる。

       次いでブレダとファルマンが立ち上がり、ロイを上から見下ろしていく。



      

       ロイは右手に力を込めた。

       はずしたはずの手袋ははめられている。ヒューズの仕業か?





       ハボックは静かに近づいてくる。

       ロイは右手をハボックの目の前にかざし、威嚇をしてみせる。

       

       これ以上近づくと、本当に焔で焼くぞ…と…







       「構いませんよ…やって下さい。その方が俺もすっきりしますから…」

       「それでゲームオーバーになっても、命を落としても、俺に悔いはありませんから…」





       そう言って、ロイの目線に合わせしゃがみ込むと、その右手を自分の顔の前に持ってこさせた。





       ロイは顔をそらしながら右手の指を鳴らす…









       …………………





       「??焔が…?」

       「ロイ!?」



       焔が…出ない…?





       「…くすっ、やっと気がついたんですか。そうですよ、はなっから焔なんて出やしませんよ。」

       ハボックはロイの指をぎゅっと握り締め、そのまま自分のほうに引き寄せた。







       訳が分からなく、パニック状態になっているロイは、抵抗することも忘れていた。





       どうして…?力は十分に回復しているはずなのに…





       「いつも中尉が言ってるでしょ…『雨の日は無能なんだ』って…」

       「!!発火布が…」







       「そ、湿ってるんです。あんたの唾液でね…」



       驚いて眼を見開くロイに、ハボックは口付けをした。

       舌が割り込み、絡み合い、執拗に口の中を犯される。







       さっき…ヒューズとした時、自分の声を消す為に命を守るこの手袋を何も考えずに咥えてしまったんだ…



       欲望を開放するために…



       「中佐が手袋はめさせろって言った時気がついたんっすけど…中佐は知らなかったんすか?」

       「…参ったな…気がつかなかった…」

       額に手を当て、後悔の表情を見せる。

       



       手袋があれば、ロイならなんとでも出来よう。



       それでハボック達をなぎ払い、この場から立ち去ることも…

    



       だからこそあの条件を出したというのに。





       「すまない…ロイ。俺のミスだ。」

       ヒューズは申し訳なさそうにロイを見た。







       その顔がわずかに笑っているように見えたのは気のせいだろうか…





       本当に…湿った発火布の事に気がついていなかったのか…







       「さ、もう観念しましたか?大人しく俺たちと愉しみましょうや…」

       ロイの両手を押さえつけ、ハボックは馬乗りになりロイを組み敷いていく。





       「ブレダ、手ぇ抑えとけ。ファルマンは…」

       「あ、私は観るだけで…」



       「は?観るだけでいいのか?その為に参加したんじゃないのかよ?」



       「いえ、『男色』という言葉は知っていても、実際にどうなのか見たことなかったものですから。」

       「いい機会だから見てみたいなと思って参加したわけです。」

       「私自身に大佐に対しそういう気持ちが全然ないんです。惜しいことですがね…」



       おかしな野郎だな、お前は…

       そう笑いながら、ハボックは行為を再開した。





       「や、だ!離せハボック!!」

       「冗談じゃない。やっと廻ってきたチャンスですよ!離すわけないじゃないっすか。」





       軍服のボタンをひとつづつはずしていく。

       あらわになっていく素肌にハボックとブレダは息を呑んだ。





       服の下から見え隠れしていたロイの肌…





       白く、透き通るように美しい。





       それを自分たちが汚そうとしている。







       「下は…もう準備は出来てましたね。」

       「ハボック…」





       ハボックは何も付けていないロイの下半身に手を回すと、ロイ自身にそっと触れる。









       「大佐…愛してます…ほかの誰よりもあなたの事を…」











       ロイの白い肌に紅い痕を付けた時、ロイは静かに目を閉じた。







       To be continues.





  
   




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