ゲームを征する者 7
1:40 「ふっんん、んん…」 「大佐…もうすぐです…もうすぐ俺…」 ロイは薄目を開けてハボックを見ると、何かを語ろうとして、また眼を閉じた。 ロイの頭を抱え、ハボックは前後に腰を動かし始める。 むせ返りながらも、喉の奥にハボック自身を受け入れ、舌を使って快楽を引き出していく。 後ろではブレダが夢中で挿出を繰り返していた。 ロイ自身には触れず、己の快楽だけを追及している。 「ん、くっ、いい!!俺、イきそう!!」 更にロイの腰を自分に引き寄せ、一層奥へと突き上げる。 「あぁああああ」 ハボックへの奉仕も忘れ、ブレダの突き上げに悲鳴に似た喘ぎ声を上げる。 ブレダの動きが早くなり、限界が近い事を知らせていた。 「ブレダ少尉!中出しはするなよ!」 ヒューズがすかさず忠告する。 ブレダは慌てて自身を引き抜き、ロイの背中に射精した。 「ハァ、ハァ…俺、もう限界…」 ロイの色香にすっかり参ってしまったブレダは、へなへなとその場に座り込んでしまった。 「なんだぁ?情けねぇな…一回でKOかよ…」 馬鹿にしたように笑うヒューズに、ブレダは何も言い返せなかった… 「大佐の中って…そんなに凄いんっすか?こりゃ、楽しみっすよ!」 同じく荒く肩で息をしながらぐったりしているロイの顔を掴み、にやりと笑う。 「今度は俺の番です…ちゃんと受け入れて下さいね…」 両肩を抱き、首筋へと唇を落としていく… ロイは腕をハボックの背中に回し、ハボックを全身で受け入れる意思を示した。 「大佐…?」 「ロイ…」 ハボックとヒューズが同時に声を上げた時、廊下から人の気配を感じ、ヒューズに緊張が走った。 「静かにしろ!音を立てるな!」 ……まだ夜明けまで時間があるよな… ……ゲーム終了の知らせは聞いてない。早く見つけようぜ… ……この部屋、探したっけ??… 「ハボック!奥の部屋に…」 ヒューズがそういう前に、資料室のドアは開けられ、下士官ら3人が部屋の中に入ってきてしまった。 「ちっ!タイミング悪りィな…全く…」 「!!ハボック少尉!?それに!?」 「た、大佐だ!こんな所で隠れてやがったのか!」 ロイは虚ろな顔で下士官達の方を振り向いた。 全裸に近い状態のロイは、白い肌に紅い痕が見え隠れし、 上気した顔はハボックの先走りの液とロイ自身の唾液とで濡れている。 下士官達は喉を鳴らし、その淫猥な姿に釘付けになった。 「ゲームはまだ続行中ですよね!少尉殿!」 「俺達もご一緒してもよろしいですか??」 「アホか!大事な親友を貴様ら如きにやらせてたまるものか!」 「ヒューズ中佐!?」 「ハボック少尉!お前のロイをこいつらから守る気があるなら、立って奴らの首輪を外せ!」 ロイは未だに虚ろなままだ。 さっきの快楽の余韻がまだ残っているのだろう。 ブレダは腰が抜けてしまって、立ち上がる事すら出来そうにない。 「ちぇっ、こんな事だったら先にやっときゃよかったぜ…」 やれやれとゆっくり立ち上がり、タバコに火をつけ一服する。 ロイと一緒に仕事をしていると、何かと騒がしく、必然的に腕に覚えが出てくるようになる。 ましてやこんな下士官如きに、ハボックがやられるわけなかった。 腰のナイフを手にワーと叫びながらハボック目掛けて突っ込んでくる。 ひょいと交わして、手のナイフを叩き落す。 「腰がなってないね。もっとしっかり脇を締めてナイフを構えなきゃ…」 落ちたナイフを手に取り、その刃先を見つめる。 「整備もなってないな。ナイフは身を守るし、敵をやっつける大事な物だ。ちゃんと研いどけよ。」 そういって、ナイフを下士官目掛けて振り下ろした。 「ひぃぃ!!」 下士官は眼を閉じ尻餅をついて床に転ぶ。。 恐る恐る眼を開けると、どこも切られておらず、代わりに首輪が手元にぽとっと落ちてきた。 「はい、ゲームオーバー。」 ハボックはナイフを下士官に投げ返すと、タバコをもう一本取り出し、ふっと煙を吐き出した。 ヒューズの方を振り返ると二人相手にちょっとてこずっているようだった。 「何やってんすか…こんな輩相手に。中佐の名が泣きますよ??」 「皮肉っている暇があったら、さっさと助太刀しろ!」 「ハイハイ…一つ貸しですからね。」 二人の下士官はやはりナイフを手にヒューズたちに向っている。 先程の奴よりは様になってるな… 「俺は左。中佐は?」 「じゃ、右。間違っても殺すなよ。ロイが悲しむだけだ。」 ハイハイと言いながら頭をかく。 まるで面倒くさい宿題を任されたようなとぼけた返事だった。 馬鹿にされたような態度に頭の血が上ったか、二人の下士官はヒューズとハボック目掛けて飛び掛ってきた。 それでも中央勤務のヒューズと、喧嘩上手のハボックに敵うはずもない。 突き出してくるナイフを、呆れ顔でかわし、さっと足を出して引っ掛け、転ばせる。 ひっくり返った下士官は慌てて体勢を整えようとするが、仰向けに体を捻った時、目の前にヒューズの顔があった。 「はい、お仕舞い。」 ナイフを手に取り、首輪にかける。 ざくっと言う音と共にバサっと首輪が落ちていった。 「少尉は大丈夫か?」 「は?誰に言ってるんすか?」 振り返るとハボックの手にはすでに首輪があり、下士官は床でのびていた。 相手が悪かったな… 「さ、お前らは失格者だ。将軍閣下がすぐに巡回に来るぞ。その前にさっさと立ち去る事だな。」 「あ、あんただって失格者じゃないか!」 「あぁ、まぁそうだな。俺もすぐに立ち去るさ。」 ヒューズは首をそっと押さえながら、ロイの傍に近づいていった。 下士官達は、のびているもう一人の仲間をひきずって、まだ未練がありそうな顔で資料室を後にした。 「ロイ…しっかりしろ。服、着れるか?すぐにここを離れるぞ。」 「ヒューズ…?」 「中佐!?俺まだ大佐と!!」 ロイの軍服を拾い集め、ロイの元にばさっと落とす。 まだ少しボーっとしているロイの手を取り、服を着せていく。 「中佐!!」 「ここはもう駄目だ。他の奴らに知られた。」 「発火布も使い物にならないしな。新しいのを取って来ないと…」 段々と我に返ったロイは、すべての服を調え、ヒューズと共に立ち上がった。 「ハボック…」 「大佐…」 「ゲームはまだ続行中だ。私が欲しかったらもう一度追いかけて捕まえてみろ。」 キッと強い光を放ち、ハボックを見据える。 そして優しく微笑むと、ヒューズと共に資料室から立ち去っていった。 「くっそ〜〜!!たまんね〜〜よ!!」 ハボックは悔しそうに壁を拳で叩き、その怒りを爆発させる。 「ほら、ブレダ立て!大佐を追いかけるぞ!!」 「あ〜…俺もうパス。もう充分だ…」 腰砕け状態のブレダは、未だロイとの快楽の余韻に浸っていた。 「ちっ、だらしねぇな。ファルマンは…」 「私ももう充分です。しっかり情報は仕入れましたから。」 メモをパタンと閉じて、軍服のポケットに仕舞い込む。 ハボックはちっと舌打ちして、タバコをまた取り出し、火をつけた。 必ず捕まえてやる!! このままゲームオーバーなんて絶対認めねぇ!! 早々にタバコの火を消すと、仲間二人を放って司令部内に再び消えていった。 To be continues.