背負うべき罪 4
ロイを連れて帰ってから1週間…
俺はつきっきりであいつの面倒を見た。
放っておくと、食事はおろか、水さえも口にしない。
一日中ぼんやりとベッドの上で横たわっている。
軍の仕事もあるので、昼間はグレイシアが見てくれ、夜彼女が帰ると俺が傍につく。
「ロイ…早く元のお前に戻ってくれ…」
虚ろな眼で俺を見つめるロイをそっと抱き寄せた。
肩を抱きしめ、さらりとした黒髪をなでる。
ロイは静かに眼を閉じ、俺の手を気持ち良さそうに感じながら眠りにつく。
生きているか…死んでいるのか…分からない…
どうすれば…元のあの気力にあふれたお前に戻ってくれるんだろうか…
「マース…少し休んだ方がいいわ…あなたまで倒れてしまう。」
少しやつれた俺を心配して、グレイシアが労ってくれた。
ありがとう。君は本当に優しい人だ。
だが、これは俺に課せられた罰なんだ…
罪を犯してしまった俺に対する、ロイからの罰なんだ…
俺は何も考えずにこれを甘んじて受けなければいけない…
10日ほど過ぎた頃…俺の家の前に一台の車が止まった。
「大総統閣下!?何故ここに…」
「医者を連れてきたついでにマスタングの見舞いにと思ってね。」
「わざわざのお越し、恐縮です。さ、どうぞ…」
医者と思わしき人と大総統閣下がむさくるしい俺の家に入っていく。
こんな事ならちょっと掃除でもしておけば良かったな。
「マスタングの様子はどうかね?」
「はぁ…一進一退です。少し表情が出てきた様にも感じられますが…」
奥の部屋に二人を通し、手伝いに来てくれていたグレイシアにお茶の用意をお願いする。
医者は早速ロイの元へ行き、脈を取ったり、胸に聴診器を当てたりしてロイの体調をチェックしていた。
大総統閣下はイスにも座らず、その様子をじっと見ている。
一通りの検診が終わると、医者は傍を離れ、閣下が代わりにロイの元に近づいていく。
何だ…?この威圧感は…
身体が動かない…どうして…
「マスタング…お前は生きているのか…」
低く…重みのある声でロイに問いかける…
その声を聞いた途端、ロイの眼に光が灯る。
「かっ…か…」
「ふっ…だいぶ眼に力が戻ってきたな…やはり親友の傍にいさせたのは正解だったか。」
大総統閣下の方にロイが手を伸ばし、閣下がその手を掴み取る。
ベッドの傍らに腰を落とすと、ロイをそのまま抱き寄せた。
「!?大総統閣下!一体何をしているんです!?」
かろうじて出た言葉に大総統は俺の方を振り向き、静かに笑った。
「治療をする。お前たちは席を外せ。」
「なっ!?」
「はっ、それでは失礼します。」
俺は驚き、その場に立ち尽くしたが、医者は一礼して部屋を出て行く。
後に残された俺を大総統閣下はじっと見据えていた。
「どうした…私は席を外せと命令したのだが…?」
「…しかし…閣下自ら治療とは…」
「気になるなら見ていても構わんよ。」
その言葉の中に異様な程の威圧感を感じ、このままここにいたら
押し潰されるんではないかと錯覚を起こすほどだった。
その重苦しい空気にいたたまれなくなり、俺は閣下に「お願いします」と一礼し、部屋を後にした。
「マスタング…お前は生きているのか…」
「俺…は…」
「生きているのか…」
「………わか…らない…俺は…生きているのか…」
「…まだ…分からぬか…ならばその証を示さねばならんな…」
ブラッドレイはロイの顎を掴み、そっと唇に触れ、その内側を犯していく。
絡めあう舌がぴちゃぴちゃと音を立て、ロイの脳を刺激する。
シャツを引き裂き、弾け飛んだボタンがばらばらと床に落ちていく。
胸の突起を手で弄り、舌で転がし軽く歯を立てる。
「んっああっ、ああ…」
ビクンと身体を震わせ、ブラッドレイの頭を掴み離そうとする。
その手を掴まれ、片手で両手首を押さえつけ、もう片方の手で器用にロイのズボンと下着を剥ぎ取った。
慣らすこともなく、湿らすこともなく、荒々しく指を突き入れる。
「やっああああっ!!」
「今のお前には、これくらいの刺激でなければ感じられないだろう…?」
身体の線を舌で舐めながら、一本、また一本と指を増やしていく。
小刻みに痙攣しながらブラッドレイの指をギュッと締め付け咥え込んでいた。
ロイの中に入った指が、バラバラに動きその中をかき乱す。
「ん、あああっはぁああ」
浅く息をつき、その動きにあわせて腰を振り、ブラッドレイを巧みに誘う。
ロイの身体の中心には、しっかりと起立しているロイ自身がヒクヒクと脈打ち、
先走りで濡れそぼっていた。
「…お前は選ばれたのだよ…マスタング…」
「この私の…生贄となるべく…な…」
両足を抱えブラッドレイは己を取り出し一気に前進した。
いきなり根元まで押し込まれ、ロイのそこは悲鳴を上げ赤い血が伝う。
それが円滑剤代わりになり、ブラッドレイ自身をさらに奥深くまで咥え込む要因になる。
とてつもなく押し寄せる快感と痛みにロイは堪らず叫び声をあげた。
隣でお茶を飲んでいたヒューズにも聞こえるくらいの大きな叫び声を…
マスタング…お前は生きているのか…?
俺は…今…生きている…
「今の声は!?」
「…閣下の治療中です…お気になさらず…」
平然と紅茶を飲む医者に、俺は詰め寄って問いただした。
「今のはロイの声じゃないか!?悲鳴だったぞ!?一体何を治療してやがる!?」
「閣下のなさる事に意見を述べる気ですか?そんな事をしたら…」
「事があいつに関することなら別だ!」
俺はドアに向かって歩き出すと、医者がその前に立ちふさがった。
その間もひっきりなしにロイの悲鳴は聞こえてくる。
「どけ!ロイに何している!」
「ヒューズ少佐…マスタング少佐は閣下のお蔭であそこまで回復したんです…」
「最初連れてこられた時は、死んでいるのかと思うくらい精神が荒廃していたんです…」
「閣下が…三日三晩休む事無く治療し続けて…ようやく自分で生きる気力を持ち始めたんです…」
「医者の私ではどうする事も出来ない状態だったんです…」
医者が俺の肩を掴み、ドアから引き離そうと押してきた。
俺はその手を振り解き、取っ手に手をかけドアの向こうへと入っていく。
「はぁあああああ」
ベッドの上で閣下に後ろから突き上げられ、自身を擦り上げられ、ロイはシーツに頭を擦り付け
その愛撫に耐え切れず悲鳴にも似た喘ぎ声を上げていた。
俺はその姿があまりにも綺麗で、一瞬釘付けになったが、「マース…?」と言うグレイシアの声で我に返った。
「先生…彼女を別の部屋に…」
医者は静かに頷き、心配そうに見守る彼女を別の部屋へと連れ出した。
ぐちゅりと卑猥な音が耳に刺さる。
俺が入ってきた事などお構いなしに大総統閣下はロイを犯し続けていた。
「何て事を…」
だが俺はそれ以上の言葉が見つからなかった…
ついさっきまで死んでいる様に思えたロイが、まるで生き生きと輝いている様に見えたから…
閣下が腰を打ち付けるたび、飛び散る汗にまみれてロイが笑っている様に見えたから…
身体を反らせ絶頂を迎えた時、今まで見た事がない程、妖艶で美しいロイの姿に
俺はただ、涙を流すしかなかった…
To be continues.