背負うべき罪   6







        大総統との一件があった次の日。





        ロイは俺が止めるのも聞かずに自分の寮へと戻っていってしまった。

       

        「彼女が来難いだろ?」

        そう笑いながら…





        本来ならもっと休まなければいけない身体なのに。





        『早々に軍へ復帰せよ』と言う大総統の命令がロイを縛り付けていた。





        何故か…あんな扱いをされていたのに、ロイは大総統閣下にかなり忠実だ。

        軍人だし、国家錬金術師何だから当然と言えば当然なんだが…







        「気にいらねぇなぁ〜」



        ぼそりと言った言葉に隣で命令書を読み上げてた上官が驚く。

        しまった…ここは中央司令部内だった…

        「失礼しましたっ!」と敬礼し、直立不動で怒鳴られるのを待つ。





        「ま、いいけどな。俺も気に入らない。」





        は?何がっすか?





        「この命令書…また軍を派遣だとさ。イシュバールが終わったばかりだと言うのに。」

        南部国境沿いでいざこざがあったらしい。上層部はすぐ軍派遣を決定したそうだ。



        まさか…またロイが!?



        「でも、今回は戦闘が拡大するような事はなさそうだな。ヒューズ少佐が出る幕はなさそうだ。」



        そうか…よかった。俺が出る幕がないって事は当然ロイも…







        「そういえば、お前の親友の国家錬金術師、今日から出仕してるぞ?」

        「本当ですか!?」

        「何だ、知らなかったのか?彼は色々派手にやったから中央じゃ有名人だからな。」





        イシュバールでの活躍…見目もいい。なんてったって国家錬金術師だ。



        出る釘は打たれると言うが…心配だ。





        「行ってこいよ。今は特に仕事もないからな。俺が許してやる。」

        「はい!ありがとうございます!」





        物分りのいい上官に感謝の敬礼をして、俺は廊下を走り出した。





        「失礼します!ロイ…マスタング少佐はいますか!?」

        ロイのいる部署のドアを思いっきり押し開けたら、中からロイの上官やら同僚やらが

        不満げな顔で俺を睨みつけてきた。



        「マスタング少佐は中央図書館だよ。全く、出てきたばかりだと言うのに仕事もしないで。」

        「あいつは国家錬金術師ですからね。優遇されてんですよ。」

        「上から命令が来てるそうじゃないですか。少佐のする事に口を挟むなって。」



        一人の下士官がニヤニヤ笑いながらそんな話をする。



        「上の方に随分と太いパイプがあるみたいですよね。少佐って。どうやったらあんなに優遇されるんすかね。」

        「やっぱり体張って接待しなきゃ…」



        バシッ!!



        最後まで言葉を聞く前に、俺が一発殴ってやった。



        「ロイはそんな男じゃない!優遇されてんのはそれなりの実力があっての事だ!」

        「あいつを侮辱するやつは俺が許さんぞ!」





        椅子をひっくり返して顎を押さえながら俺を睨みつける。

        拳を握り締めファイティングポーズをとる。いいぜ!来いよ!いつでも叩き潰してやるぜ!





        「止めたまえ!ここで喧嘩なんかされては迷惑だ。」

        バレン大佐の一喝で俺達は拳を収め、大佐に向けて敬礼をかざす。

        こんな屑大佐でも一応上官だからな。縦社会は辛いぜ… 



        「少佐はここにはいない。さっさと出て行きたまえ。」

        「はっ!失礼しました!」



        心のこもらない敬礼をして、俺は中央図書館へと向った。







        中央図書館…この国のありとあらゆる蔵書が収められているこの国最大の図書館。







        ここに何の用なんだ…?







        受付でロイがいる場所を聞き出し、そこへ向う。

        

        「ロイ…?」





        高い本棚の間で、熱心に一冊の本を読んでいるあいつがいた。

        顔色はまだ悪い様にも見える。







        「ロイ…」

        声をかけてはいけないような雰囲気だったが…俺は構わずロイを呼んだ。



        「…マース…?何でここに?仕事はどうした。」

        「サボってきた。上司公認だ。お前がやっと出仕して来たって言うのにちんたら仕事なんてしてられっか。」



        クスッと笑いながら読んでた本を閉じ、元の場所へと戻していく。

        そんな熱心に何の本を読んでいたんだ…?



        「ロイ…本当にもう大丈夫なのか…?」

        「あぁ…お前にも心配かけた。だが、もう大丈夫だ。私はもう…」





        ロイが自分を『私』と呼ぶ時…それは周りに対し緊張感を持っているって事だ。



        俺と二人っきりの時でも最近では中々自分を『俺』とは呼ばない。





        以前はもっと『俺』って呼んでたんだが…何時からだろう…『私』になったのは…





        

        「ロイ…あのな…俺…」

        「失礼します!マスタング大佐でいらっしゃいますか。」



        後ろから声をかけられ、俺達は驚いてその方向へ振り向いた。

        綺麗な髪の女性がそこに立っている。



        この顔は見た事ががる…

        大総統閣下の秘書官の女性だ…





        「マスタングは私だ。何か…?」

        「大総統閣下がお呼びです。大総統府へおこし下さい。」



        また…あいつが!?

        もうロイには閣下は必要ないはず…



        「分かった。すぐに行くと伝えて下さい。」



        女性は軽く礼をすると、俺たちの傍を離れていった。







        「ロイ!お前は分かってるのか!大総統府に行ったらまた…」

        「それでも…大総統閣下からの呼び出しに対し、私に拒否権はない…」



        軍に属する者すべてに…拒否権はない…

        分かってる、分かってるさ!それでも…



        「俺はお前に行って貰いたくない…ロイ…」

        ロイの両肩を掴み、真直ぐにあいつの顔を見つめた。





        本当は抱きしめたい…





        ロイは小さく笑うと、俺の両手を振り払いその場を離れようとした。





        「ロイ!!」

        俺の声にピクッと反応するが、そのまま立ち去って行った…







        どうしたら…ロイを閣下から取り戻せるんだろうか…





        どうしたら…ロイを闇から救い出せるんだろうか…









        いや…いっその事俺も闇へと身を沈めてしまおうか…

        そしてあいつと一緒にもがき、苦しみ、どうやったら這い上がれるか共に考える。





        「それも悪くないな…」

        本棚に寄りかかり、そんな事を漠然と考えていた…



















        「ヒューズ少佐に関わるなだと…?」





        大総統府の中のブラッドレイの執務室…

        誰もいない二人だけの空間で、ロイは隻眼の男によりもう何度もイかされていた。



        それでも背筋に舌を這わせば官能的な声を発し…

        精で溢れかえってる膣内で指をかき回せば、萎えていたロイ自身がみるみる復活していく…





        執拗な愛撫により苦しい息の中、ロイは絶えず訴え続けていた…







        ヒューズには関わらないでくれ…と…



        闇に落ちるのは自分だけでいい。

        親友を巻き込むわけにはいかない…





        その為にこの体が必要なら、幾らでも差し出そう…









        「気に入らんな…」

        「か…っか…」



        私に従順であってはいけないと言ったはずだ。

        ロイの顎を掴み強引に唇を奪う。





        「そんなにあの男が気になるなら、いっその事お前と同じ様にした方が良いのではないかね?」

        「南部戦線に送り出して…精神を崩壊させ…そしてお前と同じ様に犯す…」



        「閣下!」





        ぐちゅりと卑猥な音を立て、ブラッドレイのいきり立った物がロイの中に押し込まれる。





        「ひっんんっふあああ」

        革張りのソファを掴み、身を反り返してブラッドレイを受け入れる。

        誘うかのように潤んだ瞳の中に、わずかながら、だがはっきりとした殺意の光をブラッドレイは見逃さなかった。







        そう…それでいい…





        その眼の光を育てよ…







        私に従順なお前は必要ない。













        その為にあやつは生かしているだけなのだから…

        お前と同じ闇に落とせば、あやつは喜ぶだけだ…





        お前と同じ苦しみは決して味あわせぬ。

        











        それがお前をこの私から救い出す唯一の方法なのだから…  













        To be continues.





  
   


「背負うべき罪」、復活です!
色々とご心配かけました。
何とか話が纏まり、再開にこぎつける事が出来ました。

スランプも無事脱出!これからも頑張ります!!

また暫くのお付き合いお願いいたします!



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